断章、特に経済的なテーマ

暇つぶしに、徒然思うこと。
あと、書き癖をつけようということで。
とりあえず、日銀で公表されている資料を題材に。

日銀の公表する「日中当座貸越残高」の件(字数制限のため「下」)

2018-10-28 21:07:39 | MMT & SFC

データは2006年から始まっているが、

これはたまたまおいらの手元にあった「決済動向」の資料が

ここから始まっているということで、それ以上の意味はない。現在、

日銀のウェッブページからは、13年より前の「決済動向」は

手に入らないようだ(1年前からの月ごとデータと

3年前の最高月の額まで掲載されている)。

エクセルが使える人は各自コピーでもして

グラフにでもしてみると面白いかもしれない。おいらもやってみたものの

どうやったらこのブログにグラフを掲載できるのかわからなかったので

悪しからず。。。。。

 

はっきりいってまあ、あんまり面白いもんじゃない。

こういう地味な仕事は専門家が助手なり学生なりにやらせればいいのであって、

労働者であるおいらが休みの日にこんなことをやっている、というのは

階級的矛盾を感じる。。。って、自分で好きでやっていることだけれど。

まあ、一つだけ言っておくと

13年に黒田さんが総裁になる前、というか、それよりやや以前の

2010年ごろになるまで、まあ月によってばらつきはあるものの概ね

日中物の当座貸越は日銀当座残高の倍を上回る実行実績がある、という事実だ。

どういうわけだか、おいらのデータ入力が始まった月こそ

当座貸越残高と準備預金残高がほぼ同額から始まっているのだが、

それ以降、前者が後者に対してどんどん増えてゆき、2008年ごろまでほぼ安定しているのだが

2008年になって(リーマンショックの影響かどうか

よくわからないが)準備預金残高の増加が始まると

それを上回るペースで当座貸越残も増えてゆく。ところが

2011年ごろから準備預金残高が不規則な増加を示し始めると

今度は逆に当座貸越のほうが少し低い水準になって

残高が安定するようになる。この残高の水準は、

出っこみ引っ込みあるものの結局2015年の後半までほぼ安定して

継続し、そして2016年以降はず~っと、それまでの数分の一数字で

安定している。。。。。

 

これだけ見ると、それなりに含意のある解釈ができそうな気がする。

例えば、白川時代、一方でベースマネーの残高がそれほど

極端に増えたわけではなかったのにもかかわらず、

当座貸越のほうはそれを上回るペースで増加していた、ということである。

はっきり言えば、もしマネーストックの増加が日銀の供給する

ベースマネーの増加に阻まれている、とすれば

この日中物の当座貸越枠を増やせば済む話である。

営業終了時点の準備預金残高など

半月前のマネーストック増価の実績に合わせて増やせば済む話である。

銀行に対しては、半月後にいきなり引き締めなどしない、

と周知しておけば済むし、それは当座貸越の増加実績によって

十分納得させることができるはずだ。

他方で、異次元金融緩和による夜間の、取引が実際に行われていない時間帯の

準備を増やす、という試みは、

結局のところ、朝になって新たに日銀から借入れなければならない

準備の額を減らしただけだし(それでも

銀行は安定した当座借越を選択していたことはうかがえる)、

マイナス金利になると、なるべく手持ち準備を減らそうとして

日銀からの新たな融資を極力抑制するようになったことが

伺える(ただし、当座貸越の激減が始まるのは2015年終盤からであり、

マイナス金利自体が始まるのは2016年2月16日であったことを

考えると、時間的にずれがある)。

 

まあ、この日銀の資料だけでは、月々の最高残高がわかるわけではないし、

日中の融資の累計額や月間の合計額がわかるわけでもない。

ここから何事かを解釈する、というのはかなりの冒険で

余り説得力がある話にはならないのかもしれない。このデータの本来の趣旨は

マネーストックやベースマネーとの関連ではなく、

決済実績との関係での分析対象とされるべきということなのかもしれない。

とはいえ、その存在、実際、異次元緩和といったことが行われていなければ

夜間の準備の倍から三倍に及ぶ(残高の最高値だけで)融資が

実際に行われている、という事実があるのに

それを無視して話を進める、というのはあまりにも乱暴すぎる。

データが不十分で曖昧な解釈しか出来ない、ということより

現に存在する事実を無視して「厳密な理論」を構築する方が

ましだ、というのは、まあ、その事実の重要性にもよるが、

この場合、なかなかなるほどといえる話ではないんじゃないか、

そんな気がする。



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