おもしろニュース拾遺

 BC級ニュースが織り成す可笑しくも愛しい『人間喜劇』。おもしろうてやがて悲しき・・・

外務大臣秘書の殺人事件を非公表に

2005-12-27 23:50:40 | 珍事件
 奇妙な話だ。決して小さな出来事ではないのに、今のところ毎日新聞の報道しかない。

 警察が、実の父親に暴行して殺害という事件を1月以上隠蔽していたというのだ。その被害者は麻生太郎外務大臣の元秘書だった。
 福岡県飯塚市で事件が起きたのは11月13日。犯人(現在は起訴されているから被告)の音楽講師は、同居していた父親の胸を揺さぶって押し倒し、そのショックで約3時間後に搬送先の病院で死亡した。被告は「父が酒に酔って帰宅し、ささいなことからカッとなった」と殺害を認めているという。

 殺害された80歳の父親はかつて麻生外務大臣の秘書(私設公設不明)をしていたという。飯塚市は麻生大臣の故郷でもある。

 一昔前は刑法に「尊属殺人」の規定があった。そんな重要な事件をなぜ警察は公表しなかったのか。飯塚署の言い分:「当時は容疑を一部否認しており、共犯の関与も視野に捜査したため、公表しなかった。決して、麻生氏の関係者だから公表を控えたのではない」。
 妙な話だ。容疑者が「一部否認」しているだけで事件を明らかにしないことはない。また「共犯」がいることが明らかな事件でも逮捕された犯人だけでも氏名を明らかにしている。警察は辻褄の合わない言い訳をしたことで、かえって「麻生氏の関係者だから公表を控えた」という確証を抱かせている。

 となると、事件を公にするなと大臣サイドから働きかけがあったか、警察が配慮したのか。麻生氏は10月31日に外務大臣になりたてだったから、祝賀ムードに水を差したくないという官邸の意向もあったのかもしれない。

 こういう警察の事件発表をめぐって、偶々今日27日に重要な動きがあった。
 「犯罪被害者等基本法」の施行を受けた犯罪被害者等基本計画が策定されたのだ。この法律はこれまで、被害を受けながら何の法的な保護も受けられなかった犯罪被害者の権利を保障しょうというもので大いに結構なのだが、変な「オマケ」が付いた。それは被害者名の発表を実名でするか匿名でするかを警察が判断するようになったことだ。
 これに対しては、同じ27日に新聞と放送局、正式には日本新聞協会と日本民間放送連盟が「犯罪被害者等基本計画に対する共同声明」を出して抗議している。「匿名発表では、被害者やその周辺取材が困難になり、警察に都合の悪いことが隠される恐れもある。私たちは、正確で客観的な取材、検証、報道で、国民の知る権利に応えるという使命を果たすため、被害者の発表は実名でなければならないと考える。」と事件が恣意的に隠蔽されることを懸念している。

 しかし実は今回の場合は、被害者でなく加害者の氏名、いやそもそも事件そのものを「警察の判断」で非公表にしてしまったのだ。呆れ果てた”先取の気風”だ。
 いったいなぜ警察はそこまで気配りせねばならぬほど麻生大臣に恩義があるのか?事件は「現場」に立ち返れというのが捜査の鉄則。麻生事務所のHPに手がかりがあった。
 HP上の「太郎は考える」2005年11月号で大臣はこう述べている。
 「警察官も地方公務員ですから、ただいま削減の対象となっております。警察官を例外にするのは、政治決断が要求されます。」私はあえて警察官を削減するなと訴えた。「そこで自民党は三年間で警察官の一万人増員というのを断行したんです。」そして成果は上がった。「それまで悪名の高かった東京新宿の歌舞伎町、渋谷等の盛り場からいわゆる「マジヤバイ」のが消えて健全とはいえませんが「軽くヤバイ」程度に治安が向上したんです。」
 これを読んで「警察は考える」今事件を公表すれば大臣就任間もない麻生先生に少なからず汚点になる。「警察の連中は気が利かん」と思われたら、警察官削減の報復があるかも知れん。しかも麻生先生はまかり間違えば「ポスト小泉」。ここで恩を売っておけば栄転間違いなし。不調法すれば左遷の運命だ。

 まあ警察官僚がそう考えたとすれば今回のような措置になるのは当然。しかし曲がりなりにも日本は法治国家だ。法に基づかないこのような措置は江戸時代に逆戻りだ。これは、「軽くヤバイ」程度ではなく、「マジヤバイ」問題だ。

「マザーテレサ」顔のシナモン・ロール盗難

2005-12-27 13:16:10 | 発見
 「故マザー・テレサの顔に似ているとして有名だったシナモン・ロールが、96年以来展示されていた米中部テネシー州ナッシュビルのコーヒーハウスから盗まれた」(毎日新聞と最初聞いてもそのシナモンを想像できなかった。ネットで探してようやく見つけました。↑がその店に置いてあった当時の写真(分かりやすいように○で囲った)。ああ、ホントだ!ワハハハハ・・確かに切っても切っても「マザーテレサ」。しかも金太郎飴と違って意図せずに出来たというのが神の恩寵でしょうか。

 「このロールは96年に同店の店員らが「マザー・テレサに似ている」などと言い出し、保存のため樹脂を塗って店内に飾られ」ていた(毎日)というのだが、「店主は「警察の評価では25ドルの価値しかない。食べたってうまくないよ」と首をかしげている。」というけど、この店主なかなか商売上手で、一時期はこのロールを使ったTシャツなどを売り出したほど(本人の抗議で中止)。このコーヒハウス(Webペ-ジはここ)のあるナッシュビルは米南部の敬虔なキリスト教徒が多い土地だから集客効果は抜群だったはず。

 しかし「マザーテレサ」という”先入観”なしで虚心に見ると、小生なら「悪い魔法使い」と答えているはずだ。
 そう、これは一種の「ロールシャッハテスト」なのです(シナモン・ロールシャッハテストと言いましょうか)

 雑誌などではたいてい1枚だけインクのシミを対象にした図形を見せて「何に見えますか」と聞いているけど、実際のテストは10枚の絵を次々と見せて、その結果から判断する。例えば上の絵を見て、1枚目は「狼の顔」、2枚目は・・・と答えていく。
 例えば、「狼、斧、悪魔、・・・」などと答えていく人は「攻撃的、被害妄想的」と判断されて、国によっては保護観察処分になったりする。答えに無意識が反映されているというのだけど、はなはだ頼りない「検査」だ。実際に、答える人がわざと小鳥、一家団らん、鳩とか「平和的」なイメージで答えれば「攻撃性」を簡単に偽装できる。
 このテストはロールシャッハ(スイスの精神科医ヘルマン・ロールシャッハHermann Rorschach(1884~1922))が開発したんだけど、きっかけは子供の頃から「シミ」を見つめるのが好きだったからで、何のことはない、ちょっと気味悪い地味な趣味で「起業」しただけの話し。余興としては面白いが、診断者の恣意の余地が大きい。到底「学問」とは少なくとも小生は認めていない。
 入学時や入社時にやる「バウムテスト」、つまり「リンゴの木を描いてください」というやつも同じ。リンゴの代わりにピストルばかり描いてるヤツは「コイツは凶悪犯罪の恐れあり」というのは分かりやすすぎてかえって信用できない。小生の場合、心理学や精神病理学というのをすべて「学問」として認めていないから、例えば「知能検査」というのも全く相手にしない。そもそも世間では「オレの知能指数は150で兄貴は100。オレの方が50%頭がいい」なんて「標準偏差」の概念を全く取り違えている人も多いのだ。「数値」を導入することでかえって誤解を広げている。

 そうは言っても精神科医が詐欺師だと言っているわけでなく、いわば白衣を着た占い師だと思っている。相談して悩みが解決されれば、それはそれで世のため人のためになっている。
 ただ、「学問」でないだけに詐欺師になるのも簡単で、例えば小生お勧めの詐欺は、相談者を洋書を並べた少し暗い部屋に案内して、パソコンの画面に下の絵を表示させる。

「これは何に見えますか?」、「若い婦人を右後方から見た絵です」。その答えをパソコンに入力すると、「あなたは自らの容貌にコンプレックスがあります」と表示。「いいエステを紹介しましょう」。で、紹介料がエステからキックバックされるというわけ。
 「鷲鼻の魔法使いの横顔です」。「えぇ?じゃあごはどれです?」、「こう猪木みたいに突き出ていて、ここに唇があります」、「そこは婦人の首ですよ。う~むとんでもない歪んだ見方だ。あなたは被害妄想の傾向がありますな。すぐに精神科医の指導を受けてください」。
 素人をだますのは簡単です。肝心なのは道具立てです。この絵が上記以外に見えた方は重症です。でも治療費を払っていただければ、少々お高いですが大丈夫、「普通の人」に戻してあげますよ。