urt's nest

ミステリとかロックとかお笑いとかサッカーのこと。

藤原伊織『ひまわりの祝祭』講談社文庫

2006年08月09日 | reading
ネタバレ注意。

ゴッホの八枚目の「ひまわり」をめぐるハードボイルドだっつーあらすじを読んで、スケールの大きい国際謀略サスペンスだと思ってたら、なんかやたらとマッタリ。新幹線移動だし。世捨て人的な主人公のテンションに引き摺られてるのね(別に欠点ではないよ)。
敵役もなんだかしょっぱくて、ドラマ性にはやや物足りない部分もある。でも文章上手いし、エピソードの作りと繋ぎ方もなかなか。原田などのキャラクタも魅力的に描けてるし、リーダビリティは発揮された小説だと思います。
しかしまあ、主人公と(後の)妻の出会いのシーンとか、「ゴッホの原書にメッセージが遺されている」とか、この作家らしいロマンティシズムには微苦笑でした。麻里の扱いとか、ルパン・ザ・サードを思わせるラストのベタさとか、多少ツメの甘い部分もあって減点かな。
郷原宏の解説もアホ丸出し。

作品の評価はBマイナス。

ひまわりの祝祭ひまわりの祝祭
藤原 伊織

講談社 2000-06
売り上げランキング : 44636

Amazonで詳しく見る
by G-Tools