猿八座 渡部八太夫

古説経・古浄瑠璃の世界

あきる野市立多西小学校 伝統文化理解教育の日

2012年01月21日 16時17分05秒 | 菅生歌舞伎

 東京都あきる野市立多西小学校は、伝統文化理解教育が盛んな学校です。低学年は、昔遊びや藁細工。5年生は尾崎地区に伝わるお囃子。6年生は瀬戸岡地区に伝わる獅子舞や棒遣いを学習します。そして、この学校の4年生は、毎年必ず、歌舞伎の化粧をしたまま学校から帰るので、町中に隈取りをした子ども達が駆け回ります。指導しているのは、菅生歌舞伎の面々です。こうして少しでも地域の伝統について体験する機会は大変貴重なものだと思います。末永く続けて行って欲しいと思います。

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忘れ去られた物語たちシリーズ2~7について

2012年01月21日 00時21分06秒 | 忘れ去られた物語シリーズ

 忘れ去られた物語のシリーズは、東洋文庫「説経節」で、荒木繁・山本吉左

右五両先生が、編集し校注を加えた、小栗判官、山椒太夫、苅萱、信徳丸、

愛護の若、ないしは信太妻を除き、江戸時代末期の説経祭文では、既に演じ

られていなかっただろうと思われる古説経節を読む試みである。

 このシリーズを始めたきっかけは、直接に400年前の版本を読解した「阿弥

陀胸割」(国文研)http://www.nijl.ac.jp/pages/database/であるが、シリーズ2

から7までの説経節は、「説経正本集」を読解して、さらに翻訳したものである。

「説経節正本集」:横山重編 角川書店 全三巻

シリーズ2から7は、第一集に収められている物語である。といっても、この翻刻

は、まったく原文の通りであり、文言に関する注釈はまったく無いので、これらの

説経を読み進めることは、かなりの難行である。特に、仏教用語に無学な者にと

っては、解読しきれない文言を数多く残しているのが現状である。又、誤訳の

可能性もぬぐいきれないので、お気づきの点があれば、遠慮無くご教授いただきたい。

しかし、その中でも、猿八座の稽古場である新潟県新発田市真中の東光寺住職さんに

は、難解な経文に関して、常に明確なご示唆を戴き、大変感謝をしている。この

場を借りて、改めて御礼申したい。(合掌)

 さて、「説経節正本集第一」に収録されている説経節は以下の通りである。

※は、本シリーズで翻訳したもの。同じ題材の正本は、年代の古い方を中心に

読み、年代の新しい物を参考として読み比べた。

一 さんせう太夫(天下一説経与七郎)

二 せっきょうさんせう太夫(同上)

三 さんせう太夫(寛文七年山本久兵衛板)

四 山庄太輔(佐渡七太夫豊孝)

五 せっきょうしんとく丸(天下無双佐渡七太夫)

六 しんとく丸

※七 熊野之御本地(江戸板)

八 ごすいでん(佐渡七太夫豊孝)

※九 まつら長者(寛文元年山本久兵衛板)

十 まつら長者(江戸うろこかたや板)

十一 しゃかの御本地(天満八太夫) ※ジャータカ物語とほぼ同じであるので翻訳はしなかった。

※十二 熊谷先陣問答(天満八太夫)

十三 熊谷先陣問答(佐渡七太夫豊孝)

※十四 越前国永平寺開山記(結城孫三郎)

※十五 尾州成海笠寺観音之御本地(天満八太夫)

※十六 大福神弁財天御本地(天満八太夫)

付録一 さんせう太夫物語(草子)

付録二 をくり(宮内庁御物絵巻)

付録三 せっきょうかるかや(写本)

以上

第一集はひとまず終わりとし、次に第二集の読解に取り組むことにする。