おもしろニュース拾遺

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「死んだふり」は生存に有利:昆虫で実証

2006-03-12 17:20:13 | 発見
 いわば生物の生存戦略の核心を突く大発見ではないか。「死んだふり(擬死)」をする動物は色々知られているが、果たしてそれが生存に役立っているかどうかはあのファーブル先生でさえ立証できなかった。ついに実証的な研究が登場した。

 「穀類の害虫のコクヌストモドキでは、天敵のクモに対して、死んだふりをすることで生き残る可能性を高めていることを、岡山大学の宮竹貴久助教授(進化生態学)が実験で確かめた。」(読売新聞3月12日)という記事。

 コクヌストモドキ(穀盗人擬き-上の写真)は体長3-4mm程度の甲虫で、名前の通り倉庫で穀物を食い荒らす害虫。
 宮竹助教授はまず、この虫を「死んだふり」をするものとしないものとに分けた。それは「クヌストモドキの遺伝的な選抜を10世代繰り返して」、いわば”純系”を作り出したわけだ。ちょうどメンデルがえんどう豆に対してやったように。

 さて、それぞれの個体に対して「それを天敵のクモと15分間一緒にして、どちらの系統が生き残る可能性が高いか比べた。」
 結果は明白だった。
死んだふり派    13回生き残り(14回中)
動き回り派      5回生き残り(14回中)

 つまり「死んだふり」が出来る個体は、14回のうちクモに食べられたのは、1回きりだった。まあ、「死んだふりをしない系統は、普段から活発に動き回る傾向があり、運動量は死んだふりをする系統の約2倍あった。」というから、クモの注目を引くのは当然ではある。

 もちろんだからと言って他の種でも「擬死」がこれほど有効であるかどうかは分からない。特に人間がクマに出会ったときに「擬死」するのは愚の骨頂であることはすでに書いたが、誤解して命を落とす人がいるといけないので、改めて強調しておきたい。

 人間の社会でももちろん「死んだふり」は有効な生存戦略である。特にこのテクニックを活用する「種」と言うと、権力目政治科に属するセイジカという蚊の一種である。コクヌストならぬゼイヌストという別名を持ち、都合が悪くなると「入院」という独自の逃避行動をとる。東京永田町に生息する個体は特に人間社会に与える害が大きいとされる。
 この種の「死んだふり」は非常に巧みで、一時姿を消してもう死んだと思っているといつの間にか活動を開始しているので駆除は困難である。最近ではスズキムネオ、ツジモトキヨミという個体が「死んだ」と思われていたが、誰も気付かぬうちにカムバックして活発に動いている。もっとも、いくら他の個体から叩かれても決して死なぬしぶとい個体、最近ではナガタヒサヤス、ニシムラシンゴなどのミンシュトウという島が原産地のこれらの個体には、いかなる殺虫剤も通用しないようで政体系には大きな脅威となっている。

 ところでこの宮竹先生の研究紹介のページを拝見すると、興味深いというか我々にとって切実な様々な研究をされていることが分かる。
「昆虫には,雌をめぐって激しい雄間闘争を行ったり,交尾のための集団を作ったりする興味深い現象があります。どのような雄が強いのか? どのような雄が雌にとって魅力的なのか?カメムシや甲虫を使って婚姻戦略の謎ときに挑戦します。」

 早く研究結果を発表してください。でも「実力本位」で勝負する昆虫が羨ましいような気もします。


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