おもしろニュース拾遺

 BC級ニュースが織り成す可笑しくも愛しい『人間喜劇』。おもしろうてやがて悲しき・・・

サメを操り情報収集:米海軍

2006-03-09 12:09:17 | 動物・ロボット・植物
(写真はイラク戦争中にアラビア海で米軍から機雷探知訓練を受けるイルカ) 

 「土曜ワイド劇場」かなんかの再放送だったのだろう。途中から見たので展開はよく分からないが、海にいるサメ(陸サメってのはないけど)が島のイケメン猟師を見初めてしまった。人間の妙齢の女性に身をやつして島に上がってきたのだけど、運の悪いことに島一番のワルに捕まってしまった。お約束通りレイプされてさめざめと泣く「女性」に向かって、このワルが捨てぜりふ。「ちっ、サカナ臭え女だな」(ククク・・当然でしょ!でもそれを言うなら、「おめぇ、すげえ鮫肌だな」と付け加えて欲しかった)。もちろん後日、このワルが被害者のサメに海に引きずり込まれて彼女のディナーと化したのは言うまでもない・・・・その後のストーリーは忘れたと言うか、あまりのバカバカしさに呆れていると、エンディングテーマーが。「原作者・・」 へぇーこんな出鱈目なストーリーでも作者が出るんだねぇ、どうせ名もない・・ん「・・石原慎太郎。」 と、都知事ぃ~!たしか昔芥川賞とか受賞されたんですよね?

 言いたいことは、サメというのは魚類でありながら知能の高い動物だという話。その知能を悪用?している、日本にも因縁浅からぬ某組織のニュース。
<サメ操縦し情報収集 米軍「新兵器」実用近づく>(西日本新聞3月9日)という記事。
 <米海軍水中戦争センター(ロードアイランド州ニューポート)がサメを「情報収集兵器」に使う研究を行い、実用に近づいていることが分かった。> 具体的には、<研究は「音をたてずに泳ぎ、鋭い嗅覚(きゅうかく)で獲物を追尾する」サメの能力に着目。神経刺激装置を埋め込んだサメをソナーで操縦し、艦船を追尾したり、潜水艦などの海面下の軍事情報を得る。>
 サメに「指令」を送るのは水中を伝わる音響による。すでに300km先のサメに「指令」を伝える専用の音響タワーが完成しているという。サメから司令部に情報をどう伝えるのか、記述がないが、ヘッドフォンマイクなどを使って「ボス、敵潜水艦を見つけやしたぜ」としゃべるのか、帰還してからセンサーで蓄積した電子化情報を渡すのだろう。

 米艦に近づくテロリストをぺろりと平らげてしまう訓練をしているのかと思ったら、かなり「知的」な活動だ。心配なのは、調教している海軍の人間がエサになってしまうことだが、記事は「小型のツノザメ」とあるのでたぶん体長1m程度だからその危険はない。う~ん、確かにこの知能なら上記の「石原ストーリー」もありかなと、サメの賢さに目ザメてしまう。

◆イルカの「兵士」は米海軍では当たり前

 昔から米軍がイルカを「軍事利用」してきたことは有名だが、昨年の「カトリーナ」騒動の際、イルカが米軍の「テロリスト」として養成されていることが表沙汰になった。<英紙オブザーバー(電子版)は26日までに超大型ハリケーン「カトリーナ」が8月末に米南部を襲った際、米海軍が飼育する軍事用イルカがメキシコ湾に逃げ出した可能性があると報じた。イルカは水中でウエットスーツを着た人間に向けて毒矢を放つ訓練を受けており、ダイバーやサーファーが襲われる恐れがあると懸念されている。>(時事2005年9月27日)。怖いねぇ~、このテロリストイルカたち、もう実戦配備されているのだろうか。ならば横須賀(佐世保も)海軍基地の近くで潜るのは非常に危険だ。「お~イルカだ。おいでおいで」と喜んでいると、いきなり毒矢でぐさり。

 「テロリストイルカ」はその任務の性質上、米軍がその実態や訓練を明かすことは決してない。海軍が公表しているのは、機雷探知と除去の任務だ。上の写真はイラク戦争時の米海軍のイルカ訓練だ。右肩(フィンというのか)に何か付けているのが見える。これが機雷探知装置だ。イルカを先導させて、航路の安全を確保するわけだ。あの独自のソナーと運動能力で人間よりもはるかに効率的に機雷を発見できる。ただし「殉職者」も出ているようだが、動物愛護団体を恐れてその実態は機密とされている。

 自衛隊は同様の研究をやっていないはずだ。もし日本だけがこういう研究をやってたら、どれだけ叩かれるか、クジラ問題を考えただけでよく分かる。アメリカ人でもこのようなイルカの「軍事利用」を懸念している人はいるが、運動にはなっていないようだ。
 むしろイルカやクジラで大きな問題になっているのは、軍の使うソナーが彼らに致命的な打撃を与えていることだ。

◆海軍のソナーでイルカやクジラが大被害

 最近、日本を含む世界中の海岸でイルカやクジラが大量に打ち上げられるという事件が頻発しているのはご存じの通り。その原因の一つと考えられているのが、海軍の使うソナーだ。潜水艦を探知するために音波を出すわけだが、海洋生物、特に聴覚が敏感なイルカや鯨類にとっては致命的だ。米軍は散々イルカを「忠良なる兵士」として活用(米軍自身がが彼らをどう訓練しているか公開したページがある)しながら、一方でイルカの最大の弱点を”攻撃”して多くのイルカを殺戮しているのだから身勝手もここに極まる。

 昨年10月に米国の環境保護団体NRDCが、米海軍にソナーの使用を制限する訴訟を起こしている。詳しくはこのプレスリリースを見ていただきたいが、ここではそこから1枚だけ写真を紹介しておこう。

耳から血を流して死んだイルカ。NRDCによると、今回の訴訟対象は中域周波数のソナー(つまり普通の)だが、これでも235デシベル、人間で言えば、ロケット打ち上げのそばにいるようなものという。聴覚は完全に破壊される。同じく昨年10月に、欧州議会は「潜水艦探知のために高強度のアクティブ・ソナー(水中音波探知機)を使用することを禁止する決議を採択した」(琉球新報2005年10月30日)。

 実は米海軍もこの種の非難を気にはしていて、ソナーのうち周波数が低く出力の大きい「新型低周波ソナー(LFA)については、環境保護団体の主張に譲歩して、このLFAの使用は「特定の海域」のみに限定することで合意している。
 ところが、この「特定の海域」というのが、「日本周辺」なのだ。<米海軍が「日本周辺」にこだわったのには、中国、北朝鮮のディーゼル潜水艦が従来のソナーでは探知しにくい背景がある。>(琉球新報2003年10月14日) 
 日本近海のクジラやイルカ、あるいは沖縄近海のジュゴンなどは全く保護されない状態が続いている。このことに日本の環境保護団体はあまり反応していない。どうも日本の環境団体は軍事問題になると腰が引けてしまうが、これは怖がっているのでなく、日本では「軍事情報」が入手しにくいからかもしれない。

 というわけで、日本近海の海洋哺乳生物の皆さんは自分で決起していただくほかなさそうだ。「石原ストーリー」風に人間に姿を変え、日本の裁判所に提訴すればと思うが、よく考えると米軍については日本の裁判権は及ばない
 もうかくなる上は啄木の歌った「奪はれたる言葉のかはりに おこなひをもて語らんとする」、「テロリストの かなしき心を」実践するしか、イルカ達の取るべき道はない。しかしその米軍を守っているのがまたイルカ達である。人間世界の代理戦争が海洋哺乳類の間に持ち込まれるのだろうか。


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4 コメント

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軍事用ソナー (スパイラルドラゴン)
2006-03-09 14:44:13
yajihorseさん、こんにちは。

イルカの岸乗り上げ事件についてつぶさに調べて、記事をまとめておられますね。

一人でも多くの人々に、イルカやクジラ達を狂わせているのは、軍事用ソナーだという事実を知って欲しいものですね。
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TBありがとうございます (小次郎)
2006-03-14 16:39:01
遅くなってしまいましたが、

TBを返させて頂きました



自分の面白みの無いネタが、

こんなに面白いネタになるとは・・・

いやはや、勉強になります
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公正なニュースを! (kuu)
2006-03-15 12:27:00
こんにちは。

kuuです。



僕のBLOG『空をみるひと』へのTB、ありがとうございました。



イルカとソナーの関係は、いわば常識だ、と僕は考えますが。

それが、日本の大手マスコミでは一切取り上げられない。

そのことが一番恐ろしい大きな問題ですね。



明らかに情報操作。



軍事機密も大切でしょう。



でも。



国民丸ごと国家に騙されたりしないよう、

一人ひとりが情報リテラシーを鍛えないと。



現に、最近は、日本国民一般に、大きな力に、やられっぱなしに思えます。



このBLOGのような、独立した、有意義なニュース発信の動きが広がっていくことを願っています。



これからもお邪魔させていただきますので、今後ともよろしくお願いします。



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Unknown (なな)
2019-06-26 00:51:33
初めまして。
こういうことが行われているとは
全く知りませんでした。
頭のいいこたちを食べるのはダメで
自分達のために死ぬのは 良いんですねえ。
こういった話は 知らなくてはいけないことですが
知れば知るほど 人間をやめて逃げたくなります。
無知な自分なので こちらのブログに出会えて良かったです。
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