>>>
仁王門を駆け抜け、すでに巨大な肉の塊と化している裸の群れに飛び込んだ。グイグイと割り込み、顔に肘や頭突きをくらいながらも結構中まで入ってきた。だがそこからはもうほんの1mmの隙間もない状態で、べたつく素肌同士に圧迫され身動きをとることも出来ない。立ち込める蒸気と酒とヤニの臭い、絶叫とワッショイが痛いほど耳に響く。上から浴びせかけられる冷水が心地いい。
絶対取ってやる。
とギラギラ目を見張り、「ワッショイ!!」を叫びながらどのくらい経っただろう。しばらくすると屋根裏みたいなとこの隙間から、坊さんが何人か顔を出した。1人が提灯をだし、ハダカの上でクルクルまわすと、ハダカたちが一斉に絶叫、絶叫、絶叫。
その瞬間!!
全ての照明が消えた。暗闇の中で、坊さんが遠くの方に何か黒っぽいものを投げたのが見えた。叫び声しか聞こえない中で、とにかく肉塊の中に沈まないようもがき続けた。次の瞬間、照明がつき、ほとんどのハダカたちがキョロキョロと的を探す。後ろを見ると、1人の男がうつぶせに倒れ、周りのハダカたちが踏んづけないよう、男を取り囲んだ。
「ないないっ!!ここにはないぞー!!!」
誰かが叫び、周りのハダカの視線がそれた瞬間、倒れた男がすごい速さで立ち上がり、ハダカの間を走り抜けた。「はっ!!」と思った途端、周りの男たちがすごい形相で逃げた男を追いかけた。
「えっ!!どーしよ!!どーしよ!!」
すでに渦が何箇所かに分かれ、本気組とまごつき組とあきらめ組に分かれていた。
「こんなとこであきらめるか!!」
宝木は2本と聞いていたので、近くの1番でかい渦に全身で突っ込み、とにかく中心に向かってもがき続けてたその時!!!隣のハダカの肩辺りに、なんか木が乗ってる。
えっ?何?・・いいのこれ?
なんとか手を伸ばし、20cmぐらいのその木の枝をつかんだとき、正面のおっちゃんと目が合った。見る見る仁王に変身していくおっちゃん。
ヒーーー!!!
即行で後ろを向き、なんとか渦の外に出ようともがくが全然動けない。手を下に突っ込み、木をふんどしの腹の部分にぶち込んで、力の限りに肉塊をかきわけ渦の外に出た。バラバラと散らばってるあきらめ組にさりげなく混じり、「はぁーダメじゃん。ふ~。」みたいな表情を無理矢理作りながらも、心臓バクバク。
(やっべぇーー!!これ絶対宝木だよー!!やっべー!!!)
>>>
岡山県西大寺の裸祭り。数千人の男たちが褌一丁で2本の宝木を血みどろになって奪い合う喧嘩祭りだ。
この肉の塊の中に僕もいます。
お祭りというものは人間の心の根源にあるひだを刺激して、普段眠っている欲求を呼び起こしてくれます。祭りの10ヶ月後によく子供が生まれるのもそういうことだと思います。
日本全国いろんなお祭りがありました。人間は面白い!!
ちなみに今日の宮崎日日新聞に僕がおっきく載ってます。記者の高見さん、カメラマンの江夏さん、ありがとうございました。
仁王門を駆け抜け、すでに巨大な肉の塊と化している裸の群れに飛び込んだ。グイグイと割り込み、顔に肘や頭突きをくらいながらも結構中まで入ってきた。だがそこからはもうほんの1mmの隙間もない状態で、べたつく素肌同士に圧迫され身動きをとることも出来ない。立ち込める蒸気と酒とヤニの臭い、絶叫とワッショイが痛いほど耳に響く。上から浴びせかけられる冷水が心地いい。
絶対取ってやる。
とギラギラ目を見張り、「ワッショイ!!」を叫びながらどのくらい経っただろう。しばらくすると屋根裏みたいなとこの隙間から、坊さんが何人か顔を出した。1人が提灯をだし、ハダカの上でクルクルまわすと、ハダカたちが一斉に絶叫、絶叫、絶叫。
その瞬間!!
全ての照明が消えた。暗闇の中で、坊さんが遠くの方に何か黒っぽいものを投げたのが見えた。叫び声しか聞こえない中で、とにかく肉塊の中に沈まないようもがき続けた。次の瞬間、照明がつき、ほとんどのハダカたちがキョロキョロと的を探す。後ろを見ると、1人の男がうつぶせに倒れ、周りのハダカたちが踏んづけないよう、男を取り囲んだ。
「ないないっ!!ここにはないぞー!!!」
誰かが叫び、周りのハダカの視線がそれた瞬間、倒れた男がすごい速さで立ち上がり、ハダカの間を走り抜けた。「はっ!!」と思った途端、周りの男たちがすごい形相で逃げた男を追いかけた。
「えっ!!どーしよ!!どーしよ!!」
すでに渦が何箇所かに分かれ、本気組とまごつき組とあきらめ組に分かれていた。
「こんなとこであきらめるか!!」
宝木は2本と聞いていたので、近くの1番でかい渦に全身で突っ込み、とにかく中心に向かってもがき続けてたその時!!!隣のハダカの肩辺りに、なんか木が乗ってる。
えっ?何?・・いいのこれ?
なんとか手を伸ばし、20cmぐらいのその木の枝をつかんだとき、正面のおっちゃんと目が合った。見る見る仁王に変身していくおっちゃん。
ヒーーー!!!
即行で後ろを向き、なんとか渦の外に出ようともがくが全然動けない。手を下に突っ込み、木をふんどしの腹の部分にぶち込んで、力の限りに肉塊をかきわけ渦の外に出た。バラバラと散らばってるあきらめ組にさりげなく混じり、「はぁーダメじゃん。ふ~。」みたいな表情を無理矢理作りながらも、心臓バクバク。
(やっべぇーー!!これ絶対宝木だよー!!やっべー!!!)
>>>
岡山県西大寺の裸祭り。数千人の男たちが褌一丁で2本の宝木を血みどろになって奪い合う喧嘩祭りだ。
この肉の塊の中に僕もいます。
お祭りというものは人間の心の根源にあるひだを刺激して、普段眠っている欲求を呼び起こしてくれます。祭りの10ヶ月後によく子供が生まれるのもそういうことだと思います。
日本全国いろんなお祭りがありました。人間は面白い!!
ちなみに今日の宮崎日日新聞に僕がおっきく載ってます。記者の高見さん、カメラマンの江夏さん、ありがとうございました。