urt's nest

ミステリとかロックとかお笑いとかサッカーのこと。

田口ランディ『富士山』文春文庫

2006年04月29日 | reading
ネタバレ一応注意。

こちらもお久しぶりの田口ランディ。三部作以来かも知れません…あ、エッセィとか何冊か読んでるか。
近景・遠景に富士山を置いた短編集。富士山はこの作品集のスピリチュアルな感性の象徴ですね。なんかよくテレビや書籍で目にする「スピリチュアル」って単語に失笑することの多い僕は、この作家の小説ってこんなに胡散臭かったっけ、などと思ってしまったのでした。カルト宗教とかゴミ屋敷とか、面白そうなモチーフが取り入れられていただけに残念でした。
唯一感心したのが「青い峰」。ラストはややヌルいですが、コンビニエンスストアの人工的な環境と、それに固執する主人公のエピソードはなかなか面白い社会批評になっているのでは、と。

作品の評価はC。

富士山富士山
田口 ランディ

文藝春秋 2006-03-10
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