永田議員の記者会見が行われた。なぜあの「偽メール」を信じたのかという根拠については納得を得られるような説明はなかった。武部疑惑も解明されていないのだが、このお調子者をどのような勢力が利用したのかその政治的背景についても、新たに「巨大な闇」(前原)が誕生したわけだ。
永田議員はめでたく退院されたが、病院側はいい迷惑だったに違いない。一番困ったのは他の入院患者だ。報道陣が押しかけてとても治療どころではない。
「永田氏にみる政治家の『入院』事情 不祥事の避難所」と題する本日の東京新聞の皮肉な記事。< 国道沿いには、報道関係などの車両が並び、「こんな所に入院している永田さんって本当に非常識よ。交通だってこんなに渋滞してる」と、自転車に乗った主婦が甲高い声をあげながら、報道陣の間を縫うように歩道を通りすぎる。>
この記事は、「政治家の緊急入院は“永田町のお家芸”と化している」として、(1)1992年共和汚職事件での、阿部文男元北海道・沖縄開発庁長官の入院、(2)同じく92年金丸信元自民党副総裁が、東京佐川急便ヤミ献金疑惑で小田原市の病院に緊急入院したことを指摘している。
しかしこの両名はこの時すでに高齢だった。永田町の「トリックスター」永田は元気溌剌の37歳。「若い人なのに、自民党の年配議員が雲隠れに使っているみたいで何か潔くないね。記者会見して謝るんだったら早く謝るしかないんじゃないか」という同じ病院の患者のコメント。
永田議員のHPを開くと、「時代はスピーディな政権運営を求めている」という金言が流れる。しかし自身の不祥事への対応はスローを極めて墓穴を深くしている。
永田議員の説明によると、国会での質問の前に、野田国対委員長に相談し、前原代表にもこのメールを見せたという。しかし彼らは国会で暴露後の展開をどのように読んでいたのか?たとえ真実であっても武部側は否定するに決まっている。メールは証拠にならんとつっぱねられたらそれでおしまいなことは明らかだった。永田・野田・前原の三人は緊急入院してMRIなどで脳の検査を受けることをお勧めしたい。これが謀議でないとしたら、つまり自民党を追い詰めると判断していたとしたら、脳が正常に機能していないとしか考えようがない。
永田君はもちろん道化役だが、彼を育てた(匿ったと言おうか)民主党自身が完全なピエロだ。いつでも「主役」を引き立てるためにわざと?すべってみせる。例えば昨年の総選挙だ。
与党分裂で総選挙という野党にとっては願ってもない展開。そこで掲げたスローガンが、「日本をあきらめない」。えっ? 対する自民党は「改革を止めるな」。これは攻守全く逆だ。この完全にすべったスローガンを聞いて民主党を「あきらめた」人も多かったためか、おかげで自民党大勝。これは契約した広告代理店が自民党のエージェントだったからなのか、心の中では自民党に勝って欲しいと幹部が思っていたためなのか。
そして「4点セット」で小泉政権誕生以来の最大の危機で国会論戦がスタートした矢先の「偽メール騒動」である。世間の関心は、永田町のピエロとその後見人たちの道化ぶりに関心が集中して、例えば伊藤ハム介の政治倫理審査会の証言など誰も気にも留めなくなってしまった。
自民党は思いもかけずなのか思い通りなのか、とにかく民主党の生殺与奪の権を手にした。このネタだけで、今国会は完全に自民党がコントロールできるだけでなく、民主党の幹部(特に前原)に貸しを作ることで、長期間のリモートコントロールまで手に入れた。
確かに民主党は岡田代表の時代から、「僕たちを野党と呼ばないで」と言い続けてきた。政権に難癖つけるだけの「野党opposition party」の”悪い”イメージを変えたいということらしいが、それにしてもこれだけ自民党を助ける政党は想像するのも難しい。与党の公明党だってここまで自民党に「役に立って」はいないのだから。
そして今日の民主党幹部の対応を見ていると、ケジメをつけないことで民主党の信頼をより失わせ、そのことで今後さらに相対的に自民党を高めようとしているようだ。そこまで自虐的になるのなら、小泉の誘いを受けて自民党と合併すればいいのにと思うのだが、そうすると完全に一党独裁になって中国や北朝鮮と区別できない。いわば今後とも「偽装野党」として生きていく覚悟のようだ。もちろんこう言ったからとて民主党を誹謗中傷したいわけではない。政治はオリンピック以上に結果がすべての世界である。結果として自民党を応援していることはその評価を問わず衆目の一致するところである。
タイやフィリピンでは首相や大統領がいま大変である。腐敗停滞した政権は打倒されるのが古今東西の政治法則だ。しかし日本は例外だ。前原党首は、自民党に「提案競走をやろう」と持ちかけた。小泉首相は、そんな面倒なことやるくらいなら「いっそ前原君自民党に来い」と公然と持ちかけた。確かにこうなると、与党も野党も体制も反体制もない。「みなさんごいっしょに」の完全翼賛化だ。そして自民党の「危機を救った」民主党の今回の「ファインプレー」。90年代には社会党が身を挺して自民党の危機を救って、その結果自身は「絶滅危惧種」(辻元清美)にまで衰退した。これが日本の政治文化だ。「反対」勢力が自らを貶めることで権力を高める。謙譲の美徳と言っていい。
しかし民主党前原体制が続くようだと、国民の目からは「ああやっぱり。前原は自民党に命乞いをしたんだな。裏取引があったんだな」と見られることは間違いない。これからの民主党の行動はすべて「偽装」と見られてしまう。
今でもすでにそうだが、与党から、「このまま党首でいて欲しい」と期待される”野党”党首というのも奇妙奇天烈・奇々怪々・摩訶不思議な存在と言わざるを得ない(本人は結構悦に入っているようだが)。
前々党首の菅直人氏が「未納三兄弟」発言で、党首を辞して頭を丸めて四国88ヶ所巡礼の旅に発ったことを覚えている。前原代表も、「自民お助け隊隊長」と見られたくない、野党として政権を奪取すると言うなら、まず今は頭を丸めてお遍路さんになるのがいいだろう。できれば民主党国会議員全員辞職してお遍路さんになるのもいい。それでは「野党」がいなくなる。しかし「偽装野党」よりは一党独裁の方が分かりやすいし、自民党も自分で全部責任を負わないといけなくなるので政権には打撃だろう。
永田議員はめでたく退院されたが、病院側はいい迷惑だったに違いない。一番困ったのは他の入院患者だ。報道陣が押しかけてとても治療どころではない。
「永田氏にみる政治家の『入院』事情 不祥事の避難所」と題する本日の東京新聞の皮肉な記事。< 国道沿いには、報道関係などの車両が並び、「こんな所に入院している永田さんって本当に非常識よ。交通だってこんなに渋滞してる」と、自転車に乗った主婦が甲高い声をあげながら、報道陣の間を縫うように歩道を通りすぎる。>
この記事は、「政治家の緊急入院は“永田町のお家芸”と化している」として、(1)1992年共和汚職事件での、阿部文男元北海道・沖縄開発庁長官の入院、(2)同じく92年金丸信元自民党副総裁が、東京佐川急便ヤミ献金疑惑で小田原市の病院に緊急入院したことを指摘している。
しかしこの両名はこの時すでに高齢だった。永田町の「トリックスター」永田は元気溌剌の37歳。「若い人なのに、自民党の年配議員が雲隠れに使っているみたいで何か潔くないね。記者会見して謝るんだったら早く謝るしかないんじゃないか」という同じ病院の患者のコメント。
永田議員のHPを開くと、「時代はスピーディな政権運営を求めている」という金言が流れる。しかし自身の不祥事への対応はスローを極めて墓穴を深くしている。
永田議員の説明によると、国会での質問の前に、野田国対委員長に相談し、前原代表にもこのメールを見せたという。しかし彼らは国会で暴露後の展開をどのように読んでいたのか?たとえ真実であっても武部側は否定するに決まっている。メールは証拠にならんとつっぱねられたらそれでおしまいなことは明らかだった。永田・野田・前原の三人は緊急入院してMRIなどで脳の検査を受けることをお勧めしたい。これが謀議でないとしたら、つまり自民党を追い詰めると判断していたとしたら、脳が正常に機能していないとしか考えようがない。
永田君はもちろん道化役だが、彼を育てた(匿ったと言おうか)民主党自身が完全なピエロだ。いつでも「主役」を引き立てるためにわざと?すべってみせる。例えば昨年の総選挙だ。
与党分裂で総選挙という野党にとっては願ってもない展開。そこで掲げたスローガンが、「日本をあきらめない」。えっ? 対する自民党は「改革を止めるな」。これは攻守全く逆だ。この完全にすべったスローガンを聞いて民主党を「あきらめた」人も多かったためか、おかげで自民党大勝。これは契約した広告代理店が自民党のエージェントだったからなのか、心の中では自民党に勝って欲しいと幹部が思っていたためなのか。
そして「4点セット」で小泉政権誕生以来の最大の危機で国会論戦がスタートした矢先の「偽メール騒動」である。世間の関心は、永田町のピエロとその後見人たちの道化ぶりに関心が集中して、例えば伊藤ハム介の政治倫理審査会の証言など誰も気にも留めなくなってしまった。
自民党は思いもかけずなのか思い通りなのか、とにかく民主党の生殺与奪の権を手にした。このネタだけで、今国会は完全に自民党がコントロールできるだけでなく、民主党の幹部(特に前原)に貸しを作ることで、長期間のリモートコントロールまで手に入れた。
確かに民主党は岡田代表の時代から、「僕たちを野党と呼ばないで」と言い続けてきた。政権に難癖つけるだけの「野党opposition party」の”悪い”イメージを変えたいということらしいが、それにしてもこれだけ自民党を助ける政党は想像するのも難しい。与党の公明党だってここまで自民党に「役に立って」はいないのだから。
そして今日の民主党幹部の対応を見ていると、ケジメをつけないことで民主党の信頼をより失わせ、そのことで今後さらに相対的に自民党を高めようとしているようだ。そこまで自虐的になるのなら、小泉の誘いを受けて自民党と合併すればいいのにと思うのだが、そうすると完全に一党独裁になって中国や北朝鮮と区別できない。いわば今後とも「偽装野党」として生きていく覚悟のようだ。もちろんこう言ったからとて民主党を誹謗中傷したいわけではない。政治はオリンピック以上に結果がすべての世界である。結果として自民党を応援していることはその評価を問わず衆目の一致するところである。
タイやフィリピンでは首相や大統領がいま大変である。腐敗停滞した政権は打倒されるのが古今東西の政治法則だ。しかし日本は例外だ。前原党首は、自民党に「提案競走をやろう」と持ちかけた。小泉首相は、そんな面倒なことやるくらいなら「いっそ前原君自民党に来い」と公然と持ちかけた。確かにこうなると、与党も野党も体制も反体制もない。「みなさんごいっしょに」の完全翼賛化だ。そして自民党の「危機を救った」民主党の今回の「ファインプレー」。90年代には社会党が身を挺して自民党の危機を救って、その結果自身は「絶滅危惧種」(辻元清美)にまで衰退した。これが日本の政治文化だ。「反対」勢力が自らを貶めることで権力を高める。謙譲の美徳と言っていい。
しかし民主党前原体制が続くようだと、国民の目からは「ああやっぱり。前原は自民党に命乞いをしたんだな。裏取引があったんだな」と見られることは間違いない。これからの民主党の行動はすべて「偽装」と見られてしまう。
今でもすでにそうだが、与党から、「このまま党首でいて欲しい」と期待される”野党”党首というのも奇妙奇天烈・奇々怪々・摩訶不思議な存在と言わざるを得ない(本人は結構悦に入っているようだが)。
前々党首の菅直人氏が「未納三兄弟」発言で、党首を辞して頭を丸めて四国88ヶ所巡礼の旅に発ったことを覚えている。前原代表も、「自民お助け隊隊長」と見られたくない、野党として政権を奪取すると言うなら、まず今は頭を丸めてお遍路さんになるのがいいだろう。できれば民主党国会議員全員辞職してお遍路さんになるのもいい。それでは「野党」がいなくなる。しかし「偽装野党」よりは一党独裁の方が分かりやすいし、自民党も自分で全部責任を負わないといけなくなるので政権には打撃だろう。