1月18日に行いました歌会たかまがはら1月号に短歌をご投稿いただいた皆様、また歌会の配信をご視聴いただいた皆様、ありがとうございました。
ここでは、当日採用した短歌、当日発表できなかったけど気になった短歌、出演者の短歌をご紹介いたします。
なお、短歌の感想等は省かせていただきます。ご了承ください。
採用歌の感想に関しましては録画がございますので、そちらでご確認ください。
1月号録画ページはこちらです。→ http://www.ustream.tv/recorded/42827718
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お題「風」
ゲスト:木下龍也さん
司会:天野うずめ
<当日発表した歌(順不同)>
◎木下龍也さん選
・夕方の風がサニーを抜けてゆく臨時ニュースの声をさらって(大阪府 岡野大嗣さん)
・ばれなけりゃいいさと風呂で小便をすればなぜだかいつもより濃い(宮城県 工藤吉生さん)
・ゆく風に名前をつけて「いつかまた頬を打たれてみたい」と言った(神奈川県 黒崎立体さん)
・三速で走る自転車 川沿いにうなじは風の抜け道となる(トロント さとうはなさん)
・風使いごっこに立った屋上で一番最初に指さすジャスコ(神奈川県 苗くろさん)
→天野うずめも選
・とてもすてきな長い手紙を書き終えて風の強い日にポストへ向かう(新潟県 ユキノ進さん)
◎天野うずめ選
・おだやかな風と言われて消えていく共和国にも針ぐらいある(東京都 風野瑞人さん)
・夕闇に父さんのシャツ落ちていた 飛んで行けると思ったはずの(兵庫県 飯田和馬さん)
→木下龍也さんも選
・いっせいに千のシーツは日に干されこの屋上に風は止まない(トロント さとうはなさん)
<当日発表できなかったけど気になった歌>
◎木下龍也さん選
・いつまでも君だけを見ていられない素直にゆれている風見鶏(こはぎさん)
・よそ行きの、風邪の、いつもの、耳元の、すべての声をほしいと思う(こはぎさん)
・ひとしきり吹き抜ける風ともだちに戻るってたぶんこんな感じだ(こはぎさん)
・思い出を梱包している春の午後 箱の谷間に旅立ちの風(兵庫県 麻倉ゆえさん)
・一般にウサイン・ボルトが追い風で走る速さで駅から5分(滋賀県 西村湯呑さん)
→天野うずめも選
・生きたまま風を捕らえる方法をどなたか僕に教えてください(岩手県 山本左足さん)
・街角にひとりぽつんと突っ立って風を待つのが仕事の女(岩手県 山本左足さん)
・学校で一番速いカズ君の世界は風で溢れるだろう(大阪府 牛隆佑さん)
・暖かな風吹き抜ける教室で半紙の中の春がざわめく(兵庫県 紫陽花さん)
・風媒花でないので僕は台風が過ぎたあとでも子供がいない(兵庫県 飯田和馬さん)
・風呂敷とピロシキ持って出かけます お金ないからもう帰ります(兵庫県 飯田和馬さん)
・栞? 立てひざをくすぐる感触をどかして見たら 風 せんぷうきの(沖縄県 伊舎堂 仁さん)
・ヒューストン、月にウサギはいなかった。こちら風船おじさん、どうぞ(大阪府 泳二さん)
・風の絵を描(か)いたという子のてのひらは真っ白な粉が光っていた(大阪府 泳二さん)
・発芽する音に飛び出し前傾のまま駆け抜けて春風となる(岐阜県 太田宣子さん)
・散髪の帰りの道で会う風が風のなかではいちばん好きだ(大阪府 岡野大嗣さん)
・道ばたで死を待ちながら本物の風に初めて会う扇風機(大阪府 岡野大嗣さん)
・窓枠にぶらさげた手に風が来てルーズリーフの穴を抜けてく(大阪府 岡野大嗣さん)
・なれそうな気がする夜になれそうな気がする冷たいベランダにいる(東京都 小川千世さん)
→天野うずめも選
・遇うたびに靴先に風ふきだまるその一瞬を蹴り合ってゆく(宮城県 風橋 平さん)
・太陽が泣いてるマークがあるとしてそんな天気にふさわしい風(宮城県 工藤吉生さん)
・してもいない突風みたいな約束に煽られ僕らは出会うのだろう(神奈川県 くまさんこと木下侑介さん)
・風のせいあなたはきっとそう言うわあの彗星は預言者なのよ(神奈川県 黒夜行さん)
・夏はみな海へ海へとかりだされ市民プールに風が足りない(北海道 琴平葉一さん)
・抜かりなくペディキュア塗ったあの子でも風呂場じゃ素手で鼻をかむのだ(茨城県 佐倉まり子さん)
・教会の尖塔からの風を受け旧市街地の地図をのぞきこむ(トロント さとうはなさん)
・きみの肩に髪が触れれば(海の風)ふたり壁画の一部になりて(トロント さとうはなさん)
・右腕の振幅幅を思ふればシャトルは風の中へと落ちる(トロント さとうはなさん)
・花冷えよ 風鳴り止まぬ夕暮れは海辺へチェロを奏でに行こう(トロント さとうはなさん)
・大きい羽を持つほど風にあおられてカラス斜めに飛ぶ冬の朝(神奈川県 高松紗都子さん)
・あなたからなんにも来ない秋の日の風は冷たくなりたがります(岩手県 たきおとさん)
・木枯らしが吹くとポケット増えてゆく何を入れるか決められぬまま(奈良県橿原市 たたさん)
・風鈴のはためく紙を作りたい 願いはとうとう叶わぬままで(兵庫県 檀可南子さん)
・悲しくて(家に帰って着替えた後ご飯とお風呂すませたら)泣く(兵庫県 檀可南子さん)
・朝の風になろう あたためたいなあ 4時の小鳥でわたしはねむる(新潟県 七波さん)
・排気ガスから生まれたのは死にたがりのひとりぼっちの風だった(大阪 西村真央さん)
・もう一度名前を呼んで もう二度とわたしが風にならないように(北海道 星乃咲月さん)
・乗り物が風しかなくていつどこに着くのか誰も知らない世界(東京都 実山咲千花さん)
・風邪ひきの窓の向こうはよくしゃべる自動販売機のお前 また(大阪府 虫武一俊さん)
・夏季五輪金メダリストの世界一風をきるのがうまい能力(東京都 山田水玉さん)
→天野うずめも選
・踏切の向こうできみは悲しげにぱくぱくぱくと風を食べてる(東京都 山田水玉さん)
・よく見とけ屋上からのダイビング おおい風見鶏横を向くなよ(東京都 山西木々(やまにしきぎ)さん)
・飛んでった麦わら帽子追いかけてそのまま風になった恋人(奈良 龍翔さん)
・ストーブの上でふしゅふしゅ鳴るやかん吹雪の映る外を曇らす(大阪府 レグルスさん)
→天野うずめも選
・強がりじゃないなるったけ遠くへと涙を風に乗せる実験(大阪府 ワンコ山田さん)
◎天野うずめ選
・夕暮れにぼくらはみんな風まみれドボルザークを聞きつつ帰る(岩手県 山本左足さん)
・9回で逆転負けをした後のジェット風船みたいに孤独(岩手県 山本左足さん)
・春風に乗って届いてくる声が「ジーク・ジオン」にしか聞こえない(岩手県 山本左足さん)
・バスタオル白くはためく五月晴れ途切れ途切れのクシコスポスト(兵庫県 紫陽花さん)
・鶴橋で焼肉の風浴びたあと線香くさい奈良へと至る(兵庫県 飯田和馬さん)
・食べながら「どうする」なんて聞かれても風月堂のあれかと思う(兵庫県 飯田和馬さん)
・偏西風の蛇行によって構内に座るしかない人が増えてる(兵庫県 飯田和馬さん)
・破瓜(はか)は処女うしなうときの音裂いた少年サンデーから立つ風が(沖縄県 伊舎堂 仁さん)
・緊箍児(きんこじ)が頭をギュッと締めつけるように師走の風に打たれる(茨城県 海さん)
・号砲の余韻が残るトラックに風はもうさっきより涼しい(大阪府 泳二さん)
・南風未だ届かず指先を絡め待ってるつばめ一号(香川県 大木はちさん)
・風邪引いて微熱の中で待っているあなたがつくるホットレモネード(福岡 大野瑞代さん)
・台風の夜のガストで店員のひとりひとりにあだ名をつける(大阪府 岡野大嗣さん)
・九月行くブラウン管に豪風が やッ と力士を引き落とすさま(宮城県 風橋 平さん)
・共産党事務所のビラのはためける戸口ましろくなるまでの風(宮城県 風橋 平さん)
・きみが抜いた一冊分だけ本棚とぼくのこころに風が吹きます(新潟県 桔梗さん)
・お風呂場の窓はただしく結露する きみは泣いていたのだろうか(新潟県 桔梗さん)
・風の名のついた歌集にいくつもの青い付箋が育っていくね(トロント さとうはなさん)
・あいまいを見抜いてしまうひとだから髪は夜風に触れさせておく(トロント さとうはなさん)
・丸いのを入れるだけ只それだけでコインロッカーから風その他(神奈川県 渋沢綾乃さん)
・透明なビニール傘が転がって晴れた屋上飛べないものだね(神奈川県 渋沢綾乃さん)
・だまし絵館は窓枠だらけ 風景は切り取ることで手に入れるもの(奈良県橿原市 たたさん)
・風果ててロンサムジョージとつぶやいた いつかすべては絶滅危惧種(北海道 月夜野みかんさん)
・この地球(ほし)は風を生む星 信じてもいいな明日のわたしなんかを(北海道 月夜野みかんさん)
・もう全部沈んでしまって静かだね台風の日のひそひそ話(神奈川県 苗くろさん)
・たった今ひとりぼっちを許されて冷たい風を吸い込んでいる(新潟県 七波さん)
・軽トラの後ろに乗って風を食む泥と石油に命の匂い(東京都 二玉号さん)
・フィリピンが飛んできそうで台風の夜にちょこっと開けてみた窓(東京都 のの(連歌の花道の子)さん)
・カルピスの表面もやや凪(な)ぎはじめ そろそろきみも三十二だね(神奈川県 八月夏生さん)
・ふるさとの風が飛び込む1番線のぞみ東京行きが発ちます(大阪府 福山桃歌さん)
・ワレワレハウチュウジンダと呟いたヨドバシ夏のボーナスセール(大阪府 福山桃歌さん)
・風邪ですか高熱ですかうわごとで私の名前を呼んでもいいよ(藤崎しづくさん)
・またの名を風と呼ぶこの手のひらを迷うことなく振り切ってゆけ(北海道 星乃咲月さん)
・神去出(からさで)が済めば霜月 シベリヤの風に出雲は鳥たちの国(島根県松江市 宮嶋いつくさん)
・陸橋は風を感じる場所としてただあればいい みだれるみどり(大阪府 虫武一俊さん)
・いざというときは天使が缶詰の溜め息を世界に撒くだろう(東京都 山田水玉さん)
・北風が脱がし損ねたコート着て釦に手をかけ待ってる春を(東京都 山西木々さん)
<出演者の短歌>
◎木下龍也さん詠歌
・風風風のさなかに凸が現われて地に突き刺さる巨大な銀貨
◎天野うずめ詠歌
・今日祖父が亡くなりました 台風が二つ接近している朝に
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<反省会>
改めまして、歌会たかまがはら1月号をご覧いただいた皆様、短歌をご投稿いただいた皆様、ありがとうございました。
まず、配信日前日に延期かどうかという情報が錯綜してしまい、申し訳ございませんでした。
不確定な情報を流さないように情報の取り扱いには気をつけてまいります。
さて、今回は木下さんと公開配信をさせていただきました。
今年もたくさんのゲストの方にご出演いただけることを目標にしていきます。
たくさんのゲストの方とたくさんの短歌をご紹介していきたいです。
最後に木下さんのご好意で番組内で採用させていただいた方に木下さんの歌集をプレゼントさせていただくことになりました。
これからも、サプライズでお誕生日パーティなどを企画していこうと思います。
それでは、今年も歌会たかまがはらをよろしくお願いいたします。
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次回の歌会たかまがはらですが、現在調整中です。
決まり次第、こちらのHP&Twitterで告知いたします。
「歌会たかまがはら」ブログ:http://blog.goo.ne.jp/utakai_takamagahara
「歌会たかまがはら」twitterアカウント:@utamagahara
告知まで今しばらくお待ちください。
今後とも、歌会たかまがはらをよろしくお願いします。
ここでは、当日採用した短歌、当日発表できなかったけど気になった短歌、出演者の短歌をご紹介いたします。
なお、短歌の感想等は省かせていただきます。ご了承ください。
採用歌の感想に関しましては録画がございますので、そちらでご確認ください。
1月号録画ページはこちらです。→ http://www.ustream.tv/recorded/42827718
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お題「風」
ゲスト:木下龍也さん
司会:天野うずめ
<当日発表した歌(順不同)>
◎木下龍也さん選
・夕方の風がサニーを抜けてゆく臨時ニュースの声をさらって(大阪府 岡野大嗣さん)
・ばれなけりゃいいさと風呂で小便をすればなぜだかいつもより濃い(宮城県 工藤吉生さん)
・ゆく風に名前をつけて「いつかまた頬を打たれてみたい」と言った(神奈川県 黒崎立体さん)
・三速で走る自転車 川沿いにうなじは風の抜け道となる(トロント さとうはなさん)
・風使いごっこに立った屋上で一番最初に指さすジャスコ(神奈川県 苗くろさん)
→天野うずめも選
・とてもすてきな長い手紙を書き終えて風の強い日にポストへ向かう(新潟県 ユキノ進さん)
◎天野うずめ選
・おだやかな風と言われて消えていく共和国にも針ぐらいある(東京都 風野瑞人さん)
・夕闇に父さんのシャツ落ちていた 飛んで行けると思ったはずの(兵庫県 飯田和馬さん)
→木下龍也さんも選
・いっせいに千のシーツは日に干されこの屋上に風は止まない(トロント さとうはなさん)
<当日発表できなかったけど気になった歌>
◎木下龍也さん選
・いつまでも君だけを見ていられない素直にゆれている風見鶏(こはぎさん)
・よそ行きの、風邪の、いつもの、耳元の、すべての声をほしいと思う(こはぎさん)
・ひとしきり吹き抜ける風ともだちに戻るってたぶんこんな感じだ(こはぎさん)
・思い出を梱包している春の午後 箱の谷間に旅立ちの風(兵庫県 麻倉ゆえさん)
・一般にウサイン・ボルトが追い風で走る速さで駅から5分(滋賀県 西村湯呑さん)
→天野うずめも選
・生きたまま風を捕らえる方法をどなたか僕に教えてください(岩手県 山本左足さん)
・街角にひとりぽつんと突っ立って風を待つのが仕事の女(岩手県 山本左足さん)
・学校で一番速いカズ君の世界は風で溢れるだろう(大阪府 牛隆佑さん)
・暖かな風吹き抜ける教室で半紙の中の春がざわめく(兵庫県 紫陽花さん)
・風媒花でないので僕は台風が過ぎたあとでも子供がいない(兵庫県 飯田和馬さん)
・風呂敷とピロシキ持って出かけます お金ないからもう帰ります(兵庫県 飯田和馬さん)
・栞? 立てひざをくすぐる感触をどかして見たら 風 せんぷうきの(沖縄県 伊舎堂 仁さん)
・ヒューストン、月にウサギはいなかった。こちら風船おじさん、どうぞ(大阪府 泳二さん)
・風の絵を描(か)いたという子のてのひらは真っ白な粉が光っていた(大阪府 泳二さん)
・発芽する音に飛び出し前傾のまま駆け抜けて春風となる(岐阜県 太田宣子さん)
・散髪の帰りの道で会う風が風のなかではいちばん好きだ(大阪府 岡野大嗣さん)
・道ばたで死を待ちながら本物の風に初めて会う扇風機(大阪府 岡野大嗣さん)
・窓枠にぶらさげた手に風が来てルーズリーフの穴を抜けてく(大阪府 岡野大嗣さん)
・なれそうな気がする夜になれそうな気がする冷たいベランダにいる(東京都 小川千世さん)
→天野うずめも選
・遇うたびに靴先に風ふきだまるその一瞬を蹴り合ってゆく(宮城県 風橋 平さん)
・太陽が泣いてるマークがあるとしてそんな天気にふさわしい風(宮城県 工藤吉生さん)
・してもいない突風みたいな約束に煽られ僕らは出会うのだろう(神奈川県 くまさんこと木下侑介さん)
・風のせいあなたはきっとそう言うわあの彗星は預言者なのよ(神奈川県 黒夜行さん)
・夏はみな海へ海へとかりだされ市民プールに風が足りない(北海道 琴平葉一さん)
・抜かりなくペディキュア塗ったあの子でも風呂場じゃ素手で鼻をかむのだ(茨城県 佐倉まり子さん)
・教会の尖塔からの風を受け旧市街地の地図をのぞきこむ(トロント さとうはなさん)
・きみの肩に髪が触れれば(海の風)ふたり壁画の一部になりて(トロント さとうはなさん)
・右腕の振幅幅を思ふればシャトルは風の中へと落ちる(トロント さとうはなさん)
・花冷えよ 風鳴り止まぬ夕暮れは海辺へチェロを奏でに行こう(トロント さとうはなさん)
・大きい羽を持つほど風にあおられてカラス斜めに飛ぶ冬の朝(神奈川県 高松紗都子さん)
・あなたからなんにも来ない秋の日の風は冷たくなりたがります(岩手県 たきおとさん)
・木枯らしが吹くとポケット増えてゆく何を入れるか決められぬまま(奈良県橿原市 たたさん)
・風鈴のはためく紙を作りたい 願いはとうとう叶わぬままで(兵庫県 檀可南子さん)
・悲しくて(家に帰って着替えた後ご飯とお風呂すませたら)泣く(兵庫県 檀可南子さん)
・朝の風になろう あたためたいなあ 4時の小鳥でわたしはねむる(新潟県 七波さん)
・排気ガスから生まれたのは死にたがりのひとりぼっちの風だった(大阪 西村真央さん)
・もう一度名前を呼んで もう二度とわたしが風にならないように(北海道 星乃咲月さん)
・乗り物が風しかなくていつどこに着くのか誰も知らない世界(東京都 実山咲千花さん)
・風邪ひきの窓の向こうはよくしゃべる自動販売機のお前 また(大阪府 虫武一俊さん)
・夏季五輪金メダリストの世界一風をきるのがうまい能力(東京都 山田水玉さん)
→天野うずめも選
・踏切の向こうできみは悲しげにぱくぱくぱくと風を食べてる(東京都 山田水玉さん)
・よく見とけ屋上からのダイビング おおい風見鶏横を向くなよ(東京都 山西木々(やまにしきぎ)さん)
・飛んでった麦わら帽子追いかけてそのまま風になった恋人(奈良 龍翔さん)
・ストーブの上でふしゅふしゅ鳴るやかん吹雪の映る外を曇らす(大阪府 レグルスさん)
→天野うずめも選
・強がりじゃないなるったけ遠くへと涙を風に乗せる実験(大阪府 ワンコ山田さん)
◎天野うずめ選
・夕暮れにぼくらはみんな風まみれドボルザークを聞きつつ帰る(岩手県 山本左足さん)
・9回で逆転負けをした後のジェット風船みたいに孤独(岩手県 山本左足さん)
・春風に乗って届いてくる声が「ジーク・ジオン」にしか聞こえない(岩手県 山本左足さん)
・バスタオル白くはためく五月晴れ途切れ途切れのクシコスポスト(兵庫県 紫陽花さん)
・鶴橋で焼肉の風浴びたあと線香くさい奈良へと至る(兵庫県 飯田和馬さん)
・食べながら「どうする」なんて聞かれても風月堂のあれかと思う(兵庫県 飯田和馬さん)
・偏西風の蛇行によって構内に座るしかない人が増えてる(兵庫県 飯田和馬さん)
・破瓜(はか)は処女うしなうときの音裂いた少年サンデーから立つ風が(沖縄県 伊舎堂 仁さん)
・緊箍児(きんこじ)が頭をギュッと締めつけるように師走の風に打たれる(茨城県 海さん)
・号砲の余韻が残るトラックに風はもうさっきより涼しい(大阪府 泳二さん)
・南風未だ届かず指先を絡め待ってるつばめ一号(香川県 大木はちさん)
・風邪引いて微熱の中で待っているあなたがつくるホットレモネード(福岡 大野瑞代さん)
・台風の夜のガストで店員のひとりひとりにあだ名をつける(大阪府 岡野大嗣さん)
・九月行くブラウン管に豪風が やッ と力士を引き落とすさま(宮城県 風橋 平さん)
・共産党事務所のビラのはためける戸口ましろくなるまでの風(宮城県 風橋 平さん)
・きみが抜いた一冊分だけ本棚とぼくのこころに風が吹きます(新潟県 桔梗さん)
・お風呂場の窓はただしく結露する きみは泣いていたのだろうか(新潟県 桔梗さん)
・風の名のついた歌集にいくつもの青い付箋が育っていくね(トロント さとうはなさん)
・あいまいを見抜いてしまうひとだから髪は夜風に触れさせておく(トロント さとうはなさん)
・丸いのを入れるだけ只それだけでコインロッカーから風その他(神奈川県 渋沢綾乃さん)
・透明なビニール傘が転がって晴れた屋上飛べないものだね(神奈川県 渋沢綾乃さん)
・だまし絵館は窓枠だらけ 風景は切り取ることで手に入れるもの(奈良県橿原市 たたさん)
・風果ててロンサムジョージとつぶやいた いつかすべては絶滅危惧種(北海道 月夜野みかんさん)
・この地球(ほし)は風を生む星 信じてもいいな明日のわたしなんかを(北海道 月夜野みかんさん)
・もう全部沈んでしまって静かだね台風の日のひそひそ話(神奈川県 苗くろさん)
・たった今ひとりぼっちを許されて冷たい風を吸い込んでいる(新潟県 七波さん)
・軽トラの後ろに乗って風を食む泥と石油に命の匂い(東京都 二玉号さん)
・フィリピンが飛んできそうで台風の夜にちょこっと開けてみた窓(東京都 のの(連歌の花道の子)さん)
・カルピスの表面もやや凪(な)ぎはじめ そろそろきみも三十二だね(神奈川県 八月夏生さん)
・ふるさとの風が飛び込む1番線のぞみ東京行きが発ちます(大阪府 福山桃歌さん)
・ワレワレハウチュウジンダと呟いたヨドバシ夏のボーナスセール(大阪府 福山桃歌さん)
・風邪ですか高熱ですかうわごとで私の名前を呼んでもいいよ(藤崎しづくさん)
・またの名を風と呼ぶこの手のひらを迷うことなく振り切ってゆけ(北海道 星乃咲月さん)
・神去出(からさで)が済めば霜月 シベリヤの風に出雲は鳥たちの国(島根県松江市 宮嶋いつくさん)
・陸橋は風を感じる場所としてただあればいい みだれるみどり(大阪府 虫武一俊さん)
・いざというときは天使が缶詰の溜め息を世界に撒くだろう(東京都 山田水玉さん)
・北風が脱がし損ねたコート着て釦に手をかけ待ってる春を(東京都 山西木々さん)
<出演者の短歌>
◎木下龍也さん詠歌
・風風風のさなかに凸が現われて地に突き刺さる巨大な銀貨
◎天野うずめ詠歌
・今日祖父が亡くなりました 台風が二つ接近している朝に
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<反省会>
改めまして、歌会たかまがはら1月号をご覧いただいた皆様、短歌をご投稿いただいた皆様、ありがとうございました。
まず、配信日前日に延期かどうかという情報が錯綜してしまい、申し訳ございませんでした。
不確定な情報を流さないように情報の取り扱いには気をつけてまいります。
さて、今回は木下さんと公開配信をさせていただきました。
今年もたくさんのゲストの方にご出演いただけることを目標にしていきます。
たくさんのゲストの方とたくさんの短歌をご紹介していきたいです。
最後に木下さんのご好意で番組内で採用させていただいた方に木下さんの歌集をプレゼントさせていただくことになりました。
これからも、サプライズでお誕生日パーティなどを企画していこうと思います。
それでは、今年も歌会たかまがはらをよろしくお願いいたします。
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次回の歌会たかまがはらですが、現在調整中です。
決まり次第、こちらのHP&Twitterで告知いたします。
「歌会たかまがはら」ブログ:http://blog.goo.ne.jp/utakai_takamagahara
「歌会たかまがはら」twitterアカウント:@utamagahara
告知まで今しばらくお待ちください。
今後とも、歌会たかまがはらをよろしくお願いします。