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今日、12月30日は純くんの22歳の誕生日でした。
私たちは純くんに、定員を守ることさえ贈れなかったけれど。
純くんは、全国のみんなに、「いっしょに高校生になろう」という贈り物を、天国から届けてくれました。
純くん、ありがとう。
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《高校行きたかった
重度障害 定員割れでも25回不合格
医療的ケア必要 21歳死去》
毎日新聞2019年12月30日(全国版1面)
「普通に生きたかっただけなのに」。
普通高校への進学を希望して7年間浪人生活を送った脳性まひのある渡邊純さん(21)=千葉県成田市=が11月に亡くなった。
定員割れにもかかわらず不合格となる「定員内不合格」が続いたため、母親、みささんは国や県に是正を求めている。
みささんによると、純さんはたんを吸引する医療的ケアが必要で、自力での移動が難しかったものの、小中学生の時はバギー型車椅子を使って成田市立の普通学校に通った。中学には看護師が巡回し、急な体調悪化に備えてもらった。
当時の担任教諭(50)は同級生も純さんと分け隔てなく接したと振り返り、「一緒に過ごすことで他の子の学びにもつながった」と語る。
2013年から介助者を付けて受け続けた県立高校入試は追加募集も含めて27回不合格となり、うち25回が定員内不合格だった。理由を尋ねると、いずれの学校も「総合的な判断。障害が理由ではない」と答えたという。
定員62人の2次募集に10人が受験して純さんだけが不合格となった定時制高校の教頭は取材に対し「入試の基準に従って判断している。不合格となった具体的な理由は答えられない」と述べた。
元同県教委職員の江崎俊夫明治学院大特命教授(社会福祉学)は、「障害者への支援が財政的にも人的にも学校にないのが理由では。日本では特別支援学校以外を選ぶと子と親は取り残されてしまう」と憂慮する。
27回目の不合格通知を受けた今春、みささんが「もう受験やめる?」と尋ねると、純さんは低い声でうなり、「じゃあ、また受検する?」と聞くとニコッと笑った。9月に体調を崩し入院生活の末に亡くなった。
みささんは昨年の成人式の写真を大切にしている。
「純はふつうに生きようと頑張った。そのために差別に立ち向かわなければならなかった」。
中学時代の同級生と並んだ純さんは楽しそうな笑顔を浮かべていた。
定員内不合格の問題は筋萎縮性側索硬化症(ALS)患者の舩後靖彦参院議員(れいわ新選組)が11月の参院文教科学委員会で質問し、実態調査を求めた。
舩後氏は取材に「社会とのつながりを失う子どもたちを増やさないため、少なくとも定員は確保するよう入学を認めるべきだ」と答えた。
【加藤昌平】
《32道府県「出る可能性ある」》
文部科学省によると、都道府県立高校で志願者が定員に満たなくても全員の入学を認めない「定員内不合格」について、32道府県の教育委員会が「出る可能性がある」と答えたという。
医療的ケアが必要なせいとを含め、実際に進学できなかった人数は把握されておらず、文科省は実態調査の実施を検討している。
定員内不合格について今年度に「出る可能性がある」と答えたのは、北海道、千葉、京都など32道府県。神奈川、愛知、大阪、福岡など15都府県が「原則、定員内不合格を出さない」としているという。
学校教育法施行規則は高校の入学について、調査書や学力検査などを基に学校長が許可すると定める。
一方、文科省が26日公表した全国の公立学校などに在籍する医療的ケアが必要な生徒の調査(18年度)によると、特別支援学校高等部に2183人が在籍するのに対して普通高校は10人だった。
【水戸健一】
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