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DOCOMORO100

モダニズムだけじゃない建築ブログ

逆走!おくの細道’09新潟・秋田・岩手 建築・アートの旅 その1「池の辺の万華鏡」

2009年08月19日 19時15分43秒 | Art
 越後妻有アートトリエンナーレ「大地の芸術祭」は全3回で行われるはずであったが、毎回好評を博する為、今年第4回目が開催されている。毎回恒久展示も増え、今回の作品数は約370点(うち過去開催の恒久展示は約160点:公式ガイドブックより)だそうである。当たり前だが、たった1日の訪問で全てを見ることは出来ない。何せ展示範囲は東京都23区より広い。事前にある程度選択し巡ったのであるが、途中で案内看板の誘惑に負けそうになる。涙を呑んで通過するのだが、まさに断腸の思いであった。
 
 まず、最初に訪れたのは「フランス国立図書館」で有名なドミニク・ペローが、前回(第3回)設置したフォリー「バタフライ・パビリオン」である。早朝に到着した為、隣接する池の、蓮の花が開いていた。冬季には雪深い土地である。このフォリーの屋根もたたむそうだが、今は夏。まるで万華鏡のように、周囲の景色を変化させながら映していた。
 舞台としての機能も持つようだ。川の流れの音が心地良い、この場所の核となるフォリーであった。

「バタフライ・パビリオン」
設計者:ドミニク・ペロー 完成:2006年 新潟県十日町市下条地区神明水辺公園内

四季の像

2009年02月22日 23時59分46秒 | Art
 最近、野生のラッコ“くうちゃん”が現れて、全国ニュースにも映った釧路の幣舞(ぬさまい)橋には、新制作派協会彫刻部に参加した佐藤忠良、本郷新、舟越保武、柳原義達各氏の作品が設置されている。四季の像と名づけられた“春夏秋冬”像の制作者は以下の通りである。

「春」舟越保武氏

「夏」佐藤忠良氏

「秋」柳原義達氏

「冬」本郷新氏


 海鳥の糞で汚れてしまっているのが残念だ。本郷新氏と佐藤忠良氏は高校の同窓で大先輩である。佐藤忠良氏の「夏」像が良いですねと告げたところ、毛綱毅曠氏のお姉様は「舟越氏の春の像が好きである」とおっしゃっていた。
 いずれも素晴らしい作品である。コマーシャルの台詞ではないが「贅沢」だ。橋の近くには本郷新氏の石川啄木像も有り、毛綱建築も数多い釧路は芸術の街である。

お蔵出し決定版 その26(2007年 1月 バチカン)

2009年01月21日 23時41分07秒 | Art
 ルーヴル美術館やエルミタージュ美術館にも作品が収蔵されている、アントニオ・カノーヴァの「ペルセウスとメドゥーサの首」は、バチカン美術館にて見ることが出来る。ミケランジェロやベルニーニとはまた違った、過度な作り込みの無い極自然な表現が良い。

 建築探訪と同様に彫刻を見て歩くのも好きだ。札幌や旭川など、北海道は彫刻を街中に沢山設置する都市も多い。今年も沢山見なければ。

「ペルセウスとメドゥーサの首」
作者:アントニオ・カノーヴァ 完成:1801年 バチカン美術館 

「いざ鎌倉!腰越強行突破」’08鎌倉・東京建築紀行 番外編1“壁画”

2008年11月26日 17時54分42秒 | Art
 いきなりの番外編であるが神奈川県立近代美術館鎌倉館内にあるカフェについて書きたいと思う。今回の建築探訪ではアルネ・ヤコブセンの椅子に座る機会が多かった。ここ鎌倉館のカフェではセブンチェアとアントチェアに、翌日の国立新美術館ではエッグチェアとスワンチェアに座った。
 アントチェアはモエレ沼公園ガラスのピラミッド内のイサム・ノグチコーナーにも使われており、好きな椅子の一つである。さっと立てるフォルムが良い。

写真では手前がアントチェアで、残りの3つがセブンチェアである。

 さてトップの写真は、カフェの壁に描かれた田中岑(たかし)氏の「女の一生」という作品であるが、34年もの間、白く塗られたベニヤ板で覆われていたそうだ。しかもその理由も定かではないらしい。平成15年に修復を終え、このように復活を遂げた。
 たったの2日で描き上げられたというこの壁画があることで、カフェの雰囲気に彩りを添えている。

メタボリズム

2008年09月25日 23時18分19秒 | Art
 自宅から歩いて行ける距離に、宮の森美術館が在る。これまでにクリスト展、ヨセフ・アルバース展、森山大道展、ヤノベケンジ展、榎忠展など“通”すぎる企画を連発してきた。しかも本人が来る。クリストまでやって来たのだ。

 現在開催中なのが「粟津潔展 思考する眼差し、絵画するイメージ」である。粟津氏はグラフィックデザイナーとしてばかりでなく、様々な分野で活躍されていらっしゃるが、建築においてはメタボリズムのメンバーとして知られている。
 今回、黒川紀章氏と氏の作品をデザインした、その名も「メタボリズム」というポスターの展示があった。その他、ポップアート好きの方やグラフィックに興味のある方が満足出来る展示内容となっている。

 入場料金が安く、一度の入場で何度でも再入場出来るのも嬉しい限りだ。また見に行こうと思う。

青森犬

2008年07月12日 12時57分15秒 | Art
 昨夏、毎年恒例夏のツーリングで青森県を走ってきたのだが、青木淳氏の「青森県立美術館」も訪れた。館内は全て撮影禁止と思いきや、奈良美智作「青森犬」だけは撮影しても良かったのだそうだ。「これはしまった。撮影しておけば良かった。」と思ったものの後の祭りである。ところが今年、学生のNさんが同美術館を訪れ、撮影してきたとのこと。早速画像データを頂いた。たそがれる青森犬。洗ってもすぐに汚れる青森犬。しかし、一度見たら頭から離れない、その姿。自分が訪れた当日開催されていた「成田亨展」と共に心に残っている。

野外展示こそが本望

2007年12月30日 09時23分37秒 | Art
 企業のロビーや応接間にあるよりは、野外に展示され皆に見てもらいたいというのが、本郷新氏の考え方であったという。
 本郷氏作の像北は、北は稚内、南は鹿児島まで日本全国に設置されている。「釧路市立博物館前にはこの「朔北の母子像」が設置されている。確認したところでは釧路には全部で4つの本郷作品があるようだ。

 佐藤忠良氏の彫刻は「躍動感」を強く感じる。本郷氏の作品は「優しい」もの、「厳しい」もの様々だ。
 せっかく北海道に住んでいるのだから、沢山見て歩きたいと思っている。

この雪は

2007年12月28日 00時34分04秒 | Art
 雪の少ない、大通り公園に立つ本郷新氏の「泉の像」である。「今年の札幌は雪が少ないから…。」といった雰囲気だが、実はこの写真は昨年のものである。昨年もこの時期は雪が少なかったのだが、年が明けると結局いつも通りに降った。

 今回、釧路でも本郷新氏の彫刻をいくつか見ることが出来た。この大通り公園の「泉の像」も作者名は分からなくとも、札幌の人達は皆知っている作品だ。ニッカウヰスキーの会長であった竹鶴政孝氏によって設置されたのだが、2年前自分が初めてpenkou師匠をご案内したのが、余市にあるニッカウヰスキーの建築群であった。昨日の事のようであるのだが。
 さて、今年もニッカを1本買おうかな。

トらやんの大冒険

2007年10月08日 16時03分31秒 | Art
 今日まで札幌の「宮の森美術館」において「ヤノベ・ケンジ展/トらやんの大冒険」が開催されている。

 ヤノベ・ケンジ氏は大阪出身の現代アートの芸術家で、1965年生まれ。自分とは共通点が有って、学生の頃、今は無きSF・特撮雑誌「宇宙船」にイラストなどを投稿していた。(因みに私は“親方”の称号を得た。)私が好きな建築「キリンプラザ大阪」の第1回コンテンポラリーアワード最優秀作品賞を受賞して世に出られた。そんなこともあって、今回の展覧会はとても楽しく見ることが出来た。

 放射能防護服“アトムスーツ”で身を包むキューピーちゃんのように可愛い“トらやん”は、実はちょびヒゲを生やした関西のおっさんである。他の展示場では森の映画館、ここでは“宮の森の映画館”で上映されるトらやんの映像は、なんとも言葉に出来ない良い味が有る。
 全ての展示を見終わった後、すっかりトらやんが気に入ってしまい、座布団のような装丁の絵本「トらやんの大冒険」を購入してしまった。ヤノベ・ケンジ氏はこれからも要チェックの芸術家である。

緊急企画 祝V2 福岡建築紀行 番外編1“こんな所で”

2007年09月30日 11時53分57秒 | Art
 昨晩めでたく我が北海道日本ハムファイターズが、パリーグ2連覇を果たした。次はクライマックスシリーズで日本一を獲得し、やはり2連覇してほしい。
 ということでタイトルに若干の変更を加えた。

 福岡市美術館の2階、中庭には数体の彫像が展示されている。その中の1体は高校の大先輩、佐藤忠良氏のものである。福岡の美術館に、北海道出身の彫刻家の作品が展示されているのを発見し、とても嬉しく感じた。
 佐藤氏の彫刻は生命感に溢れていて素晴らしい。ゆったりと広く緑の豊かな敷地に建てられた良い建築の中で眺めると、その彫刻の良さも更によく分かる。

’07弘前・青森・函館 熱風怒濤 その4“初めて知りました”

2007年08月19日 11時25分23秒 | Art
 青森の設計事務所が発行している建築誌「A haus」は、とても読み応えがあり、かつ上品にして上質の本である。雑誌と呼ぶのも憚られる。そのNo2の特集は「青森・モダニズム残映」である。
 記事の一つに、十和田湖畔に立つ高村光太郎氏の「乙女の像」についてのものが有った。この乙女の像の制作者は勿論高村氏であるが、全体を設計されたのが谷口吉郎氏だというのだ。谷口氏の建築は上野で「東京国立博物館 東洋館」を見たことがあるが、とても落ち着いた雰囲気の心が休まるデザインであった。「この仕事を行えるのは、イサム・ノグチか谷口吉郎以外にはない。」と前川國男氏が述べたとあるが、なるほどと頷ける。

 中学校の修学旅行で訪れて以来、この像を見たのは3度目であったが、谷口氏の設計だと知ったのはこの旅行の最中であった。しかも「A haus」を手に入れたのは、この像を見た後だったので、見た時点ではその事実を知らなかった。先に知っていたとしたら見方が変わったであろうか。純粋に像の素晴らしさを感ずることを忘れたかもしれないので、知らなくて良かったかもしれない。

「乙女の像」
制作者:高村光太郎・谷口吉郎 完成:1953年除幕式 十和田湖畔

’07伊・仏建築紀行 -番外編その15-

2007年08月05日 11時30分51秒 | Art
 バチカン美術館にある「ラオコーン像」が発掘されたのは1506年。発掘現場を訪れたミケランジェロにも大きな影響を与えたという。
 ラオコーンはアテナの怒りを買った親子の像で、ラオコーン自身は両目を潰され、2人の子供は大蛇に殺されてしまう。
 ミケランジェロを感嘆させたこの像は、躍動感に溢れ素晴らしい造形美を見せる。

’07伊・仏建築紀行 -番外編その13-

2007年07月19日 00時49分35秒 | Art
 ミケランジェロによって描かれた、システィーナ礼拝堂の天井画「創世記」を観ることが、数十年来の願いであった。ほとんどの場所で、撮影が許されるバチカン美術館も、システィーナ礼拝堂内は撮影禁止である。そこで珍しくもポスターなどを購入することにした。長さ1m近くある創世記の縦長ポスターを部屋の天井に貼ってみる。「まあ雰囲気だけは楽しめるか」と又丸めて筒の中に仕舞った。

’07伊・仏建築紀行 -番外編その12-

2007年07月16日 08時30分39秒 | Art
 昨年「バチカン美術館」に入ることが出来なかった。事前に調べもせず、日曜日に訪れてしまったのだ。日曜日は“安息日”なので休館するのだろう。但し最終日曜日は入館無料のようだ。
 さて、そんな訳で1年かけて念願を果たすこととなった。お目当てはシスティーナ礼拝堂に描かれたミケランジェロの「創世記」と「最後の審判」、ラファエロの間に描かれたラファエロの「アテナイの学堂」や絵画「キリストの変容」などである。他にもボッティチェリなど巨匠の作品が沢山有ったのだが、本当に時間がいくら有っても足りないとは、このことである。入場して直ぐのこの天井画にしても、素晴らしくて言葉が出なかった。
 今回もトレヴィの泉に硬貨を1枚投げ込んだ。いつかまた。

’07伊・仏建築紀行 -番外編その11-

2007年06月17日 21時03分58秒 | Art
“鶏が先か、卵が先か”
 今日の「新日曜美術館」はコルビュジエの絵画や彫刻にも焦点が当てられていた。以前の記事にも書いたことであるが、コルビュジエの絵画や彫刻の価値は、凡庸な自分には分からない。それこそ建築の巨匠だから有り難がって見るような始末である。

 それでも、「ラ・ロッシュ邸」内壁に描かれているこの壁画は迫力があり素直に“良いな”と思った。吹き抜け2階分の壁を使い、力強く描かれている。赤もインパクトがある。もっとも何が描かれているのか、内容は分からない。

 番組冒頭、「サヴォア邸」の内部が映し出された。おや、あのボロボロのシェーズロングやスリングチェアが無い。まあ、そうだろうなと思う。