「ついにやりました。ご先祖様、信長様、フィギュア全日本選手権を制しました。あなたの手の中から思いもかけずに滑り落ちたあの”天下統一”。不肖この信成が見事手にしましたぞ!」
キリシタンに寛容であった信長にクリスマスイブに捧げるまたとないプレゼントの金メダルを、代々木第一体育館で24日夜、織田信成は誇らしげに掲げていた。しかしそれはわずか数時間の「天下」であった。深夜にまたしてもあの「本能寺の変」が起こり、織田家の天下統一は幻と消えた。しかもあろうことか、今回も味方であるはずの日本スケート連盟が「光秀」を演じたのだ。
一言で言えば採点ミスによる順位の変更ということだが、表彰式の後に「訂正」とは選手に気の毒だしこんなお粗末な話聞いたことない。「連盟」の発表を聞いても部外者にはよく分からない。合理的な説明が困難なことは、あの「本能寺」と同じだ。
「織田君の演技で、するべき減点がなされていなかった。1位と2位が入れ替わり、高橋君の優勝とします」。という連盟の発表。「日本連盟が発注したコンピューターのプログラムには、これを自動的にチェックする機能がなかった。国際スケート連盟(ISU)が作成したシステムにはチェック機能があるが、高額なため、購入していなかったという。」(サンケイスポーツ) つまりケチってお粗末なソフトしか持っていなかったため、この不祥事になったということらしい。
(以下の記述については【追記】もご覧になってください。)
確かに最近のフィギュアの採点は複雑になっているようだが、計算プログラムが特定の人しか作れないほど複雑なものであるはずはない。恐らくISUがソフトの使用権を独占してそれで収入を得ようとしているからこんな妙なことになる。採点アルゴリズムをオープンにして、テストデーターを入れて正常に作動するプログラムはそれを採点に使用して結構ということにしていれば、このような問題は生じなかった。この程度のソフトなら、熟練したプログラマー1名とスケート連盟の専門家1名が共同すれば恐らく1日程度で作成可能だ。テストを含めても、その手間に見合った費用しかかからない。ちゃんとしたソフトを「使いたくない」力学が連盟の中にあるに違いない。
「ソフトがあればなぁ」-姉歯偽装事件と共通
これで連想するのが例の「姉歯構造設計偽造問題」だ。どうして「専門家」が偽装を見抜けなかったかというと、国交省が標準的な検査プログラム(ソフト)を作成していないからだ。もちろん建築物は多種多様であるから、数値を入れればパッと答えが出るソフトは不可能であるというのだが、これは言い逃れ。大部分の数字の矛盾を摘発できる検査プログラムの開発は可能なのだ。じゃなぜ国交省がそれを作らないかというと、業者に「規制」をかけることを懸念しているからだ。つまり徹底的に業者サイドに立つことで、姉歯という「光秀」がいくらでも出現する余地をわざと残してやっているということだ。
「謀反人」は出ないという”性善説”に立っているという言い方をする人もいるが、ぶっちゃけた話し、国交省役人の天下り先に対する「気配り」が先に立ち国民の安全は二の次ということなのだ。
(話を戻して)
ただ、今回のフィギュア採点トラブルには、人為的な側面も大きいという。「採点のチェック役のテクニカルコントローラー(城田憲子フィギュア強化部長)が減点を見落とした。」(サンスポ)というから、複雑な面も。つまり連盟の「反織田連合」による陰謀説が出てくるのでないか。「黒幕」は家康か秀吉か朝廷か。将来この事件が「代々木体育館の変」として歴史に記録されるかどうかは分からないが、とにかく「変」な事件ではあった。
【文中敬称略】
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【追記】 ISU(国際スケート連盟)の販売する採点システムについて
後でISUの「採点ページ」
http://www.isujudgingsystem.com/
で調べてみると、「高くて買えなかった」ISUのシステムというのは、ハードと
ソフトセット販売だということが判明しました。
セットによって3つのレベルがありますが、例えば一番高価なセットのカタロ
グが、
http://www.isujudgingsystem.com/englisch/download/Eiskunstlaufen_Level3_eng.pdf
にあります。
パソコンだけでなく、ビデオカメラや録画用デッキ、審判同士の通信用の
ヘッドセット、プリンターなどがセットになっているため高価なのです。
日本円にして200万円台というところ(オプションで価格異なる)でしょうか。
それにしてもISUによると、購入の「財政支援」やレンタルもありということで、
「お金がないから」という言い訳はちょっと「すべって」ます。
ただ、「動作を保証するため」という名目で、ハードウェアを選ばせない(だ
からかなり割高)というのはISUの「利権」のにおいがしないでもない。ちょう
ど「総研」が”コンサルタント”なのに建築材料まで指定しているのと似た不明
朗な構造が見える。
これが嫌で独自ソフトをという日本連盟の選択は間違っているとは言えないが、
チェックルーティンさえないプログラムは、鉄筋を抜いたマンションの様なもの。
ソフト会社を訴えないと。
【追記2】
産経新聞によると、<ソフト発注の際、「トリプルジャンプをそんなに跳べる選手は一握り。あまり起こらないだろうと、そこまでプログラムを要求しなかった」>という。つまりスケート連盟が「鉄筋を抜け」と言ったのと同じだ。プログラムの追加としてはまことに簡単なことなのに、それを要求しなかったのは全面的に連盟の責任だ。
キリシタンに寛容であった信長にクリスマスイブに捧げるまたとないプレゼントの金メダルを、代々木第一体育館で24日夜、織田信成は誇らしげに掲げていた。しかしそれはわずか数時間の「天下」であった。深夜にまたしてもあの「本能寺の変」が起こり、織田家の天下統一は幻と消えた。しかもあろうことか、今回も味方であるはずの日本スケート連盟が「光秀」を演じたのだ。
一言で言えば採点ミスによる順位の変更ということだが、表彰式の後に「訂正」とは選手に気の毒だしこんなお粗末な話聞いたことない。「連盟」の発表を聞いても部外者にはよく分からない。合理的な説明が困難なことは、あの「本能寺」と同じだ。
「織田君の演技で、するべき減点がなされていなかった。1位と2位が入れ替わり、高橋君の優勝とします」。という連盟の発表。「日本連盟が発注したコンピューターのプログラムには、これを自動的にチェックする機能がなかった。国際スケート連盟(ISU)が作成したシステムにはチェック機能があるが、高額なため、購入していなかったという。」(サンケイスポーツ) つまりケチってお粗末なソフトしか持っていなかったため、この不祥事になったということらしい。
(以下の記述については【追記】もご覧になってください。)
確かに最近のフィギュアの採点は複雑になっているようだが、計算プログラムが特定の人しか作れないほど複雑なものであるはずはない。恐らくISUがソフトの使用権を独占してそれで収入を得ようとしているからこんな妙なことになる。採点アルゴリズムをオープンにして、テストデーターを入れて正常に作動するプログラムはそれを採点に使用して結構ということにしていれば、このような問題は生じなかった。この程度のソフトなら、熟練したプログラマー1名とスケート連盟の専門家1名が共同すれば恐らく1日程度で作成可能だ。テストを含めても、その手間に見合った費用しかかからない。ちゃんとしたソフトを「使いたくない」力学が連盟の中にあるに違いない。
「ソフトがあればなぁ」-姉歯偽装事件と共通
これで連想するのが例の「姉歯構造設計偽造問題」だ。どうして「専門家」が偽装を見抜けなかったかというと、国交省が標準的な検査プログラム(ソフト)を作成していないからだ。もちろん建築物は多種多様であるから、数値を入れればパッと答えが出るソフトは不可能であるというのだが、これは言い逃れ。大部分の数字の矛盾を摘発できる検査プログラムの開発は可能なのだ。じゃなぜ国交省がそれを作らないかというと、業者に「規制」をかけることを懸念しているからだ。つまり徹底的に業者サイドに立つことで、姉歯という「光秀」がいくらでも出現する余地をわざと残してやっているということだ。
「謀反人」は出ないという”性善説”に立っているという言い方をする人もいるが、ぶっちゃけた話し、国交省役人の天下り先に対する「気配り」が先に立ち国民の安全は二の次ということなのだ。
(話を戻して)
ただ、今回のフィギュア採点トラブルには、人為的な側面も大きいという。「採点のチェック役のテクニカルコントローラー(城田憲子フィギュア強化部長)が減点を見落とした。」(サンスポ)というから、複雑な面も。つまり連盟の「反織田連合」による陰謀説が出てくるのでないか。「黒幕」は家康か秀吉か朝廷か。将来この事件が「代々木体育館の変」として歴史に記録されるかどうかは分からないが、とにかく「変」な事件ではあった。
【文中敬称略】
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【追記】 ISU(国際スケート連盟)の販売する採点システムについて
後でISUの「採点ページ」
http://www.isujudgingsystem.com/
で調べてみると、「高くて買えなかった」ISUのシステムというのは、ハードと
ソフトセット販売だということが判明しました。
セットによって3つのレベルがありますが、例えば一番高価なセットのカタロ
グが、
http://www.isujudgingsystem.com/englisch/download/Eiskunstlaufen_Level3_eng.pdf
にあります。
パソコンだけでなく、ビデオカメラや録画用デッキ、審判同士の通信用の
ヘッドセット、プリンターなどがセットになっているため高価なのです。
日本円にして200万円台というところ(オプションで価格異なる)でしょうか。
それにしてもISUによると、購入の「財政支援」やレンタルもありということで、
「お金がないから」という言い訳はちょっと「すべって」ます。
ただ、「動作を保証するため」という名目で、ハードウェアを選ばせない(だ
からかなり割高)というのはISUの「利権」のにおいがしないでもない。ちょう
ど「総研」が”コンサルタント”なのに建築材料まで指定しているのと似た不明
朗な構造が見える。
これが嫌で独自ソフトをという日本連盟の選択は間違っているとは言えないが、
チェックルーティンさえないプログラムは、鉄筋を抜いたマンションの様なもの。
ソフト会社を訴えないと。
【追記2】
産経新聞によると、<ソフト発注の際、「トリプルジャンプをそんなに跳べる選手は一握り。あまり起こらないだろうと、そこまでプログラムを要求しなかった」>という。つまりスケート連盟が「鉄筋を抜け」と言ったのと同じだ。プログラムの追加としてはまことに簡単なことなのに、それを要求しなかったのは全面的に連盟の責任だ。