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横山秀夫『第三の時効』集英社文庫

2006年04月17日 | reading
ネタバレ一応注意。

横山秀夫の最高傑作と評価する向きもあるようです。警察小説連作短編集。確かに良かった。少なくとも『半落ち』の百倍面白い。
もともと本格志向はある作家と見ていましたが、どんでん返しの仕掛け、カタルシスのあるプロットと、この作家の警察小説の魅力がいかんなく発揮されています。「モノクロームの反転」なんておもくそ本格だ。
そしてそこに、三人の「班長」を中心とする捜査一課の三班の手柄の奪い合い、騙し合いがツイストかけてくれるわけです。班長はキャラ立ちまくり。キャラ立ち三本マイク。タイトルも上手くて、それまで見えていた意味が、真相が明らかになることによって反転するよく練られた構成。警察小説としては、ほぼ完璧に近いプロットを持っているのではないでしょうか。
ベストは表題作。班長の中でも二班・楠見はやばい。やばすぎる。悪魔的です。
あと正直減点材料もあって。裏表紙に書いてある《圧倒的な迫力で、あぶりだされる》ものが、《男たちの矜持》ではなく、単なる「男たちの醜い狷介」であるように感じられてしまったこと。新入社員研修中の身としては、こんな職場では絶対に働きたくありません。

作品の評価はAマイナス。

第三の時効第三の時効
横山 秀夫

集英社 2006-03-17
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2 コメント

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Unknown (さきち)
2006-04-18 20:26:16
>新入社員研修中の身としては、こんな職場では絶対に働きたくありません。



確かに。
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Unknown (urt)
2006-04-19 22:34:52
いくら「チームだろ!」つってもね…。
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