ワニなつノート

おおかみと『生き心地の良い町』(5)


おおかみと『生き心地の良い町』(5)


《包まれている空気を変える賢さ》




なっちややっち、いおりくんたちのかしこさ。

ひとの はなしを きかない。

みんなのわだいに かんしんを しめさない

「け」と いえる じぶんへの じしん

ましょうめんから いやと いえる。

どうどうと いやなものは いやといえる

ちがうこうどうを とることに おそれがない


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部町がどんな町か。「助けを求めよ」を、町の人たちが言葉でなく、「態度」で示すとは、どういうことか。


海部町の人は「賢い人が多い」ことは書いた。「世事に通じている」「機を見るに敏である」「愛嬌がある」今日は、それと別の「かしこさ」を追加。


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海部町は赤い羽根の募金額が周辺地域でもっとも少ない。みんながおとしく同額の募金を入れて次へ回す、をしない。

「だいたいが、赤い羽根て、どこへ行て何に使われとんじぇ」。

「わしはこないだの、だんじりの修繕には大枚はたいたけどな。ほないなわけのわからんもんには、百円でもだしとうないんや」。

また、海部町の老人クラブ加入率は周辺地域の中でもっとも低い。


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海部町の「かしこさ」とは、「文句言い」が少なくないこと。「他人と足並みをそろえることに、重きをおかない」こと。「関心を示さない」こと。「自分は違うふうに感じる」と言える。

「自分一人が他と違う行動をしても、排除される心配がない」。場の空気を無視して話題を変えてしまう。水を差す。話の腰を折る。話の流れを変える人を、著者はスイッチャーと呼ぶ。みんながみんな、流されていくものに、水を差す賢さ。流れを変える賢さをもつ人が、海部町には多いのだという。


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ここま丁寧に書けば、もうお分かりだろう。

やっちや、いおりくんは、根っからの「スイッチャー」なのだ。困っても、助けてと言ってはいけない」

「苦しくても、人の手をかりてはいけない」
「自分のことは、自分で。人に迷惑をかけてはいけない」
「あなたが、誰かに助けてほしいと感じた時には、あなたはあなたが感じるように感じてはいけない!!」

そういう、学校の教えに水を差し、先生の話の腰を折るスイッチャーたちに、救われる子どもたちは多い。




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