娘とのけんか Ⅱ

映画「血と骨」をDVDで何度も観ているけど、あそこに描かれている家族は決して他人事ではない。
子供の頃、あの北野たけしさんが演じたような、濃い濃い濃度３００％のような熱い感情をぶっつける親族が大勢いた。
私自身、しつけという名の父親の暴力を結構、受けてきたものだ。今の時代では十分にDVとして警察が介入してもいいくらいの暴力もあったと思う。
たとえば、「やいと」。この熱さは、子供にとって半端ではない。
そういえば、親戚のおじに、ほたえ過ぎて煙草を太ももに押しやられたこともある。
そういう虐待を受けた子供が大人になっても、やはりどこか精神や感情のバランスを欠いた大人になる。
今の私自身、そうである。
まともな大人であるよう努めているつもりだが、時に自分自身の判断に疑問を覚えることがある。
半世紀も生きてきて、ようやく解決できそうなテーマは罪悪感。
何も宗教的な原罪とか、前世の因果応報という意味ではない。
なにかトラブルや不具合など嫌なことが起こると、いつも自分が原因だと思ってしまう。
自分に関係のない不調和もすべて私自身に原因があるのでは？と思ってしまう罪悪感。
真面目な人なら、地球の裏側のトラブルも自分に関係があると思ってしまうだろう。
罪悪感をかすかにでも覚えてしまうと、人は身動きが取れなくなってしまう。
なんせ、すべての不調和は自分に原因があると感じてしまうからだ。
そしていつも自分自身を過小評価してしまう。
するとそういう人は、いつの時もこの世界で求められていない感じに圧倒される。
しかし、
すべての人は望まれて生まれて、望まれて生きているということを私は証明したい。
私自身の罪悪感をきっちりと等身大に見つめ、それを飲み込むことによって、この世は善だと証明したい。
どんな人でも、愛された記憶や体験のひとつぐらいはあるはず。
人はいつの時でも、祝福されているべきである。

娘との大げんかで、家が貧しいことを激しく責められたが、罪悪感に苛まれていた頃の私なら、鬱か酒浸りの毎日だったことだろう。
しかし、それを気にならなくなった自分がいた。
この世界は広い。
成績がどうの、収入がどうの、なんてちっぽけな世界なんだ。
私はそれを証明したい！子供たちだけではなく、自分自身にも証明したい！
それは現実を変えるための闘いでもあるはずなのだ。