風韻坊ブログ

アントロポゾフィーから子ども時代の原点へ。

アントロポゾフィーから自分主義へ

2011-07-02 02:29:33 | 隠された科学
2年ぶりの更新です。

これから1年くらい、ーまずは1ヶ月くらい、できるだけ定期的に更新して行こうと思います。
一つの目標は、今月の後半に予定している「隠された科学と陰陽五行説」という夜間の連続講座です。

ぼくはシュタイナーの『神秘学概論』という本は、
日本語で表現した場合、「隠された科学」という言い方をしたほうが、
その本来の意味が伝わると考えているのですが、

ぼく自身が「隠された科学」として理解しているアントロポゾフィーを、
一度、自分のことばでしっかり語ってみようと考えました。

そして、講座の最後の2コマで、
自分のアントロポゾフィー理解をもって、
どこまで東洋の陰陽五行の考え方に迫ることができるか、
まずは自分自身のために見てみたいと考えています。

この夜間の連続講座は、
ぼくにとって、これまでで一番の挑戦になると思います。
そこで、なぜ自分がそのようなことを試みようと思ったのか、
また、どういうことをそこで語ろうと思っているのか、

いわば講座への準備として、
自分自身のためにも、これからノートのようにして、
このブログに綴ってみたいと考えました。

最初に書きたいのは、ぼくにとって本当のところ、
アントロポゾフィーは「自分主義」だ、ということです。

以前、NHKの番組で、作家の梁石日さんが、
「これからは既存の思想ではない、新しい思想がもとめられているが、
それは~主義というようなイデオロギーではなく、
一人ひとりが発達させる自分の思想、
しいて言えば、《自分主義》とでもいえるようなものだろう」
というようなことを語っておられました。
(もし間違って理解していたら申し訳ないのですが、ぼくはそのように理解したわけです。)

このことばを聞いたとき、
ああ、シュタイナーが目指していたのは、そういう「自分主義」だったのではないか、と思いました。

そして、シュタイナーが「ゲーテ主義」にこだわった意味、
アントロポゾフィーはゲーテ主義だと言った意味も理解できた気がしたのです。

今、シュタイナーのゲーテ主義といえば、
ゲーテが独自に探究した自然科学のことと思われがちですが、

それだけではなく、
シュタイナーの講演をよく読むと(たとえば「歴史兆候学」など)、
彼にとって「ゲーテ主義」は、
「社会主義」と対をなす「個人主義」を意味していたことがわかります。

ゲーテの考え方の基本は、
つねに全体と個、普遍と個別の両方を視野に入れつつ、
ひたすら「個」(Individuum)の意味を探っていくことであったように思います。

シュタイナーはおよそ100年くらい昔の人で、
その当時、自分主義などといっても通じるわけはなく、

だから、「個」がもつ普遍的価値を徹底してみようとした
ゲーテの名前を掲げることで、

そこに、一人ひとりが自分の目をもち、自分で考え、
自分自身の思想を発展させていくことの意味を込めたのではないかと。

しかし、そのようなアントロポゾフィーも、
アントロポゾフィーという名前が固定化することによって、
やはりひとつの思想的立場に固まってしまう。

ぼくは、自分のアントロポゾフィーの立場(アントロポゾーフとしての立場)を
「風韻坊」と言い表そうとしているのですが、それは
本来、アントロポゾフィーは、一人ひとりの自分主義なのだから、
自分で自分のアントロポゾフィーに名前を付けてもよいのだ、
ということを言いたいからでもあります。

それでは、アントロポゾフィーは何でもありなのか、
ただの相対主義なのか、というと、そうではない。

アントロポゾフィーには、絶対に譲れないところ、
それを手放したら、もはやそれはアントロポゾフィーではない、といえることがある。
それは、たとえば、一人ひとりが自分の思想(自分主義)をもつことを否定するようなこと。
それはアントロポゾフィーとは相容れない。

アントロポゾフィーは何を守ろうとしているのか、
何を支えようとしているのか、

それを自分なりのことばで、自分自身のために捉え直してみること、
そして、東洋の陰陽五行の考え方に目を向けることで、
ぼく自身が学び理解したと思っているアントロポゾフィーは、
そこに何を見いだすのかを、自分で見てみようとすること、
それが今回の試みです。

日本でアントロポゾフィーにかかわっている人間が、
そういう試みに取り組むことが、
今の状況のなかでは意味があるのではないかと思っています。

そんなことを、これからしばらく書いていきます。
もしお付き合いいただけたら、幸いです。


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5 コメント

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Unknown (諏訪耕志)
2011-07-02 23:21:54
こんばんは。カイさん、お元気でいらっしゃいますか。
カイさんのこのブログ、
これまでもずっと学ばせてもらっていましたので、
再開されましたこと、とても嬉しく思っています。

今年のゴールデンウィーク、
カイさんの長い年月にわたって積み重ねてこられたであろう「考え」から生まれでる本当に深みのある講義に、
わたしはこころざしを新たにすることができました。

この夏の連続講義、
受けることができるなら、ぜひと思っています。
返信する
Unknown (shoko)
2011-07-04 03:17:39
秘儀という言葉に恐怖を感じてました。
怒りも感じていたかも知れません、自分の問題で。
最近恐怖が溶け出して、ある秘儀について、正面から向き合おうと思っていました。
正面から向き合ったとき、純粋に問いが湧きました。
なぜ、秘密にしたのか。
悪事ならば、すべてをもみ消すはず。
だから、なにも残さない。
秘密にするのは、大切なことだからで、
それを知る人側への配慮だったら?・・・・
親が小さな子供に隠すときは、大抵は子供のへの配慮から・・・?
などと、思っていた矢先に、kaiさんのブログが再会されていました。
自分が自分で蓋をしたモノを解放するときが来たように思いました。
何に恐怖をしていたのか?
本当は大切なモノなのに。そう感します。
kaiさんのブログを読む内に見える気がしています。
抑圧という重いマンホールの蓋を開けるときが来たようです。
いつも、タイミングよく光で照らして下さっているように感じています。私事ですが......。
感謝します。そして、楽しみにしています。
返信する
おかえりなさいませ (Dariahrose)
2011-07-05 01:22:21
今日は、ありがとうございました。

内容を私なりに要約してmixiにアップしましたところ、
「さすが、一線違うね!」
と、感想を頂きました。
あの後、帰られて、直ぐ戻られると聞きました。お疲れ様です。

他の先生方が、
「いつも体調を崩してますから‥」
と、おっしゃってました‥。

でも、今日は、お元気そうだったので少し安心致しました。

ところで、
私は、これまで、シュタイナーの考え方はとてもアジア的だと感じておりました。

もしかしたら、それは私は生粋の日本人ですが、近親者は修道女や、藤沢に教会を生涯、開いていた者などキリスト教関係者が多いからかも知れませんね。神奈川在住のおりには、叔母の住む教会のマリードロローサを歩いた記憶があります。
幼い頃からキリスト教に、かなり影響されながら育った目線から東洋の思想もシュタイナー思想も理解しておりますので、そう感じるのかも知れません。(中には、スウェーデン・ボルグのオカルト・神秘主義に人生を捧げた者もおります。しばらく、その方について勉強していたのですが。すみません、余談でした。)

是非、講演でお話しになる内容を少しでも、こちらにアップして頂けると嬉しいです。私は、東京へ連日訪れる事は出来ません。でも、先生にとって、今一番大切な事や伝えたい事は理解していたいです。先生のファンクラブ代表としても♪(ジョークです)


いずれにしても、楽しみにしております。
m(_ _)m
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五行は知らないので (森 章吾)
2011-08-07 10:00:20
いろいろ教えて下さい。

3日まで、武蔵嵐山で「神秘学概論」の合宿セミナーを5日間やりました。
この本の「宇宙進化」について、時間をかけて取り組んだ人はそう多くはないので、意見交換ができたら嬉しいです。
返信する
本の感想 (てつ)
2011-09-27 18:27:42
入間カイ様
「これからのシュタイナー幼児教育」を読み、感想をお伝えしたく、この場所をお借りしました。

私は自立してから、親や学校やまわりの環境が自分に与えた自分の基礎をもって社会と接し、自分で自分を再教育(?)しつづけている、そんな人間です。

芸術でも物づくりでも企業家でも、どんな分野でも深い示唆を与えてくれる人につねに魅かれ、そこから学んでいます。

それはいつも言葉ではなく、体をともなう体験や音楽などの感覚を介したものも大きく、逆に言えばなんらか自分がやってみる、身を置いてみることが私にはどうも必要なのだなあ、という感じです。

入間さんの本はシュタイナー教育についてでしたが、私には誰かが考えたよい考えを守ることよりは自分の頭で考えることを強くもっていらっしゃるように感じられたので、部外者を承知で感想をお伝えしたい、と思いました。

幼児教育というのは、非常に興味があります。体と言葉がまだつながっている、遊びと生活が密接である、そんな部分がです。

それから、私はドイツ語の通訳をしていたので(オーストリアですが)、そんなつながりからも入間さんのやっていらっしゃることに関心をもちました。

シュタイナー教育を学ぶ、かは分かりませんが、入間さんの講演なり何か接する機会があれば、と思っています。
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