乱鳥の書きなぐり

遅寝短眠、起床遊喰、趣味没頭、興味津々、一進二退、千鳥前進、見聞散歩、読書妄想、美術芝居、満員御礼、感謝合掌、誤字御免、

ユメノナカゾウ センボンザクラ  コウシロウ様

2006年04月28日 | 歌舞伎
 



      ユメノナカゾウ センボンザクラ


             2005/09  昼夜同演目 

             3回観劇(一度は家族4人で)




 小生の好きな役者の一人、コウシロウ。

 ソメゴロウ時代から長年 コウシロウの声と手の好きなの私。

 そんな私のために、家族が気をきかせて、一階席チケットを三回分購入してくれた。

 ありがたい。

 家族とはいいものだ。




 三度のうち一度は花道側の席。

 コウシロウのみえをすぐそばで見ることができ、涙の出る思い・・

 手を伸ばせば、そこにコウシロウが・・・

 彼の息吹を、熱意を感じることができる。

 しあわせ・・・とはこんな時に使う言葉なんだなぁ~と、このときばかりはしみじみと感じた。

(人にとっては安っぽいしあわせか・・)って、一人ほくそ笑む私。

 まあ、いいとするか・・・・  






 【『ユメノナカゾウ センボンザクラ』全体を通して】


 全体を通して『夢のnakazousenbon桜』はオリジナリティにとんだ良いできであった。

 脚本も演出も拓未である。


 また大道具家の二階は見上げるほどに高くそびえ立つ感がある。


 その二階での芝居の練習をするというコウシロウの演技が日によって違い、面白い。

 ただ、前の方の席を3度とも取ったため、首が痛い。

 コウシロウを毎回観続けると、たった3回の観劇でも首に負担がかかる。





 彼は素直な演じてのため、いい意味で『今日はつらそうだな』『今日はなかなか頑張ってるな』といったことが観客にも伝わってくる。


 彼のみえの切り方は格別で、ニザエモンとは違った、また別の魅力がある。





 浮世絵、写楽、日本美・・・・

 こういった言葉は彼のためにあるのではないかといった錯覚に陥ることしばしばである。

 コウシロウ(と、ニザエモン 他にもいっぱい・・・)ファンの私、一体どこまで書けば気が済むのであろうか。







 【コウシロウは他の役者とどこが違うか・・】





 彼特有の素敵な目使いで、目力は鋭い。

 声もいい。聞き取りやすい発音。

 加えて、台詞の切れ目のビブラートの利かせ方は、彼独自のものである

 
 

 他の役者との大きな違いは全体を通して【手】。

 彼の手は力強い。

 この手が、浮世絵の美しさに通じている

 故須田国太郎(油絵画家/独立会)がデホルメした手などを表現する際に、『ガバッツ』っと言ったように伝えられているが、まさにコウシロウの『手』は『ガバッツ』。

 コウシロウの演技を画家でたとえるならば、オスカー・ココシュカってところだろう。


 早く言えば・・・小生の好きな役者の一人ということだけである。

 ただ、それだけ・・・・

 本当に・・・

 意味の無い、自分の為の記録・・・







 【現ソメゴロウについて】





 ソメゴロウさんは大変頑張りを見せていた。

「この鼓はぁ~ぁ~、母デェ~  ごじゃりまするっ」
の名台詞はかわいらしかった。

 またカンタロウとの武芸の見本を披露する時のスピード及び迫力は満足感があり、好感が持てた。



 ソメゴロウはカンタロウとはまた違ったタイプの役者。

 優男、伊達男のにおいがする。

 彼もまた将来が楽しみの若手の一人といえよう。






【好きなヒデタロウについて】



 忘れてはならないのがヒデタロウ。

 いつもと違った役柄の彼もまた魅力的。

 素直に拍手を送りたい。


 

 一体何人好きな演じてがいるのだろう・・・・







 【コウシロウの舞台】

コウシロウの魅力がたっぷりと味わえる最後のシーンは素晴らしかった。


 本当に力強い。

 言葉にならない。

 強いて言うならば、芝居内容は違うが、コウシロウの『シュンカン』のラストの力強さにに相通じるものがあった。



 二〇〇五年九月はコウシロウをまじかで三度も堪能できた幸運な月。

 生涯、私の心の1コマに納めておこう・・・






 【フジマ紀子さんについて】


 劇場の出口付近には三度ともフジマ紀子さんがご贔屓筋にご挨拶をなさっていた。

 上品で始終にこやかな笑みを浮かべられ、素晴らしい方だと感じた。

 昔と変わらぬ美しさと気品と若々しさ・・・自分だけが年を重ねたような錯覚にとらわれたのは、少し寂しい。









      九代目  マツモトコウシロウについて                                     

                          コウライ屋
                      

                                

 昭和17年8月19日生まれ。

 本名 フジマ照明(ふじま てるあき)。

 八代目松本コウシロウ(初代マツモトハク鸚)の長男。



 21年5月東京劇場『スケロク』のウイロウウリの伜(せがれ)でマツモト金太郎を名のり初舞台。

 24年9月カブキ座『逆櫓』の遠見の樋口六代目市川ソメゴロウをシュウメイ。

 56年10・11月カブキ座『カンジン帳』のベン慶ほかで九代目マツモトコウシロウを襲名。






 昭和40年と42年にテアトロン賞

 54年度日本芸術院賞

 平成5年サー・ジョン・ギールグッド賞

 7年松尾芸能賞大賞

 7年読売演劇大賞最優秀男優賞

 10年眞山青果賞大賞

 10年同年菊田一夫演劇賞大賞

 14年度ゴールデンアロー賞大賞

 15年第10回坪内逍遙大賞

 17年紫綬褒章





  【コウシロウさんの演じる好きな演目】



『カンジン帳』

『シュンカン寛』

『テラコヤ』    他



 【『カンジン帳』について】



 特にコウシロウさんの『カンジン帳』は私にとっては最高。

 彼の『カンジン帳』は力強く、勢いがある。

 決めも素晴らしい。

 投げロッポウやみえの切り方は私の好みで言うと、彼の右に出るものはいないような・・・

 また品のある舞は、観客を優雅な気持ちにさせてくれる。



 ニザエモンさんやダンジュウロウさんやキチエモンさんの『カンジン帳』も素晴らしいが、どこが違うのか。



 彼の場合は【アップテンポで大きな動き】と【手】にある。

 『勧進帳』はリズムとテンポと迫力が重要である。

 また【形】がとても大切である。

 彼は能や狂言のように腰を下げる。

 充分に体を落として、しっかりと動くことにより、は迫力に加え、気品が生じる。

 芝居や舞には品が必須である。





 【彼の手】

 彼の手は素晴らしい。


 まるで浮世絵から出てきたような美しさと力強さを兼ね備えている。


 かなり昔に彼の『カンジン帳』と出会っていなければ、今このように芝居を観に行くことはなかったであろうといっても過言ではない。

 それほどまでに彼の影響力は、安部公房と同等に大きく、小生の今の生活観の基盤を作り出したといえよう。


 小生にとってこの演目は重要であり、今の生活を豊かで楽しい方向に導いてくれたとさえいえる。


 『カンジン帳』を観るといまだに若き日の小生に戻ることができ、心が弾む。





 浮世絵、写楽、日本美・・・・


 こういった言葉は彼のためにあるのではないかといった錯覚に陥ることしばしばである。


 他の役者とどこが違うか・・・


 彼特有の素敵な目使いで、目力は鋭い。


 上に加えて他の役者との大きな違いは【手】。


 彼の手は力強い。


 この手が、浮世絵の美しさに通じている。


 故須田国太郎(油絵画家/独立会)がデホルメした手などを表現する際に、『ガバッツ』っと言ったように伝えられているが、まさにコウシロウさんの『手』は『ガバッツ』。


 コウシロウさんの演技を画家でたとえるならば、オスカー・ココシュカってところだろう。






 最後になりましたが、今日書いた内容もあくまでも私の好みや独断による雑談にすぎません。失礼がありますれば、他の役者さんのファンの方、お許しくださいませ。

 役者の皆さん全てが個性的な演じ方をなさっており、どの役者さんの舞台を観ても楽しいことが多いことを付け加えておきます。

 間違いやお気づきの点がございましたら、お教えいただきますようにお願いいたします。

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サカタトウジュウロウ シュウメイヒロウ

2006年04月28日 | 歌舞伎
 

ミナミ座(京都)カオミセ興行 2005



    【サカタトウジュウロウ シュウメイヒロウ】


              12/11(夜の部)家族4人

              12/22(昼の部)家族4人


 231年ぶりの三代目誕生とあって、歴史的重みを感じるシュウメイヒロウの瞬間にたちあうことができたという満足感を感じる。


 この思いを家族と分かち合えて幸せに感じます。

 今回はかなりの期待をこめて、家族全員で、朝夕観劇いたしました。

 もちろん今回は気合を入れて、1階で観劇。

 カブキ色が濃く、芝居を観たという満足感の味わえる舞台であったという、喜びの味わえるものでした。




 【昼の部  12/22】


「ユウギリ名残のショウガツ」と「ソネザキ心中」はトウジュウロウを満喫できる演目でした。






「ユウギリ名残のショウガツ」においては紙子(紙で作られた衣装)という装いを、当時を想定しての再現。



 サカタトウジュウロウとしての思い入れが伺える。


 待ってましたのニザエモンは出番が少なく、寂しい。

 夜の部の芝居中の口上や一般的なそれに比べ、仰々しく笑いの少ない口上であった。

 仰々しく、厳かに口上はおこなわれた。

 心なしか役者の顔は緊張気味。

 張り詰められた緊迫感の中、舞台は品良く進行。

 ショウチクや役者たちの思い入れが伺える。

 それほどまでにサカタトウジュウロウとは偉大な役者だったのであろうと同時に、今回シュウメイされたトウジュウロウに期待が大きいのであろうか。




 キチエモンの「ゴトサンバソウ」は喜劇を演じきり、素晴らしい出来であった。

 キチエモンはこういった茶目っ気の必要な芝居も上手い。




 ただ「京人形」のキクノスケは美しく素敵。
 
 ただ足の動きがおしい・・

 若手の中ではトップクラスに好きな役者の一人のキクノスケ。

 上手い役者だけに、ちょっとしたジレンマが痛々しかった。

 しかしこの若さでここまでできるのは素晴らしい。

 期待の持てる大型役者になられるのは確実であろう。

 って言うか、かなり好きな役者さんの一人なんだ。








 【昼の部  12/22】



 今回の「ホンチョウ廿四コウ」は素晴らしい芝居に出来上がっていた。



 家族Aは痛く感心し、目を輝かせていた。

 家族Bとはこれがきっかけとなり後に二人で文楽に行く。



「翼が欲しいぃ~、はねがほしいぃ~~、いっそ 飛んで行きたいぃいぃ~~」


 上なる名台詞の声色と抑揚は、今も私の心に深く刻み込まれている。





 【全体を通じて】



 全体に見て昼の部は楽しめる演目であり、夜の部はトウジュウロウらしさを覚える。共に満足の行く舞台であった。



 個人的には「ホンチョウ廿四コウ」にトウジュウロウの思い入れを感じ、感動した。

 彼はあの舞台では人形に彼の魂が乗り移ったような錯覚に陥った。

 それほどまでに彼は人形になりきっていた。



 長い歴史の流れの中で、人も芝居も文化も引き継がれる。


、トウジュウロウを想像し、トウジュウロウを楽しめる時代に生きることに喜びを感じた顔見世であった。
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