映画に 乾杯! / 知の彷徨者(さまよいびと)

名作映画に描かれている人物、物語、事件、時代背景などについて思いをめぐらせ、社会史的な視点で考察します。

陪審評決は金で買え! その2

2012-05-26 17:24:36 | 現代アメリカ社会
 脅迫や買収などによる陪審員評決の操作の作戦を妨害されたランキン・フィッチは、陪審員団のなかで画策するニコラスの正体をつかもうとする。IT専門家や調査員たちはあらゆる情報をたぐり、しだいにニコラスの来歴や出身地の情報に近づいていった。一方で、マーリーの排除=抹殺をねらったが失敗した。結局、1500万ドルを送金して、陪審評決を金で買うことにした。 . . . 本文を読む

陪審評決は金で買え!

2012-05-20 16:23:05 | 現代アメリカ社会
 ルイジアナ州ニュウオーリーンズの金融街で銃乱射事件が起きた。1人の被害者の妻が、銃を無際限・無節操に流通させている銃メイカーを相手取って過失責任の民事賠償を請求する訴訟を起こした。代理人は市民派弁護士のウェンドール・ローアー。ところが、銃製造会社(とその団体)は巨額を投じて有力ローファームと陪審コンサルタントを雇い、盗聴や脅迫などあらゆる手を使って陪審評決を操作しようと画策した。彼らのスローガンは「陪審評決は金で買い取る!」だった。 . . . 本文を読む

殺し屋は狂言回し

2012-04-15 16:07:52 | 現代アメリカ社会
 犯罪者の世界を描いてはいるが、しゃれた「大人のファンタジー」。狂言回し役は、なんと凄腕の殺し屋。しかも、この殺し屋は律儀な倫理観を持つモラリストで、悪党しか殺さないと嘯く。そのうえ、大の映画フリーク。古典的差気品の世界に浸りきって生きている。殺し屋が捕まえた標的は、けちな文書偽造犯だった。が、過去に略奪された巨額のダイアモンドを捜していた。その、盗まれた宝石探しをめぐる奇妙な物語が描かれていく。 . . . 本文を読む

辺境化するアメリカ  雑感・思索メモ 14

2012-02-04 13:59:43 | 現代アメリカ社会
 連日、アメリカ合衆国の次期大統領選挙の共和党大統領候補者戦について報道されている。愚かというにも届かないほどに、馬鹿げた、無分別で無思慮の政治策謀戦だ。こんな次元の低いイデオロギーが席巻している国家に、日本はいつまでも追従していていいのか? . . . 本文を読む

プルーフ・オブ・マイ・ライフ

2011-06-05 16:34:41 | 現代アメリカ社会
 「家族の絆を考える」というテーマで観る映画作品の2つめ。今回は、家族の絆を、自分が受け継いだ才能に見出し、見失っていた人生の目標=夢をふたたび探り始める物語だ。  父親から天才的な数学の才能を受け継いだ若い娘が、精神病を患う父の老衰を見かねて、数学研究という自分の夢を諦めて看病・介護に献身する。だが、父親は死去する。彼女は、見失っていた自分の人生の目標=夢を取り戻そうと苦悩する。そのとき偶然、彼女の才能を評価できる若者が現れた。 . . . 本文を読む

はぐれ者(少年少女)たちの冒険

2011-05-04 16:23:22 | 現代アメリカ社会
 どういうわけか、ちょっとした冒険物語の主人公たちには、「はぐれ者」が多い。とりわけ少年少女の冒険ものでは。事故や災害に遭遇して「世の中からかぐれた気分」になったり、「落ちこぼれ」というレッテルを貼られたりして、自分のアイデンティティを探すために冒険に乗り出すのだろうか。 . . . 本文を読む

ニュウヨークの法秩序を支える者たち

2011-04-16 16:02:30 | 現代アメリカ社会
 《Law & Order》は、アメリカの刑事司法の断面をクールな切り口で語る、秀逸なテレヴィドラマ。警察による犯罪捜査と検察による訴追・法廷闘争を、冷静で抑制された語り口で描く。派手なアクションやヴァイオレンスはない。しかし、穏やかな事件記者の目で、犯罪捜査と刑事訴訟というアリーナにおいて、現代アメリカが抱える多様な社会問題を分析する手法は、高く評価されている。 . . . 本文を読む

越境――市民権と国民国家の障壁

2011-03-06 16:20:01 | 現代アメリカ社会
 映画〈ターミナル〉は、東欧からの旅行者が国家の障壁の隙間に落ち込んでしまう物語だった。今度は「不法移民」の立場から、どれほど厳しく国民国家の障壁が立ちはだかるのかを描いた作品を考察してみよう。豊かさや成功のチャンスを求めて国境を超える人びとの動きは、国境と国籍=市民権という制度によって規制され制限される。富と権力を担っている企業の国境を超えた活動は、促進され保護されるけれども、貧しい民衆の「越境」には、厳しい国民国家の監視や統制が介入している。 . . . 本文を読む

「国家と国家の法」の隙間の落とし穴

2011-01-01 16:04:08 | 現代アメリカ社会
 おススメ短信から「格上げ」して本格的な記事として扱います。東欧のクラコウジアから旅客機でニュウヨークに着いたヴィクトル・ノヴォルスキーは、空港ターミナルで「足止め」を食らった。本国でクーデタが起きて政権が倒れたためだ。レジーム崩壊によってアメリカとの正式な外交関係を失ったクラコウジアからの旅行者は、市民権喪失の状況に陥った。外交関係のない本国に送還されることもできない。ターミナルビルに数か月間閉じ込められたまま、ヴィクトルはしたたかに生き延びるために知恵を絞り、マイペイスで「孤軍奮闘」する。 . . . 本文を読む

奇妙な銀行強盗

2010-12-19 15:24:58 | 現代アメリカ社会
 ニュウヨークのマンハッタンで奇妙な銀行強盗事件が起きた。襲われたのは、マンハッタン信託銀行の53番支店。武装した4人のグループが銀行に侵入して、なかにいた銀行職員や警備員、客など約40人を人質にして立てこもった。ニュウヨーク市警はフレイジャーを事件担当の指揮官に強盗団との交渉を始めた。ところが、この強盗団は何から何まで計算つくしていて、警察側の行動をすべてつかんでいた。 . . . 本文を読む

元妻と元夫、それぞれの言い分

2010-04-01 21:10:47 | 現代アメリカ社会
 テッド・クレイマーは家庭のことをすべて妻のジョアンナに任せきりで、大手広告代理店で朝から深夜まで働いていた。もとはキャリア志向だったジョアンナは家庭にこもりきりでいるうちに精神的に追い詰められて落ち込み、愛息ビリーを置いて家を出てしまった。やがて離婚を申し立てた。テッドは家事と育児にてんてこ舞い。仕事に没頭できずに会社を辞めるしかなくなった。しかも、ジョアンナはビリーの養育権をめぐって裁判に訴えてきた。 . . . 本文を読む

人は見かけによらぬもの

2009-12-31 10:53:51 | 現代アメリカ社会
 「人は見かけによらないもの」という格言を地で行く物語が、「エリン・ブロコヴィッチ」。胸もあらわなシャツと超ミニスカート。軽薄で遊び好きな若い女性…という格好のエリン・ブロコヴィッチは、2回の離婚歴をもつシングルマザー。3人の子持ちで、失業中。自動車事故の裁判で知り合った弁護士の事務所に乗り込んで、強引に事務員として居座ってしまった。彼女は、大企業が引き起こした大規模な環境汚染と住民健康問題を掘り当てた。 . . . 本文を読む

遺産と兄弟の絆と

2009-08-03 20:46:16 | 現代アメリカ社会
 16歳で家を飛び出し、「人生の目標は金儲け」と割り切って生きてきたチャーリー。彼にとって、他人とは、自分の利益のために利用する「手段」でしかない。だが、ビズネスはピンチに陥った。おりしも資産家の父親が死んだ。遺産相続を期待したが、父親の遺言で、遺産のほとんどは「匿名の受益者」の信託基金になってしまった。受益者は、会った記憶もない「兄」だった。兄は「自閉症」だということで、精神障害者の療護施設にいた。 . . . 本文を読む

極大射程――ペンタゴンの闇の副業

2009-07-17 21:29:30 | 現代アメリカ社会
 ペンシルヴェニア州フィラデルフィアで遊説中の大統領が狙撃された。1.6kmを超える射程からの銃撃で、銃弾は大統領を逸れて、エティオピアの大司教の頭部に命中。その直後、アメリカ海兵隊狙撃手、ボブ・リー・スワガーが容疑者として手配された。容疑者は警官に撃たれて重傷を負っているという。彼はFBIの若手捜査官を襲って銃と車を奪って逃げた。容疑者は陰謀の罠にはめられのだ。やがて、ボブは謀略の首謀者たちに反撃を開始した。 . . . 本文を読む

NSAの暴走

2009-06-23 21:09:03 | 現代アメリカ社会
 アメリカの安全保障を担当する国家装置の「暴走劇」を描く作品は、これまでにいくつか扱った。今回は、国家の安全保障を理由にやりたい放題、一般市民の生活や通信を監視・盗聴できるようにする法案成立のために「国民安全保障局NSA」の担当部門が暴走し、恐るべき犯罪、政治家や市民の抹殺と抑圧、監視に狂奔する物語を取り上げる。 . . . 本文を読む