北海道で五芒星と言えば言わずと知れた開拓使のマークである。古今東西、五芒星を宗教のマークとして用いることは、よく見られる。この「小樽聖公会」の壁にも五芒星の丸窓が見てとれるのだが、色合いといい、鐘撞堂といい、札幌時計台の雰囲気とどこか似ている。もっとも時計台の五芒星は軒の破風部分に二つ有るのだが。そう言えば、軒のレース飾りも、どちらの建築にも付いている。時計台を意識して建てられたとは思えないが、当時の北海道のバナキュラーだったということだろうか。
「小樽聖公会」
設計者:? 竣工:1907年 北海道小樽市東雲町10−15
2年前、penkou師匠と共に倉本先生の設計された「おばあちゃんち」をニセコに見に行った。前日、倉本先生宅を訪ねた際「道の角に建つ宮田屋珈琲さんも、以前設計した建築で事務所として使っていた」という話を伺った。私の妹は、この建築が事務所だった頃に、模型作りか何かでお手伝いしに行ったそうだ。
現在は、雰囲気の良さそうなカフェとなっている。行かなくてはと思いつつ、延び延びになってしまった。なんとなく外観からも、倉本先生十八番の「四畳半モジュール」で設計されたことが伺える。今年は行かなくては・・・。
「宮田屋珈琲美しが丘店」
設計者:倉本たつひこ 竣工:年 札幌市清田区美しが丘2条1丁目6−7
道東大樹町の「メム メドウズ」で毎年開催されるLIXIL国際建築コンペにおいて、第2回の最優秀賞を受賞した「BARN HOUSE」を掲載する。以前掲載した隈研吾氏の寒冷地実験住宅「メーム(Même)」に隣接して建てられた。「BARN」は馬屋のことで、「人と馬が共に住まう」がコンセプトだ。LIXIL国際建築コンペやその他のホームページから、設計に際しての様々なアイディアやコンセプトを読むことが出来る。実際に建設するとなると、全て実現するのは難しいと思うが、毎年しっかりと建てられるのは凄いことだ。
そもそも、この敷地は「大樹ファーム」という競走馬を育てる牧場だった。その跡地を利用しているので、「馬との共生」をコンセプトの柱としたのは面白い。
窓から内部を覗くと、家具やキッチンなどを確認できた。建築模型も置いてある。コンペ時には外壁に面白い仕掛けがしてあったようだが、模型段階で既に無くなっている。
嘗て道東の帯広から釧路にかけては、あまり降雪が無いイメージであったが、最近は結構積もったりする。こんな低い立ち上りで基礎は大丈夫だろうか。灯油?のタンクも北海道の他の地域では考えられない低さである。
このLIXILの国際学生建築コンペは毎年開催され最優秀賞の作品は、実際に年末までには建設される。前回は2013年の夏に訪れた。今年行ったなら、新しい作品を最低2つは見ることが出来る。頑張って行ってみようかと思う。
「BARN HOUSE」
設計者:慶應義塾大学ラドヴィッチ研究室 竣工:2012年 北海道広尾郡大樹町字芽武158-1
2015年1月1日を迎えました。昨年は様々な出来事が起こり、それもあまり芳しい状況ではなかった為、大変でしたが、負けていられません。そんな状況の時ほど、空元気でも良いので発揮して行きたいと思います。まずは建築探訪です!1月1日の建築探訪ですから「北海道神宮」が良いでしょう。「それは初詣と言わないか?」という指摘は無しでお願いします。ではどうぞ!
続いて本殿です。立派な千木と鰹木が光り輝いています。
この本殿は自分が小学生の頃放火に遭い、その後再建されたものです。
さて、おみくじを引いてみたところ・・・
大吉でした。皆様に大吉パワーをおすそ分けです。
それでは、本年も宜しくお願いいたします。
「北海道神宮」
設計者:? 竣工:1978年(再建) 札幌市中央区宮ケ丘474
北海道内をドライブしていると、はっと目を引かれる教会に出会う。浦臼町に建つ「日本キリスト教聖園教会」もその一つだ。何が特徴なのかと言うと、その形状が嘗て札幌市内に建っていた田上義也氏設計の「日本基督教会北一条教会」を模したものなのである。当の本家は建て替えられてしまった。建て替え後も、設計は田上氏の事務所が担当された。オリジナルは解体されたが、羊が丘展望台に1/2サイズで復元されている。
こちら浦臼町の聖園教会は、細部のディテールこそ違うが雰囲気は似ている。田上式ゴシックとでも言おうか。
松の間から見える教会の雰囲気が良い。
実は先日訪れた紋別へ向かう道すがら、「日本キリスト教遠軽教会」も見た。天候の都合で写真撮影が出来なかった。こちらも田上様式だ。また訪ねる予定があるので、次回は必ず撮影したいと思う。
本年も本日が最後です。皆様有難うございました。来年も相変わらず建築探訪ブログです。
「日本キリスト教聖園教会」
設計者:市村敏英 竣工:1959年 北海道浦臼町第5
擬洋風の佇まいのこの建築は、太平洋戦争前に建築された郵便局であった。角先生の本でも紹介されているが、ペンキを塗り直したくらいで、ほとんどオリジナルなのだそう。
真下からは分からないが、少し離れた場所から見ると、屋根の勾配が四方全て途中で折れている、マンサード屋根であることが分かる。
窓など、所々改修されながら大切に使い続けられている。壁の漢字一文字の看板「舘」×2がとても目を引く。
「コーヒーと食事 舘/旧浦臼郵便局」
設計者:? 竣工:1935年頃 北海道浦臼町第5
ここ数年、地球温暖化の影響による様々なニュースを見たり聞いたりする。冬季、北海道内で多雪地域と言えば道央、空知地方などが思い浮かぶのだが、最近は道東やオホーツクの地域の降雪量が増大しているように思える。「北海道立オホーツク流氷公園あおぞら交流館」の在る紋別市はオホーツク海に面した街だ。
冬の厳しさは札幌以上だと思う。中庭は当然のことながら冬季は使用できない。
しかし、この施設は主に子どもたちが、冬季、屋内で元気に遊べるよう木質構造をふんだんに使用し、大空間を作り上げている。両妻側は全面ガラス張りで、日光を沢山取り入れる。
近年、公的建築物を木質構造で造る動きが盛んである。この施設では遊具も木製だ。
木片のプールなども在る。
訪れた日、多くの子ども達やその親御さん達で賑っていた。イベントなども開催され、地元に愛され活用されている建築なのだと実感した。
「北海道立オホーツク流氷公園あおぞら交流館」
設計者:北海道建設部建築局建築整備課/㈱環境設計 竣工:2009年 北海道紋別市元紋別101
昨日、札幌のテレビ塔横に建つ「札幌北光教会」においてクリスマスチャリティーコンサートが開催された。
第1部はクラッシック、第2部はJAZZやポップスなどを聴くことが出来、お客さんも沢山入ってとても良いコンサートだった。
この「札幌北光教会」は2011年に改修工事が完了し、とても綺麗な建築であった。角部の塔が高くそびえたデザインだ。
エントランスも出来たばかりという感じ。もう3年経っているのだが、とても綺麗。
コンサートも開催出来る大きなホールには、パイプオルガンが設置されている。
最後にJAZZやポップスを演奏中の「紙一重」さんの写真を掲載。
さて、ところでこの「札幌北光教会」の設計者が分からない。教会の方に聞いてくるべきだった。今度また聞きに行ってこようと思う。
「札幌北光教会」
設計者:? 竣工:2011年(改修完了) 札幌市中央区大通西1丁目14
小樽で有名な神社と言えば、まず「住吉神社」であろうか。トップの写真「水天宮」は、国道5号線よりも海寄りに位置し、その敷地から見る海岸線の風景はなかなかのものである。
拝殿と本殿が有り、正面に3つの破風を設けた入母屋屋根を持つ。
ペパーミントグリーンの板金屋根が綺麗だ。
海側から訪れるときは、下の写真「外人坂」から上ってこなければならない。
今回はここを下った。下りで良かったと心底思った次第である。
「水天宮」
設計者:? 竣工:1919年 小樽市相生町3-1
小樽市指定歴史的建造物
現在観光で小樽を訪れる人のほとんどは、運河沿いの観光地に向かうと思う。しかしながら小樽市内には、いたるところに見るべき建築が存在する。例えばトップの写真、「妙見市場」などもそうだ。お気付きだろうか。川の真上に出来た市場である。地面が有って地下水路が作られたのではなく、川の上にかまぼこ型の屋根を持つ建築が建てられたのだ。戦後、樺太などから引き揚げてきた人々が、川の両サイドで商売を始めたことにより出来た市場らしい。嘗ては、写真の川の部分にも建築物が建っていて随分長い市場だったのだが、2棟取り壊されてしまった。
土地には勾配が付いていて、国道5号線に向け、下がって行く形態だ。
かまぼこ型の屋根が良い味を醸し出している。
最上流から撮った写真。川の上に建っている。
現在も店子の数が減っているようで、ちょっと寂しい気持ちになってしまった。
「妙見市場」
設計者:? 竣工:?年 小樽市花園2丁目11−1
北大名誉教授の角先生の建築探訪シリーズを持って、建築探訪に出かける機会が多い。「旭川と道北の建築探訪」は2000年の発行で、発売されてから既に14年が経っている。現存する建築を訪ねると、外壁や屋根など改修工事を行ったものも多く在って、それらを確認するのも楽しい。改修工事を行ったということは、暫くは大切に使われるだろうと予想出来るからだ。
トップの写真「尾花商店・石蔵」も屋根板金の色や形状が、角先生の本に掲載された写真とは違っている。
札幌軟石(石山軟石)を使用した石蔵の屋根も改修されていた。
大正15年の大火の際、この石蔵だけが焼け残り、その後資金に余裕がある場合、石造の店舗にしたとのこと。角先生の本の写真では、店舗と石蔵の屋根の色が違っていた。現在は統一され、一体感が強くなっている。
「尾花商店・石蔵」
設計者:? 竣工:昭和初期(店舗)・1923年(石蔵) 北海道浦臼町第6
コンペによって設計者が決定した「北海道立文学館」は、もうすぐ竣工20年を迎える。過去に何度かクラッシックギターの師である、宮下先生のコンサートを聴きに行った。そのコンサートは何処で開催されるかというと、下の写真にあるように地下の空間である。
地下と言っても、壁の1面は巨大なガラス開口部であるし、その外部は半円形の野外劇場となっていて解放感十分だ。エントランスは当然だがGLに有り、すぐに階段を下りる動線で、展示スペースも地下に在る。この日は「ムーミンの世界展」最終日であった。
巨大なガラスの開口部側は、曲線でデザインされており、音楽や演劇の野外ライブを観たくなる。しまった、野外ステージを撮影し忘れた。なんという不覚!
「北海道立文学館」
設計者:北海道建築設計監理㈱ 竣工:1994年 札幌市中央区中島公園1-4
北海道内で温暖な気候の地域を挙げる際、真っ先に出てくる地名白老(しらおい)に在る「アイヌ民族博物館」通称ポロトコタンにpenkou師匠をお連れした。隣の苫小牧市を見たいとの御所望だったのだが、苫小牧市街では特別に観光するスポットを思いだせなかった為、少しだけ足を延ばした。この博物館は展示物を公開する現代建築と、アイヌのコタン(村)を再現した建築群で構成されている。
こちらの資料展示の為の建築内では、この日から「共生の世界へ 松浦武四郎とその時代展」がスタートしていた。
トップの写真が再現されたアイヌ民族の民家群で、それぞれの家に「サウンチセ(手前の家)」、「オトゥタヌチセ(次の家)」という名称が付けられている。
特徴としては、壁の下部が末広がりの形状をしている。これは屋根組を組んだ後に四隅に柱を縛り付け、一気に屋根組を持ち上げるという施工方法から表われた特徴である。このチセの研究を修士時代の同級生S君が行っており、彼は博士号取得に向け、更に研究を深めている。
アイヌの集落では「プ」と呼ばれる食品庫と、祭事時に神へ返す羆を捕えておく檻を見ることが出来る。
左が羆用の檻、右が「プ」である。この博物館では、多くの資料が再現されている。
「アイヌ民族博物館(通称ポロトコタン)」
北海道白老郡白老町若草町2−3−4
栗山町の駅舎は面白いデザインである。外壁材は鋼板なのだが、基壇のように見える部分には煉瓦を用いている。
駅舎とカルチャープラザによる建築だ。
「栗山駅・くりやまカルチャープラザEki」
設計者:TAU設計工房 竣工:2000年 北海道栗山町錦4丁目
札幌軟石の産地として有名な石山。その石山に建つ、札幌軟石使用の有名な建築と言えばこの「旧石山郵便局/ぽすとかん」だ。入り口のアーチがまるでヨーロッパのロマネスク建築のようだ。現在は展示や会合などのフリースペースとして使用されている。こじんまりとした小さな建築だが、さっぽろ・ふるさと文化百選にも選ばれたように魅力が有る。
「旧石山郵便局/ぽすとかん」
設計者:? 竣工:1940年 札幌市南区石山2条3丁目1-26
さっぽろ・ふるさと文化百選