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日常

地球交響曲第七番

2010-08-08 19:50:44 | 映画
恵比寿の東京都写真美術館に行ってきた。

■写真

まずは写真から。
地下1階の「世界報道写真展2010」。

世界に散在する暴力的なもののすさまじさを見る。 
集団の暴力、紛争、戦争・・・人類の巨大な影のようなものだ。 

かたちのない「暴力的なもの」が、人を乗り物にして移動しているみたいに見えた。

「暴力的なもの」がかたちになると暴力とか殺人とかになる。
だから、「暴力的な」ヒトも、きっと元々は普通のヒトと変わらなくて、「暴力的なもの」にたましいを乗っ取られた人なのかもしれない。

3階の「ヌードのポートレイト」は面白かった。
裸は自然そのもので、無意識の象徴。
今みたいに意識や脳の世界が異常に発達した世界では、自然そのものは排除されていく。 
だから人は服を着る。 
でも、人間が美を感じる原点に、裸体というものが存在しているような気もした。


■ガイアシンフォニー

そして、この写真美術館に行ったメインは『地球交響曲第七番(ガイアシンフォニー)』を見るためだった。
ふと思い出したので、渋谷近くにいたし、ふらりと寄ってみた。
Shinくんのブログで「地球交響曲 第三番」が紹介されてて、前から見たいと思っていた。


環境教育活動家の高野孝子さん。ツール・ド・フランスの元世界一の自転車選手グレッグ・レモン。統合医療のアンドルー・ワイルが出ていて、神道の世界観、自然観の映像が織り込まれる。

とても素晴らしかった。こころが動かされた。



環境教育活動家の高野孝子さんは、ロシアからカナダまでの北極海を無動力(スキー・犬ぞり・カヌー)で横断をした人。
冒険家でもあるけれど、環境問題で博士号も取っていて、環境教育などもされている。
新潟の自宅では自分で農業もされていて、自然と切れていない人から出る表情や笑顔は、とても素敵だと思った。

高野さんの言葉でいいなって思った言葉は、
『北極横断のような困難な現場で必要なのは、闘う精神的な強さではなくて、受け入れていく精神的な強さです。』

最近考えていることと同じだと思った。
自分も、最近やっとわかった。
父性原理は運命を自分で切り開いていこうとする、自分で作ろうとする。今はこういう考え方が支配的だ。
今こそほんとうに必要なのは母性原理だと思う。全てを受け入れ、包み込むような柔らかい思考だ。
『父性原理と母性原理』(2010-06-11)



ツール・ド・フランスで世界一にもなったことがあるグレッグ・レモンは、日本や神道にも造詣が深い。
考え方もとても柔軟で、開かれた人だと思った。
世界一過酷なレースで優勝した偉大な人なのに、えらぶる様子が全くない。
この人も、笑顔がいいなあって思った。
自分も、日本を自転車で旅したい。ほんとにそう思った。



統合医療のアンドルー・ワイルは、西洋医学と伝統的な医学を統合させようとしている人。
このジャンルは簡単に怪しい治療になりやすいので注意深さが必要だと思うけど、かならず未来には必要とされるであろう分野。
自分も、高い専門性を保ちつつ、こういう分野にも協力して、未来の医学を模索していきたいなぁって思った。


この間に「霊性の原風景」として挿入される神道の儀式も、知らないものばかりだった。
伊勢神宮にも行ったけど、もっと日本の伝統的な神道を知らないといけないと感じた。
あの中に、僕らの無意識の中にある色んなものが入っている。

岩から火を取り出す方法を知ったとき、人は人になったと言っていた。
石どうしをたたくと、石から火が生まれる。
古代の人は驚いただろう。
そういう原始的な自然への驚きや畏怖などが、神道の儀式の中に保存されていて、そういう映像も垣間見ることができる。




出演している3人の方でどの方も感じたのは、自然と切れていないっていうこと。
自然と共に、自然に抱かれながら、生きている。
そして、いい笑顔をしている。
安易なpositive thinkingではなく、全てを受け入れ、全てを肯定しているようだ。
そういう人を見ているとなんとなく元気が出てくる。

自分の幸せとか狭い殻に閉じてなくて、自然そのものに全てに開かれている人だと思った。



自分も、将来的にはこういう生き方がしたいな。
都会では都会なりにやるべきことがあるし、今は学ぶべきことが多いけれど、家族を持つようになったら、自然と共に生きる生活がしたい。
自然からいろいろ学ぶべきことは多いなって思った。


■カワル、ワカル

いい作品を見た後って、自分の中の何かが変わる。 
数時間前の自分が、今の自分に包み込まれ、ひとつ層が増えるような重なりで変わっていく。  

変わるから何かが分かるし、分かると何かが変わる。 
カワルとワカルが似ているのはとても示唆的だと思う。


■握手

さらに驚くことに、今日8月8日は星野道夫さんがカムチャツカで亡くなられた日で、その追悼も兼ねて龍村仁監督が来られていた。

思わずパンフレットにサインをもらって、握手もしてもらった。

笑顔で手を握っただけで何か伝わるものがあって、何か感じるものがあった。 


人は、言語とか脳だけじゃなくて、微細な情報をやりとりしてるんだと思うな。
そういうのは、ネットだけじゃなくて、実際に壮大な自然に包まれ、守られて生きている人と実際に話すと、そう感じることがある。


手を握る。目を見る。お互いにニコッと笑う。
この過程に、いろんなものがやりとりされるんだろう。

龍村仁監督のサインにも『魂の友へ』って書かれてた。

日々是好日!

お薦めです。是非映画スクリーンの大画面で見てほしい。

2 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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東京都写真美術館 (Eri)
2010-08-10 04:00:21
この美術館、会社帰りによく一人で立ち寄っていました。特にここで上映されているドキュメンタリーや映画が好きで…
日本にいたら『地球交響曲』も絶対見に行っていただろうなぁ…
『クロッシング』も見たかったです。
日本でリアルタイムで見ることができないかわりに、いつもいなばさんのブログを通じて見逃した映画や美術展をちょっとだけ覘いた気持ちになっています。
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絶対好きだとおもう! (いなば)
2010-08-10 13:22:54
>>>>Eriさん
東京都写真美術館、いいですよね。
僕は友の会に入っていて、常設展とか企画展もタダになるのが多いので、渋谷・恵比寿近辺によったら必ず立ち寄ります。映画もいいですよね。ここでしかやってないのが本当に多くて!
予告編でやってたシューマンとかショパンの映画も、絶対行きたいな!って思いました。

『クロッシング』、かなりの衝撃受けると思うよ。
是非DVDで見て欲しい。

基本は映画館で、それが無理なときはDVD。いい時代になったもんだ。
それが、ダンスとか音楽とは少し違うスタイルですよね。でも、映画館で完全に閉じられてみるのもすごくいい感じ。

Eriさんも、いづれガイアシンフォニーとか出ちゃう人になるんじゃないかなぁ。
それより前に情熱大陸とかの方が現実味ありそう。
派手な世界に目が行きがちだけど、Eriさんのようにアフリカでコツコツと現場の仕事されているのは本当に頭が上がりません。尊敬!
わしも日本でできることやらないと。

また帰国したらスーダンの色んな話聞かせてください~。
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