乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

化物和本草 11 八丁裏 九丁表「利欲(りよく)の鳥(とり)」  山東京伝作 葛飾北斎画 寛政十 版元 山口屋忠右衛門

2020-08-10 | 山東京傳

 

 化物和本草 11 八丁裏 九丁表「利欲(りよく)の鳥(とり)」

 山東京伝作 葛飾北斎画 寛政十 版元 山口屋忠右衛門

 

 

 化物和本草 3巻

 山東京伝作 1761-1816

 葛飾北斎画 1760-1849

 版元 山口屋忠右衛門

 寛政十 (1798)

 18cm

 黄表紙

 読んでいるのは、早稲田大学デジタルライブラリー

 

 

化物和本草 八丁裏

「利欲(りよく)の鳥(とり)」

りよくのとりハふぎの

とみをねがひ、いつもに

うかべるくものうへに

まひあそび、

かしらふたつあつて

ふたごゝろあり、

いつわりのみ おゝく

ひとをまごわす  

   とり

    なり

 

このとりハ

あのしやばにあつて

じひぜんごんの

こたるいたみも

なくわがみに

なくわがみに

とくのつくこと

あれバ、ひとの

なんぎにおよぶ

ことをわきまへず

不義不仁(ふぎふしん)の

きんじを

いさぶりため

いつしやううを

うざい がきのくハたくに

くるしみ

たる事をしらぬ

がうよくのひと

しらて、のち そのこんぱく

 

化物和本草 九丁表

高利(こ売り)のぢごくへおち

このとりとけして

ちううに

まよひくるしむ

なりひとたる

もの、おそれ

つゝしむべし

このとりに

ならぬやうに

こゝろがけ

  たまへ

 

化物和本草 八丁裏

   「はてめづらしい

    とりがとふぞへ

 

化物和本草 九丁表

   「はてめづらしいとりじや

    つかまへてみせものに

    だしたら、十二文の

    ちゃざいハおさへた

    ものじや

      といふが

      これが

      すなハち

      りよくの

      とんなつ

      た

 

挿絵の鳥の背中には次の文字が書かれている。

      不仁

      不義

 

 

じひぜんごん (慈悲善根)

 これも日頃から慈悲善根ら慈じひぜんこんを施して心掛をよくしたお蔭だらうと、精々神信心をいたして居ります。 銭形平次捕物控303

慈悲

  《「慈」は、梵maitrī「悲」は、梵karuṇāの訳》仏語。仏・菩薩(ぼさつ)が人々をあわれみ、楽しみを与え、苦しみを取り除くこと。
 2 いつくしみ、あわれむこと。なさけ。

善根 (仏)

 よい報いを生み出す原因としての善行。諸善のもとになるもの。

 

不義不仁(ふぎふしん)

不義 

 1 人として守るべき道にはずれること。また、その行い。
 2 道に背いた関係を結ぶこと。特に、既婚者が配偶者以外と肉体関係をもつこと。密通。「不義をはたらく」
 3 律の八虐の一。師や長官などを殺すこと。

不仁

 仁の道に背くこと。慈愛の心のないこと。また、その人。

「惨酷―の極と云うも過言に非ざる可し」〈福沢諭吉〉

不仁不義 (中国語辞典)

 

きんじ (禁止 きんし)[名](スル)

《古くは「きんじ」とも》

 ある行為を行わないように命令すること。「通行を禁止する」「外出禁止」

 

いさぶり(いさぶる)《品詞》動詞
《標準語》揺すぶる。揺すりうごかす。
《用例》「おい、ハシゴいさぶんないや。きょうていがな」(おい、はしごを揺すぶらないでくれよ。こわいじゃないか)。

 いさぶり(いさぶる)は、鳥取弁。

 

がうよく

 強欲

しらて

 知らで

こんぱく

 困迫

 

このとりとけして

 この鳥と化して

 

鳥と鳥取弁の「いさぶり」

 

 

 

 

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化物和本草 10 七丁裏 八丁表「金(かね)のなる木(き)」  山東京伝作 葛飾北斎画 寛政十 版元 山口屋忠右衛門

2020-08-10 | 山東京傳

 

 化物和本草 10 七丁裏 八丁表「金(かね)のなる木(き)」

 山東京伝作 葛飾北斎画 寛政十 版元 山口屋忠右衛門

 

 

 化物和本草 3巻

 山東京伝作 1761-1816

 葛飾北斎画 1760-1849

 版元 山口屋忠右衛門

 寛政十 (1798)

 18cm

 黄表紙

 読んでいるのは、早稲田大学デジタルライブラリー

 

 

化物和本草 七丁裏

「金(かね)のなる木(き)」

かねのなるきハよのなかに

たへてなきものゝやうにおもへども、

さにあらず、みな にん/\の

いへ/\にありて、そのたねをしょぢ

すれどもかぎやうにおこたりつとむる

ととおろそかなるがゆへにしんざい

のぢめん、あれちとなり、

もとでのはたけ こやし、

すけなくたねをまきても

はなさき、みのることなし、

ゝいなるふうきハ

てんにあれとも

小なるふうきハつとむるに

あり、それ/\のすぎわひに

おこたらざるときハ、

あに、かねのなるき、なからんや、

かねのなるきハ、いかなる

ものぞといふに、まづ

あきびとのいゑの

かねのなるきハ、

はなハしんのぞうの

かたちのごとくはハ

ふて かゞみのごとくみハ

そうだんのさまのごとし

 

化物和本草 八丁表

しよくにんのかねのなるきハ

はなハかんなくずのごとく

はハこてににたり

のみのごときみをむすぶ、

ひやくせうのかねのなるきハ

はなハさうのかねのかさのごとく、

はハすきくハにて

ごゝくのみのりあり、

さむらいのかねの

なるきハ、はなハまとの

ごとく、やのごとし、てつぽう

だまのやうなるみをむすぶ、

士農工商(しのうこうせう)、みな

それ/\にかぎやうの

田畠(たはた)をたがやして

かねのなるきをたくハへ、

たまへかてんかし

これほどの

どうりハ三ツごも

しるととなれども

いわれてみねバ

おとたりあり、

 わがからじやくを

  わらふひとあらバ

       わらい

        給へ

 

化物和本草 八丁表

金のなる木の鉢に書かれた言葉

     

     

  (幣ニ在り)

 

化物和本草 八丁表  下

    ごどもしづかに

    してごろう

    しやくを

      きけ

 

化物和本草 八丁表 下

    なるほど

    ごもつとも

    なごかう

      しゆ

    かねのある

    きハわれ

      しが

     いゑに

     ござる、

 

 (ぬさ)神前に供える、きぬ。しで。にぎて。ぬさ。

 

 

 

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化物和本草 9 六丁裏 七丁表「四四しんちうの鼠(ねつみ)」  山東京伝作 葛飾北斎画 寛政十 版元 山口屋忠右衛門

2020-08-10 | 山東京傳

 

 化物和本草 9 六丁裏 七丁表「四四しんちうの鼠(ねつみ)」

 山東京伝作 葛飾北斎画 寛政十 版元 山口屋忠右衛門

 

 

 化物和本草 3巻

 山東京伝作 1761-1816

 葛飾北斎画 1760-1849

 版元 山口屋忠右衛門

 寛政十 (1798)

 18cm

 黄表紙

 読んでいるのは、早稲田大学デジタルライブラリー

 

 

化物和本草 六丁表

「四四しんちうの鼠(ねつみ)」一名、ねづみやばり

でんそハけしてうづらとなり、

このしんちうのねづみ、けして

あめとなるときハおいをやしなひ

また、つりがねとかんじ、かなぶつと

けするときハ、ぶさいのたねども

なるつねにたばこのはをゑじきととし

くちよりけふりをはく

ひとりゐのつれ/″\をなぐさめ

たびぢの歌を散らし、

きやくのもてなしともなる

のうあつて

はなはだしき

ねづみなり

しんちう

/\と

なくこゑ

四々十六づつ

なくゆへ

四々しんちうの

ねづみと

なづく、

 

化物和本草 七丁裏

もしこのねずみのゆへに

どくにあたりゑ至る

ときハ、さとうゆを

のむへし、たちまち

ぢす、またへびに

さゝれたるとき

とのねづみのやにを

つくれハその

どくをさる

まむしにさゝれ

たるにもよし、

これハ

きつとした

しよもつにいて

たしかなること

なれバ

ひとのために

しるす、

 

化物和本草 七丁裏

「てつそといふハ

 きいやが

 しんちうのねづみとハ

 はて、めづら

      しい

 

化物和本草 六丁表

四々しんちうのねづみの言葉

     てつでハ

     ござらぬ

     しんちう/\

       /\/\

 

化物和本草 六丁表 

悪戯書き

一各

 銀々虫

 □(欠け)モ云

 

化物和本草 七丁裏

三桝の衣装を着た鬘も團十郎風の男が縁側に立ち

四四しんちうの鼠を見て

右手に太刀、左手に扇で古典的な歌舞伎の形を作り、

見得よろしく  

  はて

  うそつき

  ねづみ

  じや

 

 

四々しんちうのねづみの名前の由来

  しんちう

  /\と

  なくこゑ

  四々十六づつ

  なくゆへ

  四々しんちうの

  ねづみと

  なづく、

 

三桝の衣装を着た鬘も團十郎風の男が縁側に立ち

四四しんちうの鼠を見て

右手に太刀、左手に扇で古典的な歌舞伎の形を作り、

見得よろしく  

  はて

  うそつき

  ねづみ

  じや

 ここはひとまず、私の馴染みのある十二代目の團十郎の声色と言い回しで台詞を投げかけ、十二代目の決めで見得を切りたい。

  はぁて

  うぅそぉつき

  ねぇづぅみぃ

  じや!

と、『毛抜』風に言い回したい^^

 

 

 

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