《いのちを伝えるDNA》
私の妄想力がパワーアップ中なので、ちゃんとした元ネタをおきます。
柳沢桂子さんの『永遠のなかに生きる』(集英社)からの要約と引用です。
人間のからだは約60兆個の体細胞からできているのだが、一つの体細胞の中に塩基体が120億個ある。
例えていうと、人間の細胞一個の中に、120億文字からなる本が入っている。
その本には、人間のつくり方から、人間の特性まで、人間に関するすべてのことが書かれている。
60億の母の文字と60億の父の文字とで、
ひとりの子どもの「本」は、どの子も120億の文字で書かれている。
60億の母の文字と、60億の父の文字を、
子どもの文字に書き写すとき、
1000塩基に1個くらいの割合で、書き間違いが起きるらしい。
これを細胞あたりに換算すると、1200万の違いになる。
120億文字の「物語」を語り継ぐとき、
1200万文字が違うということ。
12,000,000,000。
&
12,000,000。
0の数が3個違う。
つまり1000文字に1字違うものがたり。
数が多すぎて、私の頭にはピンとこない。
で、自分流に翻訳してみる。
「むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんがいました。
ある日、おじいさんは山にしばかりに、おばあさんは川にせんたくにいきました。
おばあさんが川でせんたくをしていると、川の上流から大きな桃がながれてきました。
どんぶらこ。どんぶらこ。・・・・・」
この調子で1000文字に一字違うということ。
たとえば、1000文字中、一カ所「ど」んぶらこが「と」んぶらこ」、になるとか(゜o゜)
「ながれてきました」が、ながれ「れ」きました、とか。
1000文字に一字違っても、物語は変わらない。
桃太郎を浦島太郎にすることさえできない。
せいぜい、「もんたろう」くらいの間違いしかできない。
しかも、1000文字に一回きりの間違いだから、他の場面では「ももたろう」になるので、「もんたろう」も見逃されるだろう。
さて、私はまた何を言っているんだろう…。
ヒトの120億文字からなる本の中の1200万文字がちがっているということ。
その違いが人間の多様性を生むのだという。
◇
【一人ひとりの人間は、これほどちがったDNAをもっているのですが、人間とチンパンジーとの間には、この10倍、すなわち100塩基に1個ぐらいのちがいがあるのです。
100文字に1字の割合で違う本では、本の内容にも違いができてしまいます。
これだけの違いがあると、子どもはできないので、種がちがうということになります。
多様性を保ちながらも、人間はあくまでも人間なのです。
人間としての秩序はしっかりと保たれているのです。
このDNAの多様性が個性を生みます。けれどもそのちがいは人間であるという枠を超えることはありません。まさに《バラバラでいっしょ》なのです。】
[『永遠のなかに生きる』柳沢桂子(集英社)]
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