おもしろニュース拾遺

 BC級ニュースが織り成す可笑しくも愛しい『人間喜劇』。おもしろうてやがて悲しき・・・

異常寒波で北山杉が大被害

2005-12-17 09:58:45 | 動物・ロボット・植物
 
 政治家の公約と気象庁の長期予報は、ありがたいことにその「予言」の期日にはもう世間の人はそれを覚えていない。そうでないと永田町は毎年「政界再編」しないといけないし、気象庁は毎年大幅人事異動で混乱する。
 ただこの点では政界にわずかながら改革の兆しが見える。最近は「マニフェスト」なる一種の御誓文を政党が公表するので、これを保存しておけばチェックは可能になった。言いっぱなしで無責任なのが気象庁の長期「予報」だ。

 今年の冬は寒い。異常に寒い。平年以下などという生易しいものではない。然るにこの秋の段階で、気象庁の公表した”占い”はどうであったか。
 例えば、大阪管区気象台 9月22日発表の「近畿地方 寒候期予報」によると、「冬(12月から2月)の出現の可能性が最も大きい天候は以下のとおりです。 日本海側では平年に比べ雪の日が少ないでしょう。」 そして「12月の気温が平年よりも低くなる確率を20%」としている。
 正反対である。減税をマニフェストに掲げていた政党が大増税に踏み切るようなものである。占い師なら見料返せと迫られ、証券マンなら闇討ちにあっても文句の言えない背信だ。しかし気象庁幹部がカメラの前で「お辞儀ゲーム」をすることはない。
 それでもさすがにまずいと思ったのか、今日のニュースでは「気象庁は来週、あらためて今冬の見通しを示す方針で、暖冬予測の修正を迫られる可能性もある。」(東京新聞12月17日)と、非難の風向きを変えようという努力を見せている。

 気象庁の弁明は「想定外」の大気の流れ、具体的には「シベリアに現れた“謎の高気圧”」が原因(西日本新聞12月16日付)ということらしい。しかしこの異常気象の時代にそもそも過去の経験則を当てはめようというのが間違いなのだ。今の地球の気象は十年前の気象ではない。その様な危機を感じさせる兆候が。

北山杉は警告する
 12月に入っての雪害で京都の北山杉が深刻な打撃を受けているという報道。京都新聞12月16日付。「京都北山丸太生産協同組合だけで、少なくとも5000本以上が折れたり裂けたりした。12月上旬の雪害は経験がない」。(写真は倒れた北山杉。京都新聞記事から)
 <組合の中田治専務理事は「自然災害とはいえ、これほどの被害があると、北山での林業が難しくなるかもしれない」と話している。>というから、単に雪害というだけでなく、気候変動によって京都の北山杉自体が急速に消滅しようとしていることになる。

 地球温暖化対策を定めた「京都議定書」合意の地で、川端康成の『古都』に美しく描かれた北山杉が存亡の危機に立っているというあまりにも象徴的な出来事だ。温暖化の影響は誰が考えるよりも早く具体的な現象となっているのかもしれない。

 だから気象予報官も予想ハズレの言い訳をしたり雲隠れするのでなく、これを地球的な気候変動がもたらした異常事態の表れとして積極的に訴えることだ。
 例えば今年のような丸ハズレの場合には次のようなパフォーマンスで世間の耳目を引きつければよい。
 お白州の上に、白装束で胡座をかいた予報官。カメラに向かって語りかける。「拙者 浅野匠 気象予報官は今冬予報において決定的な間違いを犯しました。最早世間の人にあわせる顔もない。最後に辞世を詠むことをお許し願いたい。
  風さそふ 予報外して 我はまた 温暖化対策 いかにとやせん
それでは、さらば」と、前に置かれた短刀を手に取ったところに上司が駆けつけ、「待て、浅野、お前の予報が外れたのは地球温暖化のせい。この異常事態の原因を突き止めて対策を見出さぬ限りあの世に旅立ってはならん。ひとつここはお前の命、ワシに預けんか。」、「予報課長~!っ」二人抱き合う・・・
 
 まあこれくらいコテコテにクサくやれば、園児や政治家にも現在の地球的危機を訴えることが出来るんじゃないかと・・・

雪で生き埋めの男性を僧侶救出

2005-12-17 03:06:01 | 快挙・怪挙
 気象庁の長期予報をあざ笑うかのような12月の大寒波と記録的な降雪。
 雪国の人たちの苦労が前倒しになってしまった。雪景色は写真で見るには美しいが、その中で暮らすのは大変だ。今では合併で消滅した新潟県中里村は「雪国はつらつ条例」を作り、「雪の障害を克服し、雪と共存するとともに、雪を資源として積極的に活用する施策」を展開していた。ところがこの取り組みを紹介した東京書籍の中学公民の教科書がこれを「雪国はつらいよ条例」と書いてしまったことで話題になったのが2002年のこと。文部省の検定を通ったことから、やはり検定官も同じことを思っていたのだろう。

 雪が降ると、雪下ろしの際の事故が絶えない。これもその一つだが、これは奇跡の逆転生還劇。
 河北新報の報道によると、山形県小国町で15日、屋根からの落雪で生き埋めになった一人暮らしのお年寄りが、たまたま檀家回り中だった僧侶に救出された。この記事によると、発見に至る過程は以下のとおり。「僧侶は、脇さん宅の玄関が施錠されておらず、室内のストーブがついたままだったことから不審に思い、室内を見て回った。浴室の窓を通して脇さんらしい人の姿が見え、「助けて」という声を聞いた。」

 通常はこういう風に生き埋めになると、外からは分からないし、声も届かないことが多い。このケースは、お坊さんが家の中に入って今しがたまで人がいたことを確認したのと、浴室の窓ガラスから生き埋めになっているこの82歳の男性が確認できたことが発見につながった。「あっ、お留守ですか、それじゃ帰ります」という人間関係でなかったことが救出につながったわけ。

 発見したお坊さんは「誰か来てくれ」と大声を上げて人を呼んでこの男性を共に掘り出したのだが、檀家回りをしていなければこの男性のためにお経を上げることになっていたはずだ。

 それにしても、雪降ろし事故防止グッズ、つまり生き埋め通報と屋根からの転落防止だけど、真剣に開発に取り組んでくれる企業はないものか。