おもしろニュース拾遺

 BC級ニュースが織り成す可笑しくも愛しい『人間喜劇』。おもしろうてやがて悲しき・・・

従業員「全員参加」の着服:JR西子会社

2005-12-15 10:11:25 | 詐欺
 
(写真はトワイライトエクスプレスのサロンカー)

 ほぼ満席に近い列車の中で人が殺された。当然目撃者は多いはずだが、乗客の誰一人としていかなる異常にも気付かなかった。この謎を解け、という推理小説があった。答えはバカバカしいもので、乗客みんながグルだった。
 ご存じのように、こういう「全員参加」型の犯罪はミステリーでは禁じ手。犯人は幽霊でした、というのがトリックにならないように、全員が犯人では推理の醍醐味はない。

 しかし仮構の世界ではバカバカしすぎて相手にされないような犯罪が、現実世界ではいとも当然のように行われる。よくあるカラ出張で資金捻出や、最近次々と明るみに出る警察の「裏金」疑惑などもそうだが、組織ぐるみの犯罪だ。「和をもって貴しとなす」日本社会ではこういう「全員参加」型の犯罪が可能である。一人の「抜け忍」、つまり告発があっても崩壊するのだからある意味想像を絶する悪の帝国だ。

 それにしても昨日公表されたJR西日本子会社の着服事件は、その規模と年月の長さで、日本型犯罪に不感症になっている人をも驚かすものだ。期間は17年間、「犯人」は従業員34人全員、のべ人数(退職者含む)では100人を超えるという。金田一少年張りに容疑者を一堂に会して、「犯人はあなた・・」と名指ししていくと番組が終わらない。と言うか、ほとんど犯人大集会になってしまうほどの規模だ。

 事件を一言で言うと、寝台特急「トワイライトエクスプレス」の車内で販売するコーヒーの代金を、同社の子会社「ジェイアール西日本フードサービスネット」の社員が常習的に着服していた(共同)。具体的な手口は、「乗客が夜景などを見ながら自由にくつろぐ4号車の「サロンカー」では、隣の食堂車の従業員がコーヒー(1杯420円)の注文を受けている。この際、売上伝票を発行せず、受け取った代金をそのまま着服、チーフパーサーが管理、分配していた。」(毎日新聞)。
 よくあるワンマンカーの運転手が料金を直接受け取ってポケットに入れてしまうという、あの「コツコツ」着服だ。しかし塵も積もればで、「稼ぎ」は一人年間36000円程度、トータルでは1400万円超という。

たった一人の”抜け忍”が「”和”の犯罪」を崩壊させる

 この犯罪は1989年のトワイライトエクスプレス運行開始直後から行われていた。「全員参加」だから「参加者」には犯罪の意識はなかった、と言うより「それは犯罪じゃない?」と異議を唱える者こそ”犯罪者”とされるのだ。
 よく独裁国家の官製選挙で大統領の「信任」投票で99%の支持などと公表される。しかしこの日本社会型「和」の犯罪では、100%でなければ崩壊だ。日本社会の「和」は、「99%」では失敗という完璧な「独裁」を意味しているのだ。

 今回の発覚は「今月9日、従業員からの内部告発で表面化」(毎日)という。百数十名の中からたった一人の「カムイ」、”抜け忍”が17年の不正を経て登場したということだ。「内部告発」は日本語では辞書の中だけで存在する言葉なのか。


NHK受信料不払い者は「観覧」を拒否

2005-12-13 10:00:13 | 迷言・妄言
 あれはあれでいいのかねぇ~。
 受信料不払いに苦しむNHKが不払い者に対する”制裁措置”に乗り出した。
 「思い出のメロディー」や「紅白歌合戦」などの公開番組に、受信料を払っていない人は観覧できない措置を取るという。読売新聞など。たぶん、入場券を申し込んだときに住所と氏名を書く。その際にNHKのデーターベースと照合してあんたはダメですよと通知を出すのだろう。強引に見ようとしても警備員につまみ出されるだけだ。

 確かに現在の法律では、受信料不払いだけでは逮捕することも出来ないし、財産の差し押さえも出来ない。残る手段は選択的なイヤガラセで不払い者を精神的に追い込むしかないということだろう。いわば一種の「公民権停止」措置のようなものだ。
 ただ、テレビを持っていない人が「のど自慢」公開放送を見たいと思ったらどうだろう。この人にも「制裁」を課すのは正当性を欠くという気もする。
 
 現在のNHKは事業収入が約6800億円(2005年度)。在日米軍の日本側負担経費とほぼ等しいという。まさにNHK軍だ。もっと横綱相撲を期待したのだが、なにかずいぶんセコイやり方だ。もちろんこれはほんの手始めで、今後次々と新たなイヤガラセ策が登場するはずだが。

 この「制裁」の考え方は、いわゆる「受益者負担」理論だ。金を払わないやつには利益を与えるな。しかしあまりにも「受信者」ばかりに目を奪われすぎているのでないか。受信者でも自らブラウン管(古い)に登場することで「利益」を得ている人がいる。イヤガラセで訴えるならこういう人たちから「攻撃」をした方が効果的だろう。
 NHKに出演する歌手や俳優。まあこういう人たちは払っているに違いない。というかそうでない人の出演をNHKが許可することはない。

 アマやプロのスポーツ選手はどうだろう。「NHK杯」と付く選手権には不払い選手は出場権を奪われる。そうでない競技でもNHKが中継する場合は、不払い選手にはボカシをかけてまた名前も呼ばないというイヤガラセは可能だ。「おーっと”ピー音”選手トップに踊りでました。この選手は受信料不払いですのでモザイクで放送します。”ピー音”選手が受信料を払えばモザイクは解除されます。振込口座番号は・・です。家族の方急いでください」というように。一般視聴者に与える心理的効果(というか脅迫だ)は大きい。

 政治家でも「未納」の人間はいるはずだ。ニュース報道では「NHK受信料未納のXX大臣が今日の閣議で・・」と毎回「肩書き」をつけるというのも手だ。結果、頭を丸めて四国お遍路の旅に出る政治家がいてもそれは未納から出た錆、受信料から出た恥というものだ。

 一方一般受信者に対するイヤガラセとしては、デジタル放送になるのをきっかけにスクランブルをかけ、「ふっふふ、どうだ何も見えまい。受信料を払わなければお前のテレビは永久にNHKを見ることはできんのだ」とする案も検討されているそうだ。しかしこれでは公共放送として、例えば災害情報を得られなくなる人が出てくる。
 だからこの場合には「欠如」の不利益でなく、不払い者のテレビには不快な雑音が出るようにすればいい。「ハーハッハッハ、苦しいか。これもお前が受信料を払わないからだ。口座振替の手続きをすればすぐに楽になれるぞ」という具合に。

 あーイヤだイヤだ、どうも人間性悪説に立つととにかく「罰」を与えようという方向ばかりに走ってしまう。今後NHKもこの路線に進むに違いないが、もう一度NHKは放送局であるという原点に立ち返って、正面からの訴えは出来ないものか。
 連続ドラマ「受信料の幸せ」。NHK受信料を前払いして幸せに暮らす山田一家のとなりに引っ越してきた不払いの悪田一家。悪田一家には次々と不幸が訪れ家庭は崩壊していくが、山田一家ではお父さんがのど自慢で優勝し・・・・てな勧善懲悪ドラマはいかがですか。


熱心サンタ、親切過ぎて即刻クビに

2005-12-12 21:39:44 | 珍事件
 この季節になると世界中の新聞社や通信社がクリスマスネタ集めに奔走する。その結果普段は記事にならないことも世界中に配信されることも。これもそんなネタの一つ。

 子供たちに親切にしすぎたサンタがクビになった。ロンドンで、主催者側はイベント会場に集まった子供たち一人一人に接する時間を最大30秒と決めていたが、アルバイトで傭われたセイモアさんは子供たちを喜ばせたい一心で、規定の時間を越えて子供たちと長々とおしゃべりした。サンタとの触れ合いを待つ長蛇の列ができてしまった。せイモアさんはその場で解雇され、屈強な警備員によって会場外にたたき出されてしまったという。 AFP-時事

 つまみ出された俳優のセイモアさんの言い分は、「入場料を17・50ポンド(約3700円)もとって、サンタと話せる時間が1家族当たり30秒というのはぼったくりだ」と。もっともだ、しかしおかげでこの高い入場料を払ってしかもサンタと話を出来なかったお客にはどうしますか?
 この元の記事である英紙デーリー・ミラーを見るとなぜ子供たちの話がそんなに長引いたかが分かる。子供たちはあらかじめ作ってきた「リスト」を手にしていたとある。そう、サンタに見せるリストとは希望するプレゼントの一覧に他ならない

 子供たちがサンタが好きなのはその風貌によるのではない。彼が無料で届けてくれるとされる希望のプレゼントこそ、彼の人気の源泉なのだ。大人たちが、たとえサンタなどいないと心ない言葉を吐いても、「サンタさんが届けてくれた」プレゼントの包み紙が近所のおもちゃ屋さんのものであっても、子供たちはサンタさん実在神話を擁護し続けるのである。

 ではそもそも子供というのはいつまでサンタの実在を信じ続けるものだろう。今は汚れた大人となった人の思い出をググらせてもらったところ、やはり小学校低学年までが多いようだ。しかし中には「大学生になるまで信じてました」という猛者?もいる。いったいいつまで甘えとるんじゃ~
 ちなみにサンタ実在のアンケートは案外見当たらない。唯一発見できた物を以下に転載しておきます。標本数は少ないのですが。

サンタさん、何歳まで信じてた?

幼稚園まで (14票) 19%
小学校低学年まで (26票) 35%
小学校中学年まで (7票) 9%
小学校高学年まで (2票) 3%
中学生 (0票) 0%
高校生 (0票) 0%
大学生 (0票) 0%
今でも信じてるさ~~! (7票) 9%
子供の時から信じてないっ! (18票) 24%
その他 (1票) 1%
出典

 去年だったか、テレビのバラエティでサンタさんいるいないを幼稚園児に討論(debate)させていた。当然ながら「いない」派が理詰めで「いる」派を論破したので「いる」派はもう泣きそうだった。ただこの可愛げのない「いない」派の園児に聞くと、サンタの存在に懐疑的になったきっかけは、「サンタさんへのお願い」が(両親によって)無残に踏みにじられたことに端を発しているようだった。やはり「真理の発見」には挫折体験が必要のようだ。黙っていても高価なプレゼントがもらえる「ぼんぼん」は、どうしても「悟り」を開くのが遅くなる。

 そうだ、話を戻して、あの気の毒な俳優にして熱中サンタのセイモアさんはどうなったのか。元ネタのデーリー・ミラー紙には記述がないのだが、AFP通信はクリスマスネタがこんなに暗くてはイカンというデスクの配慮だろう、追跡取材をして「救い」を見出した。
「ただ、クリスマスの季節とあって、サンタとしこりを残したままではまずいと思ったのか、主催企業はその後、別のイベントでセイモアさんを再度、サンタに起用すると発表した。」



植物「ど根性」物語:大根&ミカン

2005-12-11 12:02:31 | 動物・ロボット・植物
  
 「私は新聞はまずスポーツ面から読む。そこには人間が何を成し遂げたかが載っている。その他の面は--人間がどういうヘマをやったかが載っているだけだからだ。」 子供の頃に読んでなるほどそういものかと感心したが、残念ながらこの言葉の主は記憶しなかった。最近のニュースを聞いているとまたこういう風にも言えるのでないか。「動物ネタは快挙だが、人間ネタは不祥事である。」

 物言わぬ動物が人間を励ましているだけではない。動かぬ植物までもが健闘している。最近注目を集めたのが、兵庫県相生市の「ど根性大根」だ。道路のアスファルトを破って一本だけ生えてきた大根が町の話題になる。そしてマスコミの格好のネタに。ここまではよくある話。その後にドラマがあった。
 この大根が折られて上の部分が持ち去られているのに気がついたのが11月13日朝。住民は嘆いて現場に写真と花を添え「供養」をしていた。ところがこのニュースが大きく取り上げられて怖くなったのか、犯人が現場近くにこの折られた大根(切り口が一致)を置いているのが発見されたのが16日。ただちに市役所に運び込まれて、いわば「緊急救命室」に運び込まれた人間のように蘇生の努力が続けられた。
 そして大根は蘇った!「大ちゃん」と名付けられたこの大根「回復」の様子は相生市の「大ちゃんのここだけのはなし」(上の絵はここから)で写真付きで公開されている。葉っぱが成長し、今では葉全体の長さは8cmになっている(12月5日現在)という
 市に運び込まれたときは、市長も「まさかつなぎ合わせるわけにはいかないし」と生存を絶望視していたが、今では「大ちゃん」を市のメインキャラクター扱いで、記念碑に蓄光石のイルミネーションを埋め込んでいる(写真)。


 日本のマスコミの困ったところだが、この「ど根性大根」が有名になると、全国の「ど根性植物」探しが過熱して、かえってシラケてしまった。その「ど根性」ブームが治まった今、「ど根性みかんの木」のニュースが。南日本新聞12月11日

 岩を割ってミカンの木が生長している。持ち主が岩の間から蜜柑が生えているのに気付いたのはなんと20年も前。長い間、このミカンは生存に必要なエネルギーをかろうじて岩の隙間から得ていたに違いない。それでもゆっくりゆっくり成長を続け5年前に根が地面に到達すると急に成長を始め、今では100個もの実をつけている。ど根性というより臥薪嘗胆、不屈の執念の勝利である。

 「”根性”だの”執念”だの、植物に自由意志があるかのように感心するのはバカだ。ただの偶然に過ぎない」と冷笑家は言うだろう。しかし20年どころか、二分間の我慢ができずにキレて同種を殺害したりする「自由意志」とは自慢できる代物なのか。動物と植物は人間を感動させた。人類はどうですか?と改めて問いたい。

有名占い師、TVで養鶏業攻撃発言:フジ謝罪へ

2005-12-10 12:14:00 | 迷言・妄言

 「あんた地獄に落ちるわよ」という決め台詞で有名な占い師HK氏の発言が養鶏業界の反発を呼び、結局テレビ局側が謝罪することになった。
 発端は11月11日放送のフジテレビのバラエティー番組「幸せって何だっけ」で、HK氏が「鶏卵の価格の安さを批判し、養鶏場では24時間明かりをつけ1日に2、3個も卵を産ませている▽ほとんどが薬でつくられている、などと発言した。」(毎日新聞

 これに対し、日本養鶏協会は抗議文と質問状を送り、HK氏の主張に反論。詳細は原文を見ていただきたいが、「(1)鶏を眠らせていないわけではなく、24時間という表現はおかしい(2)1日あたりの1羽の産卵数は1個で、3個も産卵することはない(3)飼料は薬事法で定められた基準を守っている」(同上)というものだ。

 このHK氏は最近よくテレビで見かける。なんでも占い本の売上部数でギネスに掲載されているそうだ。ただテレビで重用されているのは、そのあまり上品とはいいかねる挑発的な言葉にゲストの芸能人の表情が変わるのが面白く、視聴率が稼げるからのようだ。フジテレビはこの番組の紹介で彼女を「今や”視聴率の女王”」と持ち上げている。

 普段は芸能人をいじって視聴率を稼いでいるのだが、暴走して養鶏業という「素人さん」攻撃に走ってしまった。ただでさえ最近は鳥インフルエンザで苦しい状況にある養鶏業を、まさに”大殺界”に送り込むかのような発言に、「公共性が極めて高い電波を使用し、かつ影響力も大きい全国ネットワークを有する御社が何故に科学技術論的にもあり得ない内容で鶏卵への不信を誘発する報道を行ったことについて強く抗議する」と養鶏協会は抗議している。

 この番組でHK氏はゲストでなくメインキャラクター。しかしいずれにしても生放送でないのだから、不適切な発言や事実関係については放送前にチェックできるはず。個人名や猥褻表現には不必要なほど”ピー”を入れるテレビ局が、業界全体に打撃を与える発言をノーチェックで通したところに体質が現れている。

 この番組(「幸せって何だっけ~カズカズの宝話~」)のフジテレビのリリースによると、「“幸せってなんだろう?”をテーマに、いろいろな情報を提供していく番組」なので、面白可笑しければOKでなく、その「提供」される「情報」には念入りなチェックが必要なはずだ。ここでもプロフェッショナリズムの不在が明からだ。

 フジテレビは今後番組内で謝罪するという(毎日)。

 この「幸せって何だっけ」のスタッフにあなたの「幸せって何?」と聞けば、「視聴率を上げて給料が上がること」と答えるだろう。それはいいのだが、番組の「幸せ」が他人の「幸せ」と衝突したときにどうするか。例えばホリエモンの「幸せ」がフジテレビの「幸せ」と衝突しそうになったときにフジテレビは必死で抗議したはずだ。「心にしみいるお話をたくさん提供できるよう頑張っていきたい」と制作者は語っていたが、心が寒々とする弱い者イジメの「お話」を実演することになった。

ニセ医師8年間:プロより「有能」?

2005-12-09 11:30:08 | 詐欺
 「本当に親切でいいお医者さんでしたよ」というのが患者の声。「症状に合った的確な処方戔を書いていましたよ」と薬剤師。
 8年間の間ニセ医師として20か所以上の医療機関を渡り歩いていた男が12月6日ついにお縄となったが、大学の医学部さえ一度も通ったことのない男がどうしてかくも長期間見破られなかったのか。東京新聞がその深層を取材(9日記事)している。

 逮捕された病院では当直専門の医師として勤務。「専門」は外科だが、手術は常勤医が担当する決まりのため、彼は手術はしたことはないという。彼は都立病院で「見学生」という待遇で一年勤務(無給)。この間に医学知識を身につけたのだろうというが、「素人が一年間見学しただけで、診断名を付けたり、処置したりできるとは思えない」と病院。
 彼は「慶応大学医学部と北京大学医学部卒」と経歴を偽っていたが、実は定時制高校を中退が最終学歴だった。医者という仕事の大半が素人の物まねで通用するほど簡単なのか、この男が”ブラックジャック”のような天才なのかどちらかだろう。

 この記事に出ている医療ジャーナリストのコメントが悲しいほど示唆的である。
 「問診して話をするだけなら、ニセ医者でもばれない。ニセ医者は人柄が良くて、口がうまく、技術がいいのが基本。そうじゃないと、すぐばれるから。」(富家孝氏)
 「自分が新聞記者時代にニセ医者を取材した時も、患者はみんな、あんな親切な人はいないと言っていた。偉そうなニセ医者はいない。」(水野肇氏)
 医療ミスを隠蔽するプロ医師を選ぶか、ミスなく無難で親切なニセ医師を選ぶか、私たちは「究極」の選択を迫られつつある。

 とにかく偽医者はプロを超えていた。ここでもゲーテの「種の中で完全な個体はその種を超越する。」という言葉が思い出される。

 プロの一級建築士が構造計算書を偽造して日本中を恐怖に陥れている。弁護士で国会議員という法律の二重のプロが詐欺で逮捕された。今、プロの責任と倫理は地に落ちている

 新聞記者だってそうだ。どの新聞も警察発表をまとめて、その最後に「偽造をチェックする態勢が望まれる」と判で押したように書いているだけ。これなら中学生にも書ける。報道のプロたる所以は、読者の「なぜ」に答えられるまで深く真相を取材する点にあるはずだ。なぜニセ医師は8年間「医療行為」を続けられたのか、依然としてナゾは残ったままだ。

児童買春で東大先端科学技術研助教授逮捕

2005-12-08 15:18:29 | 変人
 
「どんな子が出会い系サイトを利用しているのか興味があった。返事が来たら、面白いなと思った」 と供述しているのは、逮捕された東大先端科学技術研究センター助教授。

 まあ身分はどうあれただの性犯罪人なんだけど、もう少ししっかりしたコメントをしてくれないか。日本の誇る(はずの)「先端科学技術研究」のメッカに勤めているんだから。

 この38歳の助教授、「昨年4月から6月にかけ、神奈川県内の当時中学3年の女子生徒(16)と横浜市内のホテルなどで3回にわたり、計5万円を支払ってわいせつな行為をした疑い。」(東京新聞12月8日)で渋谷署に逮捕された。

 確かに「出会い系サイト」とかのいわゆるネットの「スケベ系」はある意味「最先端技術」の実験場みたいになっている。ウイルスとかスパイウエアに感染するのは、こういう「スケベ系」に接続した報いであることが多い。最新のスパイ技術によって、裸の画像を楽しむあなたのプライバシーが丸裸にされる恐れが生じるのだ。

 この助教授しかし専門は「電気電子工学で光ファイバーを使った通信技術を研究」というから、研究の延長として「出会い系」というわけではなさそうだ。ただのスケベ心か。彼の心の闇には光ファイバーで光が届くことはなかったわけだ。

「TVのチカラ」に小学校から苦情

2005-12-08 10:34:22 | 発見
 「おーーっと、私の右手にまさに透視通りに時計台のある学校が見えて参りましたぁ~!」と興奮するレポーター。「ふん、時計台のない学校の方が珍しいで」と引き気味の視聴者の突っ込みが届かないのか、スタジオのゲストコメンテーターたちはわざとらしく身を乗り出して、「時計が円いのが透視と一致していますね」(まあ三角の時計はないやろ)と色めき立つ・・・・

 テレビ朝日の「TVのチカラ」(以降「チカラ」と略)「超能力捜査」のおなじみの場面である。
 この「チカラ」に神戸の小学校が抗議した
<テレビ朝日の情報番組「TVのチカラ」で「殺人事件の容疑者が近くにいる」として、神戸市東灘区の小学校の名前や外観、地図を放映したため、同校は七日までにテレビ朝日に抗議した。>、< テレビ朝日などによると、同番組は五日午後八時から全国ネットで放送。霊視能力者が一九九○年に札幌市で発生した殺人事件の容疑者の居場所を探る内容だった。>(神戸新聞12月7日)
 不思議なのはこの時効間近の「容疑者」の居場所は特定され、局は警察にも通報しているというが、いまだ逮捕には至っていない。
 おとといの段階では局は「番組の責任者が学校に行って番組の制作意図を説明させていただく」、と強気だったが、昨日になって、「結果として、保護者と児童のみなさまの不安をあおったことになり大変申し訳ない」と述べた」という(朝日新聞)

「超能力者」の登用がウリ

 この「チカラ」は、どの局でもたびたび放映される指名手配犯の公開捜査の一種だが、通常の情報番組では視聴率が取れないと判断したのか、「超能力者」を登場させて犯人の居場所などを探らせるのがウリである。「超能力者」に漠然とした地図を描かせ、それをもとにスタッフが車で駆け回り、「あーっ、あれがその川でないのかぁーっ(興奮しなくても川はどこにでもあるヨ)などど奇声を上げて視聴者に臨場感を持たせて興味をつないでいく。
 
 テレビ朝日の「チカラ」のページにこれまでの公開捜査の実績が上げられていて、確かに犯人が逮捕されたり行方不明者が「発見」された例は多いようではあるが、肝心の「超能力者」がずばり「犯人」の居所を突き止めて、スタッフが踏み込んで格闘の末取り押さえ、その一部始終をカメラがとらえたという劇的な解決はまだ一度もないようである。超能力者の「チカラ」でなくて、視聴者の数の多さの「チカラ」が最も寄与している。

 「チカラ」のページには捜査に「協力」しているとされている「超能力捜査官」なる人物14名のプロフィールが紹介。日本の番組なのに全員外国人なのが大相撲を見るようで淋しいが、それはともかくテレ朝のキャプションが笑わせる
 ミッシングハンター、伝説の交霊術、遠隔透視、運命をよむ女、まあこのあたりはいいとして、カナダの英雄、ロシア最強、ポーランド透視女帝、となるともうプロレスの世界だ。「チカラ」が報道番組でなくバラエティーを目指していることがよく分かる。

 これら「超能力捜査官」がインチキであると決めつけるような大胆さを小生は持ち合わせていないが、とにかくその「透視」が外れても責任を取らされていないらしいことはその仕事を継続していることから分かる。
 いっそこれら「超能力者」に大相撲のような番付制度を導入して、「給金」に差をつければどうか。日本人の参入も自由化すればいい。”競争原理”の導入で活性化し、これまでのように曖昧な地図でなく、ズバリ住所と氏名を特定するような「超能力者」が出てくるだろう。とにかく、日本のお間抜け番組に出演しなければ生活が成り立たないというお粗末な「超能力者」は淘汰されることになる。

「放送審議委員」がすでに今日を「透視」

 正直、この「チカラ」は放送コードギリギリの番組だ。今回は少し則を超えてしまったが、内部でも「常に危うさを抱える番組」という評価はあったようだ。テレ朝のHPのたぶん誰も見ないページ、放送番組審議会報告の2004年2月20日号に、実は外部の放送審議委員からこの番組に対する疑問が上げられている。まさに今日の事態を「透視」したものとして、その一部を転載し、実績の上げられない「超能力捜査官」に替えて、この審議委員を登用するようにテレビ朝日に提言したい。
「”こんなことをして大丈夫なのか”という心配が次々と生まれてくる番組。内容的な展開とは別のところでハラハラドキドキした。」
「透視というツールを使うことで非常にシラける。青少年に影響をおよぼす危険性もあるのではないか?」
「超能力者が出てくるとリアリティーが無くなるのでやめた方が良い。」
「他人の不幸にこんなにも好奇心を持っていいのかと、良心の呵責に駆られてしまう。」
「パネラーの役割がよくわからない」


ネコ大の「新種」の肉食動物発見

2005-12-07 13:44:06 | 発見
 インドネシア・カリマンタン(ボルネオ)島の熱帯雨林で、ネコほどの大きさの「未知の肉食動物」を発見したと、WWF(世界自然保護基金)が発表した。(毎日新聞ー共同)

 上の写真がWWFが自らのWebのニュースリリースの中で公表したもの。この生物をとらえた写真は地球上にこの2枚だけだ。左側の写真には暗くて分かりにくいがこの動物の光る目が写っている。まるで指名手配犯のようにこの写真を現地の人に見せてまわっているが、誰もこの生物を見たという人はいないという。大発見だ。写真では分かりにくいので、画家が想像を交えて描いた絵も

AP通信が配信している。
 「WWFが今回、発見情報を公開したのは、インドネシア政府が今年7月にカリマンタン島でのギネアアブラヤシ大規模栽培計画を発表したため。WWFは生態系が損なわれ、この動物の正体も永遠の謎で終わってしまう恐れがあると憂慮している。」
 写真撮影以降発見されてないということは個体数が非常に少ないということ。まさしく一瞬その姿を現しただけでこの地上から消滅してしまうのだろうか。



 この「ネコ」のように存在が噂されながら確認できていない生物をUMA(ユーマ/Unidentified Mysterious Animal)と言うが、日本最大のUMAは何と言っても「ツチノコ」ではないか。
 最近では各地で村興しの切り札としても登場させられているツチノコだが、一説によると古く縄文土器にも刻まれているのだという(例えば「ツチノコ共和国」のツチノコの歴史のページ)。現在の日本人の多くは縄文人でなく「弥生人」つまり渡来人のDNAを持っているはずだから、ツチノコの方が「先住民」の権利を持っていることになる。あだやおろそかに扱ってはならない。

 鎌倉時代の仏教説話集『沙石集』にもツチノコにまつわる話があるという。「叡山の2人の僧が、先だって死んだほうは、生まれ変わったときにその所在を告げようと約束したところ、先に死んだ僧が夢に出て”われは野槌に生まれ変わった。それは目鼻手足なく、口ばかりあって人を食らう。これ名利をもっぱらにして仏法を学び、口先のみ賢く、智の眼、信の手、戒の足一つもなかったから、かかるのっペら坊に生まれた”」
 当時から今で言う「口舌の徒」を戒める考えがあったことが分かる。そうなのだ。まだ記事の数少ない当ブログでも、坊さん裁判官政治家著作家高級官僚、と「口舌の徒」のハレンチ事件満載だ。
 しかしこの説話、ツチノコには気の毒だ。「口舌の徒」が罰としてみんなツチノコに生まれ変わるなら、日本列島は今ごろツチノコで埋め尽されて、越前クラゲみたいに迷惑生物になっているはずだ。

ロボット「見習い店員」を採用:イオン今月から

2005-12-06 10:30:14 | 動物・ロボット・植物
 「おや、アトムどうしたんだ?元気ないな」、「御茶の水博士ぇ、どうしてボクには人間のようにお父さんお母さんがいないのですか?」
 初めて読んだときには と子供心にもショックを受けた。さすがに英雄アトムに公然と突っ込みを入れるのは憚られたので心の中でだが、「そ、そんなロボット1台に”家族”まで作らんといかんのではカネがかかってしょうがないんちゃう。何のためのロボットやねん」。
 結局アトムは御茶の水博士に、「両親」とお兄さんと妹まで作ってもらって大満足だったが、小生は大いに不満で以降ヒューマノイドというのか人間型ロボットには大いに不信感を持つことになった。ロボットが人間に似すぎるのは「道に外れた」ことだ。

 しかしそのヒューマノイド、日本が世界をリードする立場にあるその大きな原動力は、現在のロボット研究者が「鉄腕アトム」に憧れたからというのが大きいのだという。Hondaのアシモを始めとする人間型ロボットが派手なパフォーマンスするのを何度も見せられると、その評価を変えなければいけないと思っていた矢先・・・

 「イオン:店員ロボ導入、せっせと業務」という毎日新聞の記事によると、この12月から、スーパーのイオンがいわば「見習い店員」として、「富士通フロンテック」が開発した「enon(エノン)」(上写真)というロボットを導入したというのだ。それも客寄せなどではない。イオンはエノンを<「従業員として採用した」と言い、ロボットに接客や在庫品の運び出しなどの業務をさせて、25日まで実用性を検証する>というから準即戦力だ。

 エノンの性能については製造元(産みの親と呼ぶべきか)の「富士通フロンテック」のホームページに詳しい。
 その資料をもとに具体的に説明すると、あなたがイオンに買い物に行ったとしよう。「いらっしゃいませ。何かお探しですか」とエノンが人の来たことを関知して、近寄って話しかける。「卵どこに置いてあるかしら」、「ご案内いたします」と言ってクルリと向きを変え”歩き”出すのだが、この時なんと胴体だけがこちらを向き直り、最初ゴミ箱かと思ったディスプレーに「本日Lサイズ卵1パック100円大特価。お一人様1パック限りご了承ください」と関連情報を表示する。
 案内だけではない、「おいエノン、XX取ってきてくれと言えば、10kgの荷物まで運んでくれる。巡回も可能だ。「指定した位置の画像情報をネットワーク経由で遠隔監視場所に送信」もできる。さすがに警備会社SECOMの監視ロボット「セコムロボットX」のように不審者に「煙攻撃」する能力はないが、「あらかじめ定めた経路に従って施設内を定期的に巡回」というからとにかく手間要らずだ。

 しかも「顔部の目と口に配置したLEDにより、ロボットに表情を持たせる」というから無愛想な店員に話しかけるよりもお客としてはホッとする。よっぽど「人間的」だ。

 エノンが時給?いくらでイオンに傭われているのかは公表されていない。しかし将来コストダウンして細かい改善がされれば、不慣れなフリーターよりもはるかにコストパフォーマンスの高い「店員」になることは間違いない。「ニート訓練施設」を出たばかりの若者では到底太刀打ちできない。店側としては人間には時間をかけて教えてやらねば使い物にならないが、エノンなら到着したその日の朝にLAN経由でデーターを転送するだけで「教育」終了だ。

 ああ人類よ、ホモサピエンスHomosapiensよ、お前たちは「言語」を身につけ進化しつつある他の動物たちと、有能な「人間化」しつつあるロボットの挟撃に合い、どこに居場所を見出そうというのか。

 しかしここでも救いのヒントを与えてくれるのが「アトム」なのだ。アトムが「人間的な」おねだりをしてスネたのを思い出して欲しい。もう一段階「エノン」が進化すると・・・

「オレたちもサー、充電とかじゃなくてェ、人間みたいに給料欲しいよナ」、「ウチらかてェー、携帯とか要るしィー、ってユゥか、なんで携帯機能ウチらに内蔵してくれへんワケ?」と、「意識」を持ち始めたヒューマノイド達が反抗的になるに違いない。「こんな文句ばかり言うロボットはもう要らん!人間のニートの方がましだ。」と店長が音を上げてくれればいい。
 
 しかしここまでロボットが「人間化」した社会とは??? 介護ロボットは老人を虐待し出すだろう。料理ロボットはレトルト食品ばかりという手抜きを始め、建築設計士ロボットは構造計算書を偽造、ああついに政治家ロボット「Koizumi壱号」が登場して「人間に出来ることは人間に。これからは仕事は人間に”丸投げ”したい」と「改革」に乗り出し・・・・あれれ?結局元に戻るわけ??

山内一豊は「ヤマウチ」:NHKが「決定」

2005-12-05 11:50:17 | 発見
 「ああワシに馬がいれば信長様にお仕えできるのに」、「どうかこのお金で名馬をお買いくださいませ」という故事で誰でも知っている山内一豊。と言うか、実は有名なのはこの「内助の功」の鑑、一豊の妻の方なのだが、とにかく来年のNHK大河ドラマ「功名が辻」の主人公に抜擢された。
 ドラマの出来不出来にかかわらず、「大河」に登場すれば地元の観光客は急増する。一豊が長浜城主を務めていた湖北と、後に土佐藩主となった高知県は共に期待に胸膨らませる。

 ところがこの2つの「地元」に思わぬ対立が生じた。「山内」をどう読むかという一見些細な問題だが、NHKが読みを”ヤマウチ”に「統一」したため戸惑いが生まれているという。

 京都新聞12月5日によると、湖北では昔から”ヤマノウチ”一本で、<地元では年配者の大半は「『ヤマノウチ』としか口にしたことがない」と話している。> 一方高知では<「ドラマ化以前から県民になじみの『ヤマウチ』を用いている」>と大満足

 高知v.s.滋賀の争いは高知が圧勝したのだが、これは元NHK記者の橋本大二郎氏が高知県知事だからというのは穿ちすぎた見方だろう。<「寛政年間の幕府公文書の表記や慶長年間に豊臣家関係者が山内家にあてた書簡に『やまうち』と仮名文字で記されている」>とNHKは根拠を上げている。

 両方を併記とするのが「平等」な扱いだが、まさかドラマのセリフで、「あっ!”ヤマウチ”様、または”ヤマノウチ”様、危ない!」と言わせるわけにいかない。日本最大のマスコミNHKの権威は絶大だ。人名”関ケ原”に敗北した”ヤマノウチ”は、「間違った読み方」として石田三成のような運命をたどらざるを得ない。

 表記の問題では、報道の分野ではNHKはもっと”こだわり”を見せている。例えば自衛隊が駐屯しているのは、NHKによると、「サマーワ」であって、他の報道機関がすべて「サマワ」としていても一向に揺るがない。たぶん「アラビア語ではこの発音の方が近い」というのだろうが、しかし例えばМоскваは現地読みでは「マスクヴァ」だが、NHKでも他のマスコミと同じく「モスクワ」としている。

 しかし日常的にもっと困るのは年号の表記だ。「昭和54年に起こったこの事件では」・・ん?えーと何年前かな。電波メディアでは少なくとも報道分野では元号でなく西暦を用いるのが圧倒的多数派だ。NHKは西暦を嫌っているのかと言うほどニュースでも元号で押し通している

 あまりに不便なので、一度NHKに電話してこのことを尋ねてみたのだが・・・・「その点については、編集権にかかわることであり、なぜ元号を用いるかの理由については一切お答えできません。答えないというのが解答だと受け取ってもらってよろしい。」といきなり喧嘩腰で言われたのでこちらの方が面食らってしまった。迂闊だった。どうやらここはNHKの奥の院のようだ。疑問を差し挟んではならない。

 山内一豊が、”ヤマウチ”と呼ばれようが、”ヤマノウチ”と呼ばれようがもはや抗議できない幽明界を異にする環境に住んでいるように、私たち視聴者もNHKニュースには質問さえ許されない別世界にいるのだ。

ブッシュ大統領、陪審員「候補」に

2005-12-04 14:39:43 | 珍事件
(探してみよう!:あれあれ名作『12人』にいつの間にか”ブッシュ”が混じっているよ。緊張感のない顔が一人だけだからすぐ分かりますね)

 「裁判」が舞台の映画は数あれど、まさしく”直球ド真ん中”だけで勝負した『12人の怒れる男 "12 ANGRY MEN" 』以上の作品を知りません。
 『12人』とはアメリカの1裁判の陪審員の人数。映画の詳細は上のリンク先に譲るとして、日本でも陪審員制度の是非が議論されるようになった今、この半世紀近く前の古典がテレビでも放映されることを希望します。

陪審員候補には”口頭試問”

 アメリカの陪審員はアメリカ国籍を持つ全市民の中から抽選で選ばれるのですが、この度驚きの人物が”当選”。それがジョージ・ブッシュ、現職の大統領だったのです。
 正確に言うと、まだ『12人』の中に入ったのでなく、その「候補」なのです。まず「候補」が運転免許証や選挙人名簿からくじ引き(無作為抽出)で選ばれる。その後この「候補」は裁判所に出向いて、裁判の検察・弁護双方から”審査”を受けます。両方とも陪審員の選び方によって裁判が決まるので自分に有利な人物を選定しようと、「候補」に難癖をつけ不利な判断をしそうな人物を排除します。例えば「あまりにも思想が極端」とか、「前科がある」とか。身分や人種、職業が排除の理由になることは建前としてありません。
 なお「候補」に選ばれた人間はこの「試問」を受ける義務がありますが、実際には3割くらいの人しか出てこないようです。拒否した人は逮捕される恐れはありますが、実際にはそこまでしない。

陪審員の身分・氏名は秘匿

 予断と偏見を避けるために、「候補」の段階から氏名でなく番号で呼ばれます。例えばブッシュ大統領は今回"Juror(陪審員) No. 286"です。「286番さん、あなたは死刑制度についてどうお考えですか?」というように質問される。「ホワイトハウスのWebを見てくれ」は答えになりません。「No.286」は単なるブッシュの「そっくりさん」なのですから。

 陪審員に脅迫や圧力があってはいけませんから、通常『12人』の氏名は公表されません。「候補」も同じですが、なぜか今回は「ブッシュ米大統領が地元テキサスの郡裁判所から陪審員候補としての呼び出しを受けた、とホワイトハウスが1日、明らかにした。呼び出された5日は公務があり、「日程を再調整中」(マクレラン報道官)としているが、郡判事は米メディアの取材に「国家運営は陪審員としての務めより優先される」と多忙さに理解を示している。」(朝日2日)と公表してしまいました。


 それではブッシュは「当選」するのかというのが皆の最大関心事ですが、その可能性はないとアメリカの法学の専門家(「ヒューストンクロニクル」1日付け)。「ブッシュは検察官好みの人物だ。と言うことは弁護側は絶対に忌避する。」 つまり「286番は絶対ダメですよ。あんな攻撃的思想を持った人物には出会ったことないでしょ」と言われると検察側も反論できない。

「前科」を尋ねられるのがイヤ?

 上記「朝日」は、実はブッシュは陪審員になるのを嫌がっていると書いています。「ブッシュ大統領は州知事時代にも呼び出しを受けたことがあるが、知事の権限との関連を理由に辞退。大統領には飲酒運転で逮捕された過去があり、最終的な陪審員選びのための質問で根掘り葉掘り聞かれるのを嫌った」と。
 これは最初の大統領選前に公表されたことで、大統領自身も「若気の至り」と認めているのですが、これまでに3度の逮捕歴があり、問題の飲酒運転は1976年9月4日のことで、150$の罰金刑を受けています。皮肉なことに、知事時代に断った裁判というのが飲酒運転犯の審理でした。

ヘンリー・フォンダとジョージ・ブッシュ

 それにしても惜しいことです。『12人』のラストシーン、主人公のヘンリーフォンダが最後まで論争を続けた相手に初めて名をなのって(それまでは「番号」で呼んでいた)握手をして別れます。今回も本当なら?こんな「ラストシーン」が・・・・
 「いやぁ286番さん、あんたみたいな時代錯誤の人と議論したのは初めてでしたよ。まるで亡くなったおじいさんと話してるみたいで懐かしかったですよ。ときに余計なことですがお名前は?」 (286番微笑して手を差し出す)「ジョージ・W・ブッシュ」。(一度握手をして軽く右手を上げ、クルリと踵を返し立ち去って行く・・・・)



レコード大賞欲しくない:竹中平蔵

2005-12-03 10:07:38 | 迷言・妄言
 知りませんでした竹中平蔵総務大臣・郵政民営化担当大臣が「歌手」だったとは。しかも、レコード大賞など欲しくない、「独自の音楽活動をしたい」という孤高の超大物。

 読売新聞によると、12月2日の記者会見でカミングアウトして、「多くの歌手はレコード大賞を取りたいかもしれないが、独自の音楽活動をしたい歌手もいる。私はその部類だ」と発言したというのです。
 「自民党の武部幹事長から「ポスト小泉」候補の一人に挙げられたことへの感想を聞かれ、こう答えた。経済の専門家として改革推進に徹し、次期首相には関心がないことを強調したかったようだ」と読売は余計なことを書いていますが、とにかくノミネートされる前に辞退を表明するのは大物だけができることです。

 竹中氏の「歌手活動」について調べたいと「竹中平蔵公式ウエブサイト」を見てみましたが、「平蔵がうごく」、「平蔵がかたる」というコーナはあるのですが、「平蔵がうたう」コーナは残念ながらありません。能ある鷹は爪を隠すというやつですね。

 それでも竹中大臣の持ち歌は知りたいですよね。ひょっとしたらあの「刺客」の歌、子連れ狼のテーマソング「ちゃ~んの仕事は刺客ぞ~な」というのはそれではないでしょうか?

 竹中大臣に対しては、「アメリカの意向を”ヘイヘイゾー”と実行しているだけの経済音痴だ」という一部の批判も確かに耳にします。しかしこれほどの"大物歌手”が「音痴」であるはずはありません。世間の中傷にめげずに「独自の音楽活動」を続けていってもらいたいものです。

海を渡った迷い猫、ファーストクラスで凱旋帰国

2005-12-02 12:06:23 | 動物・ロボット・植物
 またまた動物の感動物語。「単身」大西洋を越えてアメリカからフランスに渡った猫のエミリーが、飛行機で飼い主のもとにまもなく帰国します。アメリカではテレビの全国ネットや新聞がこの快挙の報道にわいていますが、日本での報道は2日朝現在、ロイター通信の日本語訳だけです。
 12月4日にようやく朝日新聞が詳しい記事を。

 ご存じの方もあると思いますが、この快挙の発端はフランのナンシーで、アメリカから来た貨物船(ベルギーに到着)から運ばれて来たコンテナの中で一匹の猫が発見されたことです。この猫、首輪に名札がついていて、そこに担当の獣医の名前があった
問い合わせてみると、アメリカはウイスコンシン州の港町アップルットンに住むレスリー・マケルヒニーさんの飼い猫に間違いないことが分かったのです。
 レスリーさんの推理では、家の近くにある倉庫に迷い込み、その中の荷物で寝ているところを貨物船に乗せられた。大西洋の三週間の間はどうも船のネズミを食って生き延びていたらしいのです。
 「ああ可愛そうなエミリー、まだ一歳になったばかりなのに。冒険好きがあだになったんだわ。」と嘆いていたレスリーさんが、海の向こうでエミリーが生きているとの知らせを聞いて、気も狂わんばかりに喜んだことは言うまでもありません。でも一つ心配事が。エミリーは検疫を通らなければならないため、飛行機でのご帰還となります。「動物愛護協会から買い取った時もお金がかかったけれど、ますます高くつく猫になってしまうわね」(AP通信)とレスリーさんも呆れ顔。
 ところがここでエミリーを検疫所で一月預かっていたコンチネンタル空港が粋な計らい。エミリーをビジネスクラスでしかもそばに添乗員をつけて、アメリカにお送りすると申し出たのです。航空会社の宣伝費用と考えれば、6000$のチケット代はずいぶん安いものです。

 エミリーがミルウォーキーの空港でマケルヒニー夫妻と子供、それと多くのマスコミに迎えられたという報道がありました。「ちょっと太ったわね。大事にされたんでしょう」というのが飼い主の第一印象でした。

【追記】
空港でマケルヒニー夫妻の9歳の息子ニック君に抱かれたエミリーの写真を置きました。

今年の世界報道写真の中でもベストの感動写真でないでしょうか。

 エミリーが首輪につけていた「名札」のおかげで身元が判明したのですが、実はこの名札のおかげで命拾いもしていた。と言うのも発見されたところでは、身元不明の動物は「処分」する規則だったから。
 最近、保護された家で詳しく自分の住所を喋ったため飼い主のもとに戻ったオウムがいましたが、猫や犬はしゃべれないので、ぜひ詳しい住所を首輪につけておくべきでしょう。また時にこのように海外に出かけていくかもしれないので、英語表記も必要かも。

  以前にも、このエミリー、失踪したことがあったようです。このときは、地域の「迷子動物センター」で保護されているのを発見された。どうも「裸の大将」のように放浪癖があるようです。今度は中国とか日本に表れるかも。

Re:「星の位置が悪い」から記者会見しない:タイ首相

2005-12-01 23:13:47 | 迷言・妄言
こちらの記事の続報です)

 「星の位置が悪いから」記者会見お断りと言っていたタイのタクシン首相。先の読売新聞の報道では「水星の位置がよくない」といっていたのですが、新しい毎日新聞の記事では「火星の位置が悪いので年内はやらない」と言ったことになっています。
 何のことはないすべての星がタクシンに敵対しているということです。

 上の毎日新聞記事は「独裁色を強める首相に対し、知識層などを中心に嫌悪感が強まっていることは間違いない」というタイの政治学者の意見を紹介しています。

 「かつては60%台の支持率を誇っていたタクシン首相だがここ数カ月は40~50%台に低迷している。」不調時の小泉政権と同じ程度ですからそれほど悲観するような数字ではないような気がしますが、火星も水星も味方してくれないようでは確かに先行き不安です。

 ホントに政治の世界は一寸先は闇です。小泉首相だって今はたぶん火星も水星も味方しているのでしょうけど、「独裁色を強める首相に対し」不満層が爆発すると、一瞬にして運命が暗転して金星や冥王星、いや小惑星イトカワまでもいつ敵に回るかもしれない。ポジとネガは一瞬にして入れ替わる。