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消せない:児童ポルノと性犯罪/4 再犯防止の取り組み

2008-06-21 02:31:56 | 国内社会
 消せない:児童ポルノと性犯罪/4 再犯防止の取り組み

 ◇自己制御、どこまで
 売店の女性店員にすがり、少女(14)は叫んだ。「助けて」。昨年10月、山形県のJR酒田駅。店員は少女を連れ交番へ急いだ。

 少女は秋田県の中学生。学校でいじめに遭い携帯電話の家出掲示板に書き込んだ。<泊めてくれる人募集>。千葉県に住む会社員の男(31)からメールが来た。<うちに来たらディズニーランドに連れて行ってあげる>

 男は車で少女を迎えに来て、山形県のホテルに連れ込んだが抵抗された。口止めし、やむなく駅で解放した。

 翌11月、男は埼玉県内で別の14歳少女を買春し、埼玉県警に児童買春・児童ポルノ禁止法違反で逮捕される。山形での事件も発覚し、わいせつ目的誘拐容疑で再逮捕。男のパソコンからはネット上で売買されている児童ポルノが見つかった。

 「残業代もつかず、癒やされたかった。成人女性にはそんな気持ちを見抜かれそうで」。山形地裁鶴岡支部で4月に開かれた初公判で、男は釈明した。父親は「中学でいじめられ高校でうつになった。今後は私がパソコンをチェックします」と証人尋問でかばった。

    ◇

 児童ポルノ事件は実刑になることはあまりない。このため罪の意識が希薄で、再犯を繰り返して重大事件につながることも少なくない。

 奈良県の小1女児誘拐殺害事件(04年11月)を機に、法務省は性犯罪の再犯防止プログラムを作成し、06年度から全国18施設で実施している。最長8カ月をかけて思考や行動のゆがみを自覚し、自己制御を身につける。

 埼玉県川越市の川越少年刑務所。受刑者8人がテーブルを囲み、それぞれの事件を振り返る。児童ポルノを見るうちに強制わいせつ事件を起こした者や自分の犯行を撮影し販売していた者もいる。

 「誘ったらついて来たので(性犯罪を)してもいいと思った」「画像を買うやつがいるから売った」。指導員が諭す。「そうした考え方自体が犯罪につながるんです。自分が満足するために、子供を利用したのですよ」

 黒川潤調査専門官は「再犯リスクを減らすためにポルノ画像に接しないなど、自分を制御する方法を理解する受刑者が増えた。社会復帰後にどれだけ実行できるかは、これから試される」と話す。

    ◇

 千葉の会社員は、01年にも宮崎県の15歳少女を自宅に連れ込み、青少年健全育成条例違反で罰金刑を受けていた。今度こそ再犯を防げるのか。求刑は懲役2年6月。判決は6日、言い渡される。=つづく

(出所:毎日新聞 2008年6月6日 東京朝刊)

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