断章、特に経済的なテーマ

暇つぶしに、徒然思うこと。
あと、書き癖をつけようということで。
とりあえず、日銀で公表されている資料を題材に。

貨幣と銀行業務 ― Part 19 (C) 金融機関概説(下)

2017-12-10 22:33:52 | MMT & SFC
というわけで、本テーマの
三回目で、やっと「金融機関概説」テーマは
おしまいになる。


https://drive.google.com/file/d/1PAubhktN5lURW6Irq9ZP6DoSQq7O5AUY/view?usp=sharing

本文中に訳注を挿入したが
今回はややわかりにくい箇所がある。
「発生主義会計」の下、「前受利息」が
当期収益に計上される、という箇所。

これは恐らく今後(たぶん
証券化の辺りで)、別途
解説があると思うのだが、
分かりにくかったので
同著者による他の著作における説明に沿って
簡単に注記しておいた。

一般に発生主義の下では
「前受利息deferred interest」とは
次のようなものである。

例えば00年の12月1日から
01年の11月30日返済の予定で
1000万円を貸し出す。
金利は年利10%だとして
100万円になる。
これを前受利息として、
つまり、01年の11月30日ではなく
00年の12月1日に受け取る場合、

貸付側の仕訳は

借)貸付金1000万円
貸)現預金900万円+前受利息100万円

となる。つまり、
貸し手が銀行の場合には
資産側に貸付金が1000万円増加、
負債側で預金900万円、
前受利息100万円が増加、となる。
貸し手が高利貸や
一般の企業であれば、
現金資産が900万円減少し
(もっとも、会社によっては
現金を渡さず、
手形を渡す場合もある。その場合には
返済は将来の売掛金との
相殺という形式をとることが
一般的のようだが、まあ
ここでは現金を貸しつけることに
しておいてください)
100万円が前受利息として
負債に計上される。

そして1年たち01年11月30日には

借)前受利息 100万円
貸)受取利息 100万円

となる。つまり
1年たつまで金利として受け取った(というか
この場合は、貸付金の減額だが)
100万円は収入として認識されず、
1年たった段階で
収入として認識されることになる。

なお、この場合、
「いや、これは実際には
貸付金900万円に対して
金利100万円を取っているのであって、
実際には金利はもっと高いのではないか」
と考える人もいるかもしれない。
事実、「管理会計」あるいは
「原価計算」「財務管理理論」等では
そのように考える。しかし
財務会計上の処理は
この通りである(勿論
ここでは税金・手数料などの処理は
無視している)。

従って、通常の複式簿記の考え方では
「発生主義会計によって
前受利息deferred interestが
発生時に
収益認識される」ということは
あり得ないことになる。
それが実は証券化によって
そうではなくなってしまった、
というのが
論点になるわけだが、

ただし、
証券化されれば
自動的に前受利息が
当期収益認識されるというわけではない。
証券化の結果、
原債権、派生証券、
ともにオフバランス化されなければ
ならないのだが、
これらをオフバランス化できる条件というのが
結構、めんどくさくって、
(例えば
「原資産が回収不能になった場合、
証券組成者は証券保有者に対して
支払を行っては
ならない」など)
会計の解釈指針が
ほんの少し変わっただけで
多くの金融機関の利益(収入)が
大きく変わる例である。


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