先頃、新潮新書の内田樹『日本辺境論』を読んだ。じつに面白かったし、説得的だった。感覚的、心情的には。だが、論理的・社会史的には、じつに多くの「?」が残った。著者は問題を整理した作業仮説だから「反論は受けつけない」つまり、このあとは自分で考察して論証しなさい、と仰せになっているようだ。確かに、理論的にきっちり組み立てて反論に備えるという水準の論文ではない。随想に近いものだ。そこで、このあとの論理展開上の問題を、勝手に考えることにしよう。 . . . 本文を読む
日本の憲法という現象を情緒的に語るのではなく、世界経済の政治的・軍事的構造のなかに位置づけて、社会科学的に考察してみる。世界のなかで日本のおかれた軍事的・地政学的環境を分析することなしに、国民国家の構造を法的に制御するはずの憲法システムと平和の問題を読み解くことはできない。
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