12/16(土) 明治大学リバティアカデミー オープン講座 レクチャー&コンサート
『開拓から発展への歌のアメリカ史』を受講してきました。
(受講中の撮影・録音等は認められていませんが、音楽仲間の取材ということで撮影許可をいただきました。)
バンジョーを弾き、歌を歌いながら石川修次先生が登場です。
石川先生のお話は、先生が1972年にフランスを旅していた時に出会った曲『Amazing Grace』がテーマでした。
その時聴いたのはバグパイプによる演奏だったそうです。
バグパイプで『Amazing Grace』を世界的に広めた Royal Scots Dragoon Guards の音源、アカペラで唄っている Judy Collins の音源、
さらに教会の聖堂で牧師さまの語りに続く『Amazing Grace』の合唱など、いろいろ聴かせてくださいましたが 石川先生が特にお気に入りという Clarence Ashley の音が流れたら、身体がすぐに反応しました。気持ちが震えて高まるような感じ・・・無伴奏のコーラスで、一緒に歌っているのは Doc Watson と Jean Richie ですからたまりません。私はやっぱりこの路線が大好物です。
帰宅してから You Tube を検索しました。たぶんこの辺りの音でしょうか。
Amazing Grace
そして話題は 『Amazing Grace』の作詞者 イギリス人 ジョン・ニュートン(1725-1807) へ。
彼は奴隷貿易に関わった船に乗り、船長も務めていたそうです。その彼が船の難破をきっかけに救いを受けて神に仕える身になったとか。
『Amazing Grace』は神の救いと導きのおかげで生きることに光と輝きを見出したという讃美歌ですから、キリスト教圏の社会で生きている人々に広く受け入れられて歌い継がれたんでしょうね。
さらに、日本の文化はキリスト教圏とは違いますが人々の生活から滲み出るように生まれた歌は、同じように歌い継がれていくと津軽三味線の高橋竹山の言葉を紹介したり、サプライズで柿本人麻呂の長歌・反歌の朗詠をプレゼントしてくださいました。
休憩をはさんで後半は「やぎたこ」の登場です。
いつもの「やぎたこ」ライブでは時系列の流れに沿って曲を紹介・演奏してくれますが、今日の柳澤先生・辻井先生は『研究者』をテーマにしてのステージ進行でした。
◇研究者① ジェームズ。フランシス・チャイルド(1825-1896)
『チャイルド・バラッド』と呼ばれているイングランドとスコットランドの民謡 305曲をまとめた人。彼を紹介して 『チャイルド・バラッド #84』の『バーバラ・アレン』を貴子さんが歌い始めます。
バラッドとしてもう1曲、『The Devil's Nine Questions』を紹介して演奏してくれました。
これは なぞかけ唄(riddles) で、答えられないと悪魔に魂をとられてしまうとか・・・貴子さんのお話はわかりやすくて楽しかったです♪
フォスターの曲も紹介。1877年にエジソンが蓄音機を発明するまでは、譜面の売上だけが作曲者の収入だったようです。
オートハープで講座前半のテーマになった『Amazing Grace』を奏でる貴子さん。
◇研究者⓶ ジョン・ローマックス、アラン・ローマックス(1915-2002)親子
音の録音・記録・保存が出来るようになったので研究者の活躍も広がります。
黒人歌手のレッド・ベリー、事件を度々起こして刑務所暮らしだったそうですが歌が抜群に上手く、ローマックス親子の尽力で恩赦されて多くの歌を録音で残したそうです。
レッド・ベリーの曲から『Cotton Fields』を演奏するお二人。
とても興味深いテーマを講演としてお話するだけでなく、いろいろな音源を流してくれたり実際に演奏で聴かせてくれるのでコンサートとしても楽しめて、終わってみたらいろいろ勉強になった---という有意義な講座でした。
石川先生、やぎたこのお二人、どうもありがとうございました