urt's nest

ミステリとかロックとかお笑いとかサッカーのこと。

A.C.ドイル/日暮雅通訳『シャーロック・ホームズの回想』光文社文庫

2006年06月15日 | reading
ネタバレ注意。

いやーしかしネット難民の間にレヴューも溜まってしまいましたな。まあゆっくり更新していきますわ。

と言う訳で第二回配本の第二短編集。「黒後家蜘蛛の会」シリーズなんかもそうだけど、ミステリのシリーズ短編ってのはどうしても段々クオリティが落ちてくるもの。この作品集も、トリック・ロジックがおざなりにされ始めている感は正直拭えませんが、ストーリーテリングはうまいので読まされてしまいます。
しかし「最後の事件」はもう書きたくねー!ってのがミエミエの無理矢理さ。確かにこんなんで殺しちゃったら抗議も殺到するわな。
以下細かい点メモ。「名馬シルヴァー・ブレイズ」…刺し傷の特定なんて鑑識が頑張ればどうとでもなる問題じゃなかろーか。「ボール箱」…ボートで追いかけて殺すシーン怖すぎ。確かに完全なホラーで浮いてて、版によっては削除されたのも頷ける。しかしロジック放棄の典型例。「ライゲイトの大地主]…普通真っ先に手紙処分しないか? 「ギリシャ語通訳」…ホームズ兄弟のやり取りが笑える。てか厭な兄弟w。
ミステリ的に優れた作品、となると難しいが、オチのカタルシスを考えて「黄色い顔」がベストか。

作品の評価はBマイナス。

シャーロック・ホームズの回想 新訳シャーロック・ホームズ全集シャーロック・ホームズの回想 新訳シャーロック・ホームズ全集
アーサー・コナン・ドイル

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