
鶴見隆史先生の「「酵素」の謎――なぜ病気を防ぎ、寿命を延ばすのか」祥伝社(2013/3/2)を読みました。
色々と勉強になったー。
**********************
<内容紹介>
●人間の寿命は、「酵素の内在量」で決まる
9番目の栄養素、酵素。その謎は21世紀に入り、ようやくわかってきた。
人間の寿命は、体内にある酵素がカギを握っている。
体内酵素の量によって、病気になるかならないか、寿命の長短が決まるのである。
では、体内酵素を減らさないために何をすべきか? 酵素を食物から摂る方法とは何か?
その答えは本書にある。また、加熱食や玄米が体に良くないなど、
これまでの健康常識を覆す事例も紹介し、クリニックで行なわれている酵素断食を披露。
酵素ブームのなか、酵素栄養学の第一人者が書いた決定版!
<鶴見 隆史(つるみ たかふみ)>
鶴見クリニック院長、医師、日本における酵素栄養学の第一人者。
1948年、石川県生まれ。金沢医科大学医学部卒業、浜松医科大学にて研修勤務。
東洋医学、鍼灸、筋診断法、食養法などを追究。
また、アメリカ・ヒューストンでヒューラ博士などから酵素栄養学を学ぶ。
病気の大きな原因は「食生活」にあるとして、酵素栄養学にもとづく治療を研究・実践している。
『「酵素」が免疫力を上げる! 』(永岡書店)など、酵素についての著書多数。
**********************
甲田光雄先生の西式甲田療法もそうですが、食の事は職業柄も常識にとらわれず色々と勉強しています。
○「マンガでわかる「西式甲田療法」―一番わかりやすい実践入門書」(2013-11-26)
栄養学で酵素、酵素・・・とよく名前は聞きますが、ちゃんと本を読んでみると色々な発見がありました。
酵素に関しては最近になって色々と分かってきたようです。
■
1985年にエドワード・ハウエル(Enzyme Nutrition)先生が酵素栄養学として確立したとのことで、ここ数十年の研究の成果のよう。
むかしは数十種種類しか分かっていなかったけど、いまでは少なくとも2万種は判明しているとのこと。今後も発見されていくでしょう。
反応の場所としてはクォークのミクロの世界のようです。
一人の人間には約100兆個の細胞があるとされますが、その1個の細胞は100万回の化学反応をしているらしい。
その化学反応の触媒となっているのが「酵素」。
裏方となり働く「酵素」がないと、素材がどんなにそろってても反応自体が起きない。
会社に例えると、今までは社長や重役などのトップの人々だけがアミノ酸やたんぱく質として注目されていたけど、その大会社の下で働く普通の社員である酵素たちにやっと光が当たり始めたと言う感じか。会社は社長だけで動いているわけではないのだ。
酵素は9番目に発見された栄養素。
3大栄養素(糖質、タンパク質、脂質)が最初に注目され、その次には6大栄養素(3大栄養素+ビタミン、ミネラル、食物繊維)。
その次には7大栄養素(6大+水)と言われ、8大栄養素(7大+ファイトケミカル(植物中の天然の化学物質。ポリフェノール、カロテノイドなど))と言われた。
そして、酵素が注目されて、今では9大栄養素になったらしい(糖質、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維、水、ファイトケミカル、「酵素」)。
■
酵素は44-50度辺りが活性が最も高まり、人体内では体温の38-40度あたりが働くらしい。
最適pHは弱アルカリ性。
消化管は酸性なので、小腸や十二指腸はアルカリ性の環境にならないと消化酵素の膵液は分泌されない。
酵素は単なる触媒というよりも、「タンパク質という殻につつまれた触媒的な働きをする生命体」と考えた方が適切で、そういう自律性を持って働いているようだ。人体の中には腸内細菌、ミトコンドリア、酵素・・・・いろいろな生命体が協同して生きている。
酵素の大きさは5-20nmというミクロの世界。
1μ秒毎に衝突を繰り返している!
1つの酵素が1分で合成する分子の平均数は3600万個にも上り、1分に行う化学反応の回数が4億回に上る酵素もあるというので驚異的な世界だ。
■
酵素には、
・外部から取り入れるもの:体外酵素→食物酵素(食物の消化)
・人体にあるもの:体内酵素(潜在酵素)→代謝酵素(生命活動)と消化酵素(食物の消化)の2種類。
がある。
体内酵素の<代謝酵素>と<消化酵素>の理解が大事だ。
人体は、入ってきた食べ物の種類に応じてふさわしい<消化酵素>を選択して消化する(適応分泌の法則)。
そして、酵素は睡眠中につくられるらしい。
酵素は毎日作られるが、トータルでは一生で一定量しか作られない。一生の間で作られる体内酵素の総量を潜在酵素と呼ぶ。
だからこそ、一生使える貯金の総額が決まっている酵素は大切に使わないといけない。
大食い、夜中食い、暴飲暴食は、その大切な酵素を無駄使いしているらしい。
無茶をしても大丈夫なのは、若いときにその蓄えを使いまくっているだけのよう。
死ぬまで胃腸が丈夫な人は、もともと生まれつき潜在酵素が多いみたい。そういう人は親に感謝した方がいい。運よく丈夫な胃腸に生まれてきている。
酵素は、年をとると質も変化する。
自動車のバッテリー、銀行預金、携帯電話などにたとえられる。
酵素貯蔵量は150年分くらいあるが、現代人は無駄使いが多いようだ。
酵素の量は一定。
不健康な人は<消化酵素>に多く酵素を使う。
酵素が多い食生活を送ると、消化作業が順調に行われるので、その分<代謝酵素>に使えるので、栄養をよりよく吸収できる。
<消化酵素>がうまく働かないと消化できず下痢として体外に排出されるし、消化されても<代謝酵素>がうまく使われないとよりよい素材として人体で使われない。
どんな豪華な食べ物を食べたとしても、<消化酵素>がうまく働いてくれるかが大事だ。
今までは栄養の事ばかり注目が言っていたけれど、<酵素>の登場で、食事の「質」が注目される時代になっていると言えるか。
24種の消化酵素があり、代表はアミラーゼ(炭水化物)、プロテアーゼ(タンパク質)、リパーゼ(脂質)など。
唾液アミラーゼはよく噛むことで多く分泌される、というのはよくご存じのとおり。
/////////////////////
【参考 消化酵素】
<炭水化物分解酵素>
・唾液:アミラーゼ(プチアリン) – 多糖であるデンプンを主に二糖であるマルトース(麦芽糖)に変える。
・膵液:アミラーゼ(アミロプシン) – 多糖であるデンプンを主に二糖であるマルトースに変える。
・腸液:サッカラーゼ –二糖であるスクロース(ショ糖、蔗糖)を単糖であるグルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)に変える。
マルターゼ –二糖であるマルトースを単糖であるグルコースに変える。
ラクターゼ –二糖であるラクトース(乳糖)を単糖であるグルコースとガラクトースに変える。
<タンパク質分解酵素>
一般にプロテアーゼ(広義のペプチダーゼ)と呼ばれる。また、腸液に含まれるプロテアーゼの混合物はエレプシンと呼ばれる。
・胃液:ペプシン – タンパク質をペプトンにする。
・膵液:トリプシン – タンパク質やペプトンをポリペプチドやオリゴペプチドにする。塩基性アミノ酸残基にはたらく。
キモトリプシン – タンパク質やペプトンをポリペプチドやオリゴペプチドにする。芳香族アミノ酸残基にはたらく。
エラスターゼ – タンパク質やペプトンをポリペプチドやオリゴペプチドにする。脂肪族アミノ酸残基にはたらく。
カルボキシペプチダーゼA – タンパク質のカルボキシル末端のペプチド結合を切断して中性、酸性アミノ酸を遊離させる。
カルボキシペプチダーゼB – タンパク質のカルボキシル末端のペプチド結合を切断して塩基性アミノ酸を遊離させる。
・腸液:アミノペプチダーゼN – タンパク質のアミノ末端のペプチド結合を切断してアミノ酸を遊離させる。
<脂肪分解酵素>
胃液、膵液、(腸液、唾液):リパーゼ – 脂肪(トリグリセリド)を最終的にモノグリセリドと脂肪酸に分解する。
/////////////////////
■
どんなに栄養価の高い食事をしても、糖質を単糖類に、タンパク質はジペプチドやアミノ酸に、脂質はグリセリンと脂肪酸に分解されなければ、体内に吸収されず栄養にならない。このことは重要だ。下痢をしている食事は、体にあっていないし、うまく吸収されていない事を物語る。
草食の牛が強靭な筋肉をつくる理由は、胃の微生物と酵素にあるらしい。
第一胃の中にたくさんの細菌(ルーメン菌)、原虫(プロトゾア)が住んでいる。
消化されにくい草の食物繊維(セルロースなど)を様々な物質に分解する。
草のセルロースを、3つの胃で行ったり来たり(反芻)させながら発酵させ、発酵で生まれるエネルギーを取り込む。
微生物は草の窒素化合物を利用して質の高いタンパク質を作り、第4胃(人間の胃に相当)へ送り、そこで胃液と酵素が分泌されて原虫や菌体も消化される。
食物繊維を分解する消化酵素のセルラーゼは人間にはないので、草を食べても人間の筋肉はつかず、消化できずに下痢をする。
胃の中に住む微生物は酵素を作り出し、牛と共存している。
草しか食べない牛が強靭な筋肉を持っているのは酵素のおかげなのだ。
■
他にも酵素が重要な役割を果たしているものにビタミンCがある。
ビタミンC(アスコルビン酸)はコラーゲン合成、過酸化脂質の抑制など、体に重要な働きをする。
人間は果物や野菜から補給しなければいけない。
ライオンは生肉しか食べないが、ブドウ糖やガラクトース(乳糖の成分)からビタミンCを合成しているので野菜や果物を食べる必要がない。
人間はビタミンC生合成の最終段階で必要なL-グロノ-γ-ラクトンオキシダーゼという酵素が欠損しているため、野菜や果物などの外部から摂取する必要がある。
逆にいえば、人間の食生活での特異体質(不食や土食など)もこういう酵素が先天的や後天的に発現したり欠損したりすることで起きているのだと思う。知らないと不思議なことだが、知ってしまうとそれほど不思議でもない気がする。
牛乳などの乳製品を消化する消化酵素ラクターゼ、日本人の70%が不足している。だから牛乳で下痢をする。日本人には牛乳が会ってない人が多いらしい(代わりに無調整豆乳をお薦め)。
他にも、犬にネギを与えると死んでしまうのは、犬がユリ科(ネギ、タマネギ、ラッキョウ、ニンニク、・・)に含まれる成分、アリルプロピルジスルフィドを分解する酵素を持っていないかららしい。そういうトリビアも。
■
色々な意味で、「酵素」は粛々と体内で大事な働きをしている。
だから、酵素を無駄に消耗させる食生活はよくない。
そういう例としてあげられていたのは、インスタント食品。レトルトの加工食品。白砂糖の入った食品。添加物。砂糖以外でのGI食品(Glycemid index)、高たんぱく食品。残留農薬。トランス脂肪酸などの悪い油脂。加熱処理された無酵素食品・・・など。
悪しき食生活では体中の酵素が消化酵素に動員されて浪費される。
酵素の備蓄が減り、代謝や解毒に回る酵素が絶対的に不足する。
酵素がなければエネルギー回路も動かない。
活性酵素(自分の電子を奪われ、「酸化」される)も除去できない。
お酒を解毒するALDH(アルデヒド脱水素酵素)という酵素が、悪酔い物質であるアセトアルデヒドを無害な酢酸と水素に変え、最終的には炭酸ガスと水になって体外に排出している。
そんな大事な酵素ALDHは、個人差はあるが体重60㎏で1時間7g程度のアルデヒドしか分解できないらしい。
酵素の関係で、本当は日本人にはお酒が弱い人が多いらしい。
相当体を酷使して、頭が体に無理強いをしてお酒を飲んでいるみたい。
お酒を解毒するALDH(アルデヒド脱水素酵素)のキャパシティーを超えたアルコールが入ると、CYP(シトクロームP450)という解毒専門の酵素群が働いてアルコール分解を助ける。
大酒家が麻酔が効きにくいというのは、増加したCYPが麻酔を毒として分解してしまうから。
CYP(シトクロームP450)という酵素の保有には個人差があり、大量に保持して生まれた人は健康的な生活を送れる。暴飲暴食をしても病気になりにくい。こういう人は親に感謝した方がいいのだろう。
CYP(シトクロームP450)は元々脂質代謝に関係する酵素だったが、自然界になかった人工物質を分解する役割を担うようになった。
今は本来の仕事とは違う仕事を担わされているという皮肉。
■
人類が火を使って食べ物を食べるようになって病気が増えた。火を使うと食べ物の酵素が不足する。
動物は生のものしか食べない。
例えば、鯨が加熱されたアザラシを食べてしまうと、アザラシ自体からカテプシンという酵素がでなくなるので、アザラシが自らを溶かすことができなくなり、第一胃にとどまったままで鯨は死んでしまうらしい。
野生動物は本能的に生のもの(食物酵素)しか食べない。
生の食物を取ることで、食物自身による事前消化をさせれば体が作る消化酵素の消費を抑えられる。
加熱で酵素が破壊された食物ばかり食べると、消化酵素が大量に使われて、その余波は代謝酵素に及ぶ。
不完全消化の栄養素が体中を循環することが肥満や病気につながるようだ。
この辺りは生活の知恵とも関わってくる。
パパイアやキウイの消化酵素が肉を柔らかくする。パイナップルのプロメリンという消化酵素も肉を分解させるが、高温で炒めると死滅する。
大根おろしには100種類以上の酵素があり、分解を助ける。
■
果物は完全食。調理などせずともそのものだけで完全な食べ物。
そして酵素が豊富である。
消化にエネルギーを使わないので潜在酵素の消耗を防ぐことができる。ついでにビタミンCやファイトケミカルなどの抗酸化物質も豊富。
果物の70~90%は良質な水から成るし、食物繊維も豊富だ。
果物の糖分(果糖)は、砂糖(ショ糖)のように肥満、虫歯、糖尿病の原因にはならない。
だからこそ、人間の体は本能的に果物を求める。
お菓子なんか食べるより、果物をよく食べた方がいいです。大自然の恵みです。
■
人間を健康にする食品は、
生野菜、果物、海藻、芋、豆、穀類、発酵食品(特に黒酢、梅干)。
がんに対する食事療法でも、ゲルソン療法、酵素食、ファスティング(半断食)・・・など色々な可能性があるらしい。
食事が引き起こした病気の場合は、食事の改善が一番の早道だ。
鶴見先生のお薦めは、酵素を含む生食6割、加熱調理は4割程度にするといいとのこと。
動物性食品のメリットは、アミノ酸とビタミンB群が取りやすいということは大事らしい。(ビタミンB12は野菜にはほとんど存在しない)
■
日本人は「漬物」という火を通さない料理法で食物酵素をとる知恵を持っていた。
納豆や味噌などの発酵食品も日本人の知恵。
微生物が作る酵素が体内酵素を助けている。
タンパク質が十分に消化されないと、大腸内で悪玉菌(腐敗菌)が分解して窒素残留物を作る。
この窒素残留物がガンや難病を含む、色々な病気をうむ。消化不良は万病の元。
消化不良はアレルギーにもつながる。
小腸の腸絨毛が障害されると、本来は吸収できないはずの大きな分子が血液中に取り込まれる。
テニスのガットが緩んで広がったようになる。リーキ・ガット症候群(腸管壁浸漏症候群)という。
大きいタンパク質が血中に入ると異物と判断し、その反応がアレルギーとなる。
膠原病、クローン病、神経疾患、潰瘍性大腸園などもリーキ・ガット症候群と関係があるかもしれない。
リーキ・ガット症候群は小腸内の悪玉菌が出すアルカリ性物質で腸管粘膜が溶かされる。
タンパク質の過剰摂取、ショ糖(砂糖)の取りすぎ、など。
この「リーキ・ガット症候群(腸管壁浸漏症候群)」はあまり知らなかったので勉強になった。
■
消化吸収されたものは、腸内では【発酵、腐敗、異常発酵、酸敗】の4つの現象が起きる。
発酵は良質の炭水化物(オリゴ糖、デンプン、食物繊維などの多糖類)で起こる現象。
善玉菌が働き、有機酸とガス(二酸化炭素、水素、メタンガスで匂いはない)が発生する。
発酵で、短鎖脂肪酸という有機酸ができる。
腐敗。
過剰アミノ酸や不消化タンパク質を悪玉菌が分解。
この時にアミノ酸代謝物の窒素残留物(スカトール、インドール、アミン、フェノール、硫化水素、アンモニア・・・)ができる。
強烈な発ガン物質であるニトロソアミンを作り出す。
消化できなかった炭水化物の残留分が腐敗する。この時のおならは臭くなる。
おならの臭いは、腸内が発酵状態なのか、異常発酵しているのかの大きな目安。
酸敗は、脂質が腸内で酸化。
問題は3つ。大腸の悪玉菌が繁殖する。二次胆汁酸(胆汁が悪玉菌によってリトコール酸、デオキシコール酸などに変化したもの)ができる。窒素残留物が作られる。
酸敗の原因は脂肪の取りすぎ。酸化した油、劣化した油、トランス脂肪酸などの質の悪い油の摂取。
■
健康の鍵を握る短鎖脂肪酸。
短鎖脂肪酸はすぐにエネルギーとして吸収される。
体脂肪として蓄積されるのは鎖が16以上ある脂肪酸であり、短鎖脂肪酸ではない。
酢酸、プロピオン酸、酪酸などの短鎖脂肪酸は、水溶性の食物繊維や糖質の発酵でできる物質。免疫力の向上を果たす。
牛や馬が草しか食べないのに霜降りの脂ができるのは、発酵を繰り返すと草からアミノ酸が大量に抽出され、それを吸収して筋肉ができる。
その発酵の過程で有機酸(短鎖脂肪酸)が生まれて、お肉の霜降りができるらしい。
短鎖脂肪酸の材料は、熟した果物、わかめ、昆布などに含まれる水溶性の食物繊維、穀物、大豆、きのこに含まれる不溶性の食物繊維も。
他には黒酢、酢、梅干し、ピクルス、酢の物、ラッキョウ、漬物、キムチの発酵食品。
こういうものが大事みたい。
■
糖質制限ダイエット(アトキンスダイエット)の危険性。
ブドウ糖だけが栄養になる臓器は4つある。
肺の粘膜、神経組織の内膜、眼の水晶体、血管壁。
(脳はブドウ糖がないときはアミノ酸からブドウ糖を作る糖新生や脂肪を分解して作るケトン体を栄養源にする)
だから、あまりにも糖だけを取らないのは別の病気を生み出すので注意、とのこと。
何でも極端はよくないのだ。
■
大便は通常水分8割、食物繊維1割、食べかす・老廃物・腸内細菌1割。
水分が9割以上で下痢。7割以下で便秘になる。
何と精妙な!
便秘は悪玉菌や、それによって生じるインドールやアミンなどの窒素残留物を腸に留めてしまう。
おならの主成分は窒素、水素、酸素、二酸化炭素、メタンで、本来はほぼ無臭。
おならの悪臭の元はアンモニア、硫化水素、インドール、スカトールといった成分で、悪玉菌が悪臭物質を作り出している。これらが0.1%でも混ざると臭いガスになる。
つまり、腸内腐敗が悪臭の元。
だからこそ、オナラの臭いで免疫力や食事の状態ををある程度判断できる。
良い便は黄色に近い。善玉菌で腸内が弱酸性。
悪玉菌でアルカリ性になると便は茶褐色から黒褐色になる。
便の色でも腸内環境が判断できる。水に浮く便が理想。
便とおならの状態で体の状態が分かるのは本当です。
自分もよくそれを聞いています。
■
ナチュラル・ハイジーン、ローフード(生食)などの酵素栄養学によると、
朝食は軽いほうがいいらしい。
朝(AM4-12時)のうちに汗、尿、便という3大排泄を行う時間。
そして、12時-20時が栄養補給と消化の時間。
20時-AM4時が吸収と代謝の時間。
12時以降に本格的に栄養補給を行う。
砂糖(ショ糖)は漂白作業に化学薬品が使われている。
サラサラ感を出すために天然の栄養成分が除去されている。消化活動に負担がかかる。
ショ糖は果糖とブドウ糖が結びついた二糖類。
結合が固く、胃に入ってから単糖類になるまでに6時間もかかる。分解酵素を大量に消費する。
消化されずに腸に残ったショ糖は悪玉菌や真菌の栄養になってしまう。
だから、砂糖(ショ糖)を大量に使う食事は注意。
トランス脂肪酸 マーガリン、ショートニング、ファットスプレス(マーガリンの一種)・・・ニューヨークでは使用禁止になっている食品。
なぜなら、体内でまったく代謝されない物質だから。
これは大事な食の知識ですね。
あと、体に悪い油のことを。
リノール酸の過剰摂取は体に悪い。
リノール酸は不飽和脂肪酸のw6系脂肪酸のひとつで、良い油のαリノレン酸と共に体内で作れない必須脂肪酸。
リノール酸はスナック菓子、マーガリン、マヨネーズ、ドレッシング、インスタントラーメン、ケーキ、パン、アイスなどに含まれる。
食品表示に植物性油脂、植物性食用油とあればトランス脂肪酸やリノール酸が含まれているので過剰摂取に注意する。
植物油で消化にいいのはαリノレン酸である亜麻仁油(フラックス油)、エゴマ油、シソ油など。加熱に弱いのでドレッシングなど生で使う方がいい。
加熱料理には酸化しにくいゴマ油、ナタネ油、玄米油などを使う。
あと、生の種を食べると、体内酵素の消費が膨大になるので食べてはいけない。
■
病気の時は消化に負担をかけない食事を。
病気と闘うために代謝酵素が忙しい。消化酵素を無駄使いしない。
食事はサラダや果物から。酵素が多く自前消化がある。
後から入る動物性食品の消化に効果的に働く。
酵素を取る方法としては、しぼりたてジュース、すりおろす(リンゴ、大根、山芋、人参、しょうが、セロリ、カブ、ニンニク、レンコン、タマネギ・・・)、発酵食品、よく噛んでゆっくり食べる、良質な水を飲む、睡眠・・・など。
・・・・
とまあ、つらつら書きました。
新書ですが膨大な知識と情報があって、とてもいい本。
ここに書ききれませんでした。
医療も、お金をかけた高額な薬の開発よりも、こういう食生活の方が大事なはずです。こういう事にもっと気を使いたいもの。
自分も気をつけていますが、みなさんも日々の食生活にはご注意を。
自分の体を大切に労わってあげてくださいね。(^^
色々と勉強になったー。
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<内容紹介>
●人間の寿命は、「酵素の内在量」で決まる
9番目の栄養素、酵素。その謎は21世紀に入り、ようやくわかってきた。
人間の寿命は、体内にある酵素がカギを握っている。
体内酵素の量によって、病気になるかならないか、寿命の長短が決まるのである。
では、体内酵素を減らさないために何をすべきか? 酵素を食物から摂る方法とは何か?
その答えは本書にある。また、加熱食や玄米が体に良くないなど、
これまでの健康常識を覆す事例も紹介し、クリニックで行なわれている酵素断食を披露。
酵素ブームのなか、酵素栄養学の第一人者が書いた決定版!
<鶴見 隆史(つるみ たかふみ)>
鶴見クリニック院長、医師、日本における酵素栄養学の第一人者。
1948年、石川県生まれ。金沢医科大学医学部卒業、浜松医科大学にて研修勤務。
東洋医学、鍼灸、筋診断法、食養法などを追究。
また、アメリカ・ヒューストンでヒューラ博士などから酵素栄養学を学ぶ。
病気の大きな原因は「食生活」にあるとして、酵素栄養学にもとづく治療を研究・実践している。
『「酵素」が免疫力を上げる! 』(永岡書店)など、酵素についての著書多数。
**********************
甲田光雄先生の西式甲田療法もそうですが、食の事は職業柄も常識にとらわれず色々と勉強しています。
○「マンガでわかる「西式甲田療法」―一番わかりやすい実践入門書」(2013-11-26)
栄養学で酵素、酵素・・・とよく名前は聞きますが、ちゃんと本を読んでみると色々な発見がありました。
酵素に関しては最近になって色々と分かってきたようです。
■
1985年にエドワード・ハウエル(Enzyme Nutrition)先生が酵素栄養学として確立したとのことで、ここ数十年の研究の成果のよう。
むかしは数十種種類しか分かっていなかったけど、いまでは少なくとも2万種は判明しているとのこと。今後も発見されていくでしょう。
反応の場所としてはクォークのミクロの世界のようです。
一人の人間には約100兆個の細胞があるとされますが、その1個の細胞は100万回の化学反応をしているらしい。
その化学反応の触媒となっているのが「酵素」。
裏方となり働く「酵素」がないと、素材がどんなにそろってても反応自体が起きない。
会社に例えると、今までは社長や重役などのトップの人々だけがアミノ酸やたんぱく質として注目されていたけど、その大会社の下で働く普通の社員である酵素たちにやっと光が当たり始めたと言う感じか。会社は社長だけで動いているわけではないのだ。
酵素は9番目に発見された栄養素。
3大栄養素(糖質、タンパク質、脂質)が最初に注目され、その次には6大栄養素(3大栄養素+ビタミン、ミネラル、食物繊維)。
その次には7大栄養素(6大+水)と言われ、8大栄養素(7大+ファイトケミカル(植物中の天然の化学物質。ポリフェノール、カロテノイドなど))と言われた。
そして、酵素が注目されて、今では9大栄養素になったらしい(糖質、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラル、食物繊維、水、ファイトケミカル、「酵素」)。
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酵素は44-50度辺りが活性が最も高まり、人体内では体温の38-40度あたりが働くらしい。
最適pHは弱アルカリ性。
消化管は酸性なので、小腸や十二指腸はアルカリ性の環境にならないと消化酵素の膵液は分泌されない。
酵素は単なる触媒というよりも、「タンパク質という殻につつまれた触媒的な働きをする生命体」と考えた方が適切で、そういう自律性を持って働いているようだ。人体の中には腸内細菌、ミトコンドリア、酵素・・・・いろいろな生命体が協同して生きている。
酵素の大きさは5-20nmというミクロの世界。
1μ秒毎に衝突を繰り返している!
1つの酵素が1分で合成する分子の平均数は3600万個にも上り、1分に行う化学反応の回数が4億回に上る酵素もあるというので驚異的な世界だ。
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酵素には、
・外部から取り入れるもの:体外酵素→食物酵素(食物の消化)
・人体にあるもの:体内酵素(潜在酵素)→代謝酵素(生命活動)と消化酵素(食物の消化)の2種類。
がある。
体内酵素の<代謝酵素>と<消化酵素>の理解が大事だ。
人体は、入ってきた食べ物の種類に応じてふさわしい<消化酵素>を選択して消化する(適応分泌の法則)。
そして、酵素は睡眠中につくられるらしい。
酵素は毎日作られるが、トータルでは一生で一定量しか作られない。一生の間で作られる体内酵素の総量を潜在酵素と呼ぶ。
だからこそ、一生使える貯金の総額が決まっている酵素は大切に使わないといけない。
大食い、夜中食い、暴飲暴食は、その大切な酵素を無駄使いしているらしい。
無茶をしても大丈夫なのは、若いときにその蓄えを使いまくっているだけのよう。
死ぬまで胃腸が丈夫な人は、もともと生まれつき潜在酵素が多いみたい。そういう人は親に感謝した方がいい。運よく丈夫な胃腸に生まれてきている。
酵素は、年をとると質も変化する。
自動車のバッテリー、銀行預金、携帯電話などにたとえられる。
酵素貯蔵量は150年分くらいあるが、現代人は無駄使いが多いようだ。
酵素の量は一定。
不健康な人は<消化酵素>に多く酵素を使う。
酵素が多い食生活を送ると、消化作業が順調に行われるので、その分<代謝酵素>に使えるので、栄養をよりよく吸収できる。
<消化酵素>がうまく働かないと消化できず下痢として体外に排出されるし、消化されても<代謝酵素>がうまく使われないとよりよい素材として人体で使われない。
どんな豪華な食べ物を食べたとしても、<消化酵素>がうまく働いてくれるかが大事だ。
今までは栄養の事ばかり注目が言っていたけれど、<酵素>の登場で、食事の「質」が注目される時代になっていると言えるか。
24種の消化酵素があり、代表はアミラーゼ(炭水化物)、プロテアーゼ(タンパク質)、リパーゼ(脂質)など。
唾液アミラーゼはよく噛むことで多く分泌される、というのはよくご存じのとおり。
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【参考 消化酵素】
<炭水化物分解酵素>
・唾液:アミラーゼ(プチアリン) – 多糖であるデンプンを主に二糖であるマルトース(麦芽糖)に変える。
・膵液:アミラーゼ(アミロプシン) – 多糖であるデンプンを主に二糖であるマルトースに変える。
・腸液:サッカラーゼ –二糖であるスクロース(ショ糖、蔗糖)を単糖であるグルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)に変える。
マルターゼ –二糖であるマルトースを単糖であるグルコースに変える。
ラクターゼ –二糖であるラクトース(乳糖)を単糖であるグルコースとガラクトースに変える。
<タンパク質分解酵素>
一般にプロテアーゼ(広義のペプチダーゼ)と呼ばれる。また、腸液に含まれるプロテアーゼの混合物はエレプシンと呼ばれる。
・胃液:ペプシン – タンパク質をペプトンにする。
・膵液:トリプシン – タンパク質やペプトンをポリペプチドやオリゴペプチドにする。塩基性アミノ酸残基にはたらく。
キモトリプシン – タンパク質やペプトンをポリペプチドやオリゴペプチドにする。芳香族アミノ酸残基にはたらく。
エラスターゼ – タンパク質やペプトンをポリペプチドやオリゴペプチドにする。脂肪族アミノ酸残基にはたらく。
カルボキシペプチダーゼA – タンパク質のカルボキシル末端のペプチド結合を切断して中性、酸性アミノ酸を遊離させる。
カルボキシペプチダーゼB – タンパク質のカルボキシル末端のペプチド結合を切断して塩基性アミノ酸を遊離させる。
・腸液:アミノペプチダーゼN – タンパク質のアミノ末端のペプチド結合を切断してアミノ酸を遊離させる。
<脂肪分解酵素>
胃液、膵液、(腸液、唾液):リパーゼ – 脂肪(トリグリセリド)を最終的にモノグリセリドと脂肪酸に分解する。
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どんなに栄養価の高い食事をしても、糖質を単糖類に、タンパク質はジペプチドやアミノ酸に、脂質はグリセリンと脂肪酸に分解されなければ、体内に吸収されず栄養にならない。このことは重要だ。下痢をしている食事は、体にあっていないし、うまく吸収されていない事を物語る。
草食の牛が強靭な筋肉をつくる理由は、胃の微生物と酵素にあるらしい。
第一胃の中にたくさんの細菌(ルーメン菌)、原虫(プロトゾア)が住んでいる。
消化されにくい草の食物繊維(セルロースなど)を様々な物質に分解する。
草のセルロースを、3つの胃で行ったり来たり(反芻)させながら発酵させ、発酵で生まれるエネルギーを取り込む。
微生物は草の窒素化合物を利用して質の高いタンパク質を作り、第4胃(人間の胃に相当)へ送り、そこで胃液と酵素が分泌されて原虫や菌体も消化される。
食物繊維を分解する消化酵素のセルラーゼは人間にはないので、草を食べても人間の筋肉はつかず、消化できずに下痢をする。
胃の中に住む微生物は酵素を作り出し、牛と共存している。
草しか食べない牛が強靭な筋肉を持っているのは酵素のおかげなのだ。
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他にも酵素が重要な役割を果たしているものにビタミンCがある。
ビタミンC(アスコルビン酸)はコラーゲン合成、過酸化脂質の抑制など、体に重要な働きをする。
人間は果物や野菜から補給しなければいけない。
ライオンは生肉しか食べないが、ブドウ糖やガラクトース(乳糖の成分)からビタミンCを合成しているので野菜や果物を食べる必要がない。
人間はビタミンC生合成の最終段階で必要なL-グロノ-γ-ラクトンオキシダーゼという酵素が欠損しているため、野菜や果物などの外部から摂取する必要がある。
逆にいえば、人間の食生活での特異体質(不食や土食など)もこういう酵素が先天的や後天的に発現したり欠損したりすることで起きているのだと思う。知らないと不思議なことだが、知ってしまうとそれほど不思議でもない気がする。
牛乳などの乳製品を消化する消化酵素ラクターゼ、日本人の70%が不足している。だから牛乳で下痢をする。日本人には牛乳が会ってない人が多いらしい(代わりに無調整豆乳をお薦め)。
他にも、犬にネギを与えると死んでしまうのは、犬がユリ科(ネギ、タマネギ、ラッキョウ、ニンニク、・・)に含まれる成分、アリルプロピルジスルフィドを分解する酵素を持っていないかららしい。そういうトリビアも。
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色々な意味で、「酵素」は粛々と体内で大事な働きをしている。
だから、酵素を無駄に消耗させる食生活はよくない。
そういう例としてあげられていたのは、インスタント食品。レトルトの加工食品。白砂糖の入った食品。添加物。砂糖以外でのGI食品(Glycemid index)、高たんぱく食品。残留農薬。トランス脂肪酸などの悪い油脂。加熱処理された無酵素食品・・・など。
悪しき食生活では体中の酵素が消化酵素に動員されて浪費される。
酵素の備蓄が減り、代謝や解毒に回る酵素が絶対的に不足する。
酵素がなければエネルギー回路も動かない。
活性酵素(自分の電子を奪われ、「酸化」される)も除去できない。
お酒を解毒するALDH(アルデヒド脱水素酵素)という酵素が、悪酔い物質であるアセトアルデヒドを無害な酢酸と水素に変え、最終的には炭酸ガスと水になって体外に排出している。
そんな大事な酵素ALDHは、個人差はあるが体重60㎏で1時間7g程度のアルデヒドしか分解できないらしい。
酵素の関係で、本当は日本人にはお酒が弱い人が多いらしい。
相当体を酷使して、頭が体に無理強いをしてお酒を飲んでいるみたい。
お酒を解毒するALDH(アルデヒド脱水素酵素)のキャパシティーを超えたアルコールが入ると、CYP(シトクロームP450)という解毒専門の酵素群が働いてアルコール分解を助ける。
大酒家が麻酔が効きにくいというのは、増加したCYPが麻酔を毒として分解してしまうから。
CYP(シトクロームP450)という酵素の保有には個人差があり、大量に保持して生まれた人は健康的な生活を送れる。暴飲暴食をしても病気になりにくい。こういう人は親に感謝した方がいいのだろう。
CYP(シトクロームP450)は元々脂質代謝に関係する酵素だったが、自然界になかった人工物質を分解する役割を担うようになった。
今は本来の仕事とは違う仕事を担わされているという皮肉。
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人類が火を使って食べ物を食べるようになって病気が増えた。火を使うと食べ物の酵素が不足する。
動物は生のものしか食べない。
例えば、鯨が加熱されたアザラシを食べてしまうと、アザラシ自体からカテプシンという酵素がでなくなるので、アザラシが自らを溶かすことができなくなり、第一胃にとどまったままで鯨は死んでしまうらしい。
野生動物は本能的に生のもの(食物酵素)しか食べない。
生の食物を取ることで、食物自身による事前消化をさせれば体が作る消化酵素の消費を抑えられる。
加熱で酵素が破壊された食物ばかり食べると、消化酵素が大量に使われて、その余波は代謝酵素に及ぶ。
不完全消化の栄養素が体中を循環することが肥満や病気につながるようだ。
この辺りは生活の知恵とも関わってくる。
パパイアやキウイの消化酵素が肉を柔らかくする。パイナップルのプロメリンという消化酵素も肉を分解させるが、高温で炒めると死滅する。
大根おろしには100種類以上の酵素があり、分解を助ける。
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果物は完全食。調理などせずともそのものだけで完全な食べ物。
そして酵素が豊富である。
消化にエネルギーを使わないので潜在酵素の消耗を防ぐことができる。ついでにビタミンCやファイトケミカルなどの抗酸化物質も豊富。
果物の70~90%は良質な水から成るし、食物繊維も豊富だ。
果物の糖分(果糖)は、砂糖(ショ糖)のように肥満、虫歯、糖尿病の原因にはならない。
だからこそ、人間の体は本能的に果物を求める。
お菓子なんか食べるより、果物をよく食べた方がいいです。大自然の恵みです。
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人間を健康にする食品は、
生野菜、果物、海藻、芋、豆、穀類、発酵食品(特に黒酢、梅干)。
がんに対する食事療法でも、ゲルソン療法、酵素食、ファスティング(半断食)・・・など色々な可能性があるらしい。
食事が引き起こした病気の場合は、食事の改善が一番の早道だ。
鶴見先生のお薦めは、酵素を含む生食6割、加熱調理は4割程度にするといいとのこと。
動物性食品のメリットは、アミノ酸とビタミンB群が取りやすいということは大事らしい。(ビタミンB12は野菜にはほとんど存在しない)
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日本人は「漬物」という火を通さない料理法で食物酵素をとる知恵を持っていた。
納豆や味噌などの発酵食品も日本人の知恵。
微生物が作る酵素が体内酵素を助けている。
タンパク質が十分に消化されないと、大腸内で悪玉菌(腐敗菌)が分解して窒素残留物を作る。
この窒素残留物がガンや難病を含む、色々な病気をうむ。消化不良は万病の元。
消化不良はアレルギーにもつながる。
小腸の腸絨毛が障害されると、本来は吸収できないはずの大きな分子が血液中に取り込まれる。
テニスのガットが緩んで広がったようになる。リーキ・ガット症候群(腸管壁浸漏症候群)という。
大きいタンパク質が血中に入ると異物と判断し、その反応がアレルギーとなる。
膠原病、クローン病、神経疾患、潰瘍性大腸園などもリーキ・ガット症候群と関係があるかもしれない。
リーキ・ガット症候群は小腸内の悪玉菌が出すアルカリ性物質で腸管粘膜が溶かされる。
タンパク質の過剰摂取、ショ糖(砂糖)の取りすぎ、など。
この「リーキ・ガット症候群(腸管壁浸漏症候群)」はあまり知らなかったので勉強になった。
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消化吸収されたものは、腸内では【発酵、腐敗、異常発酵、酸敗】の4つの現象が起きる。
発酵は良質の炭水化物(オリゴ糖、デンプン、食物繊維などの多糖類)で起こる現象。
善玉菌が働き、有機酸とガス(二酸化炭素、水素、メタンガスで匂いはない)が発生する。
発酵で、短鎖脂肪酸という有機酸ができる。
腐敗。
過剰アミノ酸や不消化タンパク質を悪玉菌が分解。
この時にアミノ酸代謝物の窒素残留物(スカトール、インドール、アミン、フェノール、硫化水素、アンモニア・・・)ができる。
強烈な発ガン物質であるニトロソアミンを作り出す。
消化できなかった炭水化物の残留分が腐敗する。この時のおならは臭くなる。
おならの臭いは、腸内が発酵状態なのか、異常発酵しているのかの大きな目安。
酸敗は、脂質が腸内で酸化。
問題は3つ。大腸の悪玉菌が繁殖する。二次胆汁酸(胆汁が悪玉菌によってリトコール酸、デオキシコール酸などに変化したもの)ができる。窒素残留物が作られる。
酸敗の原因は脂肪の取りすぎ。酸化した油、劣化した油、トランス脂肪酸などの質の悪い油の摂取。
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健康の鍵を握る短鎖脂肪酸。
短鎖脂肪酸はすぐにエネルギーとして吸収される。
体脂肪として蓄積されるのは鎖が16以上ある脂肪酸であり、短鎖脂肪酸ではない。
酢酸、プロピオン酸、酪酸などの短鎖脂肪酸は、水溶性の食物繊維や糖質の発酵でできる物質。免疫力の向上を果たす。
牛や馬が草しか食べないのに霜降りの脂ができるのは、発酵を繰り返すと草からアミノ酸が大量に抽出され、それを吸収して筋肉ができる。
その発酵の過程で有機酸(短鎖脂肪酸)が生まれて、お肉の霜降りができるらしい。
短鎖脂肪酸の材料は、熟した果物、わかめ、昆布などに含まれる水溶性の食物繊維、穀物、大豆、きのこに含まれる不溶性の食物繊維も。
他には黒酢、酢、梅干し、ピクルス、酢の物、ラッキョウ、漬物、キムチの発酵食品。
こういうものが大事みたい。
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糖質制限ダイエット(アトキンスダイエット)の危険性。
ブドウ糖だけが栄養になる臓器は4つある。
肺の粘膜、神経組織の内膜、眼の水晶体、血管壁。
(脳はブドウ糖がないときはアミノ酸からブドウ糖を作る糖新生や脂肪を分解して作るケトン体を栄養源にする)
だから、あまりにも糖だけを取らないのは別の病気を生み出すので注意、とのこと。
何でも極端はよくないのだ。
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大便は通常水分8割、食物繊維1割、食べかす・老廃物・腸内細菌1割。
水分が9割以上で下痢。7割以下で便秘になる。
何と精妙な!
便秘は悪玉菌や、それによって生じるインドールやアミンなどの窒素残留物を腸に留めてしまう。
おならの主成分は窒素、水素、酸素、二酸化炭素、メタンで、本来はほぼ無臭。
おならの悪臭の元はアンモニア、硫化水素、インドール、スカトールといった成分で、悪玉菌が悪臭物質を作り出している。これらが0.1%でも混ざると臭いガスになる。
つまり、腸内腐敗が悪臭の元。
だからこそ、オナラの臭いで免疫力や食事の状態ををある程度判断できる。
良い便は黄色に近い。善玉菌で腸内が弱酸性。
悪玉菌でアルカリ性になると便は茶褐色から黒褐色になる。
便の色でも腸内環境が判断できる。水に浮く便が理想。
便とおならの状態で体の状態が分かるのは本当です。
自分もよくそれを聞いています。
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ナチュラル・ハイジーン、ローフード(生食)などの酵素栄養学によると、
朝食は軽いほうがいいらしい。
朝(AM4-12時)のうちに汗、尿、便という3大排泄を行う時間。
そして、12時-20時が栄養補給と消化の時間。
20時-AM4時が吸収と代謝の時間。
12時以降に本格的に栄養補給を行う。
砂糖(ショ糖)は漂白作業に化学薬品が使われている。
サラサラ感を出すために天然の栄養成分が除去されている。消化活動に負担がかかる。
ショ糖は果糖とブドウ糖が結びついた二糖類。
結合が固く、胃に入ってから単糖類になるまでに6時間もかかる。分解酵素を大量に消費する。
消化されずに腸に残ったショ糖は悪玉菌や真菌の栄養になってしまう。
だから、砂糖(ショ糖)を大量に使う食事は注意。
トランス脂肪酸 マーガリン、ショートニング、ファットスプレス(マーガリンの一種)・・・ニューヨークでは使用禁止になっている食品。
なぜなら、体内でまったく代謝されない物質だから。
これは大事な食の知識ですね。
あと、体に悪い油のことを。
リノール酸の過剰摂取は体に悪い。
リノール酸は不飽和脂肪酸のw6系脂肪酸のひとつで、良い油のαリノレン酸と共に体内で作れない必須脂肪酸。
リノール酸はスナック菓子、マーガリン、マヨネーズ、ドレッシング、インスタントラーメン、ケーキ、パン、アイスなどに含まれる。
食品表示に植物性油脂、植物性食用油とあればトランス脂肪酸やリノール酸が含まれているので過剰摂取に注意する。
植物油で消化にいいのはαリノレン酸である亜麻仁油(フラックス油)、エゴマ油、シソ油など。加熱に弱いのでドレッシングなど生で使う方がいい。
加熱料理には酸化しにくいゴマ油、ナタネ油、玄米油などを使う。
あと、生の種を食べると、体内酵素の消費が膨大になるので食べてはいけない。
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病気の時は消化に負担をかけない食事を。
病気と闘うために代謝酵素が忙しい。消化酵素を無駄使いしない。
食事はサラダや果物から。酵素が多く自前消化がある。
後から入る動物性食品の消化に効果的に働く。
酵素を取る方法としては、しぼりたてジュース、すりおろす(リンゴ、大根、山芋、人参、しょうが、セロリ、カブ、ニンニク、レンコン、タマネギ・・・)、発酵食品、よく噛んでゆっくり食べる、良質な水を飲む、睡眠・・・など。
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とまあ、つらつら書きました。
新書ですが膨大な知識と情報があって、とてもいい本。
ここに書ききれませんでした。
医療も、お金をかけた高額な薬の開発よりも、こういう食生活の方が大事なはずです。こういう事にもっと気を使いたいもの。
自分も気をつけていますが、みなさんも日々の食生活にはご注意を。
自分の体を大切に労わってあげてくださいね。(^^
全部書いてある。(笑)
よくまとめましたねえ……!
生食とか、漬け物とか。
子どもに食べさせるのは大変だけど
果物から行ってみようかな。
バナナ、りんご、みかん。子どもは果物好きだから。
自分も、断片的には書かれている知識を以前マクロビに詳しい人にきかせてもらったことがあります。それ以降、白砂糖、インスタント麺、清涼飲料水は極力飲食しないようにしてる。マヨネーズだけは好きで、ちょっと前まで、お酢が好きだからバルサミコに変えてたんだけど、また戻ってるから、また明日あたり買い換えて野菜とります。。。
運動と食、睡眠をうまくコントロールすれば若くまた健康な時期を増やせそうだよね。
スイッチさんもトランス脂肪酸とマーガリンのこと言ってましたよね・・
有名どころのお菓子屋でもショートニングとかマーガリン使ってるとこ多いみたいなんですけど、一部の地域では使用禁止になっているくらいの食品で。まあ安全域っていうのは難しいところで、どこを基準にするかっていう話はありますが、酵素の観点からすると体内でまったく代謝されない物質で、だからこそ胃腸をかく乱させて酵素を大量に浪費させちゃうからよくないんですよねぇ。
単純に暴飲暴食してるのも、体内酵素が大量にあるのに甘えて無駄使いしているだけで。まあ、常識的に体によくないことは分かりますが、こうして言われると説得力あります。
大食い選手権なんかも、あらあら、酵素の無駄使いしてるなー、と思って痛々しくなります。胃腸は相当無理しているでしょうからね。
そういう無意識の臓器、沈黙の臓器に声を傾けるのは大事です。今はあたまでからだをコントロールして支配しようとしている奇妙な時代ですからね。
お子さんには果物がいいでしょうねー。やはり完全食に勝るものはありません。あれだけで食べれるっていうのはすごいもんです。実際、変なお菓子よりもフルーツそのものの方が自分はずーーっと美味しいと思いますし。野菜もおいしいですよねー。
>さ。さん
そうなんです。自分も見直して復習するためにまとめました。
ふと思い出したくなった時、こうしてWebにまとめてると自分的にも便利です。
一生でつくられる酵素の数が決まっているっていうのは、知らなんだーって感じですよね。ただ、150年分くらいの貯金が内蔵されているようなので、普通に生活していればまず枯渇することはなさそうですし、宴会とかで暴飲暴食を防がないといかんです。
さ。さんはあまりそういうことないと思うんですが、医療業界の忘年会や飲み会の激しさはすさまじく、19時くらいから始まると、翌朝の5時くらいまで続くのはザラなんです。自分は忍術のようにいつのまにかいなくなる術を身に着けましたが。暴飲暴食はよくないですよねー。たいていの人は翌日吐いたり胃にもたれたりしてて、体が危険信号出してると思います。
腸内細菌も酵素も。。。。「わたし」を構成しているのは複数の生命体の調和なんですよね。そもそも、ヒトは多細胞生物なので、100兆個(以前は60兆って言われてましたが、最近は100兆と言われてる)の細胞が寄り集まって、こういう全体性をつくりあげているとはなんとも摩訶不思議な話ですよねぇ-。神さま(宇宙?)がつくった芸術作品ですよねぇ。
皮膚に関しても、
傳田光洋「第三の脳 -皮膚から考える命、こころ、世界」
2013-04-30
http://blog.goo.ne.jp/usmle1789/e/2fdd9605b3b059e5ab061a0fa200205e
で書きましたが、この方の本も面白かったなー。
生物系の研究者じゃなくて、化粧品の研究者だからこそ、自由な考えで研究してるっていうのがよく伝わってきます。。。
>Shintaroくん
食の大切さを認識してもらえてうれしいです。笑
医者って、この辺り興味ない人多いんだよね。というか、そもそも全く知らなくて驚くことが多い。やはりプロとしてはこの辺りを真摯に勉強してほしいもんだと思います。
もちろん、あんまりにもこういうのに縛られると付き合いが悪いやつ、と言われるので社会生活とのバランスはありますが、やはり体が喜ぶものを食べたいな、っていうのは素直な感情としてあります。
実際、からだの問題はこころの問題と直結しますしね。
運動と食、睡眠。
Shintaroくんのおっしゃる通り、この辺りに気をつければ、自分にとってBestなコンディションは保てると思いますね。やはり自分の人生ですし、この稀な機会を自分から積極的に大切にしたいもんです。(^^
この本、いい本ですよー!