人狼プレイ目録

人狼物語~月狼国~に関しての記事や、長期人狼をプレイした中で思ったことを纏めてます。

コラム「心の理論」

2019-06-11 16:20:22 | コラム
長期人狼をやっている中で「他者の発言が理解できない」という場合、多くの原因が考えられます。
その中の一つ「他者の視点に立って考えられない」というケースについて、掘り下げてみます。

***

以下の状況を考えてみてください。

AさんとBさんが一緒にお菓子を買ってきました。
二人はそれを棚にしまった。
Aさんが席を外している間に、Bさんは気を利かせて、お菓子を冷蔵庫へと移してくれました。

さて。戻ってきたAさんは、お菓子を食べようとして、どうするでしょう。

***

状況を考えれば、それほど難しくはない質問です。
Aさんは、Bさんがお菓子を冷蔵庫に移したことを知らない。
よって、棚を開けようとします。

この「棚を開ける」という回答は、真実の「お菓子は冷蔵庫にある」とは違った答えです。
でも、Aさんの立場になって考えた場合は、これが自然な流れです。

この質問を子供に投げかけた場合。
4~5歳くらいの子供だと「冷蔵庫」と答えることが多いようです。
Aさんが何を知っているかを整理できず、自分が知っている”真実”に思考が直結してしまうためです。

こういった、他者の視点に立って物事を整理し、相手が何を知っているかを想定して考える能力を「心の理論」と言います。
心の理論が未発達な子供は、相手の立場で物事を考えることが出来ないために、真実をそのまま答えてしまうことが多いようです。

この心の理論、何も上記のように簡単な話ばかりではありません。

①灰Aはあんなに白いのに、なんでBはそれが理解できないんだ?

灰Aが白いというのは、視点主の主観になります。
もし灰AがBのことを強く疑っていたら?
Bから見て、Aが自分を吊りに来ている人狼に見えているのかもしれません。

②灰Cはあんなに頼りになるのに、どうしてまとめのDは灰Cが信用ならないと言っているのだろう

灰Cが頼りになるからこそ、まとめをしているDの立場からは、自分のするべき仕事にまで足を踏み入れられていると感じているのかもしれません。
自分というまとめ役がありながら、村を自身の望む方へと誘導しているように感じているのかも。

等々。
上記であげた「灰Aはあんなに白いのに」「灰Cはあんなに頼りになるのに」これはどちらも発言主の主観によるものです。

他者が自分と同じことを考えているとは限らない。
相手がどういう立場であるか。
相手が何を見て、何を感じているか。
それらを一度じっくりと読み込んでみてください。

心の理論の例であげた状況のように、わかりやすくはありません。
それでも「相手が何から判断して、その結論に至っているか」を考えてみることで、相手の思考を理解出来るかもしれません。




参考文献:岡本真一郎著「悪意の心理学」
発行・中公新書



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ここからは余談になります。
人狼をやっていて、真実を言いすぎてしまう人が結構多く見られます。

白い村人を疑えない。
つい仲間に疑いを向けてしまう。

これは「自分が狼だとバレた時に、仲間に疑いが向かないようにしよう」というライン切りの為の意識もある程度は働いているのでしょうが、それと別に「白と知っている村人を疑えない」というケースも多いようです。

また、自分(達)が人狼であると、必要以上に意識してしまう。
安全域にいるにも関わらず、必要以上に疑われていると感じてしまう。
疑われた時のことを意識してしまう。
こういった「実際以上に”他者が気付いているのではないか”と感じてしまう」ことを「透明性錯覚」と言います。

狼をやっていて、必要以上に弱気になってしまう。
そういう人を見ると、とても勿体ないなぁと感じてしまうのです。

村側達は、真実を知らない。
だからこそ、悩みもすれば、迷走もします。
狼達が思う以上に、村人達も色々と考えるものです。

自分で自分を追い込んでしまわないように。
勝手に負けムードになってしまわぬように。
気の持ちようで変わる部分もあります。

真実を意識しすぎて、あえて自分達から苦しい道を進んでしまわぬように。
がんばれ、狼たち。



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