2018年12月28日(金)
地域の防犯団体の広報誌に、警察署からの呼びかけが載っていた。
「新手の詐欺に注意!!」と。
これまで、架空請求の手口として、葉書を送りつけて来たけれど、
封書で送って来るようになったと・・!!
以前、洋裁の先生のところに、架空請求葉書が届いた時、
「本物なら、封書で来るはず」と、言っていた。
詐欺師も、そこに気づいて、詐欺師的進化を遂げたのだろう。
本当にイヤだよね。
時は、年末。来年の目標とかも、ちらっと心を掠めるけれど、
「怪我をしない」「詐欺に遭わない」「交通事故を起こさない」・・・(^^;)
これだけでは、なんだから、
「健康♪」「友達と仲良く」「ダンスの競技会、頑張る~!」も、入れて、
バランスを取ろう。
自分ばかりでは無く、「周りと助け合う」も大事。
今は、その「周り」、「広い周り」じゃなくて、本当に身近な
友人とか、サークル仲間になっているけれど、これは、年齢相応ということで・・。(^^)
さて、今日は、一日、籠っていたので、その「詐欺」と「ダンス」に
纏わるエッセイを・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「囁き声」
今日は、日曜日のダンスの自主練会で、私は、隣りのA市のいつもの公民館へ行った。
ホールで、ペアを組んでいるA氏と一緒にいるところへ、B氏が、
「暑いよね~」と、言いながら、寄って来て、
「見て、見て。昨日の花火大会」と、スマホで花火の動画を見せてくれた。
B氏は、近隣のB市に住んでいて、そこの河原での花火大会だそうで、
画面には、次々と上がる打ち上げ花火が、咲いている。
公民館の近くに住んでいるA氏が、
「ああ、ここだったんですか。昨日の夜、ボンボン音がして、外に出て見たけれど、
音だけで、花火は、見えなかったんですよ」
と、画面を見ながら言う。
そうか、昨夜、うちから見えた花火は、ここの花火だったのか。
「うち、ベランダから、見えましたよ~。綺麗だったわねえ。こんな風な仕掛け花火は、
見えなかったなあ。上の方に開く花火は、見えたわ。沢山、上がったわよねえ」
と、私も一緒に、花火談義を続けた。
おしゃべりが、和やかに流れる中、なんだか、私の心の中で囁く声がする。
〈うちのベランダは、南東向きだよね。B市は、うちから、西の方向だけれど……〉
〈A氏の家からだと、二つ先の市。そんなに離れていて、そんなに大きな音が響くかな〉
だが、かすかな声は、私たちの大きな笑い声に紛れ、私の心をす~っと掠めて通り過ぎていった。
マンションの部屋に戻ると、リビングダイニングの前のベランダに出てみた。
正面が、さっきのA市の公民館の方向。これでは、どう首を右へ伸ばしたって、
西の方向は、見えない。
昨日の花火は、南の空に上がっていた。ということは、どういうこと?
昨夜、うちのマンションの南の方向と西の方向で、二つの花火大会があったんだ!
そういえば、土曜日の帰り道の途中で、そこの辺りの町会が、夏祭りの仕度をしていたじゃないの!
そこの花火大会なら、A氏のお宅まで音が響いても、おかしくなさそう。
そういうことかと、納得したが、心は、ざわざわする。
〈せっかくのお助け舟の囁き声を無駄にしてしまった〉
さらに、話に流され、勘違いしてしまった花火の話は、すぐ、
〈オレオレ詐欺に騙されるって、こうなんだろうなあ〉と、日頃の自信をぐらりと揺する。
電話口から、滑らかに、強かに流れてくる、息子らしき声。
息子の身が心配という一筋の隘路に導かれていく、私の母心。
何かがおかしいという私の心の奥からの囁き声。
でも、それをスルーし、
立ち止まることなく、駆け出してしまう私。
にやりと笑う偽の息子の冷酷な顔まで、目に見えるようだ。
「ストップ 詐欺被害」といったテレビ番組は、良く見ている。
つぎつぎと紹介されている最新の手口も、友人たちと話合っている。
〈でも、流れに吸い寄せられてしまったら、あなた、脆いかもね〉
囁き声が、ひんやりと告げる中、私は、昨夜の花火が見えていた南の方向に広がる
空っぽな青空をしみじみと見上げた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
このエッセイ、残念ながら、例会の合評では、「分かりにくい」と、
評判が良くなかった。でも、先生だけが、
「ちょっとしたことが気になり始めると、いつまでも、それにとらわれてしまう
ことが、よくあるものだ。その「ほんのちょっとしたこと」を題材にして、
それを「おれおれ詐欺」にまで発展させたところが、良かった」
と、褒めて下さったんだ~♪
すごく嬉しかったから、夏の物だけれど、今年最後のエッセイとして、載せました~(^^)v
地域の防犯団体の広報誌に、警察署からの呼びかけが載っていた。
「新手の詐欺に注意!!」と。
これまで、架空請求の手口として、葉書を送りつけて来たけれど、
封書で送って来るようになったと・・!!
以前、洋裁の先生のところに、架空請求葉書が届いた時、
「本物なら、封書で来るはず」と、言っていた。
詐欺師も、そこに気づいて、詐欺師的進化を遂げたのだろう。
本当にイヤだよね。
時は、年末。来年の目標とかも、ちらっと心を掠めるけれど、
「怪我をしない」「詐欺に遭わない」「交通事故を起こさない」・・・(^^;)
これだけでは、なんだから、
「健康♪」「友達と仲良く」「ダンスの競技会、頑張る~!」も、入れて、
バランスを取ろう。
自分ばかりでは無く、「周りと助け合う」も大事。
今は、その「周り」、「広い周り」じゃなくて、本当に身近な
友人とか、サークル仲間になっているけれど、これは、年齢相応ということで・・。(^^)
さて、今日は、一日、籠っていたので、その「詐欺」と「ダンス」に
纏わるエッセイを・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「囁き声」
今日は、日曜日のダンスの自主練会で、私は、隣りのA市のいつもの公民館へ行った。
ホールで、ペアを組んでいるA氏と一緒にいるところへ、B氏が、
「暑いよね~」と、言いながら、寄って来て、
「見て、見て。昨日の花火大会」と、スマホで花火の動画を見せてくれた。
B氏は、近隣のB市に住んでいて、そこの河原での花火大会だそうで、
画面には、次々と上がる打ち上げ花火が、咲いている。
公民館の近くに住んでいるA氏が、
「ああ、ここだったんですか。昨日の夜、ボンボン音がして、外に出て見たけれど、
音だけで、花火は、見えなかったんですよ」
と、画面を見ながら言う。
そうか、昨夜、うちから見えた花火は、ここの花火だったのか。
「うち、ベランダから、見えましたよ~。綺麗だったわねえ。こんな風な仕掛け花火は、
見えなかったなあ。上の方に開く花火は、見えたわ。沢山、上がったわよねえ」
と、私も一緒に、花火談義を続けた。
おしゃべりが、和やかに流れる中、なんだか、私の心の中で囁く声がする。
〈うちのベランダは、南東向きだよね。B市は、うちから、西の方向だけれど……〉
〈A氏の家からだと、二つ先の市。そんなに離れていて、そんなに大きな音が響くかな〉
だが、かすかな声は、私たちの大きな笑い声に紛れ、私の心をす~っと掠めて通り過ぎていった。
マンションの部屋に戻ると、リビングダイニングの前のベランダに出てみた。
正面が、さっきのA市の公民館の方向。これでは、どう首を右へ伸ばしたって、
西の方向は、見えない。
昨日の花火は、南の空に上がっていた。ということは、どういうこと?
昨夜、うちのマンションの南の方向と西の方向で、二つの花火大会があったんだ!
そういえば、土曜日の帰り道の途中で、そこの辺りの町会が、夏祭りの仕度をしていたじゃないの!
そこの花火大会なら、A氏のお宅まで音が響いても、おかしくなさそう。
そういうことかと、納得したが、心は、ざわざわする。
〈せっかくのお助け舟の囁き声を無駄にしてしまった〉
さらに、話に流され、勘違いしてしまった花火の話は、すぐ、
〈オレオレ詐欺に騙されるって、こうなんだろうなあ〉と、日頃の自信をぐらりと揺する。
電話口から、滑らかに、強かに流れてくる、息子らしき声。
息子の身が心配という一筋の隘路に導かれていく、私の母心。
何かがおかしいという私の心の奥からの囁き声。
でも、それをスルーし、
立ち止まることなく、駆け出してしまう私。
にやりと笑う偽の息子の冷酷な顔まで、目に見えるようだ。
「ストップ 詐欺被害」といったテレビ番組は、良く見ている。
つぎつぎと紹介されている最新の手口も、友人たちと話合っている。
〈でも、流れに吸い寄せられてしまったら、あなた、脆いかもね〉
囁き声が、ひんやりと告げる中、私は、昨夜の花火が見えていた南の方向に広がる
空っぽな青空をしみじみと見上げた。
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このエッセイ、残念ながら、例会の合評では、「分かりにくい」と、
評判が良くなかった。でも、先生だけが、
「ちょっとしたことが気になり始めると、いつまでも、それにとらわれてしまう
ことが、よくあるものだ。その「ほんのちょっとしたこと」を題材にして、
それを「おれおれ詐欺」にまで発展させたところが、良かった」
と、褒めて下さったんだ~♪
すごく嬉しかったから、夏の物だけれど、今年最後のエッセイとして、載せました~(^^)v