乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

鉄輪  土舞台顕彰能 第28回 篝能

2007-10-21 | 能楽・狂言

(写真は、土舞台顕彰能/第28回 篝能の 葉書の写真部分です。)

 

 

  『鉄輪』 (かなわ)

 

 土舞台顕彰能/第28回 篝能   

 

   『江口』       

   『酢薑』(すはじかみ)・・・狂言

   『鉄輪』(かなわ)   ・・・能楽

   

 

 桜井市民会館大ホール 入場無料  

 

 

 奈良の桜井で行われた 土舞台顕彰能に行く。

 桜井は、芸能の発祥地ともいわれている。

 駅を降りると、それを記した大きなモニュメントがそびえたっている。

 

 

『鉄輪』のシテは、洛北の貴船神社に丑刻詣をする女。

 女は 下京の 自分を捨てて 後妻を迎えた夫を呪詛しようと思い、貴船に通う。

 頭には、鉄輪の三つの足に 松明(たいまつ)を灯す。

 

 女は立ち上がると、女の様子は一変して、鬼となる。

 顔色は変わり、髪は逆立ち、黒雲、雨、風、雷鳴の中を走り帰る。

 

 

 夫は、このところ悪夢に悩まされる。

 安倍晴明をたずね、占ってもらう。

 晴明は男をみるなり、女の深い恨であり、今夜限りの命だという。

 

 男は驚いて、女との顛末を話し、安倍晴明に転じかえの祈祷を頼む。

 安倍清明は夫婦の形代を置き、神仏などをおいて 祈る。

 

 

 やがてあたりに妖気が漂い、稲妻、雷鳴の中に女の生霊が現れる。

 金と白の鬼(蛇)の衣。

 女は笠を投げ捨てる。

 面から見える表情は、凄まじい形相。

 女の生霊は、夫に愛の末の恨みを放ち、後妻の髪をつかみ打ちすえ、夫の命を取ろうとする。

 この髪を打ちすえる場面は、とても迫力を感じた。

 

 そして・・・

「魍魎鬼神は 穢らはし(けがらわし)や。出でよ出でよ」

と追い立てられ、消え失せる。

 

 

  この能の後場の面は『生成』 或いは『橋姫』。

 いまだ鬼になりきらない、鬼への過程の顔とのこと。

 今回の面も素敵なもので、見ていて、わくわくした。

 

 

 この能の出典は、平家物語の『剣巻』だという。

 

 たまたま、桜井行きの電車の中で読んでいて 出てきた 『日本異界絵巻』(宮田登 等 三人の共筆)のP.72から75の 『宇治の橋姫』 (小松和彦氏・書く)

 奇遇とはこういったことをいうのか・・・

 能楽の『鉄輪』のモデルにもなった橋姫は、丑の刻参りのもとだという・・・

 身の毛もよだつ恐ろしさを感じる曲だったのも、納得がいく。

 

 詳しく言うならば 鉄輪とは、昔 火鉢の中に置いた五徳鉄(輪に三本の足を付けたもの)。

 この鉄輪を逆さまにしてその足にロウソクを結びつけ、火をつけたそれを頭に乗せ、髪を振り乱し、白化粧、濃い朱の裂けた口。

 口には櫛をくわえ、胸には鏡を提げ、丑の刻に貴船神社に参り杉の大木に添えた藁人形に五寸釘を打ち込み呪う…

  これが今に伝わる丑の刻参りの姿という。

 

 この原型の『宇治の橋姫』伝説。

 少し浦島太郎を思わせるが、橋姫は悪阻(つわり)に苦しみ、夫に

「七尋のワカメを海で獲ってきて。」と頼む。

 海に出かけた夫は、美しい龍神に囚われてしまう。

 橋姫は憎い龍神を呪う。

 貴船に参詣し

「私を鬼に変身させてほしい、そして憎い龍神を呪いたい」

と祈願すると、貴船の神は

「髪を松やにで固め角を作り、火を灯し、鉄輪を被って、三本の松明を持ち、宇治川に二十二日間浸りなさい」

と告げる。

 そのお告げの通り 一心不乱に宇治川に浸った橋姫は鬼似なれたといわれている。

 

 能楽の『鉄輪』は、この橋姫伝説から舞われるようになった。

 能楽では、藁人形を五寸釘で打ち場面はない。

 

 

 下京区の鍛冶屋町というと、去年 土舞台顕彰能で舞われた 『小鍛冶』も鍛治屋町と縁の深い話だった・・・

 京生まれの京育ちの私にとっては、京都の話は、身近に感じる。

 

 

『日本異界絵巻』の 『宇治の橋姫』によると、呪い殺すことに失敗した橋姫は、後に 本当の鬼と化し、多くの人々を殺し続けたという。

 女の嫉妬心、恨みは根深く怖い。

 しかし、この橋姫ばかりを悪者呼ばわりするのも、釈然としない。

 赤子をはらんだ女が、信じる夫に裏切られ、つらく切ない悲しみを感じる。

 複雑な気持ちで舞台を見つめていた・・・

 

 

(最後になりましたが、私は 能楽鑑賞初心者です。間違った内容があるかと思います。もしお気づきの点がございますようでしたら、お手数ではございますが、お教えくださいましたら嬉しいです。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。)

 

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秋祭り

2007-10-21 | お出かけ

(写真は 秋祭りの準備中。神社にて。)

 

 

   秋祭り

 

 最近 気候がよいためか、散歩が長くなった。

 今日も朝から、長時間ぶらぶらと歩く。

 秋晴れ あっぱれ あほうどり。

 

 表はニュータウンで、整備された美しさ。

 反対側は、田畑や川が美しく、旅行気分を味わえる。

 そう、わが家は散歩するには 恵まれた立地条件である。

 

 何気に意味もなくぶらぶらと歩いていると、色々なものに出会う。

 花や鳥や虫・・・

 畑や小山や、池や川の様子も面白い。

 刈り取られた田んぼのあとには、異常に集まった烏や鳥。

 乱鳥もビックリ!といった具合である。

 

 籾殻のようまものは、田んぼの真ん中で、煙をたてている。

 焼かれている中央からは、短い煙突のようなものが突き刺してある。

 こんな景色は、初めてみた。

 

 今日は秋祭りらしい。

 それも二つの町で、二つの神社に 神輿が置かれているのを 見た。

 九時ごろ、村人は祭りの準備に追われて、とても忙しそうだった。

 稲刈りを終えた ちょうどこの時期に、農家中心の秋祭りが行われるらしい。

 秋風と共に、私は美しい日本を感じていた。

 秋桜が 素直に揺れる・・・・・・。

 

 

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中性脂肪と コレステロール

2007-10-21 | 読書全般(古典など以外の一般書)

(2007年9月3日。

写真はイランのターケ・ボスターン(遺跡)の近くの、キャバブ屋。

ターケ・ボスターンの周辺には、キャバブ屋が多い。

写真の店の 羊のキャバブや クビデ(串刺し、羊のハンバーグのようなもの)、モツのキャバブは最高にとても美味しかった。

イランでキャバブはかなり多く食べたが、ホテルよりも、高級レストランよりも、一番印象に残る味。

高級レストランでは、羊のキャバブを扱ってないところが多い。

「羊。」

というと、

「うちは牛肉しか扱ってないよ。」

と馬鹿にされる始末。

イランでは安い店と 家庭料理が美味しいというのは、本当だと思った。)

 

 

記録だけ  2007年度 82冊目      

 

 よくわかる最新医学 『中性脂肪と コレステロール』 高脂血症を治す        

                                            

 石川俊次 著

 主婦の友社  

 平成12年8月20日

 平成14年9月20日 第7版

 191ページ 1300円+税

 

 気軽に 石川俊次著の 『中性脂肪と コレステロール』 を読む。

 知らなかった ためになる部分が 数ヶ所ある。

 こういった本は大体において、一ヶ所有効な部分があればよしとしているが、この本は 上の意味でも良書といえる。

 

 ただ、傾向としては実際に数値に現れているのかもしれないが、血液型云々の話は、首をかしげる。

 血液型を言い出したのは、近年のことである。

 確かにアメリカや諸外国でも、血液型による性格判断を研究し、傾向として数字に表してはいる。

 しかし全ての人に、当てはまるのではない。

 人間の平均寿命のように、この場合も数字のトリックが働いていることは確かだ。

 著者、石川俊次さんはソニー(株)健康開発センター長 及び、慶応大学医学部の客員教授もされているとのこと。影響力は大きい。

 まして こういった売れ筋の本で、まことしやかに血液型を判断基準におくのではなく、傾向であることを付け加えねば、血液型の差別は 今以上に過熱するのではないかと、心配する。

 

 上の一点を省くと、分かりやすく、また短時間で読める 馴染みやすい本だったことを、付け加えておきたい。

 

コメント (10)
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