ワニなつノート

この子がさびしくないように(その19)

この子がさびしくないように(その19)

【やっちゃんがいく】


先日、やっちゃんママからメールがありました。
《しまださんから連絡がありました。
『ち・お』で『やっちゃんがいく』が紹介されるみたいです。》

詳しい話を聞こうと電話をかけました。
「どんな話でしたか?」

「よく分からないけど、石川先生と小夜さんから連絡があったみたいで、やっちゃんがいくの写真を使いたいけど、いいですかって」

「へー。そんなのいいに決まってんのにね、写真絵本なんだから。
それに、いまのやっちゃんは別人だもんね」

絵本はもう5年前のものです。
やっちゃんは中学生になりました。

身長はお母さんより高くなり、相談会にきてもマイクを奪うことをしなくなりました。
私が就学前のお母さんたちに、『やっちゃんがいく』の絵本を紹介しながら説明するのを、ニコニコしながら聞いています。
夏合宿に行っても、他の子の車椅子を乗り回して消えることもなく、自動販売機に勝手に「故障中」の手書きの張り紙をすることもなくなりました。妹に八つ当たりすることもなく、泣き顔も、叫び顔も、お目にかかれなくなりました。

だから、「いまのやっちゃんは別人…」、
その言葉のあとに続くのは、「あんなに落ち着きがなくて、うるさい子はもういないんだよね」のはずでした。

でもその瞬間、私より先に、やっちゃんママは言いました。

「あんなかわいい子は、もういないんだよ」


そのあとに、「身長もでかくなっちゃって、それに最近太ってきてお腹がでちゃって…」と話しは続きましたがよく覚えていません。

私はやっちゃんや子どもたちが大好きで、子どもたちの「味方だよ」とブログに書いているけれど、こうしたときに「かなわないなー」と感じます。

やっちゃんは、ホントに落ち着きがなくて、面倒で、うるさい子だったはずで、学校のお迎えの時間になってもお母さんは家から出られないくらい追いつめられたりもしたのに。

自分じゃこの子を育てられないんじゃないか、施設に預けるしかないんじゃないかと、苦しんだはずなのに。

それなのに、いま出てくる言葉は、
「あんなかわいい子は、もういないんだよ」でした。

一番大変だったころ、子どもの「障害」に苦しんだのではなかったのかもしれません。
「あんなかわいい子」を手離さなければならないかもしれない苦しさ、恐さは、どれほどだったか。
「あんなかわいい子」を守り切れず、さびしい思いをさせることになる恐さ、苦しさはどれほどだったか。

あんな絵本を書いておきながら、なんにもわかってないなーと改めて思います。





「あんなかわいい子」の顔を見たい方は、
右下の「一緒がいいね(^_-)-☆」を押してくださいな(^^)v
やっちゃんに会えるよ~
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