ネタバレ一応注意。
《教訓だらけの映画だった。生きろ、はめろ、疾走しろ。それから氷山に衝突して沈没。セリーヌでディオーンだ。》(「ストーリーライター、ストーリーダンサー、ストーリーファイター」、78p)
古川日出男の短編集。
「はじめての純粋な短編集」とのこと。『gift』なんかは連作と捉えるべきなのか。初出はそのほとんどが「小説現代」。「群像」の方がしっくりくる感じだが、そのチープさがかっこいいですね。
物語は、ここ最近の彼の主題である「都市」…特に「東京現代史」の下に、相変わらずのとんでもない奇想を、饒舌に疾走する文体で描く。
閉ざされた一軒家で繰り広げられるハムスターの世界彷徨(「お前のことは忘れていないよバッハ」)、東京の空に放たれる一千羽のインコに受け継がれる音楽(「物語卵」)、墓石の迷路を抜けた先で、夜を徹して行われるレイヴ(「一九九一年、埋め立て地がお台場になる前」)。短編に盛り込まれたアイデアはどれもこれも魅力的で、長編を支えるだけのインパクトと強度を持っていて、非常に贅沢。物語のアイデアと語りの両方に示す圧倒的な才。最も天才の名に近い小説家だと思います。
特に気に入ったのは感動的な「お前のことは忘れていないよバッハ」と、魅力的な青春×都市小説「ストーリーライター、ストーリーダンサー、ストーリーファイター」、エンタテインメントとして優れる「メロウ」あたり。「飲み物はいるかい」も、飯田橋~神楽坂が舞台だったので興味深く読みました。
《そろそろ僕たちは殺される側じゃないほうに回ろう。/僕たちはゲームをしてるわけじゃないんだぜ。/ここに難問があり、それは僕たちに解かれる。》(「メロウ」、223p)
作品の評価はAマイナス。
《教訓だらけの映画だった。生きろ、はめろ、疾走しろ。それから氷山に衝突して沈没。セリーヌでディオーンだ。》(「ストーリーライター、ストーリーダンサー、ストーリーファイター」、78p)
古川日出男の短編集。
「はじめての純粋な短編集」とのこと。『gift』なんかは連作と捉えるべきなのか。初出はそのほとんどが「小説現代」。「群像」の方がしっくりくる感じだが、そのチープさがかっこいいですね。
物語は、ここ最近の彼の主題である「都市」…特に「東京現代史」の下に、相変わらずのとんでもない奇想を、饒舌に疾走する文体で描く。
閉ざされた一軒家で繰り広げられるハムスターの世界彷徨(「お前のことは忘れていないよバッハ」)、東京の空に放たれる一千羽のインコに受け継がれる音楽(「物語卵」)、墓石の迷路を抜けた先で、夜を徹して行われるレイヴ(「一九九一年、埋め立て地がお台場になる前」)。短編に盛り込まれたアイデアはどれもこれも魅力的で、長編を支えるだけのインパクトと強度を持っていて、非常に贅沢。物語のアイデアと語りの両方に示す圧倒的な才。最も天才の名に近い小説家だと思います。
特に気に入ったのは感動的な「お前のことは忘れていないよバッハ」と、魅力的な青春×都市小説「ストーリーライター、ストーリーダンサー、ストーリーファイター」、エンタテインメントとして優れる「メロウ」あたり。「飲み物はいるかい」も、飯田橋~神楽坂が舞台だったので興味深く読みました。
《そろそろ僕たちは殺される側じゃないほうに回ろう。/僕たちはゲームをしてるわけじゃないんだぜ。/ここに難問があり、それは僕たちに解かれる。》(「メロウ」、223p)
作品の評価はAマイナス。
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