断章、特に経済的なテーマ

暇つぶしに、徒然思うこと。
あと、書き癖をつけようということで。
とりあえず、日銀で公表されている資料を題材に。

Eric Tymoigne Money and Banking - 2 貨幣と銀行 - 2

2016-07-30 17:06:11 | MMT & SFC
※元のブログは

http://neweconomicperspectives.org/2016/01/money-banking-part-2.html

です。。。

今回のブログ――というか、今後、この粗訳を続けてゆくうえで
非常にめんどくさい問題が、
"advance" の訳語だ。リカードやなんかを読むときには
簡単に「前払い」でいいし、実際、実務上も
おいらなんか海外子会社から送られてくる資料を邦訳する場合には
「前払」で済む場合が多いのだけれど、
実はなんだか意味がよくわからない場合も少なくない。
まあ、請求権が発生している、ということは分かるので
なんとなく適当に訳してごまかしているのだが、
正直、こんなところでこんなことになるとは思わなかった。。。。

取り合えず、「融通」と訳してみたが、
ちょっとこれが適切かどうかわからないし、この次には違う言葉を
使うことにするかもしれない。。。。


毎度のことだが、多数ついている図表を挿入することはできないので
(たぶんできるんだろうけれど、めんどくさいので)
興味ある方は、上記のブログ原文を引っ張ってきてください。。。
(あしからず。。。。)


+++++++++++++

貨幣と銀行 - 2

エリック・ティモワーニュ


[Revised 1/18/16 – updated t¬account images]


中央銀行のバランスシート、およびその内容自体について


前回のブログでは基本的なバランスシートのメカニズムを確認した。
今回のブログはこれを連邦準備システム(FED)に適用することから始める

連邦準備システムのバランスシート


分析目的では、Fedのバランスシートは以下のように示せばよい。

[※最初の表が入る。簡素化された
連銀のB/S]

次に、以下に示すものは、
現今の金融危機が始まる前の連邦準備システムの実際の
バランスシートである( Board of Governors' series H4.1,
Factors Affecting Reserve Balancesより)。これは、
12あるすべての連銀の資産、負債、資本を合算し、
連結したものである(つまり、連銀が相互に
負いあっているものを取り除いた)。主要な資産は財務省証券であり、
これは2005年1月には約7180億ドルであった。

主要な負債は発券連邦準備券(FRNs)(つまり、
12の連銀に保管されているものを除く紙幣)であり、
これは2005年1月には7180億ドルになっている。
バランスシートのこの行には保有者に関わらず
すべての発券済み連邦準備紙幣が含まれており、
上に示したバランスシートの〝L1"とは違うものである。
実際、分析目的では、エコノミストは「流通している」FRNsの金額を
測定する方を好む。つまり、連邦準備銀行のみならず、
財務省および民間銀行が保有している連邦準備券(つまり、
ヴォルト・キャッシュ)以外の連邦準備券である。やや隔たって、
第二に多い負債が連邦準備残高であり、これは310億ドルである。


資本は大部分、Fedの年次純所得(「余剰」行)および
銀行が連邦準備システムの一員になるとき購入しなければならない持分
(「払込資本」行)から成る。これらの持ち分は取引できず、
抵当にもできない(つまり、銀行はこれを担保として用いたり
割引に出すことができない)。銀行には投票権が与えられるわけではなく、
純所得の6%に相当する年次配当を受け取るだけである。


純所得の残余は合衆国財務省へ納付され、そして
財務大臣がその資金を使えるのは、ただ二つの目的だけである。
すなわち、財務省の金(きん)保有高を増加させるためか、
または財務省証券(昔の「公債」)を減少させるためか、
それだけである。(詳しくはSection 7 of Federal Reserve Act参照のこと。)




[※連銀のバランスシートのコピーが入る。]
H.4.1.
全連銀の連結貸借対照表

4つの重要ポイント


第1ポイント:連邦準備券はFedの負債である。


まず第一に、中央銀行は1ドルたりも他人に負っていないし、
合衆国に銀行口座も持っていない。つまり、
中央銀行の資産側にある内国貨幣建ての金融商品は、
少額の財務省通貨(合衆国政府紙幣)と鋳貨(Fedは
合衆国が鋳造した新しい鋳貨をすべて額面価値で買い取り、そして
必要に応じて発行する。すなわち、中央銀行は財務省の
生産したコインの卸元として行動している)以外には、
何もない。金証券勘定(資産の部の最初の行)とは、
合衆国財務省によって保有されている金ストックのうち、
中央銀行の保有分を記録した電子証券である(Fed自身は金現物を
保有していない)。Fedはある程度外貨建て金融商品を保有している。
(SDR勘定、外国中央銀行勘定、外貨勘定)


合衆国国民が「貨幣」と考えているもの、つまり
連邦準備紙幣(FRNs)は、Fedのバランスシート上では負債として
記録されている。FRNsは、Fedにより発行された特殊な証券であり、
FedがFRNsの所有者に負っていることになる。後に、
いったい何を負っているのか学習するが、ここでのポイントは、
我々市民が貨幣と考えているものとは、Fedの負債だということだ。


第2ポイント:Fedは合衆国国内では貨幣を全く稼いでいない。


Fedが純所得を合衆国内で得る場合、貨幣/キャッシュフローは
全く受け取らない。つまり、資産側が増加するのではない。
増加するのは純資産である。どうすればそうなるのか。
銀行が翌日物100ドルを金利10%で申し込んだとしよう。当日は、
次のように記録される。

[※資産の増加と負債の増加を記した
B/Sの簡略図]

Fedはただバランスシートの両側に記帳するだけである。一方で、
準備預金の増加が貸方記帳され、もう一方では
Fedが今や民間銀行に対する債権者になったことを示す銀行に対する
請求権(「約束手形」)の取得が記録される。

翌日、銀行は100ドルに加え10$も返済しなければならない。
元本全額(つまり未償還残高)が引き落とされる。



[※上の変動B/S簡略図のプラスをマイナスにしただけのもの]


金利10ドルの支払はどうするのか。これは準備預金を追加的に差引し、
そして減額した分と同額をFedの純資産の増加によって
相殺する(そして、もちろん、民間銀行側では純資産が減少する)。


[※変動B/Sだが、資産側に変化がない図]


この通り、Fedの純利益獲得が記録された!

いかにしてこの利益が財務省に納付されるのか。簡単だ!
Fedの職員が、次のようにキーボードをたたく。


[※変動B/S。純資産がマイナス10になり、代わりに政府預金口座が
プラスになっている。]


口座間の資金移動は、負債側に記録されている資金の変化を
記録するだけである。銀行は10ドルを失い、財務省は10ドルを得る。


ポイント3:Fedは準備を貸し出しているのであり、納税者には依存していない。


公表されているFedのバランスシートの方を見ると、
資産側に「貸付金」の行があるのに気が付くだろう。
しばしば見聞きする――あるいはFedの文書の中で――だろうが、
Fedは銀行に準備を貸付している。また、筆者の作成した
Fedのバランスシート上には「貸付金」がなく、代わりに
「A2:内国民間銀行約束手形」があることにも気が付くだろう。


このブログを通じて筆者は、銀行(民間であれFedであれ)と
そのオペレーションを分析するに際しては、「貸付金」「貸付人」
「借入人」「貸出」「借入」といった言葉を用いないことにする。銀行は
貨幣を貸付しないし、顧客も貨幣を銀行から借入れない。
「融通advance」「債権者」「債務者」のほうが
銀行のオペレーションで行われていることを記述するうえでは、
より適切な言葉である。

「貸付」(同様に「借入」)という言葉は
実際には誤った名称であり、
銀行が行っていることを読者に混乱させる可能性がある――そして
実際に混乱している。「貸付」とは、一時的に資産を手放すことを意味する。
「私は私の自動車を二三日あなたに貸す」という言葉を
バランスシートで表現すれば、次のように表記される。


[※「Dr.T」の変動バランスシート]


別の例でいうと、ギャンブル好きの人が高利貸しから1,000ドルを借りる場合、
高利貸しのバランスシートの変化は下記のようになる。


[※"Loan Shark"(高利貸)の変動B/S]

高利貸しは一時的に現金を失い――これが現金を貸付る、
ということだ――そしてもしギャンブラーがとんでもない金利とともに
すぐに返済しなければ、高利貸しはバットでギャンブラーの足を
たたき折ることだろう(もっとひどいかも!)。


「貸付ける」というのは、実際にはFedが行っていることを説明するうえでは
適切な動詞ではないのである。というのは準備残高およびFRNsはFedの資産ではなく、
負債だからである。ポイント2で示した通りで、
Fedが準備預金を銀行に供給するときには、Fed自身の
約束手形(準備預金)を与えているのであり、そして
銀行はFedに自分自身の約束手形を与えている。Fedが行っていることは、
銀行との約束手形のスワップ/交換なのである。


[※支払同意書のフォームのコピー]

この法的文書(およびその他の附帯文書)の中では、
銀行はFedから資金の融通を受けた(つまり、
銀行の準備預金口座に振り込みがあった)という理由で、
自分がFedの債務者であると認識することになる。銀行は契約条件
(詳細な返済期日、金利、担保条件、コベナンツ、デフォルトの場合に
どうするのか)を履行することをFedに約束している。Fedは
この書類の写しを金庫に保管するが、これがFedの資産(我々の
バランスシートでいえばA2)である。というのは、銀行はFedに対して
法的な約束をしたわけだから、Fedは銀行にこの契約の要求事項を
完遂することを強いることができるからである。


重要なのは次の点だ。Fedが銀行に資金を提供するとき、
Fedは、契約に先んじて獲得した何かを放棄しているわけではない。
Fedは、2008年の金融危機の時(とりわけ、
多数の金融機関に緊急資金供給が行われたとき)ですら、
しばしば聞かされるように、「納税者の貨幣」(あるいはそれ以外の誰かの貨幣)を
使ったりしていない。Fedが銀行に資金を供給する/融通するとき、
ただ数字をキーでたたいて銀行へ口座振り込みするだけ
なのである。後にみるだろうが、同じロジックは民間銀行にも当てはまる。

ポイント4:銀行はいくら準備預金を持っていても、相手先もFedに口座を開いていない限り、どうにもできない。


また注意してほしいが、合衆国において誰一人としてFedに
個人の銀行口座を持っている者はいない。銀行、外国の中央銀行、
その他特定の機関(例えば、IMFや政府系企業など)がFedに口座を持っている
だけである。銀行がFedの口座(先の「準備預金」)を
支払(あるいは受取り)に使うときには、その資金を受け取る(あるいは
その銀行に支払いをする)側の機関もFedに口座を開いていなければ
ならない。銀行は準備預金を使ってFedに口座を持っていない経済主体から
何かを購入することはできない。というのは、資金を移動できないからである。
あなたも私も、銀行口座を持っていない人に対して
電送支払いをすることはできないが、それと同じことである。


下記は銀行部門の準備預金口座から100ドルが引き落とすときに
起こっていることを示したものである。


[※変動B/S。ただし、反対勘定の記入がなく、ただ
準備預金Reserve Balance -$100 とだけ記されたもの]


さて、このT勘定は不完全である。というのは
反対勘定オペレーションが記入されていない。あり得る反対勘定は、
どのようなものであろうか。3通りの可能性がある。


1. 銀行が、代わりにFRNsを受け取る。


[※上記の変動B/Sに"FRNs+$100"が加わったもの]


2. 銀行が租税を納付する(自分自身の税金であることもあれば、
預金者の代わりに代納することもある)

[※先の変動B/SにTreasuryの小切手口座(当座預金口座)への
振込が加えられたもの]


3. 銀行がGSE(政府支援機関)証券の入札に応札する。



[※先のTreasuryのChecking Account の代わりに
GSE Checking Account が入ったもの]


他にもFedの負債側から100ドルを移転する方法を
思いつく人もいるかもしれない。しかし繰り返すが、
Fedは基本的には口座開設者間の資金移動を記録することで、
勘定を維持しているのである。

主要な論点は、銀行は、国内経済のどの経済主体からも、
Fedに口座を開設している者同士でなければ準備預金を
使って何も購入できないことだ。銀行は全体としては、
準備預金を使って民間部門で発行された証券や製品、
サービスを入手することはできない。そればかりか、
準備があるからといって、銀行は国内経済から既存の証券、
株式、家屋等々を購入するための購買力を得ることにもならないのである。


もし銀行がFedの通貨を使って国内経済の誰かから何かを
購入しようとするなら、まずはボルト・キャッシュを入手することになる
(上記1.のケース)。後に見るが、銀行は実際に支払いをする場合には
そんなことをしていない。また銀行は現金を
貸し出すこともしていない(彼らはポイント2で記した高利貸しでもない)。


Fedの倒産は起こり得るのか?


Fedには「ドルが枯渇する」こと自体は生じえない。というのは
Fedはドルの発行者だからである(繰り返すが、
Fedは手持ちの希少資産を貸し出しているのではない)。Fedは
純資産がマイナスになることもあるだろうし、それで
通常の業務に差し支えないし、すべての債権者の要求に応じることができる。


民間のバランスシートにおける純資産の主要な役割とは、
債権者(負債の保有者)を守ることにある。第1回目の
ブログの住宅家屋の例を思い出してほしい。この家屋は80,000ドルの
資金を銀行から得て、20,000ドルの頭金を支払って購入された。仮に
債務者がデフォルトすると、銀行は建物を差押えし、
売却処分するであろう。純資産が20,000ドルある、ということは、
この場合、仮に家屋の買い手を見つけることができなくて
価格が下がったとしても20,000ドルまでなら銀行は損害を被らないで済む、
ということなのである。もし頭金が0%(つまり、モーゲージ債が
100%)だとしたら、銀行は家屋を差押えしたとしても
住宅価格の低下に対して資金的バッファーが全くない。


Fedには、これは財務的に当てはまらない(政治的には
下院で非難を浴びることにはなるだろうが)。FedはUSドル建ての
あらゆる支払いに、いつ何時であろうと、金額がいくら大きかろうと、
応じることができる。

これが現実なのである!次回のブログでは今回の内容を使って、
いかにして貨幣政策が行われているかを学習する。
次回のブログも中央銀行の学習を継続するが、
今度は「マネタリーベース」に焦点を合わせる。


最新の画像もっと見る

コメントを投稿