奨学金返済3カ月遅れ
ブラックリスト化
学生に同意書強要
大学院生、「脅迫的だ」
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政府の方針を受けて、日本学生支援機構(旧日本育英会)は奨学金の返済を延滞した利用者を個人信用機関に通報する制度を二〇一〇年度に導入しようとしています。返還が三カ月遅れると“ブラックリスト”に載せられる制度です。ローンを組んだり、クレジットカードの利用が困難になります。同機構は、いま順次利用者に「同意書」を求めています。これに応じなければ奨学金が受けられないというやり方は「教育基本法が禁じる信条や経済的地位による差別にあたる」との声があがっています。(伊藤悠希)
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二〇〇九年度日本学生支援機構の奨学金ガイドには次のように記載されています。「奨学金の貸与を受けるには、個人信用情報の取扱いに関する同意書を提出しなければなりません」「同意書の提出をしなかった場合には奨学金の申込資格はありません」。前年度まではなかった記述です。
「奨学金がないと大学には通えない。同意書を書くしかなかった」と話すのは京都の私立大学に通う一回生のAさん。両親は離婚し、父親と暮らしています。父親は病気で働けず、生活保護を受けています。高校生の時から無利子と有利子の奨学金を利用しています。「将来は不安。返せない人を切り捨てるようなことはしてほしくない」
同意書に不安を感じ、提出しない人もいます。東京都内の大学院生Bさん(26)は「“同意書を提出しないのは返す意思がないとみなし、継続しない”というのは脅迫的なやり方です」と言います。Bさんは学部生のときから五年間利用しています。現在は博士課程一年。無利子で月十二万円利用しています。アルバイトと奨学金で学費と生活費を支えています。両親は定年退職しており、経済的に頼れません。
同意書を提出するかどうかはそれぞれですが、AさんもBさんも奨学金延滞者のブラックリスト化に反対しています。
月16万円の生活では
奨学金滞納ブラックリスト化
卒業しても職なく
政府や機構側は延滞者の増加を、個人信用情報機関への通報制度の導入の理由に上げています。しかし、延滞者の増加(七年で一・四倍)は奨学生が急増(七年で一・六倍)したことによるもので、単年度の返還率は94%、繰り上げ返済を含めれば100%を超えており、機構の業績悪化や奨学生のモラルの低下にあるわけではありません。
■1年契約
しかも、奨学金の延滞理由は低所得が45・1%、無職・失業が23・5%となっています(表・〇六年度機構調査)。経済的な困難が圧倒的です。
返済額が四百五十万円、毎月約二万円の返済が二十年続くというCさん(23)は一年契約で働いています。
月収は十万円。ほかにアルバイトをして、月十六万円で生活しています。年金保険料、必要経費などを払い、奨学金を返済すると自由になるお金はわずかです。
来年度は契約を更新できますが、次はわかりません。「返せる経済力がない人の場合、ブラックリストに載せたところで、返済ができないことに変わりはありません」
■異議あり
ブラックリスト化に反対している「国民のための奨学金制度の拡充をめざし、無償教育をすすめる会」には、「同意書を提出しなければ奨学金の継続、貸与開始を認めないというのは強制であり、問題だ」「回収率改善の根本的解決策とはならないと思われる」などブラックリスト化反対の声が大学から寄せられています。
通報制度は二〇〇六年七月に閣議決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針(骨太方針)二〇〇六」で出された奨学金の回収強化の具体化です。政府と機構側は通報制度に続いて、延滞者の高い大学名の公表、延滞九カ月で法的措置、有利子金利上限(3%)の撤廃などをねらっています。
奨学金は大学生の三人に一人、大学院生の二人に一人が利用しています。無利子が三割に対し、有利子が七割となっています。
奨学金は憲法と教育基本法の「教育を受ける権利」に基づいており、経済的な理由で学業をあきらめる若者をうまないためのものです。営利を目的に、返済能力のある人だけに融資する金融事業とは目的も貸し出す対象も全く異なります。
「給付制の創設や無利子枠を拡充し、返済しやすい制度を国がつくってほしい」と利用者や機構の職員らは訴えています。
(出所:日本共産党HP 2009年3月23日(月)「しんぶん赤旗」)
奨学金の制度と憲法の理念の関係は?
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〈問い〉 奨学金制度を整備することは、憲法の精神でもあると聞きました。どういうことですか。(東京・一読者)
〈答え〉 憲法は、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」(第二六条 教育を受ける権利)と定めています。この条項にもとづき、教育基本法は「教育の機会均等」を定め、「人種、信条、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない」「国及び地方公共団体は、…経済的理由によって修学困難な者に対して、奨学の方法を講じなければならない」(第三条)としています。
親などの経済力により教育の差別が生じないよう、公的な奨学制度を保障することが国の責務とされているのです。
ところが現実は、日本の大学の学費は欧米諸国と比してきわめて高額であるにもかかわらず、奨学金制度は最低といえる状況です。政府の奨学金(育英奨学金)は、「優れた」学生・高校生で経済的な困難を抱えるものを対象とするため、成績・家計基準によって、多くの学生が門前払いとなっているのです。フランスでは学費は無償、その上で生活費として給与奨学金が支給されています。高校でいえば、奨学金は給付制が欧米諸国の常識です。
長引く不況のもと、親の失業などで学費が払えず大学や高校を退学せざるをえない、生活費や学費のためアルバイトに追われる等々の事態が広がっているだけに、奨学金制度の拡充がなんとしても必要です。
ところが小泉内閣は、奨学金業務を行う日本育英会を民営化することまで検討しています。これは、奨学金を銀行等が扱う教育ローンに変質させるもので、収入が少ない家庭では貸与を受けられないなど、奨学金制度の根幹を掘り崩すものです。憲法の精神にもとづき、希望者全員への無利子貸与、給与奨学金の導入など、抜本的な制度の充実こそ求められます。(田)
(出所:日本共産党HP 2001年9月9日(日)「しんぶん赤旗」)
ブラックリスト化
学生に同意書強要
大学院生、「脅迫的だ」
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政府の方針を受けて、日本学生支援機構(旧日本育英会)は奨学金の返済を延滞した利用者を個人信用機関に通報する制度を二〇一〇年度に導入しようとしています。返還が三カ月遅れると“ブラックリスト”に載せられる制度です。ローンを組んだり、クレジットカードの利用が困難になります。同機構は、いま順次利用者に「同意書」を求めています。これに応じなければ奨学金が受けられないというやり方は「教育基本法が禁じる信条や経済的地位による差別にあたる」との声があがっています。(伊藤悠希)
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二〇〇九年度日本学生支援機構の奨学金ガイドには次のように記載されています。「奨学金の貸与を受けるには、個人信用情報の取扱いに関する同意書を提出しなければなりません」「同意書の提出をしなかった場合には奨学金の申込資格はありません」。前年度まではなかった記述です。
「奨学金がないと大学には通えない。同意書を書くしかなかった」と話すのは京都の私立大学に通う一回生のAさん。両親は離婚し、父親と暮らしています。父親は病気で働けず、生活保護を受けています。高校生の時から無利子と有利子の奨学金を利用しています。「将来は不安。返せない人を切り捨てるようなことはしてほしくない」
同意書に不安を感じ、提出しない人もいます。東京都内の大学院生Bさん(26)は「“同意書を提出しないのは返す意思がないとみなし、継続しない”というのは脅迫的なやり方です」と言います。Bさんは学部生のときから五年間利用しています。現在は博士課程一年。無利子で月十二万円利用しています。アルバイトと奨学金で学費と生活費を支えています。両親は定年退職しており、経済的に頼れません。
同意書を提出するかどうかはそれぞれですが、AさんもBさんも奨学金延滞者のブラックリスト化に反対しています。
月16万円の生活では
奨学金滞納ブラックリスト化
卒業しても職なく
政府や機構側は延滞者の増加を、個人信用情報機関への通報制度の導入の理由に上げています。しかし、延滞者の増加(七年で一・四倍)は奨学生が急増(七年で一・六倍)したことによるもので、単年度の返還率は94%、繰り上げ返済を含めれば100%を超えており、機構の業績悪化や奨学生のモラルの低下にあるわけではありません。
■1年契約
しかも、奨学金の延滞理由は低所得が45・1%、無職・失業が23・5%となっています(表・〇六年度機構調査)。経済的な困難が圧倒的です。
返済額が四百五十万円、毎月約二万円の返済が二十年続くというCさん(23)は一年契約で働いています。
月収は十万円。ほかにアルバイトをして、月十六万円で生活しています。年金保険料、必要経費などを払い、奨学金を返済すると自由になるお金はわずかです。
来年度は契約を更新できますが、次はわかりません。「返せる経済力がない人の場合、ブラックリストに載せたところで、返済ができないことに変わりはありません」
■異議あり
ブラックリスト化に反対している「国民のための奨学金制度の拡充をめざし、無償教育をすすめる会」には、「同意書を提出しなければ奨学金の継続、貸与開始を認めないというのは強制であり、問題だ」「回収率改善の根本的解決策とはならないと思われる」などブラックリスト化反対の声が大学から寄せられています。
通報制度は二〇〇六年七月に閣議決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針(骨太方針)二〇〇六」で出された奨学金の回収強化の具体化です。政府と機構側は通報制度に続いて、延滞者の高い大学名の公表、延滞九カ月で法的措置、有利子金利上限(3%)の撤廃などをねらっています。
奨学金は大学生の三人に一人、大学院生の二人に一人が利用しています。無利子が三割に対し、有利子が七割となっています。
奨学金は憲法と教育基本法の「教育を受ける権利」に基づいており、経済的な理由で学業をあきらめる若者をうまないためのものです。営利を目的に、返済能力のある人だけに融資する金融事業とは目的も貸し出す対象も全く異なります。
「給付制の創設や無利子枠を拡充し、返済しやすい制度を国がつくってほしい」と利用者や機構の職員らは訴えています。
(出所:日本共産党HP 2009年3月23日(月)「しんぶん赤旗」)
奨学金の制度と憲法の理念の関係は?
--------------------------------------------------------------------------------
〈問い〉 奨学金制度を整備することは、憲法の精神でもあると聞きました。どういうことですか。(東京・一読者)
〈答え〉 憲法は、「すべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する」(第二六条 教育を受ける権利)と定めています。この条項にもとづき、教育基本法は「教育の機会均等」を定め、「人種、信条、社会的身分、経済的地位又は門地によって、教育上差別されない」「国及び地方公共団体は、…経済的理由によって修学困難な者に対して、奨学の方法を講じなければならない」(第三条)としています。
親などの経済力により教育の差別が生じないよう、公的な奨学制度を保障することが国の責務とされているのです。
ところが現実は、日本の大学の学費は欧米諸国と比してきわめて高額であるにもかかわらず、奨学金制度は最低といえる状況です。政府の奨学金(育英奨学金)は、「優れた」学生・高校生で経済的な困難を抱えるものを対象とするため、成績・家計基準によって、多くの学生が門前払いとなっているのです。フランスでは学費は無償、その上で生活費として給与奨学金が支給されています。高校でいえば、奨学金は給付制が欧米諸国の常識です。
長引く不況のもと、親の失業などで学費が払えず大学や高校を退学せざるをえない、生活費や学費のためアルバイトに追われる等々の事態が広がっているだけに、奨学金制度の拡充がなんとしても必要です。
ところが小泉内閣は、奨学金業務を行う日本育英会を民営化することまで検討しています。これは、奨学金を銀行等が扱う教育ローンに変質させるもので、収入が少ない家庭では貸与を受けられないなど、奨学金制度の根幹を掘り崩すものです。憲法の精神にもとづき、希望者全員への無利子貸与、給与奨学金の導入など、抜本的な制度の充実こそ求められます。(田)
(出所:日本共産党HP 2001年9月9日(日)「しんぶん赤旗」)
能力のある人が進学したい場合無料で教育は受けられるべき。
だだし、能力が言っていいかの人にそれを保障する必要はない。
「借りたものは返す」
ってことも当たり前だけどね。
低賃金だとかなんだとかは、自分自身の責任で貸した側の責任じゃない。
借りたい上、返すのはあたり前。
少なくても合法な金利できちんとした手続きを踏んで借りたお金を、借りる側の都合で返さなくてもよいという神経は、教育を受ける以前の問題。
その滞納によって、次に借りるべき人への資金がなくなり、次に必要な人へ融資が行き届かないことを考えない、自分勝手な論理である。
借りたものを返さないのは、詐欺や強盗と同じ。
貸した側からみれば、詐欺も滞納も経済事情による滞納も
「お金が返ってこない」
という点では同じ。
そして貸した側が、お金が返ってこないで困ることも同じ。
それをいかにも貸した側に責任があるような言い分は、ただの責任転嫁。
税金を支払う以上、基本は、すべての行政サービスを無料とすべきです。「保険あって介護なし」といわれる様に「納税あって教育なし」という今の自公政権の政治を正すのは国民・労働者の労働運動、政治運動、そして、投票行動だと思います。
大学を卒業する時点で「借金」を500万円、700万円も背負わせる自公政権は完全に異常です。借金を返すために無理やり就職しなければならないという圧力もかかるので職業選択の自由への制限にもなると考えます。
すべての人間に学習する権利があります。障害者であれ、学力不足の人であれ、学習する権利はあります。それが能力に応じて学習するということの意味です。能力のない人を排除するという意味ではありません。
教育は福祉なんですね。
「そのレベルの教育を受けられるかどうか」を見ているの。
微分積分や基礎物理が理解できない人間に、流体力学や構造力学は理解できない。だから、流体力学や構造力学を学ぶ場所には入れない。入りたい場合は微分積分をまず理解できるようにすることを求めているだけ。
微分積分は、流体力学を教える場所で教えることじゃありませんからね。
当然、大学は分数の計算を教える場所でもありません。
そこで教えることについてこれるようになるまで、そのレベルにあった場所で勉強するようにしろというだけです。
>学習する権利はあります。
もちろんですよ。
でも分数ができない人が、流体力学を勉強することは権利云々の前に「無理」です。
ギターだって、基本のコードが抑えられない人に、高崎晃レベルの技術を教える場所へ学びにきても何も教わることはできませんし、そういう人は初心者教室に行くべきですよね。
大学も「そのレベルの教育を理解できること」が前提のはずですよ。
問題はここだね。
試験受かった人が特権を享受するというのなら、科挙、まさに公務員ですよ。
フィンランドの教育状況をテレビでやっていましたが、教育費は無料。学生の弁によれば「社会から受け取ったものは社会に還元しなければならない」と。教育費を無料にすることにより、社会貢献する人材が育つんだと。政府の再配分機能は強力ですから、良い意味で能力に応じて働き必要に応じて取ることになるのでしょう。日本で実施してそう理想的な成果が収められるかどうかちょっと疑問ですが。
>微分積分は、流体力学を教える場所で教えることじゃありませんからね。
現場の設計レベルで微積なんて使いますぅ?(イナーシャの計算をするのに相対性原理を使うとか)ほとんど完璧に忘れました。ラプラス変換だって使わない。手間かかってしょうがないからです。ほとんどは「何とか設計ハンドブック」、実験、これははやるしかないでしょう。それでも今はいいシュミレーターがありますからねぇ。その辺の開発をやるんだったら微積も必要かもしれない。
これはうなずける議論で労働力が商品でその価格が需要と供給で決まるとするならば、すでに高賃金の職業を得た人が供給を増しその価格を下げる為に税金を払うというのは理不尽すぎることでしょう。
サッチャー革命はこの点では逆を行ってるようです。
今はCAD製図が当たり前ですが、実習では必ず手製図しますから。
ブラックボックスをブラックボックスで使い続けていると、何か問題が発生した場合、なにも対処できなくなりますから。
大学はただの職業訓練校じゃないと思います。
たとえば、機械の圧力が上がらなかったとき単に
「ポンプがおかしい」と考えるか
「容積型ポンプだから、こういう問題が発生していることが考えられる」かで、対応選択の広がりはまったく違いますからね。
>試験受かった人が特権を享受するというのなら、科挙、まさに公務員ですよ。
いえいえ、特権じゃありません
「その学問を習うのに必要な要素を備えているかどうか」です。