ワニなつノート

高校の「計画進学率」



高校の「計画進学率」



高校の「計画進学率」という言葉は、どれくらい知られているのだろう。


1989年(平成元年)の千葉県の進学率は、94.3%だった。

今は、98.8%にまで上がっている。

限りなく100に近い。

でも、これは中3の子の努力と学力が、上がった結果ではない。


あくまで、大人が「計画」した、「箱」に合わせて、入れる子どもの数が、増えた、だけ。

それが、「高校進学率」だ。





大人たちは、どんなふうに「計画」してきたか。

21世紀の「計画進学率」を見てみよう。


2001年=96.6%

2002年=97.2%

2003年=97.3%

2004年=97.5%

2005年=97.5%

2006年=97.7%

2007年=97.8%

2008年=97.8%

2009年=97.8%

2010年=97.9%

2011年=98.1%

2012年=98.1%

2013年=98.3%

2014年=98.5%

2015年=98.6%

2016年=98.6%

2017年=98.7%



そして、来年、2018年度の「計画進学率」は、98.8%に決まった。


実際の進学率は、「計画進学率」をなぞる形で増える。


この「計画」された「数字」で、私たちは子どもに何をしているのか。


言葉を変えてみる。


    ◇

2001年には、1000人の15歳の中から、966人が高校生になれるように「計画」した。

2002年には、1000人の15歳の中から、972人が高校生になれるように「計画」した。

2003年には、1000人の15歳の中から、973人が高校生になれるように「計画」した。

2004年には、1000人の15歳の中から、975人が高校生になれるように「計画」した。

2005年には、1000人の15歳の中から、975人が高校生になれるように「計画」した。



2006年には、1000人の15歳の中から、977人が高校生になれるように「計画」した。

2007年には、1000人の15歳の中から、978人が高校生になれるように「計画」した。

2008年には、1000人の15歳の中から、978人が高校生になれるように「計画」した。

2009年には、1000人の15歳の中から、978人が高校生になれるように「計画」した。

2010年には、1000人の15歳の中から、979人が高校生になれるように「計画」した。


2011年には、1000人の15歳の中から、981人が高校生になれるように「計画」した。

2012年には、1000人の15歳の中から、981人が高校生になれるように「計画」した。

2013年には、1000人の15歳の中から、983人が高校生になれるように「計画」した。

2014年には、1000人の15歳の中から、985人が高校生になれるように「計画」した。

2015年には、1000人の15歳の中から、986人が高校生になれるように「計画」した。



2016年には、1000人の15歳の中から、986人が高校生になれるように「計画」した。

2017年には、1000人の15歳の中から、987人が高校生になれるように「計画」した。

そして、来年は、また一人分、計画を増やした。

2018年には、1000人の15歳の中から、988人が高校生になれるように「計画」した。


          ◇


こつこつと、15歳の子どもが「高校生になれる」人数を、一人ずつ増やして、20年近くかけて、「22人分」増やした。


これは、本当に、15歳の子どもに対する、大人の「いじめ」計画ではないのか。


なぜ、残りの12人が高校生になれるようにしようとしないのか?????


進学率を決して100にはしないように、限りなく99.9を目指して、小さく刻んでいるだけなんじゃないのか。


その分、「定員内」で「入学拒否」される子どもの心は、深く壊れていくだろう。


最後の一人は、どうして自分が、高校生になれないのか、どう受け止めるのだろう。


「高校で学ぶ、意欲と適正がない」とされる最後の一人を作るために、来年も再来年も、「計画」し続ける。


何のために、ほんの数人の子を、「拒否する計画」を作るのだろう。

私たちの社会は。



         ◇


こんなとき、ふと目にする「特別支援教育」のニュースに驚く。


「文部科学省が8月3日に公表した2017年度学校基本調査(速報値)によれば、沖縄県内公立小中学校の特別支援学級数は974クラスで、前年度より155クラス増えた。」


155クラス、増える。

155クラス、という数字の先に、「分けられて、寂しい思いをしている子」がどれくらいいるのだろう。


私たちの社会は、子どもたちに、何をしているのだろう。
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