映画に 乾杯! / 知の彷徨者(さまよいびと)

名作映画に描かれている人物、物語、事件、時代背景などについて思いをめぐらせ、社会史的な視点で考察します。

マルクスの《資本》を読む その2

2009-09-22 20:53:51 | 世界経済
 引き続いて《資本》の論理構成を考察する。私たちは「マルクスが何を達成したか」ではなく、「何を達成できなかったのか」を追究しようとしている。恐ろしいほど複雑で、柔軟で、強靭な〈資本の支配〉の構造に、どのようにして迫る道を見つけるか。それが課題である。まずは、「何がわかっていないか」を探ることにしよう。 . . . 本文を読む

ダウンタウンのヴァイオリン教室

2009-09-13 21:12:41 | 芸術と人間社会
 浮気っぽい海軍士官の夫と別れたロベルタ・ガスパーリは、2人の男の子を抱えて、故郷の母親の家に転がり込んだ。子供を養うためにと、ニューヨーク市イーストハーレムの小学校の臨時教員となって、課外コースのヴァイオリン教室の指導を始めた。この地区は低所得のアフリカ系、ヒスパニック系住民が多いところ。子どもの情操教育までは、保護者たちの関心が向かない地区だ。ロベルタの行く手には幾多の困難が待ち構えていた。 . . . 本文を読む

田舎暮らしの記録 21

2009-09-13 16:39:41 | 田舎の暮らし
 雨が続く。日本の各地でも豪雨や異常気象の被害が出ている。そこで考えた。昔の人たちが「正月を祝う」気分を。1年間を生き延びることができた幸運と喜びをかみしめ、そのありがたさを心に刻むということなんだ、と。科学技術と経済的欲望を膨張させてきた20世紀後半以降に育った私たちは、やはり傲慢だったのかもしれない。今の快適さと利便さを捨てる勇気はないが、しかし、地球の生態系と折り合いをつけてほどほどに生きる術を見出さないと。 . . . 本文を読む

田舎暮らしの記録 編外1 のだめ名曲の旅④

2009-09-12 21:02:11 | 芸術と人間社会
 ドラマのなかで一瞬だけ流れた曲が、心に強い刻印を残して、忘れられないときがある。「のだめ」にも、そんな曲がいくつも登場する。知っている曲のすばらしさをあらためて知る場合もある。あるいは、はじめて聴く曲で、もっとよく知りたくなる場合も。そんな曲を追いかけてみよう。 . . . 本文を読む

30年後の目覚め、そして…

2009-09-02 20:57:04 | アメリカの歴史
 1920年代、ヨーロッパとアメリカでは嗜眠性脳炎が蔓延したという。患者のなかには、この病気から回復したのちに、身体の運動の麻痺や昏睡症状に陥る者がいた。ニューヨークに住む少年、レナード・ロウもその1人だった。1936年、ついに彼は身体がこわばって恒常的な麻痺状態に陥ってしまった。それから33年後、生物病理学の研究者、セイヤー博士はニューヨークの病院に臨床医として採用され、レナードと出会った。 . . . 本文を読む