乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

シラナミゴニンオトコ

2006年04月27日 | 歌舞伎
  



18代目ナカムラカンザブロウ シュウメイヒロウ

       通し狂言



          シラナミゴニンオトコ




               第四十一回 吉例カオミセ 夜の部


      
  カンザブロウ、ニザエモン、ヤジュウロウ、ミツゴロウ、ハシノスケ、センジャク、カンタロウ、シチノスケ 他


                     misono座(名古屋)






                              2005/10/11

 わぁい、私の好きな役者が多い・・・今回の公演。



【ベンテン川柳】



  さざなみや 五人つらねの 伊達男
  
  目力の ニホン駄右衛モン ここにあり





 ミソノ座「シラナミゴニンオトコ」のニザエモンはかっこよかった・・・

 楽しかったと今でもしみじみと感じる。

 舞台のつらねはなんともいえない胸のすく思いだ。

 今回花道がしっかり見える席にして、良かった。

 やはりニザエモンは、一等席で観たい。



 【ニザエモンについて】


 ニザエモンは迫力があった。

 さすがのニザエモン・・・

 長年のニザエモンファンとしてはたまらない。

 優男も似合うが今回のニザエモンも上手かった。
 いい味が彼を包み込んでいた。

 今回の「シラナミゴニンオトコ」のニザエモンの迫力は素晴らしい。

 ニザエモンはみえの切り方はコウシロウとは又違った迫力がある。



 (1)一旦目を見開く。

 (2)二秒間程ゆっくり目を閉じる。

 (3)切れよく即座に【カッ!!】と、目を見開いたかと思うと、大きく黒目を動かし、みえを切る。 

 (4)男前が加わり、言い表しようが無いくらい、素晴らしい。




 【カンザブロウさんについて】


 カンザブロウさんのベンテン小僧も楽しかった。

 彼の芝居は、広い意味で面白みが感じられる。

 これからのカブキ界をになう役者さんの一人。

 素敵な表現を味あわせて下さいました。


 周りのニザエモンやヤジュウロウやバンドウミツゴロウやハシノスケやその他の素敵なカブキ役者がいっぱい。

 これに関しては、七月のシュウメイヒロウに同じ。

 好きな役者さんがいっぱい出ておられました。

 さすがにカンザブロウ、人脈がすごいなあと関心いたしました。

 カンザブロウのお人柄のうかがえるシュウメイヒロウでした。






 【名古屋ミソノ座について】
 

 名古屋での観劇は快適であった。
 この日の公演は、カブキ好きのかたが多く、ビックリ。

 文化が東京よりのせいか、観客ののりもよい!!
 カブキはお勉強ではなく、遊びのひとつと心得ていらっしゃる。



 着物姿が多い。
 大向こうさんも多い。
 芝居を観ていて、活気が感じられる。



 ミソノ座はシートがゆったりとしている。
 一階席にも通路に補助席が出るほどの人気振りであったが、広々としていた。



 今回グループでの観劇であったが、結構いい席だったので、しっかりと楽しむことができた。

 名古屋公演鑑賞は、私たちみんなにとって喜ばしい観劇でした。 






【「シラナミゴニンオトコ」について】


「シラナミゴニンオトコ」を三幕、通し狂言で観ると迫力があった。

 内容はご存知の通り。

 簡単なのだが、きめ台詞が素敵で、切れが良い。

 衣装も形も話も素敵。
 
 芝居の内容も皆がかなり喜んでくれたようだ。

 


 今回連れ立ったみんなにとり、ニザエモンは新鮮だったようで、
「先入観無しで観たけれど、とても素敵な役者さんだった・・・」
とのことで、安堵した・・・

 役者の年齢を伝えると目を丸くして、驚いていた。

 ニザエモンは多くの人にとっても、とっても素敵に映るらしい。




 
 「どんな役でもこなす二枚目役者とは彼のこってい~~~~!!」(笑)
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日記 七月大カブキ

2006年04月27日 | 歌舞伎
日記



 記憶をたどって。

 最近の物だけ記録する。


 





  七月大カブキ

       ナカムラカンザブロウ  
         



                         2005/07 夜の部 観劇






 ニザエモンさんはいつ観てもカッコ良い。

 ぽわ~~ん!!




 

 【演目】

 1) ミヤジマのだんまり

 2) 大津エドミョウ寺

 3) ノダバン トギタツノウタレ

 


 これでもかこれでもかの豪華キャスト。

 こと『ミヤジマのだんまりのだんまり』に関してはニザエモンも・・・

 価値のある演目と舞台であった。






 印象的だったのはなんと言っても


       『ノダバン トギタツノウタレ』



 現代劇或いは小芝居にも通じる。

 この芝居は、ナカムラカンザブロウさんのよさを充分に味わえる。

 彼の場合、こういった彼の特徴をうまく引き出せる芝居が好き。

 ナカムラカンザブロウさんは観客を楽しませるプロ中のプロ。

 観た後は満足感で、会場を出た観客は皆、ニコニコと笑顔が多いのが特徴。

 観るにつけ、ナカムラカンザブロウさんのよさが心にずしりと染み渡り、だんだんと好きになってくる。





 例えば二〇〇五年十月の『白波・・・』

 この演目ではナカムラカンザブロウさんがベンテン小僧だった。

 カンザブロウさんのベンテン小僧はキクゴロウさんやキクノスケさんとは違った味わいがあるが、カンザブロウさんもなかなかのもの。

 少し泥臭さがあって、面白い。

 では、ベンテン小僧はどちらの演じ方が好きだったか?





 私の場合は・・・内緒です。

 私はキクノスケさんとはさんもカンザブロウさんも好きですから(笑)
 






『ノダバン トギタツノウタレ』は始終安心して楽しむことができた。

 演劇としても充分楽しむことができ、若い方やkabukiが始めての方にも他の演劇と同様に楽しめるように思う。

 それがノダさんやカンザブロウ さん、強いてはショウチク株式会社の狙いでもあり、良い意味で、カブキ界の将来にかなりの影響があると思う。

 若手のソメゴロウさんやカンタロウさん、シチノスケさんの魅力は若い観客の集客力の手助けとなろう。

 私の場合は、あの素敵なヤジュウロウさんが観られれば幸せ。

 素敵な役者さんがいっぱいで、幸せ感と満足感の味わえるバランスの良い舞台。



 この舞台は途中で八,九十年年頃流行したの大掛かりな回り立体舞台が出てきて懐かしい。



 宿屋で急にトギタツがもて始めるが、紅い腰巻を輪にして、首にかけられるシーンは色っぽい。

 婉曲なる表現の美学は、kabukiでは良く使われる手法である。



 最後のどんでん返しは、見事。

 ひらりと舞い落ちるもみじは、トギタツの横たわったからだの上に・・・

 バックももみじの赤。

 この芝居は、赤を見事にまで表現している。




 今までで赤を見事に表現した映画を一作品、紹介したい。

『イン・モラル物語』

 この映画は結構・・・な部分が多いが、けして・・・ばかりには終わってはいない。

 色といい構図、筋などどれをとっても重厚で、芸術的ともいえる。

 素敵な映画の一つでありこの映画も赤の使い方がうまい。

 カブキでは『ヤグチノワタシ』や『ホンチョウ24シコウ』、『ヤグラノオシチ』などの、多くの赤が好きである。




 

 一般的に赤は血潮を思わせる。

 そのもみじがまた一つ舞い落ちる。

 誰ももみじが今人地舞い落ちたことなど、気にも留めてはいない。

 何事もなかったように、今までと変わらず時は流れる。

 なんと哲学的な芝居なのだろう・・・







 【kanzabu郎の芝居は楽しめ、厚みが魅力】




 芝居の世界では、『芝居四倍』といわれている。

 オーバージェスチャーが今流行ではない中、彼はあえて六倍であり七・八倍の大げさな仕草で芝居に挑む。

 脚本と演出、kanzabu郎さんの演じ方は一体化され、見事に私たちを楽しませる。

 彼はよくあれだけ色々な芝居を研究したものだと感心するばかり。

 



 台詞の口調をわざと崩し、一般演劇風の親しみやすさを取り入れて、kabukiに一風を巻き起こす勢いで頼もしい。

 ご子息においては、基本に忠実。

 若い間はアカデミックな芝居を手がけておられるように思われる。

 今、お二人は真正面から取り組んでおられ、その姿にはとても好感が持てた。

 もちろんソメゴロウさんも同様。

 頑張る姿はすがすがしい。






 先代のkannzabu郎さんは奴舞が上手かった。

 こと『奴風の踊り』に関しては、文句のつけようがないくらいに好きだった。


 ナカムラカンザブロウ はカブキを平たくして 世に広めたという点において、惜しまぬ拍手を送りたい。


 芝居においても世の中にあわせての流動性がある。

 これからはニーズに合わせて、色々なカブキがあっても良いのだろう。

 理論の上滑りは別として、カブキ知らずのカブキファンとしては、堅苦しいくらいの古典カブキも残していただきたい。

 芝居の『S』も何もわからず、手探りでミナミ座に通った子ども時代の小生。

 番付を読んでのあたふたしていて、ただただソメゴロウ(現コウシロウ)とタカオ(現ニザエモン)目当てで、芝居を観ていたような過去の小生が懐かしい。

 末等席が映画の二,三百円上乗せでカブキが楽しめた。

 何もわからず観ていた芝居は、今にして思えば、今よりも純粋に楽しめた気がしてならない。

 今にして思えば、悲しき事実である。
 




 カブキは娯楽である。

 もう少し開かれた気軽さが加われば、もっと観客の年齢層は若返るかもしれない。

 昔のカブキの氷河期を思い出して、『ジーパンで気軽にどうぞ』感を再度よみがえらせることが必要ではないか。

 こういった課題が、カブキが世界文化遺産に指定された今、大切だと痛感する。

 
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