岩田亨の短歌工房 -斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・短歌・日本語-

短歌・日本語・斎藤茂吉・佐藤佐太郎・尾崎左永子・社会・歴史について考える

< グレゴリオ暦 >  最近の作品から

2009年07月16日 23時59分59秒 | 多摩高20期同窓会
大ホールの末席ゆえに会場を俯瞰しうるを楽しんでいる(「星座」)

わが意思にそぐわざること知らしめて雨が激しく硝子窓たたく(「運河」)

捨つべきは何と何と何みずからに問いつつ歩め 風は湿れど(「星座」)

硝子戸に映すわが顔表情の乏しき上を甲虫が這う(「運河」)

戦場は海のかなたにありぬべし青また青の連なりの果て(「運河」)

断定を避けつつ話す男らの罪あるごとき声を聞きおり(「運河」)

一生になし得ることのいかばかり楡の古木は夕映えのなか(「運河」)

クレソンを食むとき著き匂いしてまた蘇るひとつ記憶は(「運河」)

聞きとれぬ速さに物を言う人がうつむきながら眼鏡をはずす(「星座」)

こは誰の鋭き声かと思いつつ演壇を見ずに杯を乾す(「星座」)

かの人は風に形があると言う街路樹の葉の騒ぐ真昼間(「運河」)

風強く眠れぬ夜に思いおりグレゴリオ暦のその由来など(「運河」)


< 2009年6月に神奈川県立多摩高等学校20期同窓会ブログに投稿するため、最近作より選んで用意したもの >

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