「高校で重度知的障がいに教育提供できない」と沖縄県教育庁
当事者は「差別」と県知事に申請
2019年12月24日 沖縄タイムス
重度知的障がいがあり、来春3度目の県立高校受験に臨む仲村伊織さん(16)=北中城村=に対し、県教育庁が「高校では重度知的障がいの生徒の特性に応じた教育課程を提供できない」との見解を示したことを受け、仲村さんの家族が23日、知事にあっせんや助言を求める申請を県に提出した。
「県障がいのある人もない人も共に暮らしやすい社会づくり条例(共生社会条例)」に基づくもので、仲村さんは2度目の申請。家族は「重度の知的障がいを理由に学びを保障しないのは不当な差別」と指摘し、「この見解を差別と認め、直ちに撤回してほしい」と求めている。
最初のあっせん申請は2018年4月で、入試制度の改善などを要望した。これを受け、福祉・医療などの関係団体代表や、学識経験者からなる調整委員会が同年10月、県教育庁の対応について「合理的配慮として不十分な点があった」と指摘。受験時の個々に応じた意思疎通支援などを提言した。
仲村さんの家族は「他県では重度知的障がいの生徒も入学している事例があり、教育委員会は生徒の実態に合わせて、学習指導や評価を工夫するよう学校に通知している。受験まで時間がない。県教育庁は早めに(見解を)撤回してほしい」と話した。
(社会部・嘉数よしの)
■
沖縄県教育庁の対応「インクルーシブ教育の理念と反する差別」障がい者団体が抗議
2019年12月24日 沖縄タイムス
NPO法人県自立生活センター・イルカ(長位鈴子代表)など障がい者の自立支援6団体は23日、仲村伊織さんに対する県教育庁の対応は「本来目指すべきインクルーシブ教育の理念と反する、障がい者への差別」として、抗議文を提出した。
文書は、重度の知的障がい者であることを理由に学びを保障しないのは「不当な差別」で、憲法や障害者権利条約、教育基本法などに「違反、抵触、もしくは理念相反するので即時是正が必要」と指摘。
仲村さんは3年前から高校受験の意思を示していることから、「現在まで準備期間があったにもかかわらず、一切の行政としての合理的配慮、環境整備の責任を放棄した。仲村さんが奪われた権利を取り戻すまで徹底的に闘う」と訴えた。
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/0f/d1/f23871700f925028b7201801f8bee160.jpg)