2006年12月24日
中国も桂林にて バレエ的な要素の濃い雑技団を観ました。
この雑技団は本当に芸術的で幻想的、舞台そのものとしても充分に楽しめる上に、雑技技術も見事なものでした。
中国ガイドの計らいにより、当初予定には組み込まれていなかった雑技を見ることができて、とても幸せなクリスマスを過ごすことができたことを感謝しております。
この雑技団は日本で観たように 次々と技術を披露していくというものではなく、現代的な立体的空間演出に優れており、舞台そのものの構成力に長けたものでした。
例えば一例を取り上げますと、雑技技術はバック壁面のような作りで まるでアムステルダムの裏窓のような仕切られた部屋の中で、各自が柔らかな体の技術を披露する。
しかしその前の舞台では 広い空間の中で美しい衣装を身にまとった踊り子たちが、幻想的にバレエを披露してくれます。
この散った意的三次元の構成は舞台上にとどまることがなく、観客の会場までをも巻き込みます。
以前観た『キャッツ』や『カブキ』などのように役者や演じてが各席に迷い込んでくるといっただけのものではなく、大変大きな水色の布で観客の頭上の全てを 覆いつくします。
大陸らしいスケールの大きさを感じ、同時に観客はワクワク・・・・・・。
観客の興奮は相当なもので、上にてを伸ばして布を触るものですから、本当の波のように布全体は揺らめきます。
水色の布は舞台側に引かれていったかと思うと、それは潮の満ち引きを表しており、舞台はすっかりと海の中・・・・・・といった具合なのです。
布を使った舞台は公房氏の『イメージの展覧会』を初め 昔からよく行われていますが、こんなにスケールの大きな布使いは初めてでした。
全体を通して、芸術を雑技に取り入れたり、また構成的に考えて 本当の意味での立体的感覚を舞台には驚いてしまいました。
この感覚は広い台地の中に認めることができる なだらかな山々と、突然突起のように飛び出た岩山のような風景に囲まれて生活されている 桂林との共通点を感じるのは私だけでしょうか・・・・・・
当たり前なのでしょうが、舞台の花道といったものはありません。
ただ日本の一般の舞台と違ったところが舞台の送る気が非常におくまで広がっている展が一点。
そして日本のように舞台下左に舞台に掛かる階段はなく、右側にスロープが置かれていて、演じては優雅に舞いながら舞台に上がっていく姿を何度も見ました。
全部で一時間二十分くらいの身近なものでしたが、中国らしい甘い香りがスモークとともに噴射されたりして、日本とはまた違った工夫がなされ、楽しい時間を過ごすことができました。
この劇場は観光客の為だけに作られたものではなく、家族ずれの中国の方の方が圧倒的にいらっしゃったようですが、各国の方々も多くおられました。
私たちの前は中国人の個人の家族が多く、後ろは米国の団体の方々だったようです。
中国の方は平均して静かに観ておられ、また途中でトイレに行く回数も複数服回数と多く、『これから舞台と格闘、鑑賞する』といった日本人や後ろ(アメリカ系)の方々に比べて、ゆったりとした気分で舞台を眺めておられたようです。
ただ中国の方たちは先ほども描きましたように捕獲的静かに観ておられるのに対して、日本人やアメリカ系、ヨーロッパ系の方々の方が拍手や「OH~~!」といった感動の表現が強く、お国柄を感じました。
中国の京劇感覚でいた私たちなのですが、カメラは他の劇団にコピーやまねをされない為に厳しく禁止されていました。
しかし舞台を観て、芸術的な舞台に感動したのと同時に、カメラが禁止されている意味合いがはっきりと理解できるような、素晴らしいものだと感じました。