僕の好きな、河合隼雄さんは、
ウソつきクラブの会長、元文化庁長官、そして心理療法の第一人者だ。
この心理療法の仕事のことを
「宗教と同じようなことですね」と言われることがあるとかー。
どう答えたらいいかわからない、とおっしゃる。
非科学的でもインチキでもないし、それほど有り難いことをしているとも思わないーと。
「私は悟りなどとは無縁の人間だ」とー。
しかし、著作の中で、“嘆きの谷”のことに触れられている。
旧約聖書の詩篇八十四だ。
氏は聖書についてお詳しい。
精神とたましいの違いを、
山の頂上と、谷の比喩を用いて説明して下さる。
高く明るく、遠くを見渡せる頂上は、精神。
低く暗く見通しの悪い谷は‥‥嘆きの谷‥‥涙の谷、たましい、と。
太宰治も、「桜桃」の冒頭で、
「われ、山にむかいて、目を挙ぐ」と書いている。
これも詩篇だ。
主人公に妻が答える。
「1番汗をかくのは、この、お乳とお乳のあいだに、……涙の谷……です。」
太宰も河合さんも、聖書を読みながら、
たましいと嘆きの谷のことを考えていたのだろうか‥‥。
ウソつきクラブの会長、元文化庁長官、そして心理療法の第一人者だ。
この心理療法の仕事のことを
「宗教と同じようなことですね」と言われることがあるとかー。
どう答えたらいいかわからない、とおっしゃる。
非科学的でもインチキでもないし、それほど有り難いことをしているとも思わないーと。
「私は悟りなどとは無縁の人間だ」とー。
しかし、著作の中で、“嘆きの谷”のことに触れられている。
旧約聖書の詩篇八十四だ。
氏は聖書についてお詳しい。
精神とたましいの違いを、
山の頂上と、谷の比喩を用いて説明して下さる。
高く明るく、遠くを見渡せる頂上は、精神。
低く暗く見通しの悪い谷は‥‥嘆きの谷‥‥涙の谷、たましい、と。
太宰治も、「桜桃」の冒頭で、
「われ、山にむかいて、目を挙ぐ」と書いている。
これも詩篇だ。
主人公に妻が答える。
「1番汗をかくのは、この、お乳とお乳のあいだに、……涙の谷……です。」
太宰も河合さんも、聖書を読みながら、
たましいと嘆きの谷のことを考えていたのだろうか‥‥。