ワニなつノート

この子がさびしくないように(その12)

この子がさびしくないように(その12)


安積遊歩さんの本。つづき。


    □    □    □


私が偉丈(ひでたけ)をいいナと思う点はいくつもあるが、
宇宙の障害に対する否定的な思いを
いっさい感じさせないところが、
もっとも尊敬している点である。


かつて、彼の母親が「宇宙ちゃんのこの足が問題よね」
と言ったとき、間髪を入れずに偉丈は、
「宇宙ちゃんのここがかわいいんだよ」と、
まだ1歳になるかならないかの
彼女の足にふれながら言ったものだ。


いまでもそのことばは、
私の内なる優性思想をらくらくとキックすることばとして、
燦然と心のなかで輝いている。

おおげさでなく、私はそのときまで、
味方を得たと感じられることばとしてせいぜい、
「骨が曲がっていてもしかたがないんだ」
くらいしか受けとったことがなかったのだ。


彼が宇宙の曲がった足にふれながら、
いとおしそうに「ここがかわいいんだ」と言うのを
聞いたときには、びっくりした心が
月に行って帰ってきたくらいの衝撃を受けた。



『いのちに贈る超自立論』 
安積遊歩 太郎次郎エディタス 



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