urt's nest

ミステリとかロックとかお笑いとかサッカーのこと。

近藤史恵『天使はモップを持って』文春文庫

2006年06月25日 | reading
ネタバレ一応注意。

掃除スタッフの女の子を探偵役に据えた、オフィスの日常の謎モノ…のハズだったのですが、ミステリの骨格が弱すぎて、オフィスの女性たちの人間模様を描いたフツーの小説になってしまっているような。
そうして読んでみても、フェミニズムが前面に出ていてなんだか辛かった。坂木司みたいに短編一つ読み通せないなんてことはなかったけれど。近藤史恵は好きな作家だけど、整体師のシリーズ見てても共通の傾向が感じられるようで、なんだか心配です。
ミステリとして評価できる部分はあまりないけど、ベストを強いて挙げれば、連作としてのオチをうまくプロットに落としたラスト「史上最悪のヒーロー」。しかしキリコは魅力的だけど主人公の男にまるで魅力がないので、感動・カタルシスも半減してしまいましたと。

作品の評価はC。

天使はモップを持って天使はモップを持って
近藤 史恵

文藝春秋 2006-06
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