《0歳からの就学相談会》
プロローグ②
《1歳の君へ》
そろそろ這いだそうと、君の中の哺乳類は、ささやいているかい?
それとも、人生の始まりを、たっぷりとためこんでいる?
どちらにしろ、生まれてくるには今ごろが、ちょうどよかった。
君だけじゃない。にんげんてやつは、誰も彼も、早く生まれすぎる。
なにしろ、お母さんのお腹でのんびり逆立ちしてるころ、生まれてくるんだから。
狼より、キリンより、イルカより、プレーリードッグより、にんげんは頼りなく生まれてくる。
だから、ゆっくりでいい。
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昔々、誰かのお母さんが、待ちきれなかったのかも。
お腹の中の君に会いたくて。触れたくて。声を聞きたくて。
笑顔を待ちきれなくて。神様にお願いしたのかも。
お腹のなかでの君との一年と。お腹のなかの君を抱きしめる一年と。
どっちもほしいと願った。
だから、ゆっくり、たっぷり、眠り続けるままの姿で、生まれてくる。
だから、ゆっくりでいい。
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君はどんな夢をみてる?
どんな音をきき、どんなダンスを踊ってる?
どんなまなざしに見つめられ、
どんな気配に包まれてる?
心地よいのはどんなとき?
ほしいものはみえてきた?
何からはじめてもいい。
何から手をのばしてもいい。
世界の確かめ方はひとりひとりちがうから。
どれが先に大切かなんて、誰も知らない。
どんなに早く生まれようと、どんなにゆっくりすすもうと。
君の人生に遅すぎることなんて、なにもない。
だれもがうれしいのは、まってもらうこと。
だって、きみもぼくも生き物だからね。
君といることができる。
それだけでいい。