ワニなつノート

舩後さんの国会質問  《定員内不合格》


舩後さんの国会質問  《定員内不合格》




Q【舩後さん】


障がいのある生徒の高校受験における、合理的配慮と定員内不合格に関する質問をする。
これは、障がいだけの問題ではなく、子どもたちの学ぶ場をいかに社会が補償するのかという根幹にかかわる問題だと考えるからだ。

きっかけは最近、最近沖縄に住んでいる重い知的障がいのある男子生徒のご両親からいただいた手紙です。

抜粋します。

小中学校を当たり前に、地域の学校でともに学び、同級生が高校進学を目指す中、当たり前に普通高校受験に挑戦した。 代読など、障がいに対する受験上の配慮は受けたが、障がいのある彼が点数をとることは困難でした。

1年目は1名の定員オーバーで不合格。2年目は2クラス分の席があいているにもかかわらず不合格とされた。

沖縄県だけで、毎年1300から1500の定員があいているのに、100人以上のこどもたちが教育の場から排除されている。点数がとれないキミが悪いと自己責任を問う社会の中で、中卒という形で高校進学をした大半の同世代から切り離され、たいしたサポートもなく社会に放り出され、果たしてこうした形で人生設計をたて、自立できるこどもはどれだけいるのでしょうか。 こうした子どもたちこそ、教育が必要ではないか。


手紙を拝見し、胸が痛んだ。

私は参院議員という立場を得て、障がいの有無を問わず、誰もが幸せに自分らしく生きられる社会を目指し議員活動を進めていくことを誓った。


大臣所信に対する最初の質問でインクルーシブ教育について質問したが、義務教育卒業後の問題についても取りくまなければならないと改めて思い質問する。


障がいのある生徒に対する高校受験における合理的配慮は1987年の重度脳性まひ生徒2名の都立高校受験の時に始まったと伺っている。


しかしながら、受験時における合理的配慮をしてもなお、重い知的障がいのあるお子さんや、意思表示を読み取ることが難しいお子さんは、学力検査で点数をとったり、面接でのコミュニケーションが難しかったりする状況にある。

現在、特別支援学校高等部の本課、別課、および高等専門学校を含む高校学校等への進学率は98・8%。

そして、公立高校に通う大部分の世帯のお子さんが、授業料無償となっている。ほぼ希望者全入といっていい状況。

そこから排除されているのが、先日のような重度知的障がいのあるお子さんなのです。
ただ、これは知的障がいのある子だけの問題ではない。人工呼吸器をつけ医療的ケアの必要納子。貧困や虐待などにより、学ぶ環境が保障されなかった子。こうした生徒も入試による点数不足という線引きで入学を拒否されるのです。

中には一次募集、二次募集、三次募集と落とされ続け、何年も浪人しているという実態がある。
資料1。


学校教育法施行規則に基づき、高校への入学者選抜方法合格者の決定基準は校長が決める。沖縄県教育委員会は定員内であっても不合格を出す根拠として、平成5年の文科省の通知にあるその教育を受けるに足る能力。適正等を判定して行うものに基づいているという。

しかし、文科省は平成9年の通知の中で障がいの種類や程度に応じて、適切な評価が可能となるよう学力検査の実施に際して一層の配慮を行うとともに、選抜方法の多様化や、評価尺度の多元化を図ることと説明している。

確かに高校進学率が7割、8割の時代なら適格者主義で選抜することに合理的意味があったかもしれない。しかしながら、約99%の生徒が高校に進学し、かつ公立高校の授業料が無償化されている現在、高校はほぼ義務化、希望者全入の状況です。

高校無償化の制度をつくった際、文部科学省初等中等教育審議官であり、見直しされた際は初中局の局長だった前川きへい前文科省次官は以下のように話している。

高校無償化というのは15歳から18歳までのすべての若者に学習機会を保障しますよという、学習権の保障の思想なんですね。無償で学ぶ権利がありますというからには、入学を希望するすべての若者が学校に行けるようにならないとおかしい。つまり、希望者全入が実現しなければならない。

公立高校の募集定員というのは設置者が都道府県民に向けて、何名受け入れるという公約ととらえるならば、せめて定員内は全員合格とするのが公立高校の責務と考える。


現に、東京都、神奈川県、大阪府では教育委員会から定員内不合格を出さないようにという指導があり、定員内不合格を出していない。資料2。


繰り返しますが、この問題は障がいのある生徒だけの問題ではない。貧困や社会的養護の環境にある子どもたちも低学力や内心評価が低いといった理由で定員内でありながら不合格とされ、社会にいく道をとざされている。

小中学校で同世代と一緒 に学び多様な子供 たちの中で育ち合ったからこそ、同じ障がいの子だけが行く特別支援学校高等部だけではなく、高校にみんなと一緒に行きたい。そんな 当たり前 の願いに対し、枠が余っているにもかかわらず、何年にもわたり不合格とされ、同世代とのつながりをたたれてしまう。

ほぼ全入の高校から希望する生徒を排除 する こと は将来にわたって地域で暮らしていくインクルーシブな社会づくりに反していると思う。

最低限、学力という線引きによって排除されているこうした方々の定員内不合格を出させぬよう、学校設置者および学校長への働きかけをするとともに、各高校が多様な生徒を受け入れることが可能となるよう、教員の定員配置の条件整備、カリキュラム、授業方法、評価方法等における合理的配慮が必要。大臣のお考えは。


     ■     ■     ■     ■     ■



【文科大臣】


高等学校入学者選抜の方法等は、都道府県教育委員会等の実施者が決定し、各高等学校長がその学校やおよび学科などの特色に配慮しつつ、入学者選抜により判定し、入学を許可することとしている。文科省においては、障がいのある生徒に対する入学試験の実施に際し、別室実施や出題方法の工夫など、可能な限り配慮をするよう通知しており、各高等学校においても適切に対応いただくよう促しているところ。
文科省においては引き続き、障がいのある生徒に対する入学者選抜が適切に実施されるよう、各都道府県に対し、各種会議等を通じて促したい。
定員のお話があった。
公立高等学校の入学者選抜においては志願者数が定員にみたない場合の対応等については、都道府県教育委員会における方針を調査しており、最新の調査結果によれば、32都道府県が定員内でも不合格にする可能性がある。15都道府県が定員内であれば原則、不合格は出さないこととしているとなっている。ちょっと対応は県によって違うということ。

実際の高等学校入学者選抜において、志願者数が定員に満たない場合で不合格となったものの人数などは把握していないが、高等学校入学者選抜の方法等は都道府県教育委員会等の実施者が決定し、之に基づき、各高等学校長が合否を判定しているものであり、委員指摘の合否の状況の調査については、入学者選抜の円滑な実施等の観点から実施者である都道府県教育委員会の意向も十分に勘案した上で検討する必要がある。
(以上で時間)
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「0点でも高校へ」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事