おもしろニュース拾遺

 BC級ニュースが織り成す可笑しくも愛しい『人間喜劇』。おもしろうてやがて悲しき・・・

民主党「メール事件」報告書公表

2006-04-01 13:49:38 | 詐欺
 民主党(The Democratic Party of Japan 本部 東京都千代田区永田町1-11-1)は31日、永田元議員のいわゆるメール問題についての報告書を公表した。

 その中で、自称フリーのジャーナリスト西澤孝氏が永田元議員にニセメールを渡したのは、前原誠司代表の働きかけによるものであったことを明らかにした。前原氏は同日、代表を辞任する意向を明らかにした。

 前原氏がこのような不可解な工作を行ったのは、師匠格にあたる小泉首相からメールで依頼されたためという。そのメールの内容も、民主党の報告書に添付されている。メールには日付が附されていないが、今年一月下旬のものと見られる。送信者・受信者共に「情報源を守るため」に黒塗りにされて公開された。

X-Mailer: ■■■■■■■■■■
From: ■■■■■■■■■■
To: ■■■■■■■■■■

前原君ゑ
シークレット:極秘扱いで処理して欲しいんだけど、今4点セットで困ってるん
だ。遅くても2月中に助けて欲しい。
できれば民主党が何かスキャンダルを起こして、動きが取れなくなればいいんだ
けど。
分からないことがあったら武部の指示を仰いで。安倍にはこちらからも伝えてお
くので心配しないで。

@純一郎

 いわゆる「4点セット」で苦境にあった小泉政権を、民主党自身のスキャンダルによって助けて欲しいという依頼が率直に述べられているが、具体的な手段については触れられていない。民主党の調査によると、小泉首相は昨年前原氏の代表就任以来、繰り返し「前原君、自民党に来い。すぐに総理にしてやるぞ。一緒に憲法改正をやろうじゃないか」と呼びかけており、前原氏自身満更でもない気持ちになり、小泉首相を師や兄のように感じていた。

 前原氏がどの様にして、今回の永田メール事件をプロデュースしたのかは説明されていないが、民主党で最も”単細胞”とされる永田元議員に白羽の矢が立ったのはごく自然と、ある民主党幹部は証言する。「どうせ懲罰5回の永田だ。使い捨てカイロにすればいいと思ったはず。ごろつき西澤とセットというのは出来すぎだがね。」

 一方自民党の幹部には、この「小泉メール」の信憑性を疑う声もある。「文末の”@純一郎”という表記は不自然。しかも”シークレット:極秘扱い”と書くのはわざとらしい」。また別の幹部は「そもそも首相は生涯一度もメールを誰にも送ったことはないはず」と証言する。そうすると前原氏は、ニセメールに踊らされてニセメールを作らせたことになるわけで、「前原自身が一番、武者小路実篤の”お目出たき人 世間知らず”だ」(永田町事情に詳しいジャーナリスト)。

 首相側近によると、小泉首相はむしろ今回の前原氏の対応に失望しているという。「首相は”もう少し見どころのある奴と思っていたが、まるで危機管理が幼稚園児だ”とこぼしている。自民党には不要な器という評価が固まりつつある。」
 この側近はこうも付け加える。「民主党はコケ過ぎた。あまりにも自民党に都合のいい展開過ぎて、全体の構図が自民党の陰謀という説が強まっている。一人芝居にしてももう少しうまくやってくれ。」


「死んだふり」は生存に有利:昆虫で実証

2006-03-12 17:20:13 | 発見
 いわば生物の生存戦略の核心を突く大発見ではないか。「死んだふり(擬死)」をする動物は色々知られているが、果たしてそれが生存に役立っているかどうかはあのファーブル先生でさえ立証できなかった。ついに実証的な研究が登場した。

 「穀類の害虫のコクヌストモドキでは、天敵のクモに対して、死んだふりをすることで生き残る可能性を高めていることを、岡山大学の宮竹貴久助教授(進化生態学)が実験で確かめた。」(読売新聞3月12日)という記事。

 コクヌストモドキ(穀盗人擬き-上の写真)は体長3-4mm程度の甲虫で、名前の通り倉庫で穀物を食い荒らす害虫。
 宮竹助教授はまず、この虫を「死んだふり」をするものとしないものとに分けた。それは「クヌストモドキの遺伝的な選抜を10世代繰り返して」、いわば”純系”を作り出したわけだ。ちょうどメンデルがえんどう豆に対してやったように。

 さて、それぞれの個体に対して「それを天敵のクモと15分間一緒にして、どちらの系統が生き残る可能性が高いか比べた。」
 結果は明白だった。
死んだふり派    13回生き残り(14回中)
動き回り派      5回生き残り(14回中)

 つまり「死んだふり」が出来る個体は、14回のうちクモに食べられたのは、1回きりだった。まあ、「死んだふりをしない系統は、普段から活発に動き回る傾向があり、運動量は死んだふりをする系統の約2倍あった。」というから、クモの注目を引くのは当然ではある。

 もちろんだからと言って他の種でも「擬死」がこれほど有効であるかどうかは分からない。特に人間がクマに出会ったときに「擬死」するのは愚の骨頂であることはすでに書いたが、誤解して命を落とす人がいるといけないので、改めて強調しておきたい。

 人間の社会でももちろん「死んだふり」は有効な生存戦略である。特にこのテクニックを活用する「種」と言うと、権力目政治科に属するセイジカという蚊の一種である。コクヌストならぬゼイヌストという別名を持ち、都合が悪くなると「入院」という独自の逃避行動をとる。東京永田町に生息する個体は特に人間社会に与える害が大きいとされる。
 この種の「死んだふり」は非常に巧みで、一時姿を消してもう死んだと思っているといつの間にか活動を開始しているので駆除は困難である。最近ではスズキムネオ、ツジモトキヨミという個体が「死んだ」と思われていたが、誰も気付かぬうちにカムバックして活発に動いている。もっとも、いくら他の個体から叩かれても決して死なぬしぶとい個体、最近ではナガタヒサヤス、ニシムラシンゴなどのミンシュトウという島が原産地のこれらの個体には、いかなる殺虫剤も通用しないようで政体系には大きな脅威となっている。

 ところでこの宮竹先生の研究紹介のページを拝見すると、興味深いというか我々にとって切実な様々な研究をされていることが分かる。
「昆虫には,雌をめぐって激しい雄間闘争を行ったり,交尾のための集団を作ったりする興味深い現象があります。どのような雄が強いのか? どのような雄が雌にとって魅力的なのか?カメムシや甲虫を使って婚姻戦略の謎ときに挑戦します。」

 早く研究結果を発表してください。でも「実力本位」で勝負する昆虫が羨ましいような気もします。

住職園長、少女買春で逮捕

2006-03-10 18:24:58 | 不祥事
 つい先週、二年間で二人の「盗撮」神職を輩出した神社のことを紹介したときに、これは神道での「罪」の意識が軽いのと、仏教のように「修行」をしないからではないかと書いたが、なかなかどうして、「神」の道に負けず劣らず「仏」の世界も乱れまくっていることを認識させる事件だ。つまり「聖」いや「性」の乱れに「神も仏もない」のが今の日本だ。

 「警視庁少年育成課は10日までに、15歳の少女に現金を渡し、わいせつな行為をしたとして、児童買春・ポルノ禁止法違反容疑で」広島市の浄土真宗本願寺派光明寺の住職兼私立保育園長を逮捕したというニュース(産経3月10日)。

 このクソ坊主、よくあるパターンだが保育園の園長でもあるので教育上まことに困惑の事態だ。「ねぇーねぇー、園長センセどうしたの?」と聞いてくる園児たちに何と説明すればいいのだろう。「オラ知ってるゾ。園長センセは子供にはとっても言えないイヤラシイことしたんだぞ」と、クレヨンしんちゃんみたいにませた子ばかりじゃない。
 しかも「2、3年の間に、15―17歳の少女4、5人と約20回の買春を繰り返していた」というから悪質常習犯。改悛の情を示しているので執行猶予という話にはならないだろう。

 この聖職者にして教育者で現在容疑者という肩書きも加わったこの坊主は、「自分の欲望に負けてしまった。反省している。」と語っているが、御年73歳。煩悩の火は衰えることを知らず、仮の宿りであるはずの彼の肉体を燃やし続けているのである。

 袈裟の裾から坊主頭まで「俗」に浸りきったこの「お聖人」にかかわっている暇はないが、制度的・思想的な「証人」としてしばらく残ってもらおう。

◆宗教と教育ー税制優遇を活用

 まずこの事件の根幹にはゆがんだ日本の税制上の優遇措置があることを指摘したい。なぜ坊さんが園長を兼ねるのか?
 保育所は、法的には「第2種社会福祉事業」というカテゴリーになり、法人税 、道府県民税、市町村民税などは原則(つまり営利を目的にしなければ)すべて非課税だし、固定資産税についても、社会福祉事業の用に供する(つまり保育園ですよと言っておけば)固定資産については非課税だ。
 お寺の多くが保育所を運営しているのは、宗教法人非課税の「功徳」が忘れられないからだ。坊主丸儲け思想の拡張と言っていい。この煩悩坊主が、月1のペースで東京に出かけ、新宿に拠点があるお気に入りの「ロリコン専門」組織で、<いつも「中学生コース8万円」を選んで>いられたのは、まさしくこの「非課税」の特権で蓄積した金があったからだ。

 もちろん坊さんと言っても霞を食って生きるわけにはいかないので、この貨幣経済のなかでは、労組を作って賃上げを要求することも必要かもしれないし、お寺としてお布施以外に現金収入を得る手段を講じる必要はあるだろう。
 しかし最近の宗教法人・学校法人の経営者の金銭への執着は目に余る。例えば最近汚職で逮捕された住職で元学校法人理事長は、大阪府教育委員会幹部の少なくとも38人(処分受けた人数)にワイロ工作を行っていた。宗教と教育が完全にカネで汚染されている。と言うか、宗教と教育は「公益性」の衣をまとって税金逃れの聖域になっているのだ。

 オウムの時も問題になったが、宗教法人への透明性を高めるためにも、現在の原則非課税は根本的に改める必要があることは明らかだ。しかしなぜ政治が動かないかも明らかだ。何しろ与党の一角は、日本最大の宗教団体が産み出した政党だ。まさか母体に逆らうような政策転換を提案できるはずもない。そして最大野党は、今”ポツダム宣言”を受諾して事実上最大与党の占領下にある。

◆宗教はこの「悪人」坊主を「救済」できるか

 そしていわば「思想的」な問題だ。この坊主は浄土真宗の住職だ。浄土真宗と言えば、開祖親鸞。教科書的な浅薄な知識では、親鸞と言えば「悪人正機(しょうき)」説だ。
「善人なをもて往生をとぐ、いはんや惡人をや。しかるを世のひとつねにいはく、惡人なを往生す、いかにいはんや善人をやと。」と言行録『歎異抄』に記されている。善いことをしてその結果「往生」できるのだと教えられてきたが、いや「悪人」こそ往生できるのだと説くのである。

 この「ロリコン」坊主は、まさかこの教えを悪用して、「悪人」になって「往生」を遂げようと買春に走ったのだろうか。親鸞の言う「悪人」は犯罪者の意味ではなかろう。善人は「ひとへに他力をたのむこころ欠けたるあひだ、弥陀の本願にあらず。」 頼るべき「自力」を持たない「煩悩具足のわれら」、社会的にも救われない衆生が「悪人」なのである。その「悪人」が「他力をたのみたてまつれば、真実報土の往生をとぐるなり。」 これが「他力本願」である。今の浄土真宗がどうかは知らないが、最も弱い立場の衆生のための教えと言える。

 それにしても宗教界と言うか、例えば今回なら浄土真宗が、これを個人の不祥事として沈黙しているというのは理解できない。宗教上も教育上も人を教える立場にある(つまり「自力」の人だ)このスケベ坊主は、税金を逃れ、「金力本願」で女性を買いあさるまさしく「悪人性器」人間だ。しかし、若き親鸞に法然が語ったように、こういう煩悩まみれの人間こそ、「阿弥陀仏」の救済の対象であるはずだ。たとえ73歳でも立ち直れる。つまり「悪人」を「正気」に出来ないようでは宗教の意味はないだろう。それならただちに免除されている税を国庫に返却すべきだ。

サメを操り情報収集:米海軍

2006-03-09 12:09:17 | 動物・ロボット・植物
(写真はイラク戦争中にアラビア海で米軍から機雷探知訓練を受けるイルカ) 

 「土曜ワイド劇場」かなんかの再放送だったのだろう。途中から見たので展開はよく分からないが、海にいるサメ(陸サメってのはないけど)が島のイケメン猟師を見初めてしまった。人間の妙齢の女性に身をやつして島に上がってきたのだけど、運の悪いことに島一番のワルに捕まってしまった。お約束通りレイプされてさめざめと泣く「女性」に向かって、このワルが捨てぜりふ。「ちっ、サカナ臭え女だな」(ククク・・当然でしょ!でもそれを言うなら、「おめぇ、すげえ鮫肌だな」と付け加えて欲しかった)。もちろん後日、このワルが被害者のサメに海に引きずり込まれて彼女のディナーと化したのは言うまでもない・・・・その後のストーリーは忘れたと言うか、あまりのバカバカしさに呆れていると、エンディングテーマーが。「原作者・・」 へぇーこんな出鱈目なストーリーでも作者が出るんだねぇ、どうせ名もない・・ん「・・石原慎太郎。」 と、都知事ぃ~!たしか昔芥川賞とか受賞されたんですよね?

 言いたいことは、サメというのは魚類でありながら知能の高い動物だという話。その知能を悪用?している、日本にも因縁浅からぬ某組織のニュース。
<サメ操縦し情報収集 米軍「新兵器」実用近づく>(西日本新聞3月9日)という記事。
 <米海軍水中戦争センター(ロードアイランド州ニューポート)がサメを「情報収集兵器」に使う研究を行い、実用に近づいていることが分かった。> 具体的には、<研究は「音をたてずに泳ぎ、鋭い嗅覚(きゅうかく)で獲物を追尾する」サメの能力に着目。神経刺激装置を埋め込んだサメをソナーで操縦し、艦船を追尾したり、潜水艦などの海面下の軍事情報を得る。>
 サメに「指令」を送るのは水中を伝わる音響による。すでに300km先のサメに「指令」を伝える専用の音響タワーが完成しているという。サメから司令部に情報をどう伝えるのか、記述がないが、ヘッドフォンマイクなどを使って「ボス、敵潜水艦を見つけやしたぜ」としゃべるのか、帰還してからセンサーで蓄積した電子化情報を渡すのだろう。

 米艦に近づくテロリストをぺろりと平らげてしまう訓練をしているのかと思ったら、かなり「知的」な活動だ。心配なのは、調教している海軍の人間がエサになってしまうことだが、記事は「小型のツノザメ」とあるのでたぶん体長1m程度だからその危険はない。う~ん、確かにこの知能なら上記の「石原ストーリー」もありかなと、サメの賢さに目ザメてしまう。

◆イルカの「兵士」は米海軍では当たり前

 昔から米軍がイルカを「軍事利用」してきたことは有名だが、昨年の「カトリーナ」騒動の際、イルカが米軍の「テロリスト」として養成されていることが表沙汰になった。<英紙オブザーバー(電子版)は26日までに超大型ハリケーン「カトリーナ」が8月末に米南部を襲った際、米海軍が飼育する軍事用イルカがメキシコ湾に逃げ出した可能性があると報じた。イルカは水中でウエットスーツを着た人間に向けて毒矢を放つ訓練を受けており、ダイバーやサーファーが襲われる恐れがあると懸念されている。>(時事2005年9月27日)。怖いねぇ~、このテロリストイルカたち、もう実戦配備されているのだろうか。ならば横須賀(佐世保も)海軍基地の近くで潜るのは非常に危険だ。「お~イルカだ。おいでおいで」と喜んでいると、いきなり毒矢でぐさり。

 「テロリストイルカ」はその任務の性質上、米軍がその実態や訓練を明かすことは決してない。海軍が公表しているのは、機雷探知と除去の任務だ。上の写真はイラク戦争時の米海軍のイルカ訓練だ。右肩(フィンというのか)に何か付けているのが見える。これが機雷探知装置だ。イルカを先導させて、航路の安全を確保するわけだ。あの独自のソナーと運動能力で人間よりもはるかに効率的に機雷を発見できる。ただし「殉職者」も出ているようだが、動物愛護団体を恐れてその実態は機密とされている。

 自衛隊は同様の研究をやっていないはずだ。もし日本だけがこういう研究をやってたら、どれだけ叩かれるか、クジラ問題を考えただけでよく分かる。アメリカ人でもこのようなイルカの「軍事利用」を懸念している人はいるが、運動にはなっていないようだ。
 むしろイルカやクジラで大きな問題になっているのは、軍の使うソナーが彼らに致命的な打撃を与えていることだ。

◆海軍のソナーでイルカやクジラが大被害

 最近、日本を含む世界中の海岸でイルカやクジラが大量に打ち上げられるという事件が頻発しているのはご存じの通り。その原因の一つと考えられているのが、海軍の使うソナーだ。潜水艦を探知するために音波を出すわけだが、海洋生物、特に聴覚が敏感なイルカや鯨類にとっては致命的だ。米軍は散々イルカを「忠良なる兵士」として活用(米軍自身がが彼らをどう訓練しているか公開したページがある)しながら、一方でイルカの最大の弱点を”攻撃”して多くのイルカを殺戮しているのだから身勝手もここに極まる。

 昨年10月に米国の環境保護団体NRDCが、米海軍にソナーの使用を制限する訴訟を起こしている。詳しくはこのプレスリリースを見ていただきたいが、ここではそこから1枚だけ写真を紹介しておこう。

耳から血を流して死んだイルカ。NRDCによると、今回の訴訟対象は中域周波数のソナー(つまり普通の)だが、これでも235デシベル、人間で言えば、ロケット打ち上げのそばにいるようなものという。聴覚は完全に破壊される。同じく昨年10月に、欧州議会は「潜水艦探知のために高強度のアクティブ・ソナー(水中音波探知機)を使用することを禁止する決議を採択した」(琉球新報2005年10月30日)。

 実は米海軍もこの種の非難を気にはしていて、ソナーのうち周波数が低く出力の大きい「新型低周波ソナー(LFA)については、環境保護団体の主張に譲歩して、このLFAの使用は「特定の海域」のみに限定することで合意している。
 ところが、この「特定の海域」というのが、「日本周辺」なのだ。<米海軍が「日本周辺」にこだわったのには、中国、北朝鮮のディーゼル潜水艦が従来のソナーでは探知しにくい背景がある。>(琉球新報2003年10月14日) 
 日本近海のクジラやイルカ、あるいは沖縄近海のジュゴンなどは全く保護されない状態が続いている。このことに日本の環境保護団体はあまり反応していない。どうも日本の環境団体は軍事問題になると腰が引けてしまうが、これは怖がっているのでなく、日本では「軍事情報」が入手しにくいからかもしれない。

 というわけで、日本近海の海洋哺乳生物の皆さんは自分で決起していただくほかなさそうだ。「石原ストーリー」風に人間に姿を変え、日本の裁判所に提訴すればと思うが、よく考えると米軍については日本の裁判権は及ばない
 もうかくなる上は啄木の歌った「奪はれたる言葉のかはりに おこなひをもて語らんとする」、「テロリストの かなしき心を」実践するしか、イルカ達の取るべき道はない。しかしその米軍を守っているのがまたイルカ達である。人間世界の代理戦争が海洋哺乳類の間に持ち込まれるのだろうか。

桜開花予想、官と民で大きな食い違い

2006-03-07 14:16:02 | 発見
 桜前線の予報が出される時期になった。ある一つの植物について、これほど詳しくその開花情報が公表され、それが国民的関心になっている国は他にはほとんど見当たらないのではないか。気象庁にとってはプライドを賭けた一種の長期予報だ。

 マスコミで大きく取り上げられるのはもちろん気象庁の予報だが、実は民間でも桜前線予報は公表している。一番早いのが「ウェザーニューズ」の「桜チャンネル」の予想で、第1回は2月27日に発表されている(下の図)。一方気象庁のさくらの開花予想第1回は3月1日(上図)。もちろんそれぞれ独自のデーターに基づいて予想を立てる。

 そして今年は、異常気象のせいもあるのか、この官民の予想が大きく食い違った。「桜開花予想:気象庁と民間気象会社 予想日1週間もずれる」(毎日新聞3月4日)という記事。確かにずれているのである。末尾にその予想の対比を載せたので、ぜひ実際と比べて、官民どちらの「予想屋」の的中率が高いかご自分でご確認ください。気象庁は平年より早く、ウェザーニューズは遅めの予報を出している。

 周知のように気象庁は、今冬の長期予報をこれ以上にないくらい完璧に正反対に外した。これなら「全然分かりません」と答えておいた方がよっぽど世間的な信用を得られたはずだ。ちょうど前原代表が党首論戦の前日に「中味はお楽しみに」と報道陣に宣言して、結局その日の大恥を宣伝したのと同じ効果だ。
 自信がないなら言わなきゃいいのだが、そこはお役所としてのプライドなのだろうか。しかし今は「民」でも予報が出来る。「民間に出来ることは民間に」でいいのではないか。

 長い間日本では「気象予報」は「官」つまり気象庁の独占だった。ここで言う「予報」とは「観測の成果に基づく現象の予想の発表」(気象業務法)と定義されている。詳しく言うと「時」と「場所」を特定して、今後生じる自然現象の状況を、観測の成果を基に自然科学的方法によって予想し、その結果を世の中へ表向きに知らせることだ。だから例えば占い師のH.K.先生が、「あんた明日外出したら嵐が来て地獄に落ちるわよ」と言うのは、気象業務法上の「予報」には当たらない。また我々が喫茶店で友達に「ウチの猫が顔洗ってたから明日は雨だぜ」と言っても気象業務法上の罪にならない。「観測の成果に基づく現象」による予想ではないし、「世の中」に知らせているわけでないからだ。そして世間に「表向き」でなく知らせる、つまり特定の組織だけに契約して予報を行うことは昔から行われている。

 気象予報の民間解放が広く行われるようになったきっかけは、1992年の気象審議会の答申で、そこでは「これからの気象サービスは気象庁と民間気象事業者が適切に役割分担」が謳われた。もちろん現在でも、誰でも「予報」をやってよいというのでなく、気象の予報を業務として実施する者は、気象庁長官の許可を受けること(気象業務法第17条)とされている。そして2006年2月16日現在では、57個人及び業者及び自治体がその「許可」を得ている。ウェザーニューズはその「業者」の一つとして、「官」と競争しているわけだ。

 許可制にしているのは、当然気象の予報の当たり外れが生死に関わる(例えば台風や豪雨の予想)から絶対いい加減であっては困るということなのだろうが、その割には例えば今冬の予報のハズレで気象庁長官が辞任したとか減給になったという話も聞かない。確かに気象業務法を見ても、外した場合の罰則規定というのはない。

 しかし例えば桜開花予想など、外しても笑ってごまかせると思っている人もいるかもしれないが、このことに生活がかかっている人も結構多いのだ。例えば各地の「桜祭り」。一週間外すとドエライことだ。弁当屋や出店は大損だ。首をくくる人も出てくるかもしれない。あだやおろそかに思ってもらっては困るのだ。

 だいぶ昔の話だが、太平洋を航行していたある船舶が台風を避けようと気象庁の予報に従ったのだが、それがまさしく進路の中心に向かってしまったため、沈没するという事件があった。ところが自衛隊は独自の気象予報でこの台風の進路を正しく予報していた。しかし自衛隊は予報を許可された団体でない、と言うかそもそも軍事の世界では気象情報は「秘」扱いで一般に公表することはない。在日米軍もまた独自に台風の進路予想を一般人の読めるWeb上で公開することがあるが、気象庁よりも精度は高いようだ。軍隊の気象予報は作戦の正否と絡むので、命がけだ。単に職業として予報するのと真剣さが違う。技術よりもその差なのかもしれない。しかしいくら「正確」でも軍隊が気象予報会社を兼ねることは決してない。

 とにかく今回の桜前線予想対決は注目だ。「官」v.s.「民」のガチンコ対決になったからだ。もしウェザーニューズが圧勝したら、気象庁は報復として同社を「お取り潰し」つまり予報業務認可を取り消すこともあるのだろうか。それともそんなことをすると「お天気屋」だという批判を受けるからやらないだろうか。いや、やはり気象庁は「お天気屋」だろう。

---第1回 桜開花予想----------
    気象庁  ウェザーニューズ   平年 

東 京 3月25日 3月30日  3月28日
名古屋 3月26日 4月4日   3月28日
金 沢 4月4日  4月7日   4月6日
大 阪 3月26日 4月5日   3月30日
広 島 3月26日 4月3日   3月29日
高 松 3月27日 4月3日   3月30日
福 岡 3月23日 4月2日   3月26日
鹿児島 3月23日 3月30日  3月26日

文科相がスケート発言を謝罪

2006-03-06 23:57:33 | 迷言・妄言
 栄光の絶頂にある人を突き落とす効果的な言葉はなんだろう。お前の金メダルなんて誰でも取れる、というのは単に悔し紛れとしか思われないので打撃にならない。我らが文部大臣(正式名称で呼ぶほどの値打ちはない)がそのヒントを与えてくれた。「お前の優勝はライバルがしくじったからに過ぎない」と本人の目の前で言ったのである。

 <小坂文科相は、2月28日夜に荒川選手が同省大臣室を訪れた際の懇談で、競技の最後に演技をしたスルツカヤ選手が転倒して荒川選手の金メダルが決まった時の感想を「人の不幸を喜んじゃいけないけれど、こけた時は喜びましたね。『これでやったー』と、ものすごい喜んだ」と述べていた。>(共同3月6日)という報道にはたまげた。世間の常識ではここは栄誉を称える場面でしょ。「あんたの金メダルはスルツカヤが失敗していなかったら無理だった」と言ってるも同然。どう考えてもこれ以上の侮辱はない。

 しかも文科相というのは、学校教育の頂点、そのお方が公式に「他人の不幸は蜜の味」と教えるというのでは子供に示しがつかない。フェアプレーの精神などクソ食らえ、オリンピック憲章などゴミ箱に捨てろと言うのが日本の教育の総元締めだと世界に教えるのだから、とんだ”愛国教育”だ。

 このやり取りは一部の民報で放映されたため、さすがに「文科省に電子メールでの抗議が数十件あった」から、お役人が「大臣、いくらスケートとは言え、あのご発言はあまりにもお滑りになりすぎでは」と諫言したのだろう。6日になって、同省のWebに大臣名でおわびの一文が掲載された。「懇談で、荒川選手の金メダル獲得が大変うれしいとはいえ、一部配慮に欠けた発言をしたことについては、深く反省しており、荒川選手及びスルツカヤ選手に対してお詫びを申し上げます。」 腰を折って頭を前に下げる小坂”選手”の「逆イナバウアー」である。

 一週間で自らの非を認めたのは、民主党の二週間に比べるとましとは言え、まだこの事件の本質がどこにあるかよく分かっておられないようだ。オリンピック派遣のいわば最高責任者が文科相であるから、終盤になってもあの大選手団(+それを上回る派遣「役員」)にもかかわらずメダルゼロという暗黒の結果に焦りがあった。「不正でもテロでも何でもいいからメダルを取れ」と言う気持ちが、「人の不幸を喜ぶ」ことを公言するという大臣にあるまじき行為につながったのだ。
 (まあ自民党そのものが長期政権を維持して、今は"栄華"を極めているのも、自らの精進でなく、昔は社会党今は民主党という野党第一党の無能と大ポカのおかげなので、常に他人の失敗を当てにする癖がついているのは分かるのですが・・・・)

 そう、「反省」すべきは、自らの大臣の器だけでなく、今回冬季五輪メダル獲得率世界最低(メダル獲得国中、ちなみに最高は韓国で4人に1人はメダリスト)という日本の五輪実績である。
 抜本的な対策を施さないと、次回の五輪では大臣が、他の国の選手は皆失敗しろと「丑の刻参り」をしたという記事を見て驚くことになるだろう。

神職が巫女の着替えを盗撮

2006-03-04 17:01:44 | 不祥事
 ロシアの文豪レフ・トルストイの作品に『神父セルゲイ』という中編がある。最近(1990年)『太陽は夜も輝く Il sole anche di notte 』という題名でイタリアで映画化された。非常にシリアスな中味なのだが、一言で言ってしまえば、自らの性欲と闘う坊さんの話だ。隠遁して聖者になったセルゲイの僧院に、彼を誘惑してやろうという女がやってきた。ただでさえあらぬ妄想に苦しめられているセルゲイは、煩悩を断ち切るために自分の指を切り・・・という凄まじい話だが、普通の人よりもスケベ心をお持ちの方が神に仕える身にならなくとも、とそちらの方が気になってしまう。

 こちらはセルゲイよりももっと次元の低い「神職」の話。「長田神社(神戸市長田区)の神職の男(30)が、巫女(みこ)らの使う神社内の女子更衣室にビデオカメラを置いたとして、軽犯罪法違反容疑で長田署の事情聴取を受けていた」(神戸新聞3月4日)。
 「同神社によると2月14日、女性職員が空きロッカー内に設置されたビデオカメラを発見。宮司が15日に男性職員全員に問いただしたところ、男がカメラを置いたことを認めた」ため、神社からは懲戒解雇されたという。

 呆れるのは、この長田神社、「2003年4月にも、盗み撮りをしたとして神職の男が県迷惑防止条例違反の疑いで逮捕」されているというから、「神の道」の紊乱ぶりは隠しようもない。

 「神職」という言い方では、この盗撮男の階級は分からない。現在神社本庁は、司・権宮司・禰宜・権禰宜の四職に「神職」を分類しているという。神道は仏教よりも”学歴至上主義”で、宮司になるには、國學院大學文学部神道学科や皇學館大學文学部神道学科で単位を取得し、神道研修部(神社本庁の研修機関)の各研修等を修了しないといけない。ただ、仏教のような厳しい?修行はなく、知識優先という感じだ。
 だからこういう未熟者が聖職に就くと言えそうだが、実際には仏教界からも女子更衣室のロッカーでひたすら待ち続けた坊さんが輩出されているので、神道界・仏教界共に反省が必要だろう。

◆神道における「罪」の意識

 それにしても神道の世界では「のぞき」はいかなる罪(刑法はしばらく措くとして)に当たるのであろう。
 神道で言う「罪」と、現在の日本人の考える罪の意識には大きなズレがある。文献として神道の「罪」が記されいてる最古の文献は平安時代の『延喜式』(905-967年に成立か)だ。この中で「罪」は「天津罪・国津罪」に大別されている。「天津罪」というのは、主に水田工作を妨害する活動が上げられていて、いかにも日本の成り立ちを表しているのだが、傑作なのは「屎戸の罪」で、神殿に屎をまきちらすことをわざわざ列挙している。
 もう一つの「国津罪」として列挙されている「罪」の方が現在の罪の感覚に近いが、殺人は具体的な列挙がなく、代わりに生身の人間及び死者の皮膚を剥ぐこと(生膚断・死膚断)が罪とされている。また母子相姦などは罪だが、強姦は指摘がなく、当然「のぞき」は「罪」だと考えもしなかったようだ。

 いずれにしても神道での「罪」は、キリスト教の「原罪」とは正反対で、一種の”汚れ”(穢)なので、「洗えば」落ちる。いわゆる禊(みそぎ)の考えだ(現在でも政界では禊という言葉は多用されている)。「罪や穢」は祓(はら)えばきれいさっぱり。それでもう悩むことはないんだ。宗教上の教義というより、楽天的な日本人古来の信条を神道が採用したということだろう。

 そうなのだ。日本の宗教は「性」についておおらかと言うか、深刻には考えてこなかった。だから「神父セルゲイ」をイタリア風にrewriteして映画は作れるが、主人公を日本人の神主にすると滑稽映画になってしまう。

 次々と盗撮神職を輩出したこの神社の宮司のコメントが秀逸だ。「今後は心を鬼にし綱紀粛正を図りたい」。神職というよりは、たるんだ官庁の管理職のコメントだ。俗人と聖人は行動からはもう区別できない。だから袈裟があり、あるいは神祇装束を身につけて差別化するのだが、今回はその「俗」から「聖」への”変身の瞬間”を狙われた

酒は飲みすぎても飲まなくても自殺率高い:厚労省

2006-03-02 17:48:18 | 発見
 酒を飲みすぎると体を壊すことは子供でも知っている。しかし飲酒と自殺との相関関係はこれまで調査されたことはなかった。
 厚生労働省の研究班が「男性で多量に酒を飲む人と、まったく酒を飲まない人は、時々酒を飲む人より自殺するリスクが高い」ことを突き止めた。
 「研究班は岩手から沖縄まで8県の40―69歳の男性約4万人を対象に、7―10年追跡調査した。自殺した168人を調べたところ、習慣的に大量に飲酒するグループ(日本酒換算で1日あたり3合以上)は、時々飲むグループ(月に1日から3日)に比べて自殺リスクが2.3倍だった。逆にまったく飲まない人のグループも、時々飲むグループに比べて自殺リスクは2.3倍だった。」(日経3月2日

 確かに大酒を食らう人はその時点でかなりヤケになっている場合が多いから自殺率が高いのは想像がつく。しかしこれほど高い自殺率が確認されたのは初めてという。
 「なぜまったく飲まないグループのリスクが高まるかは今後、調査する」としているが、飲まない人は当然ストレスを貯めこむので、これまた自殺率が高くなるのは当然ではないか。

 この研究結果は厚労省のWebには掲載されていない。代わりに厚労省はWebで<「節度ある適度な飲酒」としては、1日平均純アルコールで約20g程度である旨の知識を普及する。>として、主な酒類の換算の目安を掲げている。それによると「純アルコールで約20g」になるのは、ビールは中瓶1本(500ml)、清酒は1合弱、焼酎35度で72ml程度という。今回の調査では「大量に飲酒」とされた人達はアルコール換算で60g以上を摂取しているということになる。この厚労省のページによると「大量に飲酒」の割合は日本の成人男性4.1%、女性は0.3%という。

 もちろん「節度ある適度な飲酒」は自殺防止の決め手ではない。日本はもともと自殺率の高い国の部類に入る。WHOの資料を見ると、日本は、旧ソ連圏や東欧を除くと最も自殺率が高い(男子)。

 しかもこのグラフ(厚労省の資料から作成)を見れば解るように、近年自殺率は高止まりの傾向にあり、だいたい人口10万人あたり25人の自殺者がいる。日本人全体では3万人以上の水準を維持している。
 グラフからは98年から急に自殺率が上がり、現在に至るまで高止まりしていることが分かる。きっかけは消費税引き上げによる橋龍不況だろう。そして小泉「構造改革」で格差が広がり、絶望した人たちが後を絶たないらしいことが分かる。
 本日発行の「小泉内閣メールマガジン 第224号」で首相は「● 格差社会?」と題する一文にこう書いている。

< 最近、「改革には光と影がある。構造改革を進めた結果、社会の格差がひ
ろがった。」という声をよく耳にします。
 どの国にも、どの時代にも、ある程度格差はあると思います。・・・
 基本的には、企業も国も地域も個人も、自らを奮いたたせて、自分のこと
は自分でやるんだという「自らを助ける精神」と、他人に迷惑をかけないよ
う「自らを律する精神」、この「自助と自律」の精神をもって行動すること
が、どのような時代にあっても大切なことではないでしょうか。
・・・
 挫折した人も、一度や二度の失敗にくじけず、「失敗は成功のもと」と考
え、また挑戦できるような社会にしていくための改革が必要だと思います。>

 しかし実際には日本は「失敗」の許されない社会であり、一度落ちこぼれると取り返しがつかないと思われている。と言うか、失敗は「ご利用は計画的に」地獄への入り口になっている。失敗した人間に群がってさらに血を吸う人間たちは「勝ち組」と呼ばれる。

 また「自助と自律」と言うが、日本の現在の政治家の多くが二世三世議員であり、「親の助けと他律」によって特権を享受する「身分社会」化が急速に進んでいる。

 また防衛施設庁の汚職に見られるように、一度中央官僚のキャリア組のエスカレーターに乗ってしまうと、退職後の天下りによるおいしい生活まで約束される。つまり20代の初めに受けた公務員試験の「成功」だけで人生が保証されてしまうという不合理が生きている。

 いわゆる小泉改革はその「不合理」を糾そうとするものと誤解されていたが、今になって実はそれを温存するものだということが分かった。
 そして野党(と呼ばれるのがイヤだそうだが)の民主党は、その小泉改革の「影」に切り込むと今国会で宣言したのだが、ご存じのような事情で「ポツダム宣言」を受諾して全面降伏。ついに自民党の”間接統治”下に入ることになった。ちょうどマッカーサーが日本支配のために天皇制を温存して活用したように、自民党は前原制を温存して民主党を遠隔操作するつもりだ。<一度や二度の失敗にくじけず、「失敗は成功のもと」と考え、また挑戦>せよと小泉は国会答弁で今日民主党にエールを送った。もう民主党は「我が弟、我が息子です」と思っているのだ。

 今後の日本の政治を想像しただけで、絶望して首をくくりたくなるが、命は大切にせねばならん。ヤケ酒で気を紛らわそうか。ところがこれで自殺率が上がるというからますます絶望は深まるばかりだ。

日本政治家の『入院』事情

2006-02-28 15:59:52 | 不祥事
 永田議員の記者会見が行われた。なぜあの「偽メール」を信じたのかという根拠については納得を得られるような説明はなかった。武部疑惑も解明されていないのだが、このお調子者をどのような勢力が利用したのかその政治的背景についても、新たに「巨大な闇」(前原)が誕生したわけだ。

 永田議員はめでたく退院されたが、病院側はいい迷惑だったに違いない。一番困ったのは他の入院患者だ。報道陣が押しかけてとても治療どころではない。
 「永田氏にみる政治家の『入院』事情 不祥事の避難所」と題する本日の東京新聞の皮肉な記事。< 国道沿いには、報道関係などの車両が並び、「こんな所に入院している永田さんって本当に非常識よ。交通だってこんなに渋滞してる」と、自転車に乗った主婦が甲高い声をあげながら、報道陣の間を縫うように歩道を通りすぎる。>

 この記事は、「政治家の緊急入院は“永田町のお家芸”と化している」として、(1)1992年共和汚職事件での、阿部文男元北海道・沖縄開発庁長官の入院、(2)同じく92年金丸信元自民党副総裁が、東京佐川急便ヤミ献金疑惑で小田原市の病院に緊急入院したことを指摘している。
 しかしこの両名はこの時すでに高齢だった。永田町の「トリックスター」永田は元気溌剌の37歳。「若い人なのに、自民党の年配議員が雲隠れに使っているみたいで何か潔くないね。記者会見して謝るんだったら早く謝るしかないんじゃないか」という同じ病院の患者のコメント。
 永田議員のHPを開くと、「時代はスピーディな政権運営を求めている」という金言が流れる。しかし自身の不祥事への対応はスローを極めて墓穴を深くしている。

 永田議員の説明によると、国会での質問の前に、野田国対委員長に相談し、前原代表にもこのメールを見せたという。しかし彼らは国会で暴露後の展開をどのように読んでいたのか?たとえ真実であっても武部側は否定するに決まっている。メールは証拠にならんとつっぱねられたらそれでおしまいなことは明らかだった。永田・野田・前原の三人は緊急入院してMRIなどで脳の検査を受けることをお勧めしたい。これが謀議でないとしたら、つまり自民党を追い詰めると判断していたとしたら、脳が正常に機能していないとしか考えようがない。

 永田君はもちろん道化役だが、彼を育てた(匿ったと言おうか)民主党自身が完全なピエロだ。いつでも「主役」を引き立てるためにわざと?すべってみせる。例えば昨年の総選挙だ。
 与党分裂で総選挙という野党にとっては願ってもない展開。そこで掲げたスローガンが、「日本をあきらめない」。えっ? 対する自民党は「改革を止めるな」。これは攻守全く逆だ。この完全にすべったスローガンを聞いて民主党を「あきらめた」人も多かったためか、おかげで自民党大勝。これは契約した広告代理店が自民党のエージェントだったからなのか、心の中では自民党に勝って欲しいと幹部が思っていたためなのか。

 そして「4点セット」で小泉政権誕生以来の最大の危機で国会論戦がスタートした矢先の「偽メール騒動」である。世間の関心は、永田町のピエロとその後見人たちの道化ぶりに関心が集中して、例えば伊藤ハム介の政治倫理審査会の証言など誰も気にも留めなくなってしまった。

 自民党は思いもかけずなのか思い通りなのか、とにかく民主党の生殺与奪の権を手にした。このネタだけで、今国会は完全に自民党がコントロールできるだけでなく、民主党の幹部(特に前原)に貸しを作ることで、長期間のリモートコントロールまで手に入れた。
 確かに民主党は岡田代表の時代から、「僕たちを野党と呼ばないで」と言い続けてきた。政権に難癖つけるだけの「野党opposition party」の”悪い”イメージを変えたいということらしいが、それにしてもこれだけ自民党を助ける政党は想像するのも難しい。与党の公明党だってここまで自民党に「役に立って」はいないのだから。
 そして今日の民主党幹部の対応を見ていると、ケジメをつけないことで民主党の信頼をより失わせ、そのことで今後さらに相対的に自民党を高めようとしているようだ。そこまで自虐的になるのなら、小泉の誘いを受けて自民党と合併すればいいのにと思うのだが、そうすると完全に一党独裁になって中国や北朝鮮と区別できない。いわば今後とも「偽装野党」として生きていく覚悟のようだ。もちろんこう言ったからとて民主党を誹謗中傷したいわけではない。政治はオリンピック以上に結果がすべての世界である。結果として自民党を応援していることはその評価を問わず衆目の一致するところである。

 タイやフィリピンでは首相や大統領がいま大変である。腐敗停滞した政権は打倒されるのが古今東西の政治法則だ。しかし日本は例外だ。前原党首は、自民党に「提案競走をやろう」と持ちかけた。小泉首相は、そんな面倒なことやるくらいなら「いっそ前原君自民党に来い」と公然と持ちかけた。確かにこうなると、与党も野党も体制も反体制もない。「みなさんごいっしょに」の完全翼賛化だ。そして自民党の「危機を救った」民主党の今回の「ファインプレー」。90年代には社会党が身を挺して自民党の危機を救って、その結果自身は「絶滅危惧種」(辻元清美)にまで衰退した。これが日本の政治文化だ。「反対」勢力が自らを貶めることで権力を高める。謙譲の美徳と言っていい。

 しかし民主党前原体制が続くようだと、国民の目からは「ああやっぱり。前原は自民党に命乞いをしたんだな。裏取引があったんだな」と見られることは間違いない。これからの民主党の行動はすべて「偽装」と見られてしまう。
 今でもすでにそうだが、与党から、「このまま党首でいて欲しい」と期待される”野党”党首というのも奇妙奇天烈・奇々怪々・摩訶不思議な存在と言わざるを得ない(本人は結構悦に入っているようだが)。

 前々党首の菅直人氏が「未納三兄弟」発言で、党首を辞して頭を丸めて四国88ヶ所巡礼の旅に発ったことを覚えている。前原代表も、「自民お助け隊隊長」と見られたくない、野党として政権を奪取すると言うなら、まず今は頭を丸めてお遍路さんになるのがいいだろう。できれば民主党国会議員全員辞職してお遍路さんになるのもいい。それでは「野党」がいなくなる。しかし「偽装野党」よりは一党独裁の方が分かりやすいし、自民党も自分で全部責任を負わないといけなくなるので政権には打撃だろう。

「ホリエモンメール」で謝罪へ:民主党

2006-02-26 14:27:32 | 不祥事
 「ふふふ、前原よ心配することはない。お前はワシらにとっても役に立つ男よ。間違っても石田三成にはせん。」
 「寛大なる御沙汰、辱のう御座います。上様のお心遣い、この前原一生忘れることは御座いませぬ。」
 「まあそう鯱ばることもあるまい。儂とお主の間柄じゃ。一時は”四点セット”などと申して、血迷うて謀反でも企んだかと案じておったがのう。まあ改めて恭順の意を表してもらうことにはなるがな。」
 「御意。無論今国会の”セット”はゲームセットといたします故、上様におかれましては国会運営に関していささかの妨げもございません。今後はこの前原、大御心のままに忠良な家臣として永田町にて粉骨砕身、遠くから上様にお仕えすることをお誓い申し上げます。」

 民主党は「ホリエモンメール」について謝罪するという(共同)。すでに先週このBlogに書いたとおりの展開だ。その時には「小泉か前原のどちらかの首が飛ぶ」と予測していた政治記者もいたが、日本の政治風土を考えれば”裏取引”が常道だ。
 昔なら、与野党の国対関係者が料亭で会って直接交渉だったろうが、料亭政治の衰退で、意志疎通は”オープン”になっている。自民党幹部から、「深追いして前原を追い落とすと損だと」声が上がっていた。これはある意味、「改革」の成果かもしれないが、党首討論で、「前原さんには頑張ってもらいたい」と小泉首相自ら前原にエールを送ったのは皮肉というより、本音なのだ。もちろん「交換条件」まではオープンにしないが、そこは日本文化の精華「以心伝心」だ

◆事件のウラのウラのウラのウラの・・・・

 自民党は「民主党のオウンゴール」と賞賛?するが、攻め込んで相手ゴール前で「オウンゴール」は常識ではあり得ない。民主党の攻撃を殺いだだけではない、「貸し」を作ることで民主党とりわけ党首をリモートコントロールできるし、武部ファミリーがクリーンであるという「誤解」まで生むことが出来て、自民丸儲け。うそ臭くて漫画にもできないような筋書き通りの展開である。

 こうなると世間の関心は、永田町のお調子者の永田君に「ガセネタ」を掴ませて操った「黒幕」に向かう。ちょうど本能寺の変の「黒幕」は誰かという詮索と同じで、「ウラのウラのウラ・・」読みになってしまう。光秀を動かした黒幕が、天皇か本願寺か家康かはたまた秀吉でないのかという様々な陰謀説に決着は着かないように、「永田光秀」を操ったのは、例の札付きガセネタ切り売りジャーナリスト一人と考えるのではつまらない。
 自民党サイドの陰謀説はあまりにもストレートだ。「ウラのウラ」読みは、前原追い落としを狙う民主党の勢力を指摘するが、完全に逆効果になっている。「ウラのウラのウラ」は、前原自身が自民党に刃向かいかけた民主党の勢いを逆転させるために仕組んだというもので、逆にこれはあまりにもきれいな筋書き過ぎて(完全に「狙い」が実現)弱い面がある。

◆永田町の「トリックスター」の永田君

 それにしても今や日本一有名な「入院患者」となった永田町の永田君だが、「二,三日食事も喉を通らない」ながら、ホテルで大型「クラブサンド」のモーニングを注文して軽く平らげるなど気丈な一面のある愛すべきキャラクターだ。今回が初の「お茶の間デビュー」のはずなのに、もう何度でも彼に会ったことがあるような気がするのはなぜだろう。

 そうそれは永田君が文化人類学で言う「トリックスターTrickster」だからだ。神話には必ずこのトリックスターが(よく「道化」の形で)登場する。神話や物語の中で、神や自然界の決まり事を破り、物語を引っかき回す役割を負うもののことである。
 心理学者のユングによると、トリックスターは以下の4つの特徴を備えている。1.反秩序、2.狡猾なトリック、3.愚鈍、4.セックスと飢え。
 永田君について、1.はいいだろう。若手とは言え、懲罰動議5回は現役国会議員最多。2.も「狡猾」とは言い難いが今回の詐欺的行為を見て欲しい。3.は「トリックスターの意識は究めて幼児的で初歩的であり、愚かな者たちをトリックで騙す事しか出来ない。」という記述に完全に合致する。4.は永田君が本会議場で丁髷松浪に水をかけられたのが、「お前は××(女性党首の名)と何発やったんだ」と卑猥なやじを飛ばしたのが原因であることを思い出して欲しい。

 それぞれのトリックスターによって上記4点のどれが前面に出るかが異なる。永田君の場合には、今回は2.と3.が前面に出て、1.は、「反秩序」どころか自民党の「秩序」化を促進することになった。いずれにしても”永田町神話”を分析する材料を与えてくれたことに感謝したい。

◆憲法改正の「神話」の実現へ

 家康は三成を探し出して鴨川の河原で首を刎ねた。一方小泉は鴨川で育った前原の首を取るどころか激励を続けている。それはもちろん憲法改正という自民党半世紀の「神話」を実現する"同志"と考えているからである。その触媒としてお調子者永田という「トリックスター」が必要だったのだ。「低俗なトリックスターは破壊のみをもたらし、高尚なトリックスターは破壊の後に新しい秩序をもたらす。」(上記URLから)。永田町の永田君は、「低俗」か「高尚」か、まもなく答えが見えるだろう。